男を返り討ちにした神谷は何事もなかったように薄暗い道を抜け、今は繁華街に来ていた。この先に事務所があるのである。老鶯町とは違う町並みで、神谷は新鮮さを感じる。
「しかし、老鶯町と違ってここは栄えてんな。また今度行ってみたいな」
老鶯町は至って普通の町という印象を受けるが、繁華街はビルや駅、レストランなど、さながら大都市ほどではないが都会のような印象を受ける。
だが、こんな都会のような街にも事件というものは起きるものだ。
「なんだ...」
「おいあいつナタ持ってんぞ」
ざわざわと騒ぎが聞こえた先には、刃物を持った男と肩を負傷している男性がいた。刃物の男は目がキマっている。薬物か何かはほぼ確実にしている。
「おっお前...無能力者のくせに俺を.....!」
「うるせえ!!調子乗りやがって!!ぶっ殺してやる!!!」
神谷はとりあえず救援しようとしたが、突然誰かに肩を触れられた。
「…誰だ?」
警戒しながら振り返ると、神谷と同年代に見える眼鏡の男がいた。
「ごめんね、止めちゃって。けどここは僕に任せてくれないかな?…ああ、自己紹介が遅れたね」
その男はこう言う。
「僕の名前は冬月那由多」
「…なんで、そんな大物のあんたが俺なんかに?」
「嫌だったら申し訳ない。でも危ないと思ってね」
「嘘つけ。おいしいところを取りたいだけだろ」
「あはは…確かにそうだね」
冬月那由多は"列強第二位"の猛者。日本人で唯一の男だ。その那由多と会話をしていると、キマった刃物をもった男が声をかけてくる。
「おっおっおいぃぃ!お前、俺を馬鹿にしてるだろぉっ!?」
「あっ落ち着いて!馬鹿になんかしていませんよ!」
「俺を……馬鹿にするなあぁぁ!!!」
男は刃物を突き立てて、那由多に向かって突撃をした。
が、那由多はそれに対応し、刃物を持っている手首を握り、手首の骨を粉砕する。そして死なない程度に五発腹に、両すねに二発、顎に一発拳を入れる。これらの攻撃は1秒も満たない。
「がっ......かかかっ...........」
腹と顎がダメージを負ったせいで喋ることもできず、うめく事しかできない。
「!?何が起こったんだ!?」
「どうなって…」
周りの一般人たちは何が起きたのか分からなかったが、この中で神谷だけが那由多の動きをとらえることが出来ていた。
神谷(…さすが列強ってところだな…今まで見てきた中で一番速んじゃないか?)
刃物の男は駆け付けた警官に逮捕された。神谷は那由多に声をかける。
「あんた、さすが列強だな。あの男に近づいての手首粉砕だ。中々筋がいい」
「ありがとう。僕なんか・・ってえ?」
「…?どうした?」
「いや…君、今の動きが見えたの?」
「まあな」
「すごいね…僕の動きが見える人なんて少ししかいないのに」
「…そういえば、自己紹介が遅れたな。俺の名前は神谷悠。老鶯町のしがない何でも屋だ」
「じゃあ、神谷君よろしくね」
と、このように新たな出会いがありつつ、神谷は事務所に戻り、睡眠をとった。ドミナターはどうなっていくのか、まだ知らない。
小説カキコとは、ここから展開が少し違ってきますが、最終は変わりません。