二週間ぶりです。
リハビリも兼ねてこんな話を書きました。
『代弁者の提言』
それはどこかのイベントか、或いはメインストーリーの一幕。
「おや、先生。いらしたのですか?」
ユエは読んでいた本から顔を上げ、先生の姿を認めてそう言った。
「“何を読んでいるのかな?”」
「ライトノベルです」
先生の問いに、ユエは答えた。
「先生。男性向けの小説と、女性向けの小説の違いがわかりますか?」
彼女は読んでいたライトノベルの表紙を見せた。
その長ったらしいタイトルだけで、主人公が異世界に転生してハーレムを築くものだと理解できる代物だ。
「“求めているモノが違うとか?”」
「いいえ、求めているのは同じですよ。
例えばこの手のライトノベルで読者が求めているのは簡便化された成功体験です。
重厚なストーリーや巧妙な伏線、男女の駆け引きによる恋愛模様。そんなものは求められていないのです。
しかしそれらは男女で違いが出るのです。
例えば男性主人公は、チートを始めとした能力を以って女性の関心を獲得するのです。それに対し、女性主人公はただ運命的な出会いなどを理由に無条件の愛情を相手に求める傾向にあります」
くすくす、と笑うユエの言葉は、まるで自分が好きな本のジャンルについて語っているように思えなかった。
「私はそんな、低俗で下劣で、醜悪な人間を見るのが好きなのです。
だってほら、汚泥に咲くからこそ蓮華の美しさは際立つのですから。
ヒーローが守るべき民衆が俗物で醜ければ醜いほど、それを背に戦うヒーローの強さと精神が引き立つのです」
ヒドイ楽しみ方だ、と先生は思った。
勿論作品の楽しみ方は人それぞれで自由だとは思うが、少なくとも先生は共感できなかった。
「“だから君は、ユエに悪意を煽らせるのかい?”」
「なんのことですか?」
「“私は君と話に来たんだ。──代弁者”」
ああ、とユエは困惑から一転、静かに頷いてライトノベルを開いた。
そして、それを顔の位置へと持っていく。
BGMが変わる。日常から非日常へと。
盤上から、卓上へと視点が変わる。
代弁者が、現れたのだ。
「こうして直接お話しするのは何度目でしょうか。
う、っくくく、ふふふふふふ!!」
顔の見えない生徒が、愉悦を隠し切れないように肩を震わせ笑っている。
「“なにが可笑しいんだ”」
「先生!! こんなたまらない展開に悦ぶなと言う方がおかしいでしょう!?」
彼女は何が可笑しいのか、一人で楽し気にしていた。
「ヒーローモノのコミックで、主人公の正体が周囲にバレるのはお約束でしょうが、知っていますか、先生。
基本的にアメコミの主人公とは、陰キャで平凡な人間が多いのです。
私はそんな彼らがヒーローとしての仮面が剥がれる時こそ、周囲の人間と自分が違うという証明の時に他ならないと思うのです。
先生、貴方は私の正体を暴いたと思っているのでしょうが、それは違います。
──あなたに暴いてもらわねば、私が楽しくなれないではありませんか!!」
つまり、この先生の行動こそ、彼女の掌の上。
自分が楽しくなるための、布石が回収された瞬間であった。
これが楽しくなくて、何なんだと言うのだ。
「“君の悪趣味に付き合う気はないよ”」
「ふふふ、失礼しました。それより、ご用件は?」
「“まず、ユエを解放しろ。彼女は私の生徒だ”」
「嬉しいことを言ってくれますね、先生」
先生の激しい敵意。その感情を堪能するように、彼女は身体を震わせる。
「でも先生。他ならぬあなたはもう分かっているのでは?
月見ユエという生徒は、私の
そうではないほんの僅かな可能性を信じて、そう言ったのでしょう?」
「“私だって、信じたくないよ……”」
「しかし、先生。ある意味ではあなたの言うユエと言う生徒は実在しますよ。
ユエと言う少女は、私としての自覚がない私……。
先生に呼びかけられるまで、ユエは何も知らなかったのです。
最近流行っているゲームの台詞になぞらえて、こう言いましょう。
先生──そんな彼女を、あなたはどうしますか?」
彼女は分かっていて言っているのだ。
先生にはどうにもできない。ユエは無自覚な操り人形に過ぎないのだから。
「そして私も、キヴォトスに存在する数多くのNPCに過ぎません。
私の言動はキヴォトスの結末には影響しませんし、誰かに害悪を与えるつもりもありません。
むしろ、結果的に言うのなら先生の意に沿っている方だと思いますよ。ええ、先生。私は本質的にあなたの協力的なNPCなのですから」
「“君の言う
自分一人が呼吸したからと言って、全体的な二酸化炭素の量は誤差だと言っているようなモノだからだ”」
そして、先生はその
「あ、っはっはっはっは!! それを、あなたが言うのですか!!」
しかしそれは、彼女の笑いのツボを突いた。
「でしたらば、私より説教すべき生徒はもっと多いのでは?
いやはや、私よりもずっと笑えないことをする生徒は幾らでもいるではありませんか」
「“そうかもしれないね。だけど、君の存在を不安に思う理由も分かって欲しいな”」
基本的に彼女は、ぎりぎりのラインを弁えている。
やらかし具合ならそれを軽く超える生徒を、先生は両手の指の数以上に挙げることができるだろう。
だが、それは話の論点ではない。
「先生。仰ることは理解できます。
ですが、私はキヴォトスのルールの範疇で行動しています」
「“ルール? キヴォトスの法を逸脱していないと言いたいの?”」
「先生も感じてはおりませんか?
この学園都市という世界を覆う天蓋の
彼女は片手でライトノベルを持って、五本の指を示した。
「一つ目。生徒達の明確な死を描写してはならない」
彼女は親指を折って、ルールを示した。
「この世界で生徒達は学園生活を送る無垢なる存在です。
彼らの青春を、死という陰惨な色で染めてはいけないのです」
次に彼女は、人差し指を前に折った。
「二つ目。生徒達の青春を演出さえすれば、細かい過程は省略される」
これには、彼女も溜め息を吐いた。
「個人的には非常に遺憾なルールですが、私もこの場に居る身ですのでそれに従わざるをえません」
彼女は不本意そうにそう言った。
「例えば先生、貴方はミレニアムでゲーム開発部と共に、“鏡”というツールをセミナーから奪取しましたね」
「“それがどうかしたの?”」
「解釈違いだと言っているのです」
半ギレだった。思わず先生がたじろいだ。
「あの時点でゲーム開発部は正式な部活としてセミナーに登録されていたのですよ?
セミナーがゲーム開発部の面々のミレニアムプライス出品に対してペナルティを与えることぐらい、考えなかったのですか?」
「“でも、あれは結局リオ達の思惑があったんだよね?”」
「そうですね。つまりリオ会長達は先生、貴方がセミナー襲撃をモモイ達に言い聞かせて止めることを想定しないようなマヌケだったのですね」
キライなタイプのシナリオの都合です、と彼女は吐き捨てた。
「それはつまり、三つ目のルール。生徒達に根本的な問題解決をさせてはならない」
彼女は中指を折って、先生に言った。
「先生。私はそのルールに従っているだけです。
むしろ問題を軟着陸させようと、いろいろ手を尽くしている方だと思っていますよ?」
「“それは、ミコトを操ってかい?”」
「先生。ミコトをこの世界の生徒達と一緒にしてはいけません」
ふふふ、と彼女は顔に本を押し付けて笑いをこらえた。
「ミコトは、私だけのメアリー・スー。
彼女だけは例外です。ミコトだけは、問題解決能力を有している。
勿論、彼女はその自覚なんて無いでしょうが」
「“……君とミコトは、どういう関係なんだい?”」
「先生、以前私に目的を尋ねましたね?
なんでこんなことをするのか、と。私はこう答えたはずです」
彼女は本の下側から唇を見せてこう言った。
「 ひ ま つ ぶ し 」
それ以上でも、それ以下でも無かった。
「私の望みは、ミコトが楽しんでいるのをすぐ傍で見ていることだけ。
それだけをずっと、ずっと、ずーっとずっと、キヴォトスに来るよりも前からずっと、ただそれだけをしてきました。
そして、それよりも前からずっと、ミコトの目的もただひとつでした」
「“最強を証明すること……”」
「ええ、どんな場所、どんな世界、どんなルールだろうと、自分は最強なのだと。
そんな単純なことを、気の遠くなるほどずっと続けてきたのが我々なのです」
主体はあくまでミコトで、彼女は一歩引いて見ているだけ。
そして当人は、彼女の知る全てを忘れて無邪気に生徒として過ごしている。
「先生、ミコトの操縦は意外と大変なんですよ」
そして彼女は薬指を折った。
「四つ目のルール。生徒に不可逆的かつ決定的な悪役を課してはならない」
或いはそれは、彼女の言う一つ目のルールと同じことかもしれなかった。
「分かっていると思いますが、先生。ミコトには殺人に対する忌避感なんてものはありません。
死神の異名は、冗談でも何でもありません。ミコトはキヴォトスで新しい遊びに興じているだけなのですから。
私はこれでもこの世界の方々に十分に気を使っていますし、よくミコトを止めていると褒められてもいいくらいなんですよ」
実際その通りなんだろう、と先生は思った。
先生はミコトが過剰な暴力を加えようとしている場面を何度か目撃している。
彼女の気遣いが無ければ、死神の異名にキルスコアが記されていたことだろう。
「まあ、生徒達以外の住人にも課せられているルールもありますが、それは置いておくとしましょう。
とにかく、少なくとも私はキヴォトスという場所にとってはルールを順守する優良市民の筈ですよ。そこから逸脱するつもりは欠片もありませんし、私自身もそこそこ楽しんでいますから」
私達はエイリアンではありませんからね、と彼女は肩を竦めてそう言った。
「“……五つ目のルールは?”」
「おや、それは先生の方がよく御存じでは?」
彼女の口元が、不敵に笑ってそう言った。
「私達は私達で楽しんでいますので、先生もそうなさればいいのです。
私も、何も知らない私に戻りますので」
「“……わかったよ。君は私の
「先生がキヴォトスにいらしてから、一秒たりともそうでなかった時間は無かったはずですよ。
それを言い出したら先生、アリスはどうなるのですか?
彼女は生物ではありませんし、そもそも女性として定義できるのですか?」
「“アリスは生きているし、可愛い女の子だし、私の生徒だと言うことに変わらないよ”」
先生は真顔でそう断言した。
「ええ、先生。所詮自己の定義とは、周囲との比較によって成されるのです。
アリスを魔王だと周囲が思えばそうなりますし、ただの生徒だと思われているからそのように扱われている。そこに違いなどありはしません」
あえて先生を挑発するような物言いをしたが、彼女もアリスの扱いには異論が無いようだった。
「だから先生。私もまた、ユエとして先生の全てを受け入れますよ?
先生が望むならどのような妄想の捌け口としても構いませんよ♪」
「“遠慮しておくよ……”」
「おやおや、そこは先生として生徒を諫めるべきところですよ?
ああ、そうだ。合言葉を教えておきましょう。その言葉を口にしたとき、再び相まみえましょう、先生」
それでは、と彼女はライトノベルを下ろした。
BGMが戻る。日常が戻って来る。
ユエは数秒を呆けると、すぐにいつもの微笑みを湛えた。
「先生も読みますか? おススメは沢山ありますけど」
「“……うん、教えて欲しいな”」
本当にユエは何も知らない。スイッチを切り替えるように、自分が何者かを忘れている。
代弁者は先生の生徒として、正しく振舞っている。
その言動に嘘は一つもなかった。
それでも、先生は胸中に発生したもやもやを言語化する方法を持たなかったのだった。
『時計じかけの花のパヴァーヌ・二章:アリスの死神』
22:女王のためのパヴァーヌ
ネルの奮闘によって、辛くもトキを倒した一行。
ミレニアムの生徒達が繋いできたバトンを受け取り、先生とゲーム開発部の一行はアリスを救い出すためにエリドゥ中央タワーへと向かう。
そうして、彼女達は最上階へと辿り着いた。
「ここが、エリドゥ中央タワーの最上階……」
偉い人は大体高いところにいるものだ。
ミドリはアリスを連れ去ったリオとの再会を予感していた。
それを感じ取ったユズが緊張から唾を飲んだ。
『地図によると、ここのどこかにアリスが居る筈だよ』
一行をナビゲートしていたチヒロがそう言うと。
「そう、アリスならここにいるわ」
無数のモニターの明かりに照らされた室内の暗がりから、リオが現れる。
「会長!!」
「……!!」
「まだ戦うつもり!?」
モモイが彼女に銃を向ける。
「いいえ、トキが倒れた時点で、私が持っている手札はすべて消えた」
リオは目を伏せ、達観したようにそう言った。
「……ええ、だからこそ、こんな大げさな場所を作らざるを得なかった。
ごめんなさい。本当ならあなたにこうして迷惑をかけるつもりはなかったのよ」
急な謝罪に、四人は困惑した。
「今更謝ったって許さな──」
???
──────────―
……よぉ
空気が、変わった。
足音が聞こえる。
死神だ。死神の足音だった。
『あ、あなたは!!』
ヒマリの動揺する声が聞こえた。
「“……ミコト!!”」
「お前らインテリどもにしちゃ、いい喧嘩じゃねぇか」
ミコトはモモイ達の脇を通り過ぎて、リオの方に立つと、その後ろにあるテーブルに腰かけた。
「俺も混ぜろよ」
「な、なんで、ゲヘナの生徒がここに!?」
「別に不思議な事なんざねえよ。俺とリオは
ここに来て、リオは最強のジョーカーをオープンした。
ここまでの彼女達の努力を全てひっくり返す、反則すれすれのハメ技だ。
「そもそも、リオがどうやってアリスをぶっ壊すと思う?
──俺だよ。リオの頭脳が導き出した最適解、合理的な判断ってやつだ」
そう、ミコトは死刑の執行人。
アリスの抹殺が、彼女の役目だった。
「俺の存在は予想外だったろ、ヒマリ?
俺はアナログだからな。お前じゃ俺の存在を感知できなかったはずだ。すげえだろ、忍術ってのは」
『こんなところで、テクノロジーが敗北するなんて……』
選択肢として、リオがミコトに頼るパターンは当然計算に入れていた。
だが、その痕跡が皆無だった。だからヒマリはその可能性を無意識に排除していた。
だが、ミコトは現れた。
初めからリオの計画の一部として。
「本当なら、あなたの手を借りたくはなかったわ……」
「水臭いこと言うなよ。お前が正しいって思ったってことは、正しいんだろうよ。
俺を裁ける奴はいない。俺がやるのが一番あと腐れがないしな」
友人を巻き込んだ悔恨をにじませるリオに、ミコトはいつもと変わらないからッとした笑みでそう言った。
「つーわけだ。文句があるなら銃弾で語れや」
リオから、モモイ達に彼女はその笑みを向けた。
「そんな、ここまで、ここまで来て!!」
「こんなのズルだよ、チートだよチート!!」
ミドリとモモイの言葉を、ミコトは欠伸をしながら聞き流した。
ここに居る三人をまるで脅威と見なしていなかったのである。
「“ミコト、本当にアリスを殺す気なの?”」
怯えているユズの前に立って、先生は問うた。
「先生。あんたらはアリスを信じた。
俺はリオを信じた。ただそれだけのことだろうが。
それによ、俺はこう思うんだよ」
ミコトは隣に設けられたアリスの死刑執行部屋に視線を向ける。
「アリスってのは生きてるのか?
人間の振りをした、人間モドキ。それをぶっ壊すだけじゃねぇか」
「何を言っているの、アリスの悪口は許さないよ!!」
「単純な話だ。生きようとしない奴に、命なんてもんは無ぇってことだ」
どのような理由が有っても、アリスは自分の意志でここに来ている。
ミコトはそれを指摘しているのだ。
「てめぇを貫き通せない奴は、勇者でも魔王でもねぇ。
ただのお喋り人型ロボットじゃねえか。それでお前らが満足するなら、リオ。お前が代わりを作ってやれば解決じゃねえか」
「そんな単純な話だとは思わないけれど……」
「いいや、単純な話だろ」
ミコトは簡単な風に言った。
「アリスのヤバい機能は間違いなく俺がぶっ壊してやる。
その残骸から、アリスのデータをサルベージしてやれよ。それがお前のケジメだろうが」
「“ミコト、君は……”」
「なんでお前ら、アリスとなんかヤバい兵器を一緒くたにしてんだ?
とりあえず、頭をぶっこわさなきゃ何とかなるよな」
リオやヒマリにとって、アリス=兵器なのだ。そこは切り離せない問題だった。
だが、ミコトにとってはアリスは必要のない部分だ。
兵器の部分を破壊したら、残りは要らないと言っている。
「ミコト、あなたも分かっている筈でしょう?
頭部だけでも残せば、何が起こるか分からないわ」
「だが弱体化はするはずだろうが。こいつらからオモチャを取り上げたお前が、それを何とかするのが筋だろうがよ」
「……」
リオは黙り込んだ。言い負かされたというより、呆れて言い返すのが非合理的だと判断したのだ。
「また、こうなったわね……」
これまでも数多の無茶振りをされたことを伺わせる、リオの万感の籠った言葉がそれだった。
「ヒマリ、てめぇもそれで良いよな?」
『本当に……いつもあなたは自由で羨ましいですよ』
「だったらいつまでも車椅子で病弱ごっこしてんじゃねえよ」
リハビリしろやボケ、とミコトは吐き捨てた。
「リオ、アリスを起こせ。生きてない奴は殺せねぇ」
「……それは私の役目ではないようよ」
「だな。行けよ、お前ら。アリスは隣の電気室にいる」
ミコトが顎をしゃくると、モモイ達は二人を警戒するように見ながら隣の部屋に向かった。
「“魔弾”を持ってきているわね?」
「おう。ちゃんとラベルを張って間違いないようにしてるぜ」
ミコトは銃弾の詰まったマガジンを取り出した。
それはかつて、“普通の弾丸”と称された異常にして普通の銃弾だった。
これをアリスのコアに撃ち込む。それがミコトの処刑方法だった。
「楽しみだぜ。キヴォトスの終焉ってのを早く巻き起こしてくれねぇかな!!」
「お願いだから、そうなる前に破壊して頂戴……」
ウキウキしているミコトに、リオは溜め息を吐いた。
その後、keyが目覚めてテンション上がったミコトだったが、寸前でお預けを食らって不満そうにしていた。
「なんだ、ちゃんと生きてるじゃねえか」
アリスと抱き合う三人を見て、ミコトはそうぼやいた。
「萎えたわ。首を切り落とす気も失せた」
「ミコト、私は……」
「逃げんのか? お前もお前でケジメ付けろや」
リオの進退など興味も無さそうに、ミコトは投げやりにそう言った。
だが、その視線はしっかりとリオに向けられていた。
「……そうね」
「んじゃ、俺は帰るわ」
ミコトは踵を返す。廊下からユエが現われ、彼女と合流する。
「ミコトでも、キヴォトスの五つ目のルールの前には手出しできなかったみたいね」
「なんだそれ」
「五つ目のルール。それはね」
ユエは室内を覗き込み、こう言った。
「友情と青春の輝きこそが、何物にも勝る奇跡だと言うことよ」
パヴァーヌのミコト登場は一話かけるボリュームじゃなかったので、書きたい話と一緒に書いてみました。
いやね、風邪が長引いたり喘息がぶり返したり、色々と最悪でした。しばらく執筆する意欲が湧かなかったです。返信とか遅くなってすみません。
次回は、いよいよホシノとの決闘にしようと思っています。
ではまた!!