ゲヘナ学園 園芸部の死神   作:やーなん

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幕間 ミコトの日常

 

 

 

「寝みぃ」

 

 朝、ミコトは教室で自分の席に座って欠伸をしていた。

 

「それでは、皆さん。起立、礼、着席」

 

 クラス委員長の号令に従い、起立と礼を行う。

 その後、出席を確認し、各連絡事項の伝達を行う。

 

 ゲヘナ学園の朝のホームルームの時間はそれで終わりだ。

 後は放課後まで生徒会の定めたカリキュラム通りの授業に向かうか、仲の良い者同士で勉強をしたり、部活動に勤しんだりする。

 

 それがゲヘナ学園の生徒の日常だ。

 そして今日は、期末試験のテスト範囲が配られた。

 

 今日はトリニティに行くか、とプリントを見ながらミコトは思った。

 

 普段なら放課後までトレーニングルームに籠るか、放課後は仲間とつるんだりする。

 人手が足りない時は救急医療部に呼び出され、不良絡みで面倒ごとが起こった時はヤキを入れに行く。

 それがミコトの概ねの行動パターンであった。

 

「あ、ミコトちゃん。この間、ブラックマーケットの悪い奴らやっつけてきたんだって?」

「おう」

「すごいよねー。いつもずっとトレーニングしてるけど、いつ勉強してるの?」

「んなもん、教科書見りゃわかんだろ」

 

 ゲヘナの生徒は陽キャが多いので、バリバリに不良なミコトにも話しかけてくるクラスメイトは多かった。

 彼女が自分たちを守ってくれている側だと思っているのだ。

 

「そう言えば、この間トリニティの子と友達になったんだよ!!」

「うちもうちも、アロマの専門店で意気投合しちゃった」

「俺にも正義実現委員会にダチが居んぜ。頭がカテーけど、良い奴だ。勉強もできるしよ」

「あー、もしかして、トリニティで勉強教わってるの? ズルーい!!」

「私も勉強教えて貰おうかなー。あっちって頭良さそうだし」

 

 ゲヘナとトリニティは長年いがみ合ってるが、一部の生徒には関係のない事。

 むしろ昔の、歴史になるような出来事に関心を持っている生徒は数少ない。

 

 そう、トリニティの生徒の殆どが、かつて自分たちの先輩がアリウス分校を迫害したことを忘れているように。

 

 クラスメイトと別れ、ミコトは単車に乗ってトリニティに向かった。

 橋を渡った先に検問と言うか、関所が設けられている。

 そこには正義実現委員会の生徒が常駐し、ここを通るゲヘナ生にトリニティ自治区に行く目的や学生証の確認をしている。

 

「はい、止まって下さーい。……げッ」

「俺だ。向こうのダチに会いに行く、それで良いか?」

「……はい。どうぞ、行っていいです」

 

 なお、ミコトは顔パスだった。

 すぐにヘルメットを直して、彼女は出発する。

 

「もしもし、こちら税関ゲヘナ55地区方面。

 要注意人物Mが本校方面へ向かいました。報告は以上です」

 

 対応した正義実現委員会の生徒は、すぐにミコトの到来を報告した。

 それだけで向こうは緊急シフトに移行していることだろう。

 

「今日は暴れないといいけど……」

「今日はどっちだと思う? 暴れると思う?」

「うーん、最近は義勇軍の集会も見なくなったしなー……」

 

 当直の彼女達は、不安そうにミコトの後姿を見送った。

 

 

 

 

「よう、ハスミ。出迎えご苦労」

「好きで出迎えてると思いますか?」

 

 正門前にはハスミが待機していた。授業中なのに呼び出されて。

 もう彼女は完全にミコト係と周囲に認知されていたのである。

 

「実はよ、今日期末テストの範囲が出たから対策しときたくてな」

「……とりあえず、見せてください」

 

 テスト範囲の記されたプリントを受け取ると、なるほど、とハスミは頷いた。

 

「全て先月やった範囲ですね」

「マジか、トリニティは進んでんな」

「貴女方が無秩序なだけです」

「マコトパイセンは、個性を尊重してるって言ってたぜ」

「ええ素晴らしいですね、協調性さえあれば!!」

 

 ゲヘナの、主に目の前の輩の所業の数々を思い返し、イラっとしたハスミは声を荒げてそう言った。

 

 

 

「いいですか、自由とは何をしても良いと言うことではありません。

 行動には責任が生じるのです!!」

 

 そしてハスミは、まだミコトの更生を諦めてなかった。

 

「責任ってのは偉い奴が取るもんじゃねえの?」

「認識の齟齬!? ……では貴女の率いてるグループの責任は誰が取るのですか?」

「ん? 俺らはダチ同士でつるんでるだけで、誰が上とかねえよ。

 ハスミだって俺の上や下でもねーだろ?」

「それは、そうですが……」

 

 むむむ、とハスミが唸っていると。

 

「そういやよ、この間の奴でハスミの言ってることが分かったぜ」

「? ……何のことですか?」

「ブラックマーケットのことだよ」

「どういうことでしょう」

 

 ブラックマーケット解体戦に、ハスミ達は一年ということで参加を見送られた。

 校内の戦力を残しておかないといけないので、それは妥当な判断なのだが。

 

「あん時はヴァルキューレのダチと一緒に行ったんだけどよ、それって正義の為になるって奴だよな?」

「……ええまあ、彼女達と我々の正義にさほど相違はないかと」

「なんでどいつもこいつも、正義になんてこだわるんだって思ってたけど、ありゃあいいな」

 

 ハスミはわかってくれたのか、と一瞬でも期待したが。

 

「正義の為って言って相手をぶん殴るのって気持ちいいんだな!!

 俺、全然知らなかったぜ!! やっぱりハスミは頭良いんだなッ、そっちの方がもっと楽しいから、俺に勧めてくれたんだよな!!」

「に、認識の齟齬ッ!?」

 

 ハスミは頭を抱えた。それは一番ダメなパターンだった。

 ミコトは快不快で行動している。正義を目的にするか、それを建前にするかで正義の意味は変わってしまうのだ。

 

「俺もこれからは、正義を掲げてぶん殴るぜ!!

 それでクズや悪党をぶっ飛ばせば、感謝されんだろ?」

「……それ以外の場合は?」

「……正義じゃねえんじゃねえの?」

 

 ハスミは理解した。

 このバカは、正義をふりかけか何かかと思っているらしい、と。

 ふりかけがあればご飯が美味しいが、無くても他のおかずでご飯は食べることができる、みたいな。

 

「れ、歴史の勉強をしましょう……正義を掲げて失敗した例は、幾らでもありますから……」

「お、面白そうだな」

 

 ミコトは興味のある事柄なら大抵の学問を会得できる。

 勉強という意味なら、ハスミは成功をしていたのであった。

 

 

 

 その後、トリニティ自治区の商店街に二人は移動した。

 

「いつもワリィな、奢るから好きなの食ってくれよ」

 

 二人はカフェのテラス席に座って、ミコトはメニュー表をハスミに渡した。

 

「まあ、貴女にも感謝の気持ちがあると言うのなら、受け取りますが……」

 

 ハスミは同級生が授業中という背徳感に背を引っ張られながらも、メニュー表を開いた。

 そしてメニューを決めると店員を呼ぶと、注文を始めた。

 

「すみません。こちらのイチゴスペシャルトリプルチョコパフェを二つ」

「おい、俺はそんな甘ったるそうなの食わねえぞ」

「いえ、私の分ですが?」

「……」

 

 一度奢ると言った手前、ミコトは何も言わなかった。

 

 

 どん、どん、と人間の二頭身分ぐらいの高さのあるパフェがハスミの前に置かれた。

 

「お前、それ食うのか? 太んぞ……」

 

 ミコトの脳内のカロリー計算表がとんでもない数値を叩き出しているので、彼女はドン引きしていた。

 

「大丈夫です、私は太らない体質ですし」

「マジかよ……」

「これは期間限定メニューで、いつも放課後には売り切れていたんですよ。

 それに、こうは思いませんか? あるのがいけない、と」

「お前ガキのうちはそれでいいけどよ、二十代で糖尿病になんぞ」

「ミコトのくせに、急に現実を突き付けないでください!!」

「お、おう……」

 

 ミコトは救護騎士団と救急医療部のどちらに連絡するかを真剣に検討し始める。

 

「そもそもですね、ゲヘナの生徒の行動は目に余るんですよ!!」

 

 巨大パフェにスプーンを突っ込んで、恐ろしいスピードで食べ進めるハスミ。

 

「この間、万魔殿の議員がこっちに来たんですよ!!

 まさかスパイ活動かってみんながピリピリしてたら、あそこにあるスイーツ店の限定商品を買い占めて帰っていったんですよ!!

 信じられない蛮行です!! 私の限定生プリンを!!」

「そうだな……好きなだけ食えよ」

「そうさせてもらいます!!」

 

 ミコトは店員を呼んで、ノンオイルドレッシングのサラダを注文した。

 本当に彼女は自分の健康に気を使っているのである。

 

 そうして、ミコトは彼女の愚痴にしばらく付き合うことにした。

 

 

 

 午後、ミコトは仲間とたまり場に集まった。

 

「22地区で他所から来た奴らが調子こいてるらしいよ」

「うち、昔あの辺住んでたから、見過ごせねーわ」

「ミコちゃんも行く?」

 

 ミコトは答えた。

 

「あたぼうよ」

「じゃあ、勝ったも同然だね」

「それじゃ、行こうよ」

 

 毎日のように、暴れている不良に喧嘩を売りに行く。

 そう言う情報はすぐにミコトに回ってくるのだ。

 

「行くぜ、おめーら」

 

 そうして、単車を乗り回してミコト達は向かった。

 

 

 22エリアに到着すると、そこは荒れていた。

 この場所は元々スラム街だったが、閑散としていた。

 

 その原因が、スラム街の中心に屯していた。

 その数、約200人。不良の規模としてはそこそこだ。

 彼女達はスラム街の商品を貪っていた。

 

「ミコトさん、来てくれたんすね」

 

 裏路地から声がする。

 そちらを見ると、数人の不良が彼女らの様子を窺っていた。

 彼女らはミコトの舎弟だった。

 

 ミコトの仲間は概ね二種類に分けられる。

 ダチか、舎弟だ。

 ミコトにとってそこに境は無いが、普段の生活で会う方が前者で、後者はミコトが倒して屈服させた相手と言うのが最大の違いか。

 

「すみません、うちらも戦ったんですけど、あいつら数が多くて」

「しょうがねえよ、俺みたいに誰もが強くはねえからな」

 

 舎弟たちの言う通り、彼女達は怪我を治療した跡がある。

 ミコトは彼女らの奮闘を労った。

 

「後で傷口を見せろ、応急処置してやる。ダメそうなら病院行け」

「うっす、すみません」

「構わねえよ。やるぞ、おめーら」

 

 ミコトの仲間は、それぞれ彼女に応じた。

 そして彼女ら一行20人は不良集団のもとへと向かった。

 

「おいおめーら、随分と俺らのシマで好き勝手してくれたみてーだな」

 

 真正面から、ミコト達は不良達が話しかけた。

 

「あんたがミコトってヤローか、あんたがゲヘナを牛耳ってるって」

「ってことは、あいつを倒したらうちらがゲヘナ最強じゃん」

「あいつら、あんな数でうちらに勝つつもりなん?」

 

「知らないって、怖いっすね……」

「ミコちゃん、自分が不利なほど燃えるドMだからなぁ」

「むしろ自分から不利になろうとしてるまであるし……」

 

「おい、聞こえてんぞ、おめーら」

 

 ミコトの声に、彼女の仲間たちは背筋を伸ばした。

 

「俺らに挑むには、桁一つ足りねーんじゃねえのか?」

「笑わせんな、フクロにしてやれ!!」

 

 こうして、両者は激突した。

 

 決着は、3分で付いた。

 

「に、逃げろ、あいつ、人間じゃねえ!!」

「あッ、おいバカ、逃げんな!!」

 

 ミコトが一人で50人くらい倒した頃には、既に戦いの趨勢は決していた。

 

「はい、ミコト」

「おう」

 

 手榴弾をユエから受け取ったミコトが、相手の密集地に投げる。

 

「ぐ、グレネード!!」

 

 相手不良たちが遮蔽物から逃げ出す。

 ミコト達は容赦なくその隙を狙う。

 

 ミコト達は完全にミコトをエースとした戦術を確立している。

 だから10倍の相手でも臆することなく戦えるのだ。

 

 二百人居た相手の不良たちはもう半分以下。その殆どが倒れて、呻いている。

 

「おら、次はどいつだ!! ヘイロー掴んでガタガタ言わせてやんよ」

 

 もう相手の殆どが戦意喪失している。

 ミコトの仲間は一人も倒れていなかった。

 

「ユエ、部長に連絡しとけ」

「わかったわ」

「残りはこいつらが飲み食いしたモンがどれくらいか調べとけ」

 

 うっす、とミコトの仲間たちはスラム街が解放されたことを呼びかけに言った。

 

「ゆ、許して……」

「もうあんたには逆らわないから!!」

 

 ミコトは腰を抜かしてる不良たちに歩み寄った。

 

「俺の舎弟になんなら、お前らの飲み食いしたもんは全部俺が立て替えてやる。嫌なら徹底的にぶちのめす。どっちがいい?」

 

 彼女達は顔を見合わせ、ただただ頷くしかなかった。

 

 

 

 その夜は隠れていた住人も出てきて、お祭り騒ぎになった。

 逃げた不良たちも様子を見に戻って来て、居心地が悪そうにそれに参加した。

 

「おめーら、なんでこんなことしてんだ?」

 

 ミコトはそんな彼女達に話しかけた。

 

「うちらは、みんな中学の頃に勉強が付いてけなくて、退学になったんすよ」

「ちょっとグレてヤンチャしたら速攻で切られたよな!!」

「私らのところは小さな中学だったからなぁ」

 

 勉強について行けなくてやる気を失って不良になるか、不良たちとつるむか。

 そんな事例はキヴォトスには星の数ほど存在した。

 

「……でもさ、こんな惨めなことになるなんて、誰も教えてくれなかったよな」

「そうだよなぁ……」

「廃墟を寝床にしても隙間風が寒いし、公園の水道やトイレはこの人数で順番待ちなんすよ」

 

 自分達の境遇に、涙する不良も多かった。

 

「お前ら、俺の舎弟になったんだから稼ぎ方を教えてやるよ」

「え、ミコトさん?」

「お前らみたいに暴れてる奴らを〆てな、ここに電話すっとカネが貰えんだよ」

 

 ミコトは彼女達に風紀委員の電話番号を教えた。

 

「お前らが悪さを辞めんなら、ここの連中に話付けてやって、住まわせてやってもいい。

 この街守んなら、多少のショバ代も取ったって構わねえだろうしな」

 

 実際、このスラム街はちょっと不良達が流入したくらいで完全に機能停止していた。

 自治組織ができるなら、歓迎するだろう。

 

「そんでカネ溜めたら、入学金払って入学させてもらえる学校探せ。

 お前らにやる気があるんならよ」

 

 不良は楽な生き方だが、生活が楽ではない。

 結局誰かに搾取されるか、奪うしかない。

 

「ここに居んのも、みんな脛に傷ある連中ばかりだ。昔のことは忘れろ、ここの連中もすぐにお前らの事を笑い話にするだろうぜ」

 

 ミコトは笑って、彼女達の肩を叩いた。

 

「み、ミコトさんッ、いや、姐御!! うちら、頑張ってこの街守ります!!」

「私も、私もです!!」

「ご迷惑かけて、すんませんした!!」

 

 不良たちは一斉に頭を下げた。

 

「んじゃ、ここの顔役に話つけてくるわ」

「ま、待ってください!!」

「あん、なんだ?」

 

 不良たちの一人が、ミコトに問うた。

 

「あ、あの、ミコトさんのチームの名前って、なんですか?」

 

 

 

 

 

「なあ、俺らのチームって名前とか無いよな」

 

 翌日、ミコト達はゲヘナの校舎のたまり場でそう言った。

 

「今まで必要無かったっすからね。

 ミコちゃんが旗印みたいな感じだったし」

「そうだよねぇ、ミコちゃんが居れば嫌でも目立つし、わざわざ名乗ったりしなかったもんね」

「うちら暴走族とかじゃないですしね」

 

 と、ミコトの仲間たちもチーム名など必要無いと思っていたようだった。

 

「あくまで個人的にだけど」

 

 壁に背を預けているユエの発言に、皆の視線が集まる。

 彼女らは皆、ユエは頭が良いし自分たちの分からないことが分かっている、と認めているのだ。

 

「ミコトの舎弟たちは組織化が必要だと思うのよね」

「えー、メンド。俺は気楽なのが好きなんだよ」

 

 責任という言葉が大嫌いだと言っていた通り、ユエの提案を蹴ったミコトだった。

 

「じゃあ、彼女達に自主的にそうして貰いましょう。ミコトはただの後ろ盾。名前だけ貸せばいいわ」

「だがよ、そんなことして何になるんだ?」

 

 ミコトは小難しそうな話に眉を顰め、ユエに問うた。

 

「この間のブラックマーケットで、私達が集めた仲間たちってあんまり役に立たなかったでしょう?」

「まー、そうだな」

「もっと単純に、かつ合理的に組織の目的を作り、ミコトの一言で動かせるようにするのよ」

 

 そうすればいつでも喧嘩に呼べるわ、とユエは言った。

 

「もっと大きな相手と戦う時、数は必要でしょう?」

「まあ、確かにな」

「そう言う意味では、私達のチーム名を決めて、あとメンバーであることを証明する……バッチでいいかしら。旗とかもあると良いわね」

「なんだか面倒くさいな」

「分かってないわね、ミコト。

 そうなったら必ず偽造したり、勝手にあなたの名前を使う奴も出てくるわ。そいつらとも喧嘩したいでしょう?」

「ああ、したい!!」

 

 ミコトは元気よく答えた。

 ユエはただただ微笑み返した。

 

「ミコトが昨日したみたいに、社会保障と治安維持を目的にすれば良いと思うわ。

 財源は、風紀委員会だけじゃ物足りないわね。まあそれは後で考えましょう」

 

 キヴォトスの治安と社会保障は死んでるので、需要は幾らでもあるとユエは踏んでいた。

 

「ああいう子たちに、もう一度学校に通わせてあげたいでしょう?」

「あいつらが望むのならな」

「なら、中小規模の学校も引き入れましょう」

 

 ミコトは別に何も強制しない。

 自分が気に入らないことが有ればぶん殴る。ただそれだけだ。

 

「幾ら不良でも、何千人も居れば組織運営や管理ができる人材はいるでしょう。

 別にそれ自体は委託しても良いし」

 

 ユエはそんな組織図を思い浮かべながら、枝で地面に絵図を書いていく。

 

「その為には、組織名と、あと紋章は欲しいかな」

 

 ユエは何もしない。だって面倒だし。

 ミコトを慕っている彼女達に、組織の提案するだけだ。

 

 彼女は言わば、親衛隊を結成しようとしているのだ。

 

「すぐできると思うから、あとはこっちに任せておいて」

「おう、任せるわ」

 

 ユエも大概丸投げにする予定なのに、ミコトも丸投げだった。

 

 結局、ミコトとその仲間たちにチーム名など決まらなかったし、必要としなかった。

 

 

 だが、その一週間後には、ミコトの舎弟たちはお互いに連絡を取り合い、ひとつの組織を結成した。

 

 その名も、『死神殺意頭蓋(デスサイズ)』。

 死神の振るう大鎌だと自称し、ドクロと大鎌の紋章を携えてゲヘナ各地に根を張りだした。

 

 彼女達の組織は、そこから版図を徐々に広げていくことになる。

 最終的に解散されるまでその規模は、ヘルメット団と同規模だったとされた。

 

 それがのちに、ミコト達が作る園芸部の紋章と同じになることは、まだ誰も知らなかった。

 

 

 そして、彼女達の初陣となる戦争(ケンカ)は。

 

「おい皆。姐御が連邦生徒会にカチコムってよ」

「しかも姐御を退学にするって? やっぱ退学になったことのない奴ってのは、すぐにそう退学退学って言えんだな」

「うちらはもう、弱いんだって傷舐め合うのは終わりにしたんだ、それを教えてやろうぜ」

「今度は私らが、姐御と同じことをすんだ!!」

 

 ドクロと大鎌の描かれた旗を無数に持ち、彼女達は冥府へ続く川を遡り始めた。

 

 目的地はその先に浮かぶ宝船、サンクトゥムタワーだった。

 

 

 

 

 

 




彼女の日常、その結実。
連邦生徒会編も、次回が大詰めです。


あとこれは私事ですし催促でもないのですが、昨日この小説が10評価をニ十個くらい付けて頂いた夢を見ました……。現実って悲しいですね……。
夢って本当に願望が映し出されるんだなって……。ははは……。

それでは、また次回をお楽しみに。
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