ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~ 作:ブラッキオ
イッセーside
審判の声を俺は待つ。
もう立てないだろう。そう思っていた。
少し俺は気を緩める。
そんな時、サイラオーグさんの傍らに女の人が現れる。え?だ、誰?
――「多分だが、お前にしか見えていない。それにしても誰だ?」
『……なさい』
何か呟く女性の幽霊っぽいなにか。
すると、サイラオーグさんがわずかに動く。
そんなサイラオーグさんを女性はその名を呼ぶ。
『サイラオーグ』
そう言えば、あの女性、聞いていたサイラオーグさんのお母さんの特徴と当てはまるな。
でも、確かあの人のお母さんはシトリー領の病院のはずだが?
――「あれか?レッドゾーンの治療って奴でこうなったってか?」
ドライグがそれっぽいことを言う。ああ、なるほど。あの奇跡の擬人化ならこれくらいのことはやりかねないな。
『立ちなさい。立って!サイラオーグ!』
その口からは俺しか聞こえない言葉が発せられる。必死に戦う息子をねぎらい、心配する優しい母親のものではなかった。厳しく、誇り高く、気丈なもの。応援ではなく、叱咤。
一見すれば非情にも思える言葉。それが今のサイラオーグさんには、必要な言葉だった。
『誰よりも強くなるんじゃなかったの?』
サイラオーグさんの体が動き出す。
『夢を叶えなさい!あなたの望む未来を作りなさい!』
サイラオーグさんの拳に力がこもり出す。
『自分の味わったものを、後世に残さないために!誰も悲しませないために!そのためにあなたはその拳を握ったのでしょ!』
目に光が戻る。
『例え生まれた世界が違っても、結果的に素晴らしい能力があれば誰もがそれ相応の地位につける世界!それがあなたの望む世界!これから生まれてくる子供たち、未来を生きていく子供たちが悲しい想いをしなくていい世界!それを作るのでしょうッ!レッドゾーンが私達を信じたように、誰もが自分の未来を信じられる世界を作るって決めたのでしょッ!』
全身を闘気が纏い始める。
『さぁ、いきなさい。私の愛しいサイラオーグ。あなたは……私の自慢の
女性の幽霊は消えていく。瞬間、覇気が飛んできた。地を踏みしめ、全身から血を流し、それでも漢が立ち上がる。
「オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」
傷だらけの獅子が、立ち上がった。
それは雄々しく、悲哀を感じ、透き通った力強い咆哮。
会場が震える。俺の魂が揺さぶられる。
色んな感情が、俺の細胞を沸き立たせる。
「兵藤一誠ッ!まだだッ!まだ終わってないッ!俺は、俺には叶えねばならない夢があるッ!答えねばならない期待があるッ!ここで折れるわけにはいかんッ!」
……あんたがうらやましい。俺が先輩やエルシャさんたち、たくさんの人達の助けを得てようやくやれたことを、たった一人でやってのけた。……いや、お母さんの言葉で思い出し、立ち上がった。俺のようにもろくない。ずっとしっかりした人だ。そりゃ、先輩にも気に入られるわけだ。
妬ましい。妬ましいよ……。だからさ……
「俺だってここで折れるわけにはいかねぇんだ!!」
俺もそれに呼応し、サイラオーグさんへと飛び込んで、クロスカウンターを決める。互いの顔面に拳がめり込む。
痛い。本当にさっきまで気を失いかけていた人物なのか疑いたくなる程に痛い拳。
それでも、俺は負けるわけにはいかない。
何度も何度も殴り合う。それでも、サイラオーグさんの瞳から光は消えない。寧ろ強くなる一方だ。
それに、拳も心なしかさっきより鋭い。俺の全てを持っていく。そう感じるような一発ばかりだ。
拳を受けて分かった。この人は今までの強敵とは違う。
ヴァーリも、曹操も強かった。サイラオーグさんはあいつら以上の腕力とかそういうのもある。けど、それ以上に……この人は『勝利への執着心』がけた違いだ。
『もう次は無い』『明日などいらない』。そう言わんばかりの覚悟、意地。それらが伝わってくる。
『後退』と『諦め』という言葉を捨てた、俺のような甘ちゃんとは違うもの。それがこの人を後押ししている。
すげぇ……すげぇよ、あんたは……!
けどな、俺だって負けるわけにはいかねぇんだ。ここであんたに『はいどうぞ』と勝利をくれてやるわけにはいかないんだ。だって、俺には岸波先輩がいるから。あの人のことを踏みにじってはならないから!
あんたと同じだよ、サイラオーグさん。俺の中には、ずっと岸波先輩がいるんだ!届かなくても、手を伸ばしてしまうような光がそこにいるんだ!
「俺には……夢らしい夢がない……ッ!」
拳を入れ続ける。
「とても……みんなから褒められるものじゃない……ッ!」
拳を突き出す。
「でも!俺にも……夢は守れる……ッ!」
俺は先輩からもらった言葉を言う。今なら分かる。あの言葉の真意が。先輩が何を言いたかったのか!
サイラオーグさんへと拳が届く。確実に芯を揺らす。
「俺は……俺は最強の『兵士』になる!そして……あの人の背中に追い付くんだ……!」
俺の右ストレートがサイラオーグさんの顔面を捉えた。
今から放つのは俺の尊敬する男が俺に教えてくれた最高の技だ。
「
俺はその瞬間、左の拳を突き出す。
「
大爆音を立てながら、サイラオーグさんの顔面を左拳が捉える。その二撃は、サイラオーグさんを揺さぶるのに余りにも大きな攻撃だった。
それでも、サイラオーグさんは倒れない。俺の技はまだ未完成、ってわけか。
ならもう一発!そんな時、俺の体から力が抜けていく。
――「……時間切れだ、相棒」
そ、そんな!これじゃまるでライザーの時みたいなじゃねぇか……!
それでも、俺は諦めず、生身でサイラオーグさんに向かう。拳がある。ならまだ戦える!
俺が弱っちぃ『人間』としてサイラオーグさんに立ち向かおうとしていた時だった。俺はサイラオーグさんの異変に気付く。
「サイラオーグ、さん……?」
俺がそう呟くと、レグルスが声を発する。
――「もういい、赤龍帝……もういいんだ……」
獅子は鎧の目の部分から涙を流し出す。
――「我が主は……サイラオーグ様はもう……!」
サイラオーグさんは拳を突き出し、こちらに向かおうとしながら……意識を失っていた。
――「先ほどから既に意識はなかった……それでも、サイラオーグ様は立ち向かい、戦おうとした……」
「なんで……どうしてそうまでして……」
――「うれしそうに……ただ真っすぐに……あなたとの夢をかけた戦いを楽しんでいた……心の底から……!今まで見たことがない程に……楽しんでいた!それ以外の理由は、この方には不要だった……!」
レグルスが声にもならないような感情を込めて、そう言う。
サイラオーグさんの目は、眩しいくらいにギラついていた。『まだだ』。そう言っているのが分かる。
そっか……サイラオーグさんは意地だけで……先輩が散々俺に言ってきたもので……。それでそんなに体をボロボロにしても……。
一心に……ただ前に……夢のために……己の悲しみを打ち砕くために……未来のために……。
気が付くと俺はサイラオーグさんに頭を下げていた。
「ありがとうございました……ッ!ありがとうございましたぁああああああ!!!」
俺は涙しながら、感謝を告げ、彼を抱きしめた。聞こえているか分からない。それでも伝えなきゃいけないって思った。
『サイラオーグ・バアル選手、投了。リタイアです。ゲーム終了。よって、リアス・グレモリーチームの勝利です!』
アナウンスが響く。会場が熱気に包まれた。俺の視界は、スゥーっと暗くなっていった。
イッセーside out
終幕。
諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。
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無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
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逃げるな卑怯者(炭治郎並感)