転生勇者の三軒隣んちの俺   作:@aozora

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第664話 辺境男爵、女神様の使者とお話しする (3)

「では私は急ぎ戻って詳しい調査を始めます。事と場合によっては大きな事態に発展する可能性が高いです、$$%&もそのつもりでいてください」

 

出来る人物は判断と行動が早い。即断即決、今できる事は何か、次に繋げる為には何をしなければならないのか。

大きく物事を捉え最悪の事態を想定し準備を怠らない。

天上界のパワハラ問題を改善し、ブラック体質により苦しめられていたあなた様のような社畜天使を救済していった手腕は最早伝説。きっとアルバに関わる諸問題も解決に導いて下さる事でしょう。

俺は送還され天上界に戻っていく本部長様を感謝の気持ちで見送ると、一連の騒動に一応のケリがついたとホッと胸を撫で“イヤイヤイヤ、なに全てが終わったって雰囲気を醸し出しちゃってるのかな? 肝心な事は何も解決してないからね?”・・・。

 

あなた様が何か不思議なことを仰って“だ~か~ら~、ちゃんと言葉にしてしゃべりなさい、ちゃんと言葉にして”・・・あなた様も随分前から念話になっちゃってますよ? 潜入調査任務の場合、声に出して話さないといけないんじゃないんですか?

 

「ガ~~~、ああ言えばこう言う。すぐ人の上げ足を取って~~!!

まぁいいわ、取り敢えずアルバ君のステータス詳細を見ていくわよ、それが終わったらケビンの番だから、逃がさないからね!!」

 

ウゲッ、やっぱりそうなったよ、だから嫌だったんだよ。俺はステータス確認がうやむやにならなかった事にガックリと肩を落としつつ、アルバのステータス表示に目を向けるのでした。

 

「それじゃ肝心なものから見ていくわよ、<鑑定:人族>」

 

種族詳細

<人族>

唯一無二の者「人」より派生した種族。多くの可能性を秘めた者たち、魔力との親和性が高く、身体能力に優れている。

 

「えっと、要はエルフみたいなものですかね」

「そうね、簡単に言えば生まれながらのマルセル人ね。これからしばらくの観察は必要でしょうけど、特に問題はない・・・のかしら?」

 

う~ん、これって絶対授けの儀で問題になるよな~。まぁ今更か、グルセリアの教会とはこれからも仲良くしていく(キラービーの蜂蜜をお届け)という方向で。

 

「<鑑定:超収納:ステータス統合:伝言(*)>」

 

スキル詳細

<超収納>

一地方全体を収納できるほどの収納量を有する。物体ばかりでなく、魔力や衝撃といった力の収納が可能。時間停止効果あり。

魔力量により収納量の拡大が望める。

 

<ステータス統合>

自身のステータスを自由に区分分けできる。階層により区分されたステータスは詳細人物鑑定でも観測する事が出来ない。

 

<伝言>

覚えておきたい事や伝えたいことを言葉で保存できる。特定の条件での再生可能。

*一件のメッセージあり

 

「・・・あなた様、なんか怪しいメッセージがあるんですけど、これって確認しておいた方がいいですよね」

「そうね、<管理者権限:伝言:再生>」

 

“かつて世界を厄災より救いし英雄よ、生まれ変わり新たなる人生を歩みし若き命よ。

これは嘗てのあなたよりの伝言、あなたの願い。

男爵家に生まれ、片田舎で過ごすあなたの境遇はあなたの望んだ願い、魂の求めし生き方。

身を慎み、穏やかに暮らす事こそあなたの求めし人生。

境遇やスキルに嘆く事なく今を生きなさい。

必要な時はいずれ来ます。あなたは選ばれし者なのだから”

 

「・・・最後の一文、凄い不穏なんですけど? えっと、やらかした中級天使って、アルバの魂に何かさせようとしてました?」

「・・・そうね。ただ魔王デビルトレントの亡骸を封印するだけならこの伝言はいらないし、天使は嘘を付けないって制約があるから最初の伝言は本当に前世のアルバ君が天使に頼んだものなのかもしれないわね。

それとこの伝言から分かる事は、アルバ君に前世の記憶が残ってしまった事は中級天使にとっても想定外だったって事。この伝言の再生も授けの儀の少し前、十歳の誕生日に再生されるように設定されていたわ。

あっ」

 

あなた様とさっきの伝言の事について話をしていると、行き成りあなた様の口から不穏な発言が。“あっ”ってなんですか、“あっ”って。

 

「どうやらさっきの<伝言>に<ステータス統合>が紐づけられていたみたい。新しいステータスを表示するわね」

 

名前:アルバ・ワイルドウッド

年齢:零歳

種族:人族

職業:なし

スキル

田舎暮らし(*) 

魔法適性 風 光 闇

称号 なし

加護 創造神の加護

 

スキル詳細

<田舎暮らし>

・田舎暮らし(魔法)・・・魔力感知 魔力操作 魔力制御 魔力超回復 魔力異常耐性

・田舎暮らし(戦闘)・・・剣術 槍術 体術 身体操作 身体強化 気配察知

・田舎暮らし(生産)・・・毒耐性

・田舎暮らし(生活)・・・算術 交渉術 超収納 ステータス統合 伝言

 

「・・・まぁ<田舎暮らし>は俺も持ってますんで父親譲りって事でいいんですけど、これって通常の詳細人物鑑定じゃ<田舎暮らし(魔法)>みたいに、表面上のお題目しか見えないんですよね? このままだとアルバは自身のスキルも確認出来ないんじゃ」

「そうね、男爵家の生まれで十歳だったらその前に鑑定を受ける事なんてまずないでしょうし、生涯自身の詳しいスキル結果を知らずに過ごしていた可能性は高いわね。

そう考えるとさっきの伝言の内容も違った意味に聞こえるわ。

周囲からの抑圧、唯一の希望は十歳の誕生日に聞こえた神の声。

自身には特別な役割がある、そう思い込むことで何とか生きていくアルバ君。

詳しい事は**#@様の調査の結果待ちだけど、碌でもない事に使われようとしていた事は確かね。

 

これは推測だけど、アルバ君がケビンの子供として生まれる事となったのは完全に想定外だったんじゃないかしら。

**#@様も仰っていたけど貴族社会において王家や上位貴族の抑圧をものともしない男爵家って普通にあり得ないのよ。

現に魔王デビルトレントが討伐されてから約四千年間、アルバ君の魂は天上界に留まり続けた。条件設定が厳しいだけで通常の魂魄漂白済みの魂と同じ場所に保管されていては誰もその異変に気付くことは出来ない。

いざ必要となれば手違いが生じたとでも言って条件を緩和すれば済む、マーキングは当然していたでしょうしね」

 

「あぁ、なるほど。変だとは思ったんですよ、いくら魔王デビルトレントの亡骸処理が面倒とはいえ、こんな手間まで掛けて人の魂に封印するって事自体が。

いつか使うかもしれないストック、分からないように保存するには多くの魂に紛れさせておくに限る。

今回偶然にもその条件がクリアされてしまった。

 

あの、他にないですよね、そんな事例。この後アナスタシアとケイトの出産も控えているんですけど?」

 

「あぁ、うん、そうね。後で**#@様にその点も進言しておくわ。

あ~~~~、これでしばらく残業決定じゃない!! ケビン、埋め合わせはしてもらうからね、連絡入れたら居酒屋ケビンの開店頼んだわよ!! あなたのお店きまぐれ営業過ぎるのよ、毎日営業とは言わないからせめて週三くらいにならないの?」

 

今からこの後の事態収拾に頭を悩ませるあなた様。でもどさくさに紛れて週三営業をねじ込むのは止めてください。俺、これでも忙しいんです。週一営業も難しくてきまぐれ営業になってるくらいなんですから。

俺の思考を読んだのかがっくりと肩を落とされるあなた様。まぁ召喚術の応用であなた様宛の連絡は何時でも出来ますんで、月の営業日スケジュールはお知らせさせていただきますからそれでご容赦を。

俺は色々とお世話になった本部長様とあなた様に感謝の祈りを捧げつつ、アルバの無事な成長を「ちょっと待ちなさい、なにいい感じに事を終わらせようとしてるのよ。ケビンの鑑定がまだ残っているでしょうが」・・・逃げられなかったようでございます。

 

「<管理者権限:ステータスオープン:モニター表示>」

 

“ブオンッ”と音を立て、壁際の中空に表示されていたアルバのステータス画面が俺のステータス画面に切り替わる。

 

名前 ケビン・ワイルドウッド

年齢 十六歳

種族 人(+++)(New)

職業 田舎者(辺境)

スキル

棒 自然人 田舎暮らし(*) 自己診断

魔法適性 無し

 

称号 

辺境の勇者病仮性患者(*)

 

加護

創造神の加護

 

スキル詳細

<田舎暮らし>

・田舎暮らし(魔法)・・・魔力支配、影魔法、全属性魔法、生活魔法、重力魔法、儀式魔法、幻影魔法、神聖魔法(New)

・田舎暮らし(戦闘)・・・刀術、体術、斧術、弓術、槍術、盾術、索敵、身体支配、空走術、ラビット格闘術(奥伝)、空間把握、龍の全身鎧、浮遊、覇王の威圧、根性、ナイフ召喚、大声、引率、夜間自己再生

・田舎暮らし(生産)・・・調薬術、鍛冶、錬金術、魔道具作成、農業全般、ポーション生成、糸生成、糸操作、ダンジョン生成(New) 宝箱生成(New) ダンジョン魔物生成(New)

・田舎暮らし(生活)・・・解体、調理、清掃、建築、生存術、魔物の雇用主、送り(びと)、食いしん坊、模倣、召喚術、結界術、友達生成、自己領域、ポケット収納、聖域生成、広域浄土化、蜂蜜取り名人、仙術、霊体化、名付け、ちょい悪(New)、闇隠れ(New) 超思考(New)

 

称号詳細

<辺境の勇者病仮性患者>

魔物の親友 食のチャレンジャー 通貨を創りし者 新薬を創りし者 生活魔法を創りし者 魔力を理解せし者 小さな賢者 大森林の住人 導く者 進化を促せし者 呪いを解きし者 厄災の討伐者 発明家 魔物を飼育せし者 辺境の隠者 森の聖者 闇に潜む者 交渉人 魂の救済者 干し肉の勇者 風神速脚 鉄壁の門番 魔境を訪れし者 恐怖を乗り越えし者 ダンジョンマスターの友 ダンジョンの盟友 天然の魔王 影の英雄 魔境の深淵に至りし者 特殊進化魔物を造りし者 聖域を造りし者 召喚術を創りし者 堕天を食い止めし者 ドラゴン亜種との契約者 精霊女王との契約者 神聖樹との契約者 神性存在を誕生させし者 ダンジョンとの契約者 伝説級装備の製作者 聖人 救世主 傍観者 聖霊樹に名を付けし者 万軍の防壁 兎仙人の友 勇者を導きし者 フェンリル種との契約者 天魔神鳥との契約者 天界に届きし者 大特異点 女神の注目 増殖の魔王討伐者 冥府の使者 世界樹に名を付けし者 理不尽 混沌の魔王 疑似神気を作り出せし者 寄生の魔王討伐者 統治の魔王を救いし者 不可逆を覆せし亜神 天界の監査役 女神の感謝 ダンジョンを従わせし者(New) 魔王カオス(New) 人造天使を従えし者(New) 禁足地の主(New) 勇者を救済せし者(New) 変身ヒーロー(New) 上級天使を土下座させし者(New) 神聖器の契約者(New)

 

「・・・もう嫌、帰りたい。お家でおちゃけ飲みちゃい」

あなた様が遂に幼児退行なさってしまわれました。まぁ原因は幾つか。

<ダンジョン生成・宝箱生成・ダンジョン魔物生成>、これってダンジョンコアじゃん。スキル十分の一の法則どうなったと聞きたい、凄く聞きたい。おそらく造れるダンジョンの規模や宝箱の内容、作り出せるダンジョン魔物の種類が十分の一なんだろうな~。つまり残念ダンジョン、嘗てのゴブリンダンジョンですね、分かります。

でもな~、ダンジョン生成って魔力依存なんだよな~。やろうと思えば結構なものが作れる?

種族特性的に習得できなかったはずのものがヒュンゲルさんと長期雇用契約を結んだことで可能になったんだろうね、きっと。

ダンジョンに縛られないダンジョンコアっていう新しいジャンルを確立しちゃったもんな、ヒュンゲルさん。

 

<ちょい悪・闇隠れ・超思考>は、プリティーホーンラビットのボタンたちの<魅了>や<魅惑>、ナイトビッグクロークイーンのオババの<闇鴉>、トライデントの<解析演算・模倣学習>の下位スキルなんだろうな。

でもな~、トライデント、エンジェルリビングドールだったんだよな~。スキルにしっかり<神聖魔法>がですね。

魔力支配を持つ(わたくし)、ちょっとでも使えればマスターできちゃうっていうね。

でも普通は無理なんだけどね、人族じゃ神気持ってないし。神聖魔法って神気を扱う魔法だし。

 

(わたくし)、疑似神気が作れます。で、条件が揃っちゃったと。

多分これって黒鴉と合体したときにだけ使える魔法だったんじゃないかな? 条件付きっていう意味で(*)が付いてたとか。

そう言えば本部長様が大暴走したときもやけにスムーズに神気吸収が出来てたんだけど、それって<神聖魔法>のお陰? これが無かったらとっくに死んでたとか?

うん、後でトライデントにはよく礼を言っておこう。

 

俺がスキルについて思いを馳せている最中も、一人現実逃避を続けるあなた様。

“これってなんて報告したらいいのよ、前代未聞過ぎるんですけど~~~~!!”って思念を暴走されてもしらんがな。

俺はそろそろ現実時間に帰りたいなと思いつつ、尽きる事を知らないあなた様の愚痴を延々聞かされ続けるのでした。

 




本日二話目です。
いってらっしゃい。
by@aozora
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