ほう、ゲマトリア所属シャーレ裏切り系生徒ですか……   作:くしゃ

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即席で用意した絆のやつ


絆1

先生が今日の仕事を終えて、オフィスを出てしばらく……

もう日が落ちてしばらく。

部屋は明かりが落とされているから、廊下はなんだか薄暗い。

そんな中を歩いてしばらくして。

 

食堂の前に差し掛かった先生は、なにやら食欲をそそる香りがしていることに気づいた。

食堂に明かりはないけれど、どうやらキッチンが使われているらしい。

 

 

先生が中を覗くと、そこには、鍋の前でいわゆる考える人のポーズをしている生徒がいた。

丸いスツールに尻をのせて、なにを行うでもなく、ただ鍋を見ている……

そばにはどんぶりと、なにやらスープの素らしい小袋がおいてある。

 

「こんばんは、ツネ。」

 

そう先生が言葉を発すると、赤坂ツネは数秒ほどしてから、「はい、こんばんは。」といった。

鍋をじっとみたままだった。

 

「……どうしたの?」

 

「鍋の火を見ています。

よりいうなら、麺を茹でています。

おなかがすいたので。」

 

 

そのとき、彼女は鍋のほうを向いたまま、ハッとした表情になり、こちらに視線を向けた。

 

「先生、おなかがすいたんですか?」

 

「う、うん……

ちょっと疲れたからね。」

 

「なるほど。

こんなこともあろうかと、余分に多めの分量を茹でています。

まさか功を奏するとは思いませんでしたが。」

 

 

彼女は鍋に視線を戻して、ポーズを崩した。

そのとき、「むっ!」と声が漏れたのを先生は聞いた。

 

けれど即座に、彼女は平静を装った声色で、「先生は、しょうゆ味が苦手などありますか。ないようでしたら、そのまま出しますが。」という。

 

けれど、そこまでいってからも、彼女はポーズを半端に崩したまま、微動だにしない……

そばに置かれた粉末スープに、指を伸ばそうともしていない。

 

 

「えっと、ツネ……

私があとはやろうか?」

 

「いえ。

まったく、問題ありません。

いえ、今は少々問題ありますが、ちょっと、すれば……

しびれもおさまるので。」

 

 

そういって、彼女はわずかに身じろぎした。

「むっ……!」

どうやら、まだしびれているらしかった。

けれど、ぷるぷると足を震わせている……

 

 

先生は、すっとそばによって、粉末スープをどんぶりにいれ、鍋を持ち菜箸で麺を抑えながら、茹で汁を注いだ。

慣れた手つき、流れるような動きであった。

 

そして「麺は半分こでいい?」という。

赤坂ツネは不承不承といった声色で、「はい」といった。

わずかに耳が赤らんでいた……

 

 

 

そしてふたりはラーメンを食べた。

ツネは冷蔵庫から、いつも使っているらしいトッピングを分けてくれた。

長ネギ、ミョウガ、大葉を千切りにしたソレは、良い香りがした……

そして、なんだかちょっと小腹が空いたままらしい彼女に、今度なにか付け合わせを用意してあげようと思う先生であった。

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