特撮系魔法少女・モモ   作:緋海

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リハビリなので視点が一人称とか三人称とかブレるけどリハビリなので許して(リハビリは免罪符ではない)


休日、そして変化。

日曜の昼、トウカは近くのショッピングモールまで来ていた。

 

理由は年相応に、友人と、ルイと遊ぶためだった。

邪魔は日曜やトウカが学業に勤しんでいる時には何故か暴れない。

一か月の戦いでトウカは知っていた。

 

()()()()()()()()

 

それはともかく、トウカは身と心を癒すため、ルイと遊ぶことに決めていた。

ベンチで待つこと数分、目的の人物がトウカの元へ小走りで向かってきた。

 

 

「はぁ、はぁ……ご、ごめんトウカちゃん!遅れちゃった!」

 

「ううん、大丈夫!まだ約束の時間までまだまだあるし」

 

「そ、そう?トウカちゃんはいつも早いね……」

 

「待たせるの嫌いだからね!えへん!」

 

 

トウカは胸を張ってそう答える。

彼女は動きやすい短パンジーンズに、少し薄めのパーカーの恰好をしていた。

 

 

「そっか。凄いね、トウカちゃんは」

 

「……そんなことないよ!それよりルイルイ、今日もまたかわいいね!」

 

「えへへ、そう?やった……!」

 

 

ルイは頬を赤らめ、まるで恋する乙女のような様相で、嬉しそうに笑う。

そんなルイはワンピースを着て、小さな鞄を持ち、そしてトウカと違い、気合の入っていたメイクをしていた。

トウカは純粋な想いで数多に褒めた後、よしっと息を零しながら立ち上がり。

 

 

「それじゃあ、ちょっと早いけどいこっか!」

 

 

とルイの手を引いた。

 

 

「う、うん!えへへ……」

 

 

ルイは握られた手を強く握り返した。

そして二人は、歩き出す。

 

 

 

最初に二人が向かった場所は、ゲームセンターだった。

人が多い場所に機械の騒めきが混じり、ショッピングモールで一番騒がしい場所。

そこでトウカとルイは、様々なゲームを遊びに遊んでいた。

 

 

「うーんっと……もう少し右?」

 

「あと一センチかな?」

 

「分かった……よしっ、いけ!」

 

 

トウカがボタンを押して、目標に三つの爪を降ろし、食い込ませ、二人は顔を喜びに染める……が。

 

 

「あっ……」

 

 

するりとすり抜け、目標――クマのぬいぐるみは、少しも動かなかった。

トウカはあれ?と首を傾げ、ルイはあちゃーと理解した顔をしていた。

 

 

「確率機だったみたいだね……」

 

「かくりつき?」

 

「アームの強さがランダムで変わるの。何度かすれば一番強くなるんだけど……」

 

「それって技術関係ないじゃん!」

 

 

そうなんだよねと苦笑するルイ。

もー!っと怒ったふりをしながら文句を言うトウカ。

その後も何度か二人は挑戦してみたが、二人の技術では、運をひっくり返すことはできなかった。

 

いくつかの硬貨を失い、大人しく諦めた二人は、次々別のゲームへと歩む。

 

 

「うおー!負けないぞー!」

 

「ふふんっ、ここでドリフト!」

 

「うわぁ!?一気に抜かされた!?いや、負けないぞー!」

 

「私だって!いっけー!」

 

 

「ルイルイ、次右!」

 

「う、うん!」

 

「上、その次左!」

 

「わ、わかった!」

 

「連続右!下から!急に来るよ!」

 

「あわ、あわわわわわ!」

 

 

様々なゲームを遊びまわりながら、二人は喜び、悔しがり、そして笑い合っていた。

まるで、普通の女の子のように。

 

 

 


 

 

 

一、二時間ほど遊んだ私達は、ゲームセンターから離れたスペースで、脳と体を癒していた。

少し柔らかい椅子に並んで座り、そろって缶のジュースを勢いよく流し込む。

私はオレンジジュースを、トウカちゃんは普通のものより味の濃いコーラを飲む。

 

「んっ、んっ、ぷはぁ……おいっし~!」

 

「疲れた体に糖分が沁みる……」

 

「いや~、ルイルイがあんなにゲームが上手いとは知らなかったよ!」

 

「一人でいることが多かったから、それで遊んでると、ちょっとだけ上手くなって」

 

「ちょっとじゃないよ!レースゲームじゃ一度抜かされたらもう追いつけないし!」

 

 

否定するように手を振って、私は言い返す。

 

 

「でも、トウカちゃんはガンシューがとても上手だったよ!次々と撃つどころか、どこに来るかまで分かってたし」

 

 

笑顔のトウカちゃんは凍ったように見えた。

でもそれは瞬きをした瞬間、いつものトウカちゃんの雰囲気に戻る。

 

 

「ちょっと感がいいだけだよ!それに、私がやられちゃったせいで最後まではいけなかったし」

 

「始めてで最後の一個前まで行ったんだから、凄いと思うけど……本当に初めて?」

 

「本当本当!ゲームらしいゲームをやること自体、初めてだし」

 

 

トウカちゃんはそう言うと、コーラを飲む。

液体が喉を通るところを見ながら、私はふと思った。

やっぱり私はまだまだ知らないな、トウカちゃんのこと。

 

 

親友、と呼んでいるけど、実は私達、二か月前――四月に出会ってばっかりの仲だった。

 

 

根暗で、喋ることは苦手で、それが理由かは知らないけど、あの頃は友達がいなかった。

いや、それ以前からいたことなんてほとんどなかった。

それが理由か、私は一人で遊べるゲームや漫画とかが好きになっていた。

 

学校では、ラノベばかり読んでいるような女。

明るくて友達がたくさんいそうなトウカちゃん。

 

そんな私達がどう仲良くなったか。

それは、私の好きなもの(ラノベ)好きになる人(トウカちゃん)を引き寄せたからだった。

 

過ごしなれていない学校で、座り慣れていない椅子に座って、使い慣れていない机に肘を置いて、読んでいた私。

 

 

「わっ」

 

「あっ、ごめん!」

 

 

その時、とある人がぶつかってきた。

翼を広げた本が床に落ちる。

私が立ち上がって拾う前に、その人が手に取った。

 

そのまま手渡してくるかと思いきや、開いた状態で気になったのか、中身を見つめ始めた。

私はそのまま奪おうともせず、その行動にびっくりして固まってしまった。

 

数時間に感じる数秒後に、私は初めて彼女の顔を見た。

 

 

「これ面白いね!よかったら教えてよ!」

 

 

これが出会いだった。

 

 

「……ルイルイ?聞いてる?」

 

「……うん?ご、ごめん、なんだっけ?」

 

「音ゲーだっけ、面白いなって!ルイルイにもっと教えてほしくて」

 

「……!うんっ、もちろん!」

 

 

それで二か月、いろんなことをお互いに知っていって。

そして今日やっと、一緒に遊びに出かけることができた。

いつも忙しそうだったから、遊べて本当に……嬉しい。

 

そういえば、雰囲気が違うようで、でもどこか似ている人を最近見た。

口調も違うけど、なんというか優しそうで、すぐに人の前に立って守ろうとする――

 

 

そんなことを考えながら、トウカちゃんに教えている、その時だった。

 

 

「うわあああああああ!?」

 

「ば、化け物がぁ!?」

 

「逃げろ!殺されるぞ!」

 

 

沢山の悲鳴が、遠くから聞こえてきた。

その声の方へ向かうためにゲームセンターから出ると、大勢の人が激しい川の流れのように、出口の方へ走っていった。

悲鳴が、泣き声が、私達の、トウカちゃんの耳に入る。

 

嫌な予感が走り。

 

 

「っ、ルイルイ逃げてて!」

 

「ま、待って!」

 

 

そして的中した。

 

トウカちゃんは流れに逆らって、勢いよく走っていった。

慌てて私も、引き留めるためについていく。

 

知っていたのに、止められなかった。

トウカちゃんは、悲鳴にすぐに向かっていく。

()()()()()()だ。

 

運動が苦手な私は、どうにか見逃さないように、頑張って追いかけるのに必死で声を上げることもできない。

トウカちゃんは振り返りもせず、ただ前を見て、凄い速さで走る。

 

 

「……ひっ」

 

 

そして、人の波がだんだんと薄くなるにつれ、血を流して倒れている人達が増えていく。

私は大きな悲鳴すら出せないほど、恐ろしく感じた。

でも、足は止められなかった。

 

トウカちゃんはまた、危険なことに向かっている。

 

怖い、もう傷ついてほしくない。

そう思っても、願っても、トウカちゃんは止まってくれない。

 

 

「トウカちゃ――」

 

 

力を振り絞り、呼び止めようとした。

でも、それより前に、見たことのない、見たことのある存在を目にしてしまったことで、それは叶わなかった。

 

 

 


 

 

 

本来なら多くの人が行き交う十字路の広場には、多くの死体。

そして、三つの人影があった。

 

二つは、少女。

そして一つは、大人程の大きさをした異形――邪魔だった。

邪魔は腕から腰に、扇状に翼が生えていた。

顔は耳、鼻がとがっており、目は赤かった。

 

トウカと異形は向かい合い、睨み合う。

ルイはトウカの後方にある、柱から隠れるようにして覗いていた。

 

睨み合っている二人は、異形から言葉を紡いだ。

 

 

「お前か、クモのやつをやったってのは」

 

「……あの、真っ二つに斬った、あれかな?」

 

「驚いたぜ、斬ったやつのことを憶えてるなんてな」

 

「私も驚いてる。邪魔にも仲間意識とかあるんだね。名前通り、邪魔だと思ってた」

 

 

その言葉を皮切りに、二人は走った。

お互いが間合いに入ると、邪魔は大振りに左フックを放つが、トウカは屈んで回避する。

そしてばねのように勢いをつけ、アッパーを仕掛ける。

 

 

「あめぇ!」

 

「っ!」

 

 

しかしそれを見越していたように、フックの勢いを使ってトウカの足を払う。

体勢を崩したトウカの首を鷲掴み、持ち上げた。

 

 

「ぐっ……!」

 

「調子に乗るなよ、ガキ……!」

 

「っ……調子に、乗ってる、のは、そっちでしょ……!」

 

「はっ、今のてめえに何ができる?ただの小娘がっ」

 

「じゃあっ、見せてあげるっ……!着、身!」

 

「何っ!?」

 

 

着身したトウカ――モモは、驚きの表情を浮かべた邪魔の腹に蹴りを命中させる。

綺麗に入った蹴りに、怯んだ邪魔はモモを手放し、放されたモモは掌底を放つ。

もろに食らった邪魔は後退し、モモはくいっと指を動かす。

 

 

「……来い」

 

「上等だ!」

 

 

そう叫んだ邪魔は、口から何か()を飛ばす。

モモはマントを翻し、全身を隠して針を防ぐ。

マントは針を通さず、からんと下に弾いた。

 

だが。

 

 

「あめぇっつったろ!」

 

「ぐふっ……!」

 

 

マントによって視界を奪われた瞬間を狙い、邪魔は懐へ近づき、右へと吹っ飛ばす。

吹っ飛ばされ、一室のように存在するショップのガラスを割る。

それでも殺しきれなかった勢いを、カウンターにぶつかり止まった。

 

普段のモモであれば、この程度であれば躱せるであろう攻撃を食らっていた。

モモは気づいていた。

魔法少女の感覚によって、己の親友がそばにいることを。

恐怖に駆られていることを。

 

 

「……」

 

 

そして自信がなかった。

親友に被害がいかないように戦う自信が。

 

モモは無意識に拳を握り締めた。

私は弱いと。

 

クモの邪魔との戦いではルイに当てず斬撃を飛ばすことができていた。

まさに神業のそれを、なぜ今はできないと判断したのか。

 

それは、心が騒めいていたからだった。

 

日曜には現れないという経験則から離れた現実、間違いなく親友は自身を見ただろうという事実。

顔には現れずとも、指先が少し震えるほどに、慌てていた。

 

『偽剣』は心を静めなければ使えない技。

そして、それ以外の振り方では、ショッピングモールを破壊しつくしてしまうほどの火力しか出せない。

だからこそ、素手に拘っていたモモは、焦る。

 

 

立ち上がり、全身に力を込め始めるモモは、作戦を立てた。

 

 

「……ぶっ飛ばす」

 

 

素早く突っ込んで、倒す。

全身に力……魔力を回すことで、身体能力を上げることができる。

それによる一撃で、即死を狙う算段だった。

 

目標(邪魔)は笑うだけで、構えすらしなかった。

それを見逃がさないとでも言わんばかりに見続け、ゆっくりと屈む。

 

そして大地を蹴り飛ばし、前へと跳んだ。

モモは空中で回転した後、右足を敵に伸ばし、左足がその二の足に添えるように曲げられる。

つまりモモは、高速のキックを邪魔にぶつけようとしていた。

 

 

「……っ、行け……!」

 

 

それが、相手の狙いとも知らずに。

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