ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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主人公絶頂回。




第110話 意地を張る 『僧侶』と『騎士』の戦い

 

第三試合。サイラオーグさんの『僧侶』さんと兵藤の試合が終わった。

 

結果は兵藤の勝利。どうやらサイラオーグ側もサイラオーグさん側で兵藤が出ると読んでいたのか、兵藤の苦手なテクニック系をぶつけたらしい。が、あいつがそれだけでやられるタマじゃないのは俺がよく知っている。

 

それにだ、今のあいつは子供たちの声援を背負っている。『ヒーロー』がそんな状況で負けるわけにはいかないだろう。

 

そんなことを言うと、司会席の人達が賛同してくれた。

 

「……あいつに一曲作ってやるか」

 

俺がそう呟くとアザゼル先生がいい笑顔で反応した。

 

「これは皆さん、聞きましたか?今の試合を受けて、あのレッドゾーンが新曲の作成に乗り出すようですよ?」

 

「おぉ!それは楽しみですね!レッドゾーン様の歌は今や冥界で知らぬ者はいないであろう人気ぶりですから、その新作となれば更なる人気が見込めますな!」

 

実況のガミジンさんもそれに乗る。待って、俺の『作る』って『パクる』ってことだからね?

 

……あいつは『馬鹿』で『ドラゴン』だ。仮面ライダークローズ辺りでも参考にするか。

 

 

Side out

 

 

イッセーside

 

 

「お帰り、イッセー君」

 

「おう、帰って来たぜ、木場」

 

帰って来て、そんなやり取りを木場とする。

 

「しかし、相手は『僧侶』一人。サイラオーグさんは俺が出ることを読んでいたんだな」

 

「だと思うよ。あっちは賭けにも強いらしいね」

 

「ったく、あんな美人さんを殴って、心が痛いっつーの……サイラオーグさんったら、なんだかんだ言って悪魔なのね」

 

そう言うと、皆苦笑いした。

 

「僕達としては戦場でいきなりナンパし出した君の方も大概だと思うよ?」

 

「うぐっ……!そ、それはほら、言葉の綾って言うか……。大体、そう言うのは岸波先輩の担当だろ?俺は今、子供たちの夢を守るので手一杯なんだよ。俺も最後はあんなこと言ったけど、どうせガキの戯言としか思われてないよ。あー!モテモテになりたいなー!!」

 

状況が状況だし、悲しいけどあのナンパがうまくいったなんて思っていない。はぁー、モテたいぜ。

 

「(イッセー君、とことん岸波先輩みたいになってきたね……。刺されなきゃいいけど……)」

 

「んあ?どうした、木場?」

 

「いや、何でもないよ。子供たちのヒーローが女性の敵にならないことを願っていただけだよ」

 

「へいへい。ったく、それならまずモテてからにしたいぜ」

 

木場の生暖かい視線を感じつつ、ダイスロールが始まった。

 

出た目の合計はまたしても8。俺が出られる数字だ。だが、俺は今出たばかりなので、出るなら他の皆の組み合わせになる。

 

「私が行こう」

 

そう言うのはゼノヴィアだ。そうだな、確かにそろそろ頃合いと言ったところか。

 

部長もそれを聞いて頷いた。『騎士』の数字は3。つまり最大5までもう一人を出せる。

 

「ええ、そうね。そろそろあなたの出番ね。それじゃあ、もう一人はロスヴァイセに……」

 

「待ってください!」

 

部長がそう言うと、ストップがかかる。その声の主はギャスパーだった。

 

「ぼ、僕に行かせてください! 小猫ちゃんの……大切な友達で、仲間の敵討ちをさせてください!」

 

ギャスパー、お前……。今までそんな風に自主的に進む奴じゃなかったのに……。お前、かっこいいよ。

 

「そ、それに、僕なら相手の不意打ちとかも止められます。もうゲームも中盤です……何が起こるか分からないので……祐斗先輩とロスヴァイセさんよりも僕のような直接戦力にならない駒をいざと言う時に切れる方がいいと思うんです……!」

 

確かにこいつの言う通りだ。これからサイラオーグさんも本腰を入れてくる。そうなってくると何が起こるかなんて分かったもんじゃない。それに、あちらの『兵士』の実態が分からない以上出来る限り戦力は温存したい。

 

俺は部長に頭を下げる。

 

「部長!俺からもお願いします!無責任なのは分かってます!それでも、こいつの覚悟をくみ取ってやってください!」

 

「い、イッセー先輩……!」

 

そう言うと、部長の笑い声が聞こえてきた。

 

「頭を上げて、イッセー。私も安易にロスヴァイセを出そうとしていたわ。……そうね。ギャスパーの言う通りだわ。今は中盤。序盤以上に何が起こってもおかしくない。それに、サイラオーグの方もそろそろ後がなくなってきている。何をしてくるかなんて分からないわ。あなたの力でゼノヴィアをサポートしてあげて」

 

「は、はい!」

 

こうして、元悪魔祓いの悪魔と元ハーフ吸血鬼の悪魔という異色なタッグが組まれた。

 

そして、二人は魔方陣に乗って、転送された。

 

第四試合の会場は岩だらけの荒れ地。しかもこの岩がこちらでも分かるくらいにゴツゴツしていて、足場に困るタイプ。

 

これは、木場じゃなくて正解だったな。あいつは速度重視。足元が不安定だと影響が大きい。

 

対戦相手はひょろがりと男の娘。たしかひょろがりが『戦車』で男の娘が『僧侶』だったはず。となると、サイラオーグさんは最大値で出してきたってことか。

 

『グレモリーチームは伝説の聖剣デュランダルを持つ『騎士』ゼノヴィア選手に、一部で大人気の『僧侶』ギャスパー選手!対するバアルチームはなんと両者共に断絶したお家の末裔だ!』

 

実況の言葉に耳を疑った。何だって?両方断絶?

 

『『戦車』のラードラ・ブネ選手に『僧侶』のミスティータ・サブノック選手。それぞれ断絶した元七十二柱のブネ家とサブノック家の末裔!アザゼル総督、バアルチームには複数の断絶した家の末裔が所属しておりますが……』

 

『能力さえあれば身分は関係ない。それがサイラオーグ・バアルのやり方。それに末裔たちも呼応したということですな。彼らは現政府からすれば庇護対象ですが、一部上役には厄介者として蔑まれている。混血となっても続くそれを無かったことにしたい純血至上主義は上にいけば五万といますからね』

 

先生がそう皮肉気に語る。実況の人も皇帝ベリアルも困った様子だ。だが、それに悪乗りする正義漢を俺は知っている。

 

『なら、いっそのことそいつらも断絶させてしまいますか?痛みは同じ痛みを知る者しか理解出来ませんし』

 

岸波先輩だ。ほらね、あの人もサイラオーグさんと同じタイプだから今の悪魔社会に不満しかないと思うんだよ。

 

『はっはー!岸波殿も随分なことを言う!……お前がそれを言うとマジで洒落になんないんだよ……』

 

『すんません。まぁ、今のジョークを流せないような小物が上役にいるわけがないですから。俺だって『信頼』しているんですよ?』

 

『その『信頼』が壊れないようにしないといけないとか、魔王様方も大変ですな』

 

アザゼル先生と先輩がそうやり取りをしていると審判がやって来た。

 

『第四試合、開始してください!』

 

始まった。

 

刹那、部長が指示を飛ばす。

 

「ギャスパー、蝙蝠に変化して逃げて!ゼノヴィア、数で押しつぶしなさい!」

 

ギャスパーが蝙蝠となってフィールド中に散らばる。ゼノヴィアはデュランダルの幾重もの波動をブネとサブノックに放つ。

 

デュランダルの波動は岩を切り裂きながら飛んでいく。

 

その攻撃を両者が避けると、サブノックは炎の魔法で攻撃する。

 

『させません!』

 

ギャスパーが炎を停止させる。

 

いいぞ、ギャスパー!早速修行の成果が出てるぜ!

 

俺がギャスパーの成長を喜んでいると、相手に動きがあった。

 

『ラードラ!サイラオーグ様からの指示だ!先に剣士を叩く!僕は『あれ』の準備する!』

 

『了解!』

 

そう言うと『僧侶』のサブノックが下がっていく。ブネの方はと言うと、サブノックを守るように前に立ち、衣服を破り捨てた。はい?何するつもりだ……?

 

『戦車』のブネはひょろがりだが、防御が抜きん出ているとは聞いている。壁役になるのか?そう思った時だった。

 

ブネの体が盛り上がり、異様なものになっていく。それはキメラになったフリードのものとは違った。翼が、尾が、爪が、牙が。それらが雄々しいものとなり、ブネは巨大化していく。

 

俺はその姿をよく知っている。いや、知っているじゃない、知ってなければならない。

 

その姿はまさしく……

 

「ドラゴン……!」

 

俺の中に宿るそれと同じものがゼノヴィアたちの前に立ちふさがった。

 

「ブネは悪魔でありながら、ドラゴンを司る。けれど、変化まで出来るのは一族の血を引く者の中でもほんの一握りのはず……。サイラオーグったら、とんでもない隠し玉を持っていたわね……っ!」

 

部長が苦虫を嚙み潰したような顔をしてそう言う。

 

『ドラゴンへの変化は情報にもなかった。サイラオーグめ、鍛えあがて覚醒させたか……!』

 

アザゼル先生も驚いている様子。なるほどね、あっちもあっちで『俺』と同類ってわけか。となると、油断は無いに等しいだろう。これは……相当厄介だぞ……。

 

ギャスパーが蝙蝠となってブネの動きを抑える。

 

ゼノヴィアもデュランダルを構える。だが、不気味な光がゼノヴィアを包むと、体に気味の悪い模様が浮かんだ。すると、ゼノヴィアの手が震え出す。しまいにはデュランダルを下ろしてしまった。

 

『こ、これは……』

 

見ればデュランダルも妙に光を失っている。まるで……

 

『デュランダルが、反応しない……』

 

ゼノヴィアの言う通りだ。まるでゼノヴィアの聖剣使いの因子がなくなったかのような……

 

サブノックがやつれた表情でその疑問に答える。

 

『僕は人間の血も引いている。これ神器、『異能の棺』(トリック・バニッシュ)。最近ようやく使えるようになった呪いの能力さ……』

 

クソ!こいつも『こっち側』の人間かよ!

 

『『異能の棺』。自分の体力とか精神力の類を極限まで費やすことで特定の相手の能力を一時的に完全に封じる神器。バアルの『僧侶』は自分の力と引き換えにゼノヴィア選手の聖剣を使う力を封じた、というわけか』

 

『これは、随分追い込まれたな。さて、見ものだ』

 

アザゼル先生が解説し、岸波先輩が一言添える。なるほどな、そういうからくりだったか!

 

今もデュランダルを重たそうにしているゼノヴィア。この状況、どうする?

 

『僕は……僕達は負けられないんだ……!サイラオーグ様のためだけじゃない。レッドゾーン様からも期待されているんだ……!こんな僕でも背負っていいのなら、何だってやってやる……!』

 

サブノックがそう言う。顔はやつれている。だが、その目は炎が燃え盛っている。

 

動きの取れないゼノヴィアにブネが襲い掛かる。ゼノヴィアは成す術もない。が、無数の蝙蝠がゼノヴィアを包み、どこかの岩場へと避難させた。ナイスギャスパー!

 

『すまない、ギャスパー。どうやらこの戦い、私は足手まといになる』

 

『そ、そんなことはないです!ゼノヴィア先輩の方が、僕の何千倍も部長のお役に立ちます!』

 

ギャスパーがそう励ます。腰のポシェットからチョークやら小瓶やら色んなものを取り出すギャスパー。まるで青たぬき型ロボットみたいだ。

 

『僕、この手の呪いを解く方法をいくつか知ってます』

 

ギャスパーは魔方陣を展開し、ゼノヴィアに当てる。どうやら呪いを診断しているようだ。

 

『どこにいるんだ!逃がしはしないぞ!』

 

ブネが地響きと共にゼノヴィア達を探す。見つかるのは時間の問題だろう。

 

「ギャスパー、どうかしら?呪いは解けそう?」

 

『……分かりました。はい、僕なりのやり方になりますが、解呪方法は手持ちの道具でいけます』

 

部長が質問すると、ギャスパーは少し考えて、意を決した顔をして答える。

 

ギャスパーはチョークでゼノヴィアを中心に魔方陣を描く。見慣れない紋様だ。

 

そして最後に小瓶を片手に持った。その小瓶は、俺の血が……すなわち赤龍帝の血が入ったものだ。

 

それはギャスパーの力を底上げするために渡した物だった。

 

『今書いた魔方陣にこのイッセーさんの血を馴染ませます。そうすれば呪いは解けるはずです。ただ、時間が少しかかると思います』

 

『ま、待てギャスパー。その血を使えば、お前は……』

 

そうだ、そんなことをすれば……!

 

いや、それがあいつの望んだことなんだろうな。

 

「イッセー君」

 

「……ああ、分かっているさ」

 

木場も心配そうに俺に声をかける。今も俺の手は感情の嵐で強く握られている。

 

『ゼノヴィア先輩。これが、僕の『役目』です』

 

『ギャスパー、何を言って……?』

 

分かっている。これが、ギャスパーなりの『覚悟』なんだ。男なら、それを踏みにじるなんて許さない。

 

『僕が時間を稼ぎます。呪いが解けたらデュランダルをチャージしてください。もしその時まで僕が生きていたら、僕ごと相手を斬ってください』

 

『ま、待て……!』

 

「ギャスパー、あなた何を……!?」

 

『祐斗先輩。イッセー先輩。皆をおねがいします』

 

「……ああ、分かったよ」

 

「……骨くらいは拾ってやる」

 

「ダメよギャスパー!隠れなさい!」

 

ギャスパーの覚悟をくみ取る俺と木場。まだ何とかなると制止する部長の声。これが、レーティングゲームの『現実』。

 

『嫌です!その命令は聞けません!』

 

ギャスパーの声が響く。……行け、ギャスパー。

 

ギャスパーは岩陰から飛び出し、ブネとサブノックの前に立ちふさがる。

 

『見つけたぞ、ヴァンパイア。あの剣士は隠したか。だが、この周辺にいるのは分かっている。火炎をまき散らせばすぐにでも出てこよう』

 

巨躯に迫られ、ギャスパーは身を震わせる。だが、その震えはすぐに止まる。あいつの背中には逃げるなんて選択肢はない。手を突き出し、魔力を撃つ姿勢を取る。

 

『暴れさせるわけにはいきません!』

 

『単騎で挑む、か。その勇気、状況が状況なら敬意を表したい。例えどれだけ弱くとも、ドラゴンの前に立つには勇気がいるからな。だが、俺達にはサイラオーグ様とレッドゾーン様の思いがある。それを踏みにじらせるわけにはいかん!』

 

ブネはギャスパーに向かって炎を吐く。

 

『うわぁああ!!』

 

ギャスパーは魔方陣で防御しようとするも、打ち破られ、炎に吹き飛ばされる。その声を聴いて、ゼノヴィアは声を上げる……ことはなかった。必死になって声をあげることをこらえている。自分の位置がばれないように必死に。ギャスパーの願いを無駄にしないために。

 

火炎でやけどを負いながらも、ギャスパーはよろよろと立ち上がる。

 

『あは、あはは……ドラゴンってすごいんですね……』

 

『今の一撃をもろに受けて、まだ立ち上がるか』

 

『僕の知ってるドラゴンとは全然違います』

 

『ほう?』

 

ギャスパーの言葉にブネは反応する。

 

『どこまでもスケベで、暑苦しくて、嫌になるほど構ってくる。そのくせして一人ですぐに抱え込む。何より、自分の天敵に出会ったらすぐに現実逃避するような情けない存在がドラゴンだと思ってました』

 

――「「うぐぅ!!」」

 

俺とドライグに大ダメージが入る。ギャスパー、お前、俺らのことをそんな風に思ってたのか……。あとでお仕置きだ。

 

『今の一撃を受けて分かった。あなたは全然ドラゴンじゃない』

 

『……』

 

『僕の知ってるドラゴンは、もっと魂の籠った、強い信念を持った、優しくて、大きな背中をしたすごい存在なんだ!だから僕もここで倒れるわけにはいかない!』

 

「イッセー君」

 

「分かってる、分かってるさ……」

 

俺さ、岸波先輩に可愛がられたようにお前も可愛ってたんだ。それが、岸波先輩への恩返しでもあると思ってたし、何より、なんだかお前の姿が俺に似ていたようにも思えたんだ。

 

けどさ、お前に先輩らしいことやれてたか不安な所もあったんだ。だって、あの岸波先輩が比較対象だったんだもん。でも、その不安も少しは晴れた。ありがとう、ギャスパー。

 

『やぁあああ!!』

 

ギャスパーは雄たけびを上げながらブネの腕に食らいつく。

 

『は、離せ!呪いは有限だ!お前とは違って、デュランダル使いはすぐにでも倒さねばならない!』

 

ブネは空いている手でギャスパーを掴み、握りつぶそうと手に力を込める。

 

『うぁあああああああ!!』

 

その痛みにギャスパーは絶叫する。

 

「……」

 

部長もギャスパーの覚悟から目を背けないために映像を見続けている。だけど、俺達は分かっている。この状況から一番目を背けたいのはあなただってことを。

 

ブネはギャスパーを地面に投げて叩きつける。激痛の余り、呼吸もままならないギャスパー。それでも這いつくばってドラゴンに食らいつく。

 

『僕は……僕は誇り高きリアス・グレモリーの『僧侶』……!そして男の子なんだ……!』

 

「くそっ!!」

 

ギャスパーの頑張り、と言えば聞こえはいい。だが、その実態は『傷つく仲間を見ているだけ』ということ。俺は自分への怒りの余り、悪態をついてしまう。

 

ブネに蹴り飛ばされるギャスパー。それでもあいつは這う。

 

『グレモリー眷属男子の訓戒……その1……!『男なら女の子を守るべし』……!』

 

痛みとインパクトに震える体。それをどうにか耐えて、ギャスパーは立ち上がる。その言葉は、かつて俺が部室でギャスパーに教えたものであり、岸波先輩のスピリットとも言えるものだ。

 

『ぐ……グレモリー眷属男子……訓戒……その2……!『男なら、どんな時も』……『どんな時でも立ち上がること』……!』

 

再び魔方陣を展開しようとする。だが、それを許す相手じゃない。サブノックが杖でギャスパーを横殴りする。

 

『……やめるんだ。君では我々には勝てない』

 

今の一撃。俺や木場ならなんてことないだろう。だが、今のギャスパーには一撃必殺にも近い。その無情の一声を受けてもギャスパーは、岩にしがみついて立ち上がる。

 

『……グレモリー……眷属……男…………訓……その3……『なにがおきても、けっしてあきらめるな』…………』

 

ブネの非情な一撃がギャスパーを襲う。ブネが足を退けると、そこにはボロボロになったギャスパー。

 

もう戦えるどころか立ち上がることだって満足に出来ないだろう。それでも、一瞬。一瞬だけギャスパーが動く。そして地を這うように動こうとする。

 

『ぼく……は……グレモリーの……レッドゾーンの……かたなきゃ……!』

 

俺、何も分かってなかった。結局の所、いつも見ているヘタレで情けなくて、すぐに逃げようとするギャスパーしか見てなかったんだ。

 

ギャスパー。お前は胸を張れ。誰も今のお前を『役立たず』なんて言わない。俺なんかの言葉を必死に守ろうとしてくれる、立派な奴だ。

 

お前は『誇り高きグレモリー眷属男子』だ!

 

「ギャスパー……ありがとう……」

 

部長がそう言葉をこぼす。優しい部長さんのことだ、この光景は何物にも代えがたいほどの苦しみと痛みが襲っているに違いない。それでも必死になって目をそらさないようにしている。涙をこぼしても、ギャスパーの頑張りを見届けようとしている。

 

『その勇気、その勝利への執念。恐れ入った。本当に、このような状況が恨めしい。これ以上の攻撃は余りに残酷だ。せめて、一撃で散れ』

 

ブネが口から炎を吐こうとした瞬間だった。

 

『随分やってくれたな』

 

極大にして異様なオーラを放ちながら、岩陰からゼノヴィアが出てきた。デュランダルから放たれるオーラは見ているだけでも寒気がしてくる。

 

呪いの紋様はない。よし、解呪は終わったようだ!

 

ゼノヴィアがギャスパーに近寄り、抱き寄せる。

 

『せん、ぱい……ぼく……ごと……』

 

『悪いな、ギャスパー。私はお前にこうさせてしまうほどに不甲斐ない。だから、お前の言うことは聞けない』

 

ゼノヴィアが涙を流してそう言う。

 

『呪いが解けたのか!』

 

サブノックがそう言う。ブネも翼を広げ、構える。

 

『私は今、猛烈に怒りを抱いている』

 

ゼノヴィアは静かにそう言う。その言葉には、その目には憤怒の炎が逆巻いていた。

 

エクス・デュランダルの鞘がスライドし、攻撃的なフォルムへと変化していく。

 

『私は覚悟が足りなかった。主の為に持つべきだった『死んでも勝利を捧げる』という覚悟がギャスパーよりも足りなかった。そのせいでギャスパーはこんなにも傷ついた。こんな私が何者よりも許せないっ!』

 

ゼノヴィアは涙を拭う。

 

『こんな私でも、岸波先輩に託されるような存在になりたい。イッセーたちにとって誇れるような存在になりたい。このザマではそんなことは遠い夢だっ!ならばせめて、この場でギャスパーの思いに応えようっ!!』

 

エクス・デュランダルから放たれる光の柱。極大の聖なるオーラ。ゼノヴィアの怒りに呼応するように立ち上る。食らえば上級悪魔とて一たまりもないだろう。

 

『そうはさせまい』とサブノックとブネが攻撃の姿勢を取ろうとする。だが、その動きは止まる。まるで時間が停止したかのように。

 

ブネ達がギャスパーを見る。あいつはリタイアの光に包まれながらも神器であいつらを足止めしていた。

 

『お前たちは私とデュランダルに負けたんじゃない!ギャスパーに負けたんだっ!!』

 

振り下ろされるエクス・デュランダル。大質量が相手を飲み込んでいった。

 

『サイラオーグ・バアル選手の『戦車』1名、『僧侶』1名、リアス・グレモリー選手の『僧侶』1名、リタイアです』

 

第四試合。俺達は大切なものを失い、そしてそれに大切なものを気づかされた。

 

イッセーside out

 

 

 





自分で書いておいてなんですが、大地君って若干ヘルシングのアーカードに片足突っ込んでる気がする。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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