ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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暑さのせいか、疲労感が凄まじい。




第113話 遠き理想へ向かう『兵士』と『王』の戦い

 

第六試合。それは壮絶なものだった。

 

サイラオーグさんは己の努力の結晶で文字通り全てをなぎ倒した。全てを、だ。

 

勿論リアス達だって全力だった。あらゆる手段を用いてサイラオーグさんに一矢報いようと、いや、勝とうとしていた。

 

だが、結果は敗北だった。圧倒的敗北だった。

 

それでも得たものはあった。サイラオーグさんの右腕を斬り落とし、フェニックスの涙を使わせたのだ。これでサイラオーグさん側の回復アイテムはなくなった。文字通り『後がない』。

 

色々語りたい。語りたいが、これだけ言わせてくれ。

 

「いいものだな……」

 

俺は感動の余り、少し涙を流しながらそっとその言葉を口にする。

 

「岸波殿はサイラオーグ・バアル側に加担しますね」

 

ディハウザーさんがそう聞いてくる。

 

「違いますよ、ディハウザーさん。私は、彼に自分の過去の姿を重ねた。そして今、彼は努力の末に得た力を解き放った。その姿が若い頃の自分にそっくりでしてね。今じゃもうない『青さ』とかバイタリティを思い出しただけ。要は『馬鹿の勝手な思い込み』ですよ」

 

さらっと嘘を吐く。それでも、サイラオーグさんを守れたりするなら本望。それに、『青さ』とかは嘘じゃない。

 

「それでも、君のその言葉は確かに彼の力となっている」

 

「それはそれでありがたいものです」

 

ディハウザーさんとそう話す。

 

さて、両陣営残すは『王』と『兵士』。サイラオーグさん側は本人が出た以上、次は『兵士』で確定だ。

 

次はどうする、リアス……

 

なーんて思っていたその時だった。

 

『赤龍帝と拳を交える瞬間を俺は夢にまで見た。……委員会に問おう。もういいだろう?この男をルールで飼い殺すのは余りに愚というもの!俺は次の試合、こちらの全部とあちらの全部での団体戦を所望する!かつて魔王レヴィアタン様達がレッドゾーン殿にされたように期待された俺!現代によみがえり、レッドゾーン殿に鍛えられた赤龍帝!これ以上にない貴重な試合となる!』

 

なんとサイラオーグさん、全戦力を吐き出すことを要求してきた。これは全員想定外のようだった。

 

実況のガミジンさんも叫ぶ。

 

「おーっと、ここでサイラオーグ選手からの提案が出たー!」

 

ディハウザーさんとアザゼル先生もそれに続く。

 

「確かに、このままでは流れが読めてしまう。連続して出られないルールである以上次は『兵士』同士の戦い。そして『王』同士の戦い。これではつまらない消化試合となる、というのは否定できませんね」

 

「かーっ!そうだよなぁ!どっかの誰かさんは簡単に俺達に期待してくれちゃってよ!そんな期待に応えたくなっちゃうような言い方してきたなぁ!だろ、岸波殿!」

 

「そ、そうですね……あはは……」

 

俺はアザゼル先生の突然の振りに困惑するしかなかった。あの時に関してはあんな辛気臭い顔してた方も悪いじゃん……

 

「確かに、サイラオーグ選手の言う通りな所もある。次を団体戦にして早期に決着をつける。分かりやすいし、このテンションを維持できる。さて、委員会の上役はどう出てきますかな?」

 

『私もそれでいいのなら、構わないわ』

 

アザゼル先生の解説の後に、リアスがそう言う。まぁ、消化試合ってテンション下がるし、ちょうどいいだろう。マジで上役はどう出るんだ?

 

「え、はい。はい。はい、承知しました」

 

ガミジンさんが連絡を受けている。どうやら上役の答えは出たようだ。それをガミジンさんは宣言する。

 

「たった今委員会からの報告を受けました!『サイラオーグ・バアル選手の要求を認める』、とのことです!次の試合、事実上の決定戦であり、総力戦となります!」

 

会場が一気に沸き立つ。ははーん、流石にこの熱気に水を差すほど馬鹿じゃなかったようだな、上役ってのも。

 

『だそうだ。やりすぎてしまって死んでも恨むな、とは言わん。だがそれだけの覚悟をしてくれ』

 

サイラオーグさんがそう言うと兵藤は答える。

 

『こちらも殺す気で行きます。そうじゃないと勝てなさそうだし、ここで勝たないとリタイアした皆と岸波先輩に顔向けできないんで』

 

どうやら、男二人は本気のようだ。ここからは止まらないだろうよ。

 

 

Side out

 

 

イッセーside

 

 

団体戦のフィールドは広大な平地。そこに俺らは立っていた。

 

拳に力がこもる。クールになれ。理性で理解は出来ていても、本能は理解を拒む。どうしても先ほどの第六試合の光景が瞼の裏に流れる。

 

北欧トップの魔法が効かず、抵抗することも出来ずに散ったロスヴァイセさん。

 

最後の最後で攻撃を全身で受け止め、倒れたゼノヴィア。

 

諦めずに抗ったが見るも無残に敗北した木場。

 

分かってる。分かってるんだ。これがレーティングゲーム。『勝つためなら犠牲だってやむを得ない』。そんな世界なんだ。

 

けどよ、それでもこの怒りを間違いだなんて思いたくない。俺を信じて託してくれた皆の想いを無駄にだけはしたくない。だから、ここで勝つ。たとえ俺の身が砕け散ろうとも、俺がサイラオーグさんを落とし、部長が残れば勝ちだ。

 

――「イッセー」

 

何でしょうか、エルシャさん?

 

――「思いっきりやっちゃいなさい」

 

当然です!

 

実況の声がマイクを通して聞こえてくる。

 

『さぁバアルVSグレモリーの若手頂上決戦もついに最終局面!サイラオーグ選手のもたらした提案により、団体戦となった最終決戦!バアル側は『王』サイラオーグ・バアル選手と未だ謎多い『兵士』のレグルス選手!対するグレモリー側はダイノソウル姫でお馴染みの『王』のリアス・グレモリー選手と皆のヒーロー・グレートドラゴンこと『兵士』の赤龍帝・兵藤一誠選手!』

 

観客席の方からも、子供たちのグレートドラゴンコールが聞こえてくる。俺の背負うものが今そこにある。

 

程々に高揚してくる。なんだろうな、この感覚は。知っているようで知らなかったような、不思議な感覚だ。

 

――「そりゃお前、『ヒーローとしての責務』って奴だろ?」

 

……そうだな、そういうことだよな。ありがと、ドライグ。

 

俺は頬をぴしゃりと叩いて気合を入れる。

 

『さて、最終試合を始めようと思います。準備はよろしいですね?』

 

審判の言葉に俺達は首を縦に振る。審判が両チームの間に入った。

 

『……では最終試合、開始してください!』

 

ついに始まる最終試合。俺と相手の覆面『兵士』は即座に『女王』へとプロモーションした。まだ粗削りなところもある。それでも前みたいに振り回されることはなくなった。

 

構える俺と部長。そんな中でサイラオーグさんは小さく笑った。え、なんだ?

 

「リアス、先に言っておくことがある」

 

「何かしら?」

 

「お前の眷属、実に素晴らしかった。いや、素晴らしい。妬ましい程にお前のことを大切に思い、忠を尽くしている。それ故に、強敵ばかりだった」

 

な、何ていうかあんたほどの男がそう言うなら木場達も報われるよ。だけど、手を抜くことはしない。

こっちもこっちで色々背負ってんだ。

 

俺は禁手化(バランス・ブレイク)をした。

 

「互いに同じ手駒。似たようなものだ。終局ももうすぐだな」

 

「ええ、そうね。でも、私の勝利で終わらせるわ」

 

部長が啖呵を切る。部長のそれに満足そうにするサイラオーグさん。

 

「フッ、それでいい。……兵藤一誠。ついに、だ。ついに来たな」

 

サイラオーグさんが俺の前に立ってそう言う。

 

グレモリー城の地下でやり合った、いや、やられた時以来だ。あの時は全く歯が立たなかった。巨大な壁だった。でも、今は違う。俺はここで、その壁を砕く。

 

「互いに多くの仲間を失いました。そのことについては恨みっこ無し……そう思いたいんですけどね、俺もまだ甘いんで、あなたを無心で殴れるほど強くないです。俺は、まだ子供です。それでも、あなたを超える。それこそが、皆の託した願いであり、岸波先輩が俺に期待していること。だから、ここで怖気づいてしまうことなんてないです」

 

俺の言葉を聞いて、サイラオーグさんは打ち震えている様子だ。

 

「ああ、そうだ……っ!お前は少なくとも仲間の敗北に耐えられるような男ではない。寧ろそれを受けて怒りを力に変えるタイプ。よくぞ、ここまで耐えた。俺達には背負うものがある。いわばこれは信念のぶつかり合い。決着の戦いにふさわしいっ!」

 

俺は背中のブースターを噴かし、最速で最短で一直線にサイラオーグさんへと向かっていく。

 

サイラオーグさんも負けじと闘気を纏い、地面を蹴って飛び込んでくる。

 

交差する俺とサイラオーグさんの拳。スローモーションに見えるその光景を目に焼き付けながら、クロスカウンターの要領でお互いの顔面に拳が刺さる。

 

爆音が響く。鎧越しなのに痛みが半端ない。中の俺ごとすっ飛んでいきそうな衝撃と痛みが俺の頭に襲い掛かる。

 

一撃で兜も破壊された。だからなんだ、ここで折れるような俺はもう捨てたんだ!いくぞドライグ!

 

――「応よ!」

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!!』

 

瞬時に増大していく拳。力の宿るそれをサイラオーグさんの顔面に打ち込んだ瞬間、そのインパクトを増大させる。

 

サイラオーグさんの鼻から血が流れ、口から血が流れ出た。その体も少しだけだが、よろめいた。

 

「今の一発は、倒れた仲間の届かなかった一撃です」

 

そう言うとサイラオーグさんは口を拭う。

 

「実に練り上げられた拳……!その気迫、覇気が俺の体に流れ込むようだ。産まれた時から悪魔の俺と違ってまだ月日の浅い中、どれだけ己を苛め抜いた!?その拳は生半可な想いと覚悟では鍛えられるものではない!」

 

そうさ、俺は半端者だったさ。だからあの時あなたに……いや、それ以前からずっと負けっぱなしだった。だからちょっと腹を括っただけだ!

 

「新形態も見せずにいたのは舐められたものかと思ったが、杞憂だったな。その形態の禁手(バランス・ブレイカー)でも十分に力が底上げされている!」

 

「色々試しましたけど、結局この通常形態が一番扱いやすいんです。先輩が言ったんですよ、『初めて握る神の剣よりも、手に馴染んだ普通の剣だ』ってね」

 

俺が基本に忠実になって鍛えたきっかけだ。以前にそう言われてたが、一番意識するようになったのはトリアイナの譲渡ビームの一件が難しいとなった時。先輩が基本の大切さを教えてくれた。

 

そもそも、俺には才能がない。小猫ちゃんのようなフィジカルも、木場のような速さも、朱乃さんやロスヴァイセさんみたいな魔力もない。だからこそ、下手に新しい力で動くよりは、一番最初に得た馴染みのあるそれを鍛えてやろうと思ったんだ。

 

――「全く、新技を閃いたり教えられたりしておきながらこの姿で基礎訓練とはな。おそれいったよ」

 

誉め言葉、ありがとな。

 

数々の基礎訓練のおかげでカウンター気味に拳をいれれば、俺でもダメージを入れられる。それが分かっただけでもいい。大きすぎる収穫だ。

 

ドライグ、『分かっているな』?

 

――「ああ、あっちの攻撃が来た時に防御を増大させる。ただし、これを連発しすぎると体力が切れるからな。気を付けろ」

 

いいさ。今は最終決戦。贅沢だって許される。

 

そこから始まるのはサイラオーグさんとの殴り合い。実戦の中で覚えてきた俺のものに対して、ちゃんとした体術を覚えているサイラオーグさん。いつか俺の方が限界を迎えるだろう。いやぁ、これでも先生や先輩からある程度体術は学んでいたんだけどな!経験値が違いすぎる!

 

それでも何とか食らいつけている。努力も舐めたもんじゃない!

 

「死線の中、実戦の中で練って来た攻撃か!的確に、そして確実にこちらの中心点を狙ってくるな!」

 

サイラオーグさんは笑いながらそう言う。随分余裕なことだ!俺なんて食らいつくので必死だってのによ!

 

とりあえず、一定の距離を開ける。まず様子見。そしてまた殴る。俺に出来る数少ないことだ。

 

ふと、視界に部長と、あの人に対峙する『兵士』が見えた。奴が仮面を取ると、そこにいたのは俺と都歳の変わらないだろう少年。

 

だが、それはその一瞬だけ。体中から快音とも言うべき音を立てて、体が盛り上がっていく。

 

膨れ上がる体は姿を人のものではなくさせた。金色の毛を全身に生やし、腕や足は太く逞しいものに。そして口は裂け、鋭くて大きな牙を覗かせる。尻尾も生えだし、首の周りには金色の毛が生えそろう。

 

そこにいたのは巨大なライオンだった。額には宝玉が埋め込まれている。

 

『おおーっと!?バアルチーム謎の『兵士』。その正体は巨大な獅子だったー!』

 

実況の人も驚いている。俺には驚くような余裕はないけどな!

 

『まさか……ネメアの獅子っ!?』

 

『ネメアだと……!?』

 

アザゼル先生の驚いた言葉に先輩も驚く。

 

『レッドゾーン様もご存じなのですか?』

 

『ええ。『ネメアの獅子』。ギリシア神話の大英雄・ヘラクレスの12の試練の一つの相手です。その体にはいかなる遠距離武器が効かず、そして本体も堅牢。そんなヘラクレスが奴に対してとった行動は『絞殺』でした。そして最期はそれで討たれた。あの世界的英雄のヘラクレスに手段を絞らせ、悪あがきをさせた伝説の獅子です』

 

『大体岸波の言う通りだな。だが、あの宝玉……まさか……っ!!?』

 

アザゼル先生が何かに気付いた様子だ。

 

『一体あの宝玉はなんでしょうか、総督殿?』

 

『今岸波の言った件のネメアの獅子。今はその中の一匹が神器に封じられている。神滅具(ロンギヌス)にも名を連ねるほどのものだ。極めればその一振りで大地を割り、巨大な獅子に姿を変えられる……『獅子王の戦斧』(レグルス・ネメア)!敵の飛び道具から所有者を守るとも言われている。所有者がここ数年行方不明と聞いていたんだが、まさかバアル眷属の『兵士』になってたなんてな……!』

 

ま、マジで!?あれ……というより、あいつ神滅具なの!?そんな中でサイラオーグさんは首を横に振る。

 

「いや、残念ながら所有者は死んでいる。俺が本来の『獅子王の戦斧』の所有者を見つけた時は既に殺された後でな。神器の斧だけが無事だった。本来、消えるはずのそれ。それはあろうことか意思を持ったかのように獅子へと姿を変えて、所有者の仇を討った。俺が眷属にしたのはその時だ。母の血筋ウァプラは獅子を司る。これも何かの縁だと思ったのでな」

 

まさに、『運命』って奴か。

 

『なんつーか、色々聞きたいけどよ……おいサイラオーグさんよ!今後その獅子を俺の研究所に来い!俺、すっげー調べたい!』

 

解説席のモニターを見るといい笑顔の先生。普段以上に輝いてるよ、あんた。まぁ、そんだけ珍しいってことか、なぁドライグ?

 

――「そうだな。こんなことが起こるなんて知らん。俺の場合だと、所有者が死ねば俺の意識は途切れ、気が付けば次の所有者の所だ。白いのも同じだろうよ」

 

なるほどね。神器の世界も楽じゃないってことか。

 

「所有者無し故か力が不安定でな。このゲームまでとてもじゃないが出せるものじゃなかった。敵味方関係なく暴走してしまっては勝負にならないからな。出せるなら、今回のように俺と共にでなければならない。いざと言う時に止められるのが、俺だけだからな」

 

そうか、今までレグルスを出さなかったのも、こうして最終試合を団体戦にしたのも、全てあんたの策ってことか。やり手だな、サイラオーグさん。

 

第二ラウンドのゴングがなろうとしている。俺はちょっとボロボロ。サイラオーグさんもダメージを負っている。部長とレグルスはまだ無傷。

 

どうなるかなんて分からない。それでも、俺は勝つ。勝って、皆の希望を守るんだ。

 

イッセーside out

 

 

 





中途半端ですが、文字数のキリの関係でここまで。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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