『(地淡!右!)』
そんな悲鳴ともとれる声が脳内に響いた時にはもう遅かった。
グシャリ
鈍い音が俺の脇腹で轟く。視界の隅には赤いヒールが写る。俺はその場から大きく吹っ飛ばされ、邸を囲う赤い塀で止まった。
「...誰だ、あんたは。」
「それはこちらの台詞です。誰ですか?貴方は。」
俺を蹴ったのは、赤いチャイナ服に龍が印された緑の帽子を身に纏った赤髪の少女だった。
「俺か、俺は...強いて言えばこの異変を解決しに来た者、かな?」
「ッ!?お嬢様には指一本触れさせません!」
「へえ、ここの館主が起こしたんだな。」
「...とんだ失言をしてしまいました。ここであなたを打ち倒し、帳消しとさせていただきます!」
うわあ、殺る気か~...まあ門番だしな。仕様がない、少し相手になってやるか。
『(地淡、脇腹大丈夫!?)』
(...大丈夫だ、なんともない。お前は黙って見てろ。)
弾幕を展開し、門番と距離をとる...のだが
「はぁ!どりゃ!」
全部足と拳で相殺してくるんですけど!?そしてなんか某対戦ゲームで魔王が剣を振り回すときに出すような声出してるし。
あ、あの技名斬岩って言うらしいぞ。
それは置いておいて、なんだこの門番、弾幕を張らずに距離を詰めてくる。こちらの霊力切れでも狙っているのか?少なくとも、今の幻想郷には見合わない戦いかただ。
そうこうしている間に、距離が10mを切ってきた。走れば2秒で届く範囲だ。...50m走10秒って訳じゃないぞ?にしても...
「なぜ弾幕をすべて相殺される...?」
「あなたとはっ、能力の使い方が!違うんですよ!」
そういいながら、距離を一気に詰めて回し蹴りをして来た!
咄嗟に腕を十字に組んで受け身の姿勢をとるが、蹴りが俺に直撃する数瞬前、何かに腕を弾かれ姿勢を崩す。
よろめく俺に痛恨の蹴撃。またもや遠方まで吹っ飛ばされ、地面に仰向けで倒れこむ。
そこへ隙を逃さず門番が馬乗りになりマウントを取ってきた。
手足が自由に動かせない状況にあり、顔で拳を受ける。一撃一撃に何か霊力や妖力とも違った強い覇気を纏わせ、顔が歪む程の威力だ。勿論比喩だが。
なるほど、力の使い方が違うというのはそういうことか。俺は体に縮小させた霊力を纏わせ、それを一度に解放する。
門番はその衝撃で背中から吹っ飛び、何度も転がり背中を打ち付けてから漸く停止する。
「分かってきたぜ、この力の使い方が。ここからは同じ土俵だ。」
私は慧音に言われるがまま、人里の避難所へと足を運んでいた。そこで酷い惨状を目にすることになる。その避難所では優に3桁へ達するほどの数の人が倒れていた。たっている人の姿は見えず、這って支援された水を得ようとしている人までいた。床には吐射物が広がり、汚臭が立ち込めるなか、人の呻き声が絶えず響いている。確かに治癒事態は霊力があればどうとでもなるし、護符だってある。しかしこれはさすがに予想外だ。私はただただ立ち尽くすことしかできなかった。
因みに作者は二つのストーリーが同時進行するやつ結構好きだったりします。