『魔王』 アルバート・ソーン   作:アーっr

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服従の呪文しかり、心身を侵す魔法は闇に分類されるらしい。
じゃあ、これは?


魔法の試練

 

 

 夜。

 三階の禁じられた廊下。

 

 

 

 

 

 時が来た。爺さん(ダンブルドア)がロンドンに行っている今、必ず動きがある。

 

 「………で、ハリー達は何しに来たの?」

 

 「それはこっちのセリフだよ!なんでここにいるの!?」

 

 『誓い』を果たすため動いた俺だったが、思わぬ先客がいた。

 いや、『思わぬ』ではない。やると思った。

 

 「俺は、このホグワーツに賢者の石が隠されていることを知った。そして、誰かがそれを狙っていることも」

 

 「しかもちょうど今日、爺さん(ダンブルドア)はロンドンにいる。絶対今日動きがあると思ったんだ」

 

 「アルバートも気づいたの!?僕達もそうなんだ!」

 

 だろうな。わざわざニコラス・フラメルの話まで聞いてきたんだから。

 

 「じゃあみんなで動きましょう。私たちは子供だけど、協力すれば大人にも通じるわ」

 

 「いいこと言うね、ハーマイオニー」

 

 「じゃあ急ごう!モタモタしてると『石』を取られちゃう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、扉を開けたはいいが。

 

 「三頭犬………こんなやつ、どうやって連れてきたんだ?」

 

 「ハグリッドだよ。自慢してた」

 

 すごいな。森番、だったか。いつか会いに行こう。

 

 「………眠ってるけど」

 

 「音楽を聴かせればすぐ寝るって言ってた」

 

 確かに、誰かが魔法をかけたハープがある。

 

 「じゃあ、まだこいつが寝てる間に進もう」

 

 「足元に扉があるわ。多分、ここが入り口よ」

 

 よし。邪魔な犬の前足を動かして………

 

 「開いた。誰から行く?」

 

 「……僕が行く」

 

 「わかった。下が深いかもしれないから、浮遊呪文の準備をしてて」

 

 まあそんなに深いとは思わないが。

 

 「………大丈夫!クッションがあったよ!

 

 「じゃあハーマイオニー、ロン。次の部屋に………」

 

 べちゃ、と、液体が滴る。

 ハープの音色が、止まっている。

 

 「しまった………」

 

 「アルバート!危ない!」

 

 「グルルルァァァ!!」

 

 「失神呪文(ステューピファイ)!」

 

 咄嗟に出た失神呪文のおかげで、犬はまた眠った。セーフ。

 

 「………どんどん次に行こう。ハリーも危ないかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 下に降りると、ハリーが言った通り柔らかい何かがクッションになって、無事だった。

 

 「いや、これ魔法植物だ。『悪魔の罠』だぞ」

 

 「うわ、うわ、ウワーー!」

 

 「暴れるなロン。こいつは激しく暴れるやつから殺していくぞ」

 

 「だったらどうすればいいんだよ!」

 

 「燃えよ(インセンディオ)!」

 

 悪魔の罠は暗闇と湿気を好む。

 ハーマイオニーの火は効果的だった。

 

 「君も知ってたんだな」

 

 「ええ、薬草学の勉強で見たことがあったわ」

 

 ふむ。いい調子だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これ、飛んでるのは………鍵か?」

 

 「多分、本物の鍵を探して捕まえればいいはず………」

 

 箒がある。飛んで捕まえるのか?

 

 「………あ、あれ!翼がちょっと曲がってる!」

 

 「どれ?」

 

 「あ、今右に曲がったやつだろ」

 

 「そう!」

 

 見つけたが、捕まえるとなると………

 

 「ハリー、腕の見せどころだよ」

 

 「任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すごいな。鳥みたいに急旋回して鍵を捕まえた。

 魔法族がクィディッチにハマるのも分かる。

 

 「………今度はチェス?」

 

 「どうやら、俺たちが駒になるらしい。ロン」

 

 「な、何さ」

 

 「得意なんだろ?任せる」

 

 「な、なんで知ってるんだよ!」

 

 「列車で言ったじゃん。クィディッチが好きでチェスが得意だって」

 

 「おぼえてたの!?」

 

 そりゃあな。記憶力は高いし。

 

 「………じゃ、ハリー。君はビショップに。ハーマイオニーはその隣でルークになって。アルバートは…………キングに」

 

 「いいのか?ロンは?」

 

 「僕は………ナイトだ」

 

 

 

 

 

 ロンと対になる自軍のルークが敵のクイーンに叩き潰されてから、緊張感が増した。

 危うく、ハリーやハーマイオニーが取られるところだったのが2回ほどあったが、勝負はほぼ互角だった。

 

 そして、その時は来た。

 

 「やっぱり、こうするしか………」

 

 「やめろ、ロン。死ぬかもしれないんだぞ」

 

 「何?」

 

 「自分を取らせようとしてるんだ」

 

 「こうするしかない!犠牲を払わなくちゃ!僕が一駒前進する。そうするとクイーンが僕を取る。ハリー、それで君が動けるようになるから、キングにチェックメイトをかけるんだ!」

 

 「でも…」

 

 「『石』を取られてもいいのか!やるしかないんだ!」

 

 「………わかった」

 

 ロンの言葉通り、ハリーはチェックメイトをし、勝利した。

 

 「ハーマイオニー。ロンと一緒に地上に上がってくれ。俺とハリーは先に行く。先生達に助けを求めてくれ」

 

 「………分かったわ。気をつけて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あと、どれくらい罠があると思う?」

 

 「悪魔の罠はスプラウト先生だな。鍵はフリットウィック先生で、チェスはマクゴナガル先生」

 

 「そう考えると、あとはクィレル先生と、スネイプ先生か」

 

 扉を開ける。

 悪臭。沼のような、息の詰まる臭いが漂うその部屋の中に、大きなトロールがいた。

 

 「失神呪文(ステューピファイ)!」

 

 その一撃で、小山のようなトロールは倒れた。

 

 「す、すごいね………」

 

 「行こう。息が詰まりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 順当に行けば、あとはスネイプ先生の罠だが。

 

 「これは………薬?」

 

 扉を跨ぐと、いきなり紫色の炎が今入ってきた入り口を塞いだ。

 それと同時に、先に進むための扉も黒い炎で閉ざされている。

 

 

 前には危険 後ろは安全

 君がみつけさえすれば 二つが君を救うだろう

 七つのうちの一つだけ 君を前進させるだろう

 別の一つで退却の 道が開ける その人に

 二つの瓶は イラクサ酒

 残る三つは殺人者 列にまぎれて隠れてる

 長々居たくないならば どれかを選んでみるがいい

 君が選ぶのに役に立つ 四つのヒントを差し上げよう

 まず第一のヒントだが どんなにずるく隠れても

 毒入り瓶のある場所は いつもイラクサ酒の左

 第二のヒントは両端の 二つの瓶は種類がちがう

 君が前進したいなら 二つのどちらも友ではない

 第三のヒントは見たとおり 七つの瓶は大きさがちがう

 小人も巨人もどちらにも 死の毒薬は入ってない

 第四のヒントは双子の薬 ちょっと見た目はちがっても

 左端から二番目と 右の端から二番目の 瓶の中身は同じ味 

 

 

 「…………論理パズルだな。こんなのマグルでも出来るぞ」

 

 スネイプ先生らしい、力があるだけの馬鹿では通れない試練。

 

 「分かるの?」

 

 「ああ。一番小さい瓶が、先に進むための薬だ」

 

 「でも、一口分だよ。一人しか通れない」

 

 「ハリーはそれを飲んで先に進んでくれ。俺はなんとかして後を追う」

 

 「なんとかしてって、どうやって?」

 

 「どうにかするんだよ。魔法の力でな」

 

 それでこそ魔法使いだろ。

 

 「わかった。じゃあ、先に行ってくる」

 

 「頑張れ、ハリー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………さて、どうするかな」

 

 薬はもう無い。はっきり言って詰みだが………

 

 「……誰も、見てないよな?」

 

 心を解放する。

 

 それは閉心術の応用。心を制御し、開心術を跳ね除け、感情を留める(・・・・・・)

 魔法を使う時、感情は大きな要因となる。

 

 まだ杖も持っていないような子供が、感情が制御出来なくなった結果『姿くらまし』をしたという記録がある。

 

 『姿くらまし』は大人でも連発出来ない高等技術。それを、子供でも出来るようにするほど感情は大きく魔法の力となる。

 

 だから、思ったのだ。

 

 『感情を意のままに保管し、取り出すことができれば、魔法力は大きく向上する』と。

 

 難しかった。史上稀に見る閉心術の使い手である俺でも、まだ不完全だ。

 

 だが、感情(燃料)はある。

 あの時母さんを馬鹿にした虫ケラへの怒りは、まだ俺の中で激っている。

 

 「ウゥゥウオオオオォォォッッッ!!」

 

 高い魔法力を持つ魔法生物には、魔法の効果は薄くなる。

 

 で、あるならば。

 今の俺ならば。

 

 「オオオオオオォォォォォォッ!!」

 

 

 この程度の炎、越えられる。

 

 

 

 




魔法は料理
 燃料は感情
 皿は杖
 出来上がる料理が魔法
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