転生勇者の三軒隣んちの俺   作:@aozora

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第105話 村人転生者、森のお家を作る

おっしゃ~、完成!!

マルセル村に帰村してから一カ月、時間を作っては御神木様の所に通い作り続けて来たものがようやく完成いたしました。ブー太郎のお家、ケビン特製ログハウスでございます。

 

うん、俺頑張った。

御神木様にこれから近くにブー太郎が住む事と肥料のお世話をブー太郎が行う事を報告、家の建設場所と畑の開墾場所の許可を頂き、樹木の伐採と根っこの掘り出しを行ってからの作業となりました。

整地作業に関しては緑と黄色にお任せ、ついでに畑の整備も行って貰う事に。ブー太郎にはログハウス完成までは土属性生活魔法ブロックと魔力操作のごり押しで作った所謂豆腐ハウスに住んでいただき、緑と黄色から畑仕事の指導を受けて貰いました。

 

ワームプールですか?無論作りましたとも。こっちも土属性生活魔法ブロックと魔力操作のごり押し、コンクリート打ちっぱなし製法でございます。ちゃんと水抜き穴も付けてあるから機能的には何の問題も無し、使用者がブー太郎なので普段の物よりも大きく作ってあります。

 

それでログハウスの材料の材木なんですが、イザベルさん曰く大森林中層部の方がまっすぐで腐食に強い樹木があるとの事なのでそちらの物を採用いたしました。

イザベルさんって森の花園の所にあった大賢者様のご自宅で育った為か大森林について結構御詳しかったりします。

 

因みにこの森のどこかにガラスの原材料になる砂ってありますって聞いたら、“ガラスなら少し大きめの街に行けばガラス屋があるからそこで買ったら?”って言われちゃいました。ガラス自体はそれなりに流通しているらしいです。

ただそれ程透明度は高くないのとそれなりにお値段がするので、一般の家ではあまりガラス窓を備えたところは多くないとの事、生産は南部の海に面した国で行われているそうです。

ケイ素が~、石英が~!!ガラス窓のあるお宅ってマルセル村だと村長の家ぐらいなんだよな~。今度ドレイク村長代理に提案して、儲かったお金で各家にガラス窓を導入して貰おう。

因みに川はあると、川砂は?あると。・・・強引に溶かせばワンチャン行ける?そう言えばマルガス村の先にも川があるって話しだったよな、確か川砂でもガラス質の物質が含まれているって話しがあった様な、・・・今度実験してみよう。

 

で、大森林中層部に行くついでにイザベルさんを森の花園にお送りいたしました。

 

“あら、ケビン君じゃない、相変わらず気配を消すのが上手いわね。私の作った蜂による警戒網が全く役に立たない相手ってあなたくらいですからね?それで今日はどうしたのかしら?”

花園の主シルビアさん、すっかり蜂の操作をマスターされた様です。流石大賢者、半端ないわ~。

「えっと今日はですね、シルビアさんにお会いしたいと言う方がおられましてお連れいたしました」

 

“ん?私に?まぁケビン君の紹介ならやたらな人物ではないと思うけど、その人も気配を消すのが上手いのかしら?どこにも姿が見えないんだけど。”

「あぁ、ちょっとここの結界がどう作用するのか分からなかったんで、こちらの指輪に入って貰っていたんですよ。それじゃご紹介いたしますね、<オープン>」

 

指輪から照らし出された光が形を作り出す。光が収まった時そこに現れたのは闇夜の様な漆黒のローブを身に纏った一人の女性。長く美しい髪を垂らした背後の風景が透けて見える彼女は、花園の主を前に涙を浮かべ声を漏らす。

 

“シルビア師匠、お会いしたかった。この様な形ですが、お会いできて本当に良かった。私は、私は・・・”

 

“えっ?イザベル?イザベルなの?あなた勇者と一緒に旅立って、それで私のお墓と花園の結界を作ってくれて・・・。えっ、いやっ、何でここにイザベルが?ケビン君、これは一体?”

 

「いや~、まぁ驚くのは分かりますけど、今はそれよりも再会を喜んであげたらいかがですか?イザベルさん、シルビアさんに相当会いたがっていたみたいですし」

俺はそう言い視線を向ける。その先には自分を受け入れてもらえるか不安そうな瞳でシルビアさんの様子を窺う、イザベルさんの姿。

 

“ふ~っ、本当にこの子は、大きくなってもそんなところが全く変わらないんだから。イザベル、お帰りなさい、よく帰って来てくれたわね”

そう言い両の手を広げニッコリと微笑むシルビアさん。

 

”う、う、う、う、う、おが~ざ~ん、会だがっだよ~。”

大きな声で泣き叫びながらシルビアさんに抱き付くイザベルさん。大森林の秘密の花園に吹く爽やかな風は、そんな二人を優しく包み込むのでした。

 

ってな感じの感動のドラマがですね?いや~、あれは大変だったな~。イザベルさん、話しが長い長い。数十年分の話しを語る語る。(わたくし)、気配を消してそっと離脱させて頂きました。後は親子水入らずでって奴ですね。

なぜかシルビアさんが“ケビン、どこに行った、逃げるな~!!”とか仰っていましたが、多分気のせいでしょう。

シルビアさん大丈夫ですって、昔から言うじゃないですか、“お化けは死なない~♪”って。聞いた話では病気も何にもないらしいですよ?

 

てな感じで無事にイザベルさんの送迎任務を完遂した俺は、予め教わっていた材木の伐採地に赴き、いい感じの樹木をバッサバッサと切っては倒れる前に収納すると言う作業を繰り返しまして。

どうやって切ったのか?マイスコップに魔力を纏わせた後、そこから巨大な剣身が伸びてるようにイメージして横に振るだけでございます。全く抵抗なし、目茶苦茶切れ味がいいって言うね。

これってスコップで魔力が強化されてるよね?大した魔力込めてないのにこの切れ味って異常だよね?御神木様の枝半端ない、エミリーちゃんがオークソルジャーを一撃で仕留めたのにも納得です。

うん、あの子たちにはいずれ魔力枯渇状態での戦闘も覚えて貰おう、じゃないと模擬戦の相手を殺しかねん。

 

“ブブブブブブ”

俺がそんな事を考えながら伐採作業に励んでいると森の奥から大きな羽音を立てたキラービーの一団が、ってもしかして何時かの隊長さんじゃないですか、お久し振りです。

 

“ブブブッブブッ”

「えっ?干し肉と蜂蜜を交換して欲しい?それは構いませんけど、それって定期的に欲しかったりします?」

 

“ブブブッブブッブブブブ”

「あ~、それだったら今度御神木様の所にブー太郎って名前のオークが住み着くんで、ソイツの所に預けておきますよ。ご紹介しますんで、良かったら一緒に行きません?」

 

“ブブブブブブ“

すると俺の頭にライドオンする隊長さん。他の蜂たちは一匹を残し森に帰って行きました。

 

「それじゃ出発しますんで、迷わず付いて来てください」

頭にキラービーを乗せ疾走する魔物騎乗用生物ケビン、なんかこう言う扱いにすっかり慣れ始めた自分に深いため息を吐くケビン少年なのでありました。

 

「お~い、ブー太郎、畑仕事頑張ってる~?」

 

“ブヒッ!?フゴフゴ!”

お~、ブー太郎焦ってる焦ってる、そりゃ焦るよね、頭にキラービーを乗せて近付いてくる人間がいたら。俺だってドン引きすると思うもん、後ろに一匹飛んでるしね。

 

「ブー太郎、紹介するわ。こちら隊長さん、これから時々蜂蜜を持ってここに来るからビッグワーム干し肉を渡して貰える?この黒い袋に詰めてくれればいいから。

隊長さん、この干し肉の方でしたら日持ちするんでこちらで交換出来る様にしておきます。以前に渡した一夜干しの方は流石に俺がいないと難しいですが、そのうち交換出来る様に整えておきますんでそれまでお待ちください」

 

“ブブブブブブ”

俺がそう言うと隊長さん方はビッグワーム干し肉を詰めた黒いエコバッグを抱えながら、嬉しそうに森へと帰って行くのでした。

 

“ブヒッ、フゴフゴブヒッ”

「旦那、勘弁してくださいってそんな事言うなよ~。ブー太郎には森のお店屋さんをしてもらうんだから。

この前紹介したジャイアントフォレストビーのB子さんっていただろ?彼女も蜂蜜持って来てくれるから、その時はローポーション芋汁を渡してあげて欲しいんだよね。

こっちもあんまり日持ちしないから基本俺がいるときだけにはなると思うんだけど、今度作り方を教えるから。いずれブー太郎にはここで作った野菜でローポーション芋汁を作ったり、ビッグワーム干し肉を作ったりして欲しい訳なんですよ」

 

“フゴフゴブヒ、フゴフゴ”

「もっとのんびりゆったり生活でいいんですが、って少しは働きなさい。後魔力の使い方も覚えてもらうから、この辺の冬は寒いからこれを覚えてないときついよ~」

 

“フゴ、フゴフゴ”

「ダラダラゴロゴロ生活したいって、お前は何処の引き籠りだ、頑張れ野生動物」

 

まぁそんなこんながありまして、何とかブー太郎君の生活基盤の準備を進めて行ったと言う訳でございます。

 

太い材木により組み上げられた大きなログハウス。大柄なオークが住み着いても全く支障の無い丈夫な造り、こんなの建機が無かったら絶対に作れないじゃんって言う常識を打ち破るのが魔力の触腕技術。頑張ったな~、俺。

中はシンプルに寝室と居間の二部屋、煉瓦製の流し台や竈も完備、暖炉だって付いてます。テーブルは一枚板の長テーブル、椅子は丸太を切って作った丸椅子、丈夫さを最優先いたしました。寝室にベッドはまだございませんが、ホーンラビットの毛皮を敷き詰めさせていただきました。

窓は基本木戸ですね、でもそれだと暗いので贅沢にキャタピラー繊維の攻撃糸製の布を張り付けたなんちゃって障子を採用、昼間はそれなりに明るい室内になる様に工夫させていただいております。

屋根には平板を敷き詰めその上から粘土を塗り付けて土属性生活魔法ブロックで固定、さらに緑と黄色に作って貰ったなんちゃって瓦を敷き詰めブロック魔法で固定してございます。

 

「うん、立派だわ。新築云々抜きにしても住み心地良さそう。御神木様いかがですかね?」

”ワサワサワサ”

御神木様から“森と調和していて中々良い”と、お褒めの言葉を頂きました。

 

ログハウス脇の畑も緑と黄色の指導のお陰で立派に葉を茂らせた癒し草にデーコンとカブラとマッシュ、ワームプールの中にももぞもぞとビッグワームが蠢いております。

ログハウスの隣には作業小屋が作られており、ビッグワーム干し肉を作ったり農具の手入れをしたり出来る様にしておきました。

 

「ってこんな文明的な暮らしをしているオークなんているの?確かオークって集落を作って生活してるんだよね?」

 

”フゴ、フゴフゴ”

「えっ?いるの?って言うか石造りの家に住んでるの?凄いね、オークって石工がいるんだ。鍛冶師もいるの?と言うか神様から与えられる職業ってないよね?普通に仕事として覚えるんだ。マジか、既に文明的生物じゃん、人族と切り離したら全く異なる文化体系を築きそうじゃん」

 

”フゴ、フゴブヒー”

「でもそう言うオークは周りから下に見られてるんだ、狩りに行けない弱いオークって扱いなんだ。勿体無い、そのおバカな思考がある限りオーク族が覇権を握る日は来そうにないね」

異種族の魔物オーク、その意外なほどの文明レベルの高さを知り、戦慄を覚えるケビン少年なのでありました。




本日一話目です。
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