ゲヘナ学園 園芸部の死神   作:やーなん

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今回はまるまる一話を使うほどでもない、そんな内容の短編集です!!



ちょっとした短編集

 

 

 

『ミコトとネル』

 

 

「こんな屈辱、初めてだ」

「そいつはこっちの台詞だ」

 

 ミコトとネルは、お互いに苦渋に満ちた表情で言った。

 

「ぜってぇボコボコにしてやる」

「お前の出る幕はねぇよ」

 

 ミコトは百円を投入口に投じ、決定ボタンを押した。

 

 アーケードゲームのゲームが再開される。

 

「格闘ゲームだろうが、キヴォトス最強は俺なんだよ!!」

 

 ファイト!! と音声が流れ、コントローラーを操作するミコト。

 が、開始数秒で即死コンボを決められ、ラウンドを落とした。

 

「んがぁぁあああ!!!」

「退け、あたしがヤル!!」

 

 発狂するミコトを押しのけ、ネルがプレイを変わる。

 が、開始数秒で即死コンボを決められ、あっさり敗北した。

 

「くっそがああぁぁぁぁ!!!」

 

 試合終了を告げるまで、相手プレイヤーに死体蹴りで煽られる始末だった。

 これにはネルも顔を真っ赤にして台パンを繰り返す。

 

「てめぇ負けてんじゃねーか!!」

「先に負けたのはそっちだろうが!!」

 

 情けない理由で喧嘩する二人の怒声が、ゲームセンターに響いた。

 

「次はそっちの番だぜ」

「ちッ、しょうがねえ」

 

 ネルが財布から百円玉を取り出そうとするが。

 

「あ、やべ、切らした」

「おい早くしろ、リトライのカウントが!!」

「もう無いっつってるだろ!!」

 

 ゲーム画面は無慈悲にコンテニューのカウントがゼロになった。

 

「お前の所為で負けたじゃねえか!!」

「てめぇだって大して役立ってねえだろうが!!」

 

 しかし、こうなっては二人の敗北は確定したのである。

 

「UZQueen……この屈辱は忘れねぇぞ」

「ああ、その名前覚えたかんな……」

 

 チャット機能も無いのに、ヤンキーの二人はインターネットの向こうに因縁を付けた。

 

「クソムカつくが、敗北ってのはまだ成長の余地があるってことだ。過程は楽しまねえと」

「なに言ってやがる。まだあたしが勝ってねえだけだ、負けちゃいねぇ」

 

 そしてこの二人、同じヤンキーなのにスタンスは真逆だった。

 

「意地なんて犬の餌だろうが、強くなるためには俺は誰にでも頭を下げられんだ」

「じゃああたしに頭下げてみろよ、この間はあたしが勝ったろ」

「その前は俺が勝った!! それに今のところ三勝二敗だろうが!!」

「違うな、五戦二勝だ。勘違いすんな」

 

 まさに水と油、竜と猛虎。二人の関係はそれに尽きた。

 

「じゃあ次の勝負は身長にすっか? 

 おっと、科学的にもう伸びる見込みのないって証明されてるお前には酷だったな、いやぁ悪かった」

「てめぇミコト、ぶっ殺すぞ!!」

「事実から目を逸らすと、目ん玉が曇るぞ。一々事実を言われたくらいで怒んなよ」

 

 煽るミコト、キレるネル。

 

「ふぅー、ふぅー、身長ぐらいしか取り柄の無いバカがよく言うぜ」

 

 おっとここでネル選手、冷静さを取り戻して煽り返したぁ!! 

 

「そう言うお前はなんでミレニアムなんてインテリ学校に入ったんだよ」

「前の中学の近くだから」

「だろうな……」

 

 なんとなくそんな気がしたミコトだった。

 

「しっかしお前、銃と言いそのスカジャンといい、不良は見た目じゃねーんだよ。

 心技体って知ってるか? 真の漢ってのは着飾んなくても内側から格ってもんがにじみ出るんだよ」

「はぁ? 埃だらけのボロボロの格好の奴が何言ってんだ」

「見てくれしか拘れねえのかって言ったんだ。

 俺は見ての通りの格好でも、大勢の舎弟がついてくんだよ」

「……おい、そこまで言うなら、拳で語れよ」

 

 身長だけでなく自分の好きなものまで馬鹿にされたネルは、もう他人の耳が入らぬほどブチギレた。

 

「おうおう、ステゴロか? 

 出来んのか、チビ。体格差って物理学も分かんねえでミレニアム通ってんのかよ」

「御託はもういいっつってんだろ!!」

 

 ミコトはニヤリと笑った。

 このレスバはネルとの喧嘩の前の儀式なのだ。

 楽しい楽しい喧嘩を、より楽しくする為のマイクパフォーマンス。

 

 ミコトこそが、自分と対等にあろうとするネルを誰よりもリスペクトしているのだ。

 小柄さを生かした俊敏な戦闘スタイルを徹底的に研究し、対策もし尽くした。

 十回戦って六回勝つのではなく、百回戦っても百回勝利する。

 

 それがミコトの最強。揺るぎない最強への道筋。

 

 二人がゲームセンターから外に出る。

 二人は思う存分、倒れるまで殴り合った。

 

 それが二人の青春だった。

 

 

 

「これより廃墟探索を始めるわ」

 

 連邦生徒会の定めた立ち入り禁止区域。

 そこにリオを始めとした四人が立ち入った。

 

「記録によると、今のキヴォトスより以前の文明の廃墟がそのまま残って居るらしいわ」

 

 リオはタブレットで資料に目を通しながら言った。

 

「列車砲に使われた一部の異常な機関。

 その出所が先史文明の遺産である可能性があると考えられる以上、その遺物がどれだけ現存し、出土するのか調査の必要があるわ」

 

 先史文明については、驚くほど情報が少ない。

 リオが連邦生徒会の資料を当たっても、今出た言葉以上の情報は得られなかった。

 

「突然滅びたという高度に発展した先史文明、そこで何が起こったのか、何が原因なのか、それも探る必要があるわね」

 

 ブリーフィングは大事だ。リオは淡々と今回の探索の目的や意義を話していると。

 

「リオ隊長、少しいいかしら」

 

 バックパックにガンベルトを巻いて、防弾盾を携えたユエが小さく手を挙げて発言した。

 

「なにかしら、ユエ」

「この二人、全く話を聞いていないわ」

「……」

 

 ミコトとネルは、お互いにガンを付け合って、にらみ合っていた。

 

「話聞いてないだって? ふざけたこと言ってんな」

「ああ、出てくる警備ロボを片っ端からぶっ潰せばいいんだろ?」

 

 変なところで息の合う二人だった。

 これにはリオも溜め息を吐いた。

 

「そんな非合理的なことをする意味はないわ」

「なにが非合理だ。なあ、ネル」

「ああ、お前いつも食堂で一番安い定食食ってるだろうが。さっきも朝飯もゼリー飲料で誤魔化してただろ。食事の満足度ってのを求めんのは非合理らしいなぁ!!」

「セミナーの会長室も資料で散らかし放題だろうが。

 なにが合理的配置だ、合理的って言葉はてめーの都合の良い誤魔化しの言葉じゃねーんだよ、インテリがよ」

「ああ、その無駄な胸の贅肉のどこが合理的なんだ、言ってみろや!!」

 

 二人はリオに詰め寄ってダル絡みを始めた。

 リオは視線でユエに助けを求めたが、彼女は可笑しそうにお腹を押さえて笑っている。

 

「ふ、ふふ、二人共、お出ましよ」

 

 目の前で大騒ぎをするものだから、周囲を徘徊していた警備ロボがぞろぞろと集まってきた。

 

「なあネル、どっちが多く倒せるか勝負しようぜ」

「面白ぇじゃねーか、あたしの速さについて来れんのかよ」

 

 二人はそちらの方に歩いて行ってしまった。

 

「次からは片方だけを連れて行きましょう……」

「胸中察しますわ、リオ隊長」

 

 そう言って、ユエも鉄火場の方に赴いた。

 リオはそそくさと安全圏に退避した。

 

「ち、弾切れだ。ユエ」

「はい、ミコト」

「おい、こっちにも弾寄越せ」

「ええどうぞ」

「おいゴラ、どっちの味方だユエ!!」

「面白い方ね」

 

 無尽蔵に現れるかと思われたロボの大軍も、彼女達は一時間以上戦って在庫切れになったらしい。

 ぴたりと増援が止まった。

 

「おい、どっちが多く倒した!! 俺は500から数えてなかった」

「あたしは600から数えてなかったぜ」

「なんだと、てめえ」

「私も数える暇なんて無かったわよ。あなた達とは違うんだから」

 

 ゴミ山と化した残骸を漁るリオに、二人の視線が向いた。

 

「「リオ!! どっちが多く倒した!!」」

 

 リオは合理的な回答をした。即ち、無視である。

 

「あなた達のお陰でこれらの警備ロボの生産工場を確認できたわ。

 そちらを制圧した方が勝利でいいのではないかしら?」

 

 そしてリオは合理的適当を言い放った。

 

「これら古代の遺産が眠る廃墟は広大……先に脅威の排除が今後の効率的な探索には必要でしょう」

 

 その上で彼女は割とポジティブだった。目の前のバカ共を有効活用する、合理的自己納得である。

 

「おーし、そいつはいい。

 あと隊員番号決めようぜ。俺ナンバー1な」

「じゃああたしはナンバー00な。そっちの方が特別感あるだろ」

「お? 幽霊部員ってことか? 退場済みってか?」

「てめえを欠番にしてやってもいいんだぞ、ゴラァ!!」

「……ダメね、話が進まないわ。テンポが損なわれると良い画とは言えないわね……」

 

 ユエも動画を撮影しながらそんなことをぼやき始めた。

 

「……先が思いやられるわ」

 

 リオは二人を見て、最近自分にダル絡みしてくる某自称天才美少女ハッカーを脳裏に浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

『ミコトの社会見学』

 

 

「なあ、なんか仕事させろよ」

「急に押しかけてきて、なんだね君は」

 

 カイザーグループ本社の社長室、そこに押しかけたミコトは第一声でプレジデントにそう言った。

 

「てめぇらのこと何も知らねぇで悪徳企業だって言うのは違うってなってよ。

 だから俺が見極めてやっから、仕事させろや」

「……雇用形態は契約社員で良いかね?」

「カネなんていらねぇよ、お前らの手駒になるつもりもねぇ」

「君、言っていることが矛盾しているのを理解しているのか?」

 

 要するに、気に入らない仕事はしたくない、ということなのだろうとプレジデントは解釈した。

 

「ではうちで保有している適当なペーパー会社を譲ろう。それを我々の下請け会社として、君はそこの社員となって我々の仕事を請け負うというのはどうかね。仕事を受けるかどうかも君の自由だ」

「お、なんか面白そうだな」

「勿論、ちゃんと報酬は支払うからな」

「は? カネは要らないって言ってるだろ」

「何を言う。報酬の発生しない仕事は、必ずいい加減になる。それは仕事とは言えないのだ」

 

 ミコトがどうせ真面目に仕事などしないと分かり切っているプレジデントはそう皮肉るように語った。

 

「まあ、くれるって言うなら貰うけどよ。

 あと一つだけ教えてくれよ」

「なんだね?」

「なんでカイザーって会社は権力やら勢力やら、そんなモノの為にいろいろやってんだ?」

 

 それはミコトにとって価値のないものだった。

 ふむ、とプレジデントは少し逡巡してからこう答えた。

 

「君と同じだと思うがね」

「は?」

「君の目的はキヴォトスで最強になること、だそうだね。

 私はそれを稚拙だとは思わない」

 

 プレジデントは語り出す。

 

「我々カイザーグループもキヴォトス最大の企業となることが目標だ。

 私も一人の男として、自分の才覚がどこまで通じるか、どこまで会社を大きくできるのか、どこまで権勢を誇れるようになるのか、挑んでみたいと思うのは不思議なことではないと思わないか?」

「つまり、カイザーって会社をキヴォトスで最強にしたいってことか」

「そう言う意味では先代社長は偉大だった。

 私もまた別のやり方で偉大さを示したい、ただそれだけのことだ」

「いや、お前らと一緒にすんなよ」

 

 ミコトは彼の物言いに不快感を示したが。

 

「君だって誰かを殴って、殴ることで君は利益を得て、相手に不利益を与えている。

 そこに金銭が発生するか、我々と君との違いはその程度なのだよ」

 

 暴力か商売か、ミコトと自分の違いはそれだけだと、プレジデントは話した。

 

「それとも君は、誰かを殴ることを善行だと思っているのかね?」

「……」

「かつて存在したという身分制度で、商人は尤も卑しい身分だとされた。

 昔の人々も、我々のような商売人を卑しいと分かっていたのだ。それは勿論、脅威に思っていることへの裏返しだろうがね」

「だからって、開き直って良いもんじゃねえだろ」

「だが、裏の無い善行ほど疑わしく感じるのが人間の卑しさと言うものだろう?」

「で、なんか仕事くれんのかよ?」

 

 このままでは言いくるめられそうに思ったミコトは、もう一度本題を切り出した。

 

「……ジェネラルはカイザーセキュリティやカイザーPMCの立て直しで忙しい。

 最初の仕事だ。簡単な私の視察の護衛などどうかな?」

「ま、最初だしいんじゃねーの?」

 

 幾らミコトでも、プレジデントの言葉に含みがあることぐらい理解していた。

 だが社長の仕事を見るのは見極めには必要だろうと、了承した。

 

 

 

 ミコトとプレジデントが向かったのは、荒野のとある採掘場だった。

 

「これ、大がかりだけど何してんだ?」

「石油の採掘をしている」

「え、これガソリンが出るのか!?」

 

 ガソリンと石油は違う、と言う言葉をプレジデントは呑み込んで、こう言った。

 

「いや、まだ石油は出ていない」

「なんだ。まだ出てないのかよ」

「だがこの自治区周辺にはかつて、燃える黒い水の伝承が存在していた。

 当てがなければ採掘なぞしない」

「いや、当てって、それだけかよ? 

 もっとインテリの言うような、科学的な根拠とか無いのかよ」

 

 幾らミコトでも、石油の採掘はギャンブルなのは知っている。

 ちょっとした昔話を聞いたから、で始められるのはカイザーの組織力故か。

 

「無論、科学的データの収集も並行して行われている。

 ここがダメでも他の場所なら、と徐々に修正していくのだ」

「なんつーか、ロマンだな」

「そうとも。ロマンが無ければ仕事などやってられない」

 

 意外と、ミコトはプレジデントに対しての印象が少し変わった。

 自分で現場に足を運んでいるのもそうだし、ガチガチの現実主義者でもなかった。

 

「現場責任者よ、進捗はどうかね?」

「はい社長!! この現場は大体50%を超えた当たりでしょうか!! 

「ふむ、工期的に順調だな。足りない機材などがあれば申請したまえよ?」

「今のところありません!! しかし……」

「しかし、なんだね?」

 

 まさにガテン系の理想像みたいなガタイの良い現場監督が言葉を濁す。

 

「多分、イカの連中が雇ったチンピラにうちのもん達が襲われたらしくて」

「イカ?」

 

 なんでイカが邪魔すんだ、とミコトは思った。

 

「スクイッドキングス・ホールディングス。我が社の長年のライバル企業だ」

「そうなのか、俺は聞いたこと無いけどな」

「そうだろうな。連中の主力は海上輸送で、商売相手は主に企業。連中は水産業も行っているが、海洋学校でもなければまず関わりなんて持たないだろう」

「俺、魚介は食えねえんだよな」

「なら尚更内陸では無縁だろう」

 

 ゲヘナ学園の自治区には海もあるが、それはどちらかというと観光向けだ。

 ミコトに縁が無くても当然だ。

 

 その時だった。

 

「しゃ、社長!! 向こうから正体不明の武装集団が!!」

 

 監視塔で見張りをしていた社員が、そう言った。

 

「イカどもは海上石油プラントで大儲けしている。

 我々がそちらに参入するのは面白くないのだろうな!!」

 

 今この場に何が居るのか、知りもしないだろうチンピラ相手にプレジデントは愉快そうにそう言った。

 

「護衛の逢坂君、出番だぞ」

「素直にそいつらをぶっ潰せって最初から言えよ」

 

 どうせ最初からそういうつもりだったんだろう、とミコトは思いながらそう返した。

 

「我々は被害者という立場が重要なのだよ。

 あくまで自衛の範疇と言うことだ。最初の一発はあちらに撃たせるのだぞ」

 

 と、プレジデントがミコトにそう告げた直後。

 グレネード弾が採掘場に着弾し、爆発した。

 

「その必要はなさそうだぜ」

「……そのようだな」

 

 ミコトは十数台のバギーで荒野を走って来る武装集団の下へと歩いて行った。

 

「ふむ、傭兵崩れの強盗団と言ったところか」

 

 食うに困った傭兵や民兵が強盗団に転じるのはよくある話だ。

 プレジデントは彼らの末路に笑みを浮かべた。

 

「邪魔だ、ガキ!!」

 

 凶悪な人相の大人たちが、ミコトに銃を向ける。

 だが、その銃口の先にミコトは居なかった。

 

「いい車じゃねえか。俺にも運転させてくれよ」

 

 ミコトは一番近くのバギーのボンネットに飛び乗っていたのだ。

 

「おら!!」

「や、やめ──!?」

 

 ミコトはあっさりと運転手を蹴落とし、ハンドルを足で切った。

 急に方向転換してバギーがバランスを崩す。

 そして近くに居た別のバギーに激突し、二つの車が横転して爆発炎上した。

 

「よっと」

 

 当然ミコトは爆発する前に余裕で脱出していた。

 仲間をやられた傭兵崩れどもが、バギーを急停止させる。

 

「てめぇ、このクソガキ、やりやがったな!!」

「なあお前ら。一応傭兵っぽいが、実力差もわかんねーのか?」

 

 ミコトは一目で彼らの実力を看破した。

 弱者相手にしか仕事をしない、クズどもであると。

 

「そう言うお前は人数差ってのを理解してねーようだな」

「たっぷり叩きのめしてやるよ!!」

 

 三十秒後。

 

「や、やめてくれぇ!!」

「もッ、もう、なぐらないで……」

 

 五十人くらいいた傭兵崩れは、一人残らず悲鳴を上げて泣き叫んでいた。ユエが居たら大喜びする光景だろう。

 

「せめて三分ぐらい持たせろよ、三下がよ」

 

 まだ動けるだろうチンピラを蹴り、確実に意識を刈り取ると、ミコトはそう吐き捨てた。

 

「いやよくやってくれた!! 

 こいつら程度でも、掃討するには人員や兵力を動員しないといけないからな!!」

 

 採石場に戻ったミコトを、プレジデントは上機嫌でそう言った。

 ただの護衛代で強盗団を壊滅させたミコトは、費用対効果もコスパも抜群だろう。

 

「ああいうクズが相手なら幾らでも潰してやるよ」

「それは頼もしい」

 

 商売の基本は、敵を作らないことである。

 プレジデントはその点を弁えていた。ミコトを敵にしないという、リスクヘッジである。

 

「……ガソリン、出ると良いな」

「出るまでやるのだ。出ればガソリンの価格にも影響する。そうなれば運送料にも影響し、物価が安くなる。

 そう言った先を見据えるのが、経営というものなのだよ」

「ふーん、それが社会貢献って奴か」

 

 その後、何件かの視察に同行し、ミコトの社会見学は終わった。

 こうしてミコトはこの後も不定期でカイザーの仕事を請け負ったりするようになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




ミコトと言うキャラクターを創造した当初から、絡ませたかったネルやカイザーの仕事を受けていると言ったミコトの伏線の回収でした。

似ているようでスタンスの違うネルとの勝負は、ミコトの青春そのものでしょう。

じゃあそろそろネタ切れですし、次回から二年生編を始めようと思います。
原作時間軸の、前段階といったところでしょうか。フウカやアルを始めとした、原作二年生の生徒も登場しますし、彼女らとの絡みをお楽しみに!!

それでは、また次回!!

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