ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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シャア並のライブ感でやっているせいで、どうしても『これでよかったのかな』と思ってしまう過去回が出てくるという。いっそ、三次創作の体でもう一本書こうかな、なんて思います。思うだけです。




第111話 大義の為の犠牲となる『女王』の戦い

 

美しい。

 

それしか言葉が出ない。

 

第四試合。ヴラディ君とゼノヴィアさんが出た試合。それは俺が『人間』を美しいと思いたいということの集大成のようなものだった。

 

デュランダルという悪魔絶対殺すマンを封じられ、絶体絶命かつお荷物となったゼノヴィアさん。

 

それに対してヴラディ君が出した答えは『己を犠牲にしてでも勝利の為に時間を稼ぐ』。

 

ハッキリ言ってヴラディ君の戦いは見るも無惨だった。見ていられない。多くの人がそう思っただろう。だけどよ、俺はあの姿が輝いて見えたよ。

 

自分は弱い。誰よりも足手まといになってしまう。そんな風に思っている奴が自分より強く、勝利を導いてくれる人の為に少しでも戦う。抗う。その姿の美しさたるや。

 

しかも、散る際の際まで諦めず、神器を使って相手を妨害していた。ここまでくると絶頂ものだね。

 

「おーい、岸波ー?」

 

「アザゼル先生、どうしました?」

 

「お前、余程今の試合が気に入ったようだな。すごい顔だったぞ?」

 

え、マジで?そんなにだらしなかった?でも、仕方ないじゃん。俺の癖に刺さる試合だったんだもん。

 

「それも仕方ないでしょう。今のギャスパー・ヴラディの戦いぶり、抗う姿はまさしく私の心にある『強者』にしか出せない輝き。人間の美しさ。ここで目に出来るとは思っていなかったので、少々驚いたのですよ」

 

「にしてもだらしなかったぞ?」

 

「だらしなくて結構です。あの輝きとそっくりなものを持っていた人々によって、二天龍は討たれたと言っても過言じゃないんですから。アザゼル先生ももっと『こっち側』になりましょう?」

 

「いや、いい。その手の勧誘は別の連中にしてくれ」

 

アザゼル先生にフラれた。だが、心なしかその表情は良いものだった。

 

さて、第五試合だ。追い詰められたサイラオーグさん。モニター越しに姿を確認する。人数が減ったせいで随分すっからかんだ。だが、サイラオーグさんのあの顔は諦めていない。まだ策があるという顔だ。

 

どう出てくる、サイラオーグさん?

 

そしてリアス。君達はまだ相手の本気を知っていない。特にサイラオーグさんは、だ。油断するなよ。

 

Side out

 

 

イッセーside

 

第四試合が終わった。こちらの手駒は部長と朱乃さん、木場にゼノヴィアの『騎士』コンビ、ロスヴァイセさん。そして俺だ。

 

対するサイラオーグさんの方は『王』であるサイラオーグさんと『女王』。そして、まだ見ぬ仮面をつけた『兵士』のみ。

 

数だけ見ればこちらが優勢。だが、相手はサイラオーグさん。俺の鎧を容易く打ち砕いた男。このくらいの盤面なら簡単にひっくり返してくるだろう。仮にサイラオーグさんでなかったとしても、残るのは最強の駒である『女王』と謎に包まれた『兵士』。どちらも情報が少ない。イレギュラーが起きやすくなっている。

 

俺の不安を余所にダイスは振られる。出た目の合計は『9』。『女王』がちょうど出られる数だ。

 

「あちらは3人。9なら『女王』か『兵士』のどちらか」

 

「なら、『兵士』っすかね?」

 

俺が部長の言葉に質問をすると、首を横に振った。え、違うの?

 

「考えても見て、イッセー。『兵士』が出てこられる……いいえ、出てきてもいい試合は今まであったわ。それこそこちらがダブル『戦車』を構えた時とかね。それでも出してこなかった。まるで『意地でも温存しておきたい』と言わんばかりに、ね」

 

確かに部長の言う通りだ。第二試合は10で、あちらも『兵士』+『騎士』or『僧侶』の組み合わせが出来たはずだ。それでも、サイラオーグさんはその手は使わなかった。

 

もしかしたらこちらがロスヴァイセさんという強力なカードを切ってくる可能性を加味した、もしくはその手を使ってくると賭けた結果があれだったのかもしれない。

 

うーん、難しい。誰か軍師がいればいいんだが……

 

「と、なると次は『女王』が?」

 

木場がそう訊くと部長は頷く。

 

「おそらくはね。あちらの『女王』はクイーシャ・アバドン。『番外の悪魔』(エキストラ・デーモン)アバドン家の者。トップランカー第3位と同じ家。出すなら、彼女でしょうね」

 

アバドン家。確かバアル家の消滅の力と同じように特徴的な力を持っている家だ。それは確か……そう、『穴』(ホール)。何でも吸い込む厄介な代物。穴の先は異界へとつながっているとのこと。しかもそれが空間に突如現れる。中々対処が難しそうだ。

 

「相手は手練れ。それもまだ手の内を完全に見せていない。それに、トップの方のアバドンの出来る技をまだ相手は見せていない。これが『出来ない』なのか『出来るけど見せていない』なのか。相手の『穴』にも特殊な能力があるのか。全然分からないわ……。少しでも情報がほしいけど……」

 

部長が唸り出す。どうしよう、部長がこうなるのはきっと普通のことなんだろうけど、これじゃあ相手の思うつぼって奴だ。

 

そんな時だった。一歩前に出る人物がいた。

 

「私が行くわ、リアス」

 

朱乃さんだ。

 

「朱乃?」

 

「はっきり言うわ。相手が『女王』ならイッセー君でも相手が出来る。けど、それはトリアイナというのを使った時のことよ。そう言う奥の手は最後まで取っておくから奥の手と言うもの。それに『女王』対決になるならこのゲームも間違いなく盛り上がるわ。なら、私が出る以外ないじゃない」

 

朱乃さんがきっぱりと言う。確かにそうだ。俺のトリアイナがあればサイラオーグさんはともかく、基本的には倒せない敵は少ないだろう。それでも、あれは消耗が激しいのが事実。最後まで取っておいてこその切り札なら、俺が出る幕ではない。

 

そう考えていると、朱乃さんの目つきが変わる。まるで散ることを覚悟したかのような目だ。

 

「それにね、リアス。私は分かっているの。この中で一番弱いのは私だって。捨て駒にするなら、私以外いないわ」

 

「朱乃、それだけは言ってはならないわ!あなたは私の『女……」

 

「『『女王』だから』?リアス、世の中を見て。『女王』より強い駒の眷属はどこにだっているのよ?そんな考えは通用しないわ」

 

「朱乃……」

 

俺は一度も朱乃さんが弱いなんて思ったことはない……なんてことはない。トリアイナを発動した時ならともかく、平常時でも禁手化してしまえば、魔力以外は超えていると思っている。

 

朱乃さん、そのことを自覚してしまったからこそそんな目を……

 

「私はね、弱いわ。本当なら強くなっていたとしても、自分を認めきれなかったせいで多くの迷惑をかけて強くなれなかった。関係ないはずの愛する人も自分の我が儘に巻き込んだ愚か者よ。惨めね。でもね、そんな私にも出来ることはあるわ」

 

「だから『犠牲』(サクリファイス)ですか?」

 

俺の言葉に黙ってうなずく朱乃さん。

 

「私だって現実を見れない子供じゃないの。だからリアス、お願い。私を出して、その道から必ず何かを得て」

 

『それに』と朱乃さんが更に続ける。

 

「情報が無いなら無いなりに倒してしまっても構わないでしょ?」

 

明らかに死亡フラグなその言葉。朱乃さんの強い言葉に部長は静かになり、そして無言で頷いた。

 

「……朱乃、分かっているわね?」

 

「『王』のご命令とあらば」

 

朱乃さんはいつもの優しい笑顔で、静かに魔方陣へと進み、そして転送された。

 

残された俺達。

 

「馬鹿……」

 

部長の静かな怒りが耳に刺さった。

 

俺達はモニターを見る。

 

第五試合の会場は石づくりの塔の並ぶフィールド。その中の一つのてっぺんに朱乃さんはいた。

 

相手は金髪ポニーテールのお姉さん。つまり、『女王』だ。

 

『やはり来たわね、雷光の巫女』

 

『ええ、我が『王』に大切に見送られて来ましたわ。不束者ですがこの度はよろしくお願いいたしますわ』

 

二人の間に審判が出現する。

 

『第五試合、開始してください!』

 

試合が開始された。

 

まず互いに空中戦をするために空へと飛んでいく。朱乃さんは小手調べで炎の魔力を大質量で撃つ。対する相手は氷の魔力で対抗する。朱乃さんが水の魔力を撃てば、アバドンは風を使う。実力はほぼ互角だ。

 

でも、まだ分からない。だって互いに一番の特技を使っていないのだから。

 

周囲の塔が魔力の余波で壊れ出す。

 

朱乃さんが魔力で空に暗雲を作り出すと、朱乃さんお得意の雷光を大質量で放った。それは真っすぐにアバドンへと向かい、そして直撃する寸前で消えた。

 

見れば空間に穴がある。相手も全力を出してきたってわけだ。

 

大質量の雷光は何事もなく穴へと吸われていく。

 

『まだですわ!』

 

朱乃さんは更に雷光を展開していく。フィールドの半分以上がもう雷光に包まれていると言っても過言じゃない。そんな荒ぶる龍の如き雷光がアバドンに襲い掛かった。相手は『穴』を使っている。そこが隙だ。

 

そう思っていた俺は馬鹿だった。

 

アバドンは穴を大きくし、さらに数まで増やしてきた。朱乃さんの雷光が全て穴に吸い込まれていく。

 

そんな光景を見て、朱乃さんは苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。

 

そんな中でアバドンは無情な発言をする。

 

『私の『穴』は広げることも、増やすことも可能です。そして『穴』の中で吸い込んだ相手の攻撃を分解し、放つことも可能です。……このようにしてね』

 

朱乃さんを囲むようにいくつもの穴が現れる。それらの向いている方向は、全て朱乃さんだった。

 

『雷光から雷だけを抜き取り、光だけをお返ししましょう』

 

瞬間、穴から朱乃さんに向けて光の筋が放たれた。悪魔にとって光は天敵。そしてアバドンが言うことが正しいなら、これが意味することはただ一つ。

 

敗北

 

そう思った時だった。いくつもの雷がアバドンを貫いた。

 

『馬鹿ね……油断して……』

 

朱乃さんはまだ諦めていなかった。たった一撃。たかが雷の攻撃。それでも、朱乃さんの雷は『雷光』。光を放つ。朱乃さんが受けたように、その苦痛は、アバドンにも等しく降り注ぐ。

 

アバドンと朱乃さんが地面に向かって落ちていきながら、光に包まれる。そして、その姿を消した。

 

『リアス・グレモリー選手の『女王』、サイラオーグ・バアル選手の『女王』リタイアです』

 

審判の声が響いた。

 

余りにあっさりした戦いだった。だけど、確かに得た物はあった。

 

朱乃さん、あなたの犠牲は無駄にしません。あなたの見せた意地、俺達が貫いて見せます。

 

イッセーside out

 

 

 





もずくが美味しいです。

原作を読んでいる人なら分かってもらえると思うのですが、朱乃の瞬間最大風速がロキの所なせいでここからしばらくなんてもんじゃないほどヒロインレースで不遇、というより冷遇されるんすよね。それがちょっといただけないと思ったのと、シンプルに『お前『女王』やろがい』と思わずにはいられなかったので、改変させていただきました。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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