何でも屋
冬、老鶯町は正月シーズンだ。雪も降り、町こそ小さいものの、町民は穏やかに暮らしていた。
事務所では若い男が何でも屋を営んでいた。その男は身長175cm、ルックスもよく、依頼によっては水道管工事や家庭教師、清掃員などをこなしていた。
だがそんな男はこの世界ならではの欠点がある。それは彼が無能力者であること。この世界では生きにくい無能力者だったが、なんとか2年前に開業し、細々と暮らしていた。
「…暇だな……」
たった一人で何でも屋を営んでいる彼にとって、従業員のいない事務所は寂しさを覚えた。
この日は事務所をやっているというのに、たいして依頼主が来ない。だから暇でやることがなく、ぼーっとして過ごしているのである。
そんな無駄な時間を過ごしていると、ピーンポーンっとインターホンの電子音がなった。依頼主がやってきたのである。
「はい、入っていいですよー」
男がそういうと、長髪の女性が入ってきた。表情は心なしか暗く見える。
「このソファーに座ってください。」
「…はい…」
元気がなさそうにその女性は返事をし、ソファーに座った。男は元気がないことに疑問を覚えつつ、気を遣いながらいつも通りに対応をする。
「どんな依頼ですか?何でもやりますよ」
「はい…私は安藤美紀といいます。実は私の友人は、2か月前からある宗教に入信していまして…」
「宗教、と言うと?」
「はい…友人は、『世界の光教』という宗教にはまっていて、やめようと言っても、聞かなくて…。ほら、町の近くにまで来た、ニュースにもなっている宗教です」
「…なるほど、どうしてそんな宗教に入ったか、分かりますか?」
「詳しくは分かりませんが、その友人は『近藤恵子』って言いますが、3か月前にその当時の彼氏さんが亡くなっていて、それで入ったと思います」
男はなんとなく察した。近藤恵子は彼氏を失った悲しみを埋めるために宗教に入ったという事だろうと思った。
「…それで、本題の依頼は…」
「…そうですね」
美紀は一泊を置いて、こういった。
「恵子をやめさせるのを協力してくれませんか!?世界の光教って、調べてみたらとんでもない宗教ってわかりました。あんな宗教にはまっている恵子を救ってほしいんです!警察に言っても何故か碌に動こうとしません!どうかお願いします!!」
美紀は、頭を深く下げて言った。まさに藁にも下がる思いだった。数秒おいて、男はこう言った。
「…分かりました。その依頼を受けましょう」
美紀は嬉しいのか笑顔になったが、「ただし、」と、男は付け加えた。
「このような依頼は正直初めてです。失敗するかもしれない、ということは覚えていてください」
「大丈夫です。手伝ってくれるだけでもありがたいです。本当にありがとうございます。それで…」
「…?…」
「貴方の名前はなんでしょうか?」
彼女は質問したので、男はこう答える。
「俺の名前は、神谷悠です」
こうして神谷は依頼を受け、近藤恵子を救出するために動き始めた。
割と強引に依頼を受けさせた感じがしてるので、いい感じに文章が思いついたら直します。