ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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人生で初めてビリヤニなるものを食べたのですが、思った以上に美味しくて驚きました。




第127話 渦巻く不安と愚者の列

 

イッセーside

 

試験当日になった。俺は先輩にもらったチーズケーキと寒天ゼリーパワーでここ数日を乗り切った。今の俺は負ける気がしない。

 

試験会場は冥界にある。会場まで行くのは俺と木場、朱乃さんの受験生と俺のマネージャーであるレイヴェルだ。部長筆頭のオカ研の皆や先生たちは会場の近くにあるホテルで待機してくれるって。俺、恵まれてんな。

 

今、俺の冥界人気は凄まじいそうだ。何でもサイラオーグさんとの一戦でお互いに株を上げた結果、とんでもないことになった、とアザゼル先生に言われた。

 

いやぁ、そう言うのは岸波先輩の仕事だと思っていたんだけど、俺もついにその領域を見ることになるとはなぁ。感慨深い。

 

今は待機組に見送られている最中だ。最中なんだが、一つ気になることがある。

 

「ギャスパーと岸波先輩はどうしたんすか、先生?」

 

そう。何だかんだ俺のことを慕ってくれている、と思っているギャスパーとこう言うのにノリノリそうな岸波先輩がいない。どうしたんだろう。

 

「ギャスパーはグリゴリの研究機関に行った。あいつも自分の神器に思うことがあったようだからな、力を貸しただけだ」

 

「なるほどねぇ」

 

初対面では絶望とか色々あったけど、今じゃ可愛い後輩だ。あいつもあいつなりに変化しているんだと思うと負けてらんないな。

 

「あいつにとって外の世界に出るのは相当な覚悟が必要だっただろう。その道を舗装したのは岸波で、背中を押したのはお前だってことだ」

 

「お、俺がっすか?」

 

俺がギャスパーの背中を押した、のか?実感はないけど、アザゼル先生がそう言うならそうなんだろうな。かなりうれしいゾイ。

 

「んでもって件の岸波先輩だが、お前だって知ってんだろ?数日前から食中毒の腹痛でノックアウトだ。しかもその勢いで弟から溶連菌まで貰ったそうだ。だろ、リアス?」

 

「ええ、私も驚いたわよ。あの人の腹を下せるだけの存在がこの世界にいるなんて」

 

あー、そう言えばそうだったな。一昨日から先輩が学校を休んで、気になって部長に聞いたら『生牡蠣を食べてお腹を壊した』って言ってたな。で、昨日になったら『弟君から溶連菌を貰った』って。そのせいで『生牡蠣と溶連菌>先輩>二天龍>三大勢力最高戦力たち』っていうクソみたいな構図が出来たんだっけ?あれに関してはドライグさんも大泣きしていたな。

 

――「俺達は……俺達は食用の貝以下なのか……!」

 

何というか、ご愁傷様です、先輩。今度は俺がお見舞いの土産物を持っていきますね。

 

「それじゃあ、今頃ベッドで寝ている先輩に祈りを捧げますね」

 

「んなことしてる暇あったら試験に集中しろ……」

 

「うっす」

 

そう言えば、今の見送りにはいないが、待機するホテルには先輩の代理で来てくれた小猫ちゃんのお姉さんの黒歌さんとアーシアがいる。

 

それとオーフィスもいるそうだ。当然のようにルフェイとフェンリルもいる。何でも、『サーゼクス達にだけは話を通す』とアザゼル先生は言っていた。

 

「イッセー様方、そろそろ時間ですわ」

 

レイヴェルがそう言う。腕時計を見ると試験の時間までもう少しの所だ。

 

「それじゃあ、いってらっしゃい」

 

「いってまいります、部長!」

 

俺達は誇り高い『王』に見送られながら、試験会場へと向かった。

 

 

イッセーside out

 

 

リアスside

 

 

私は試験にも臆することなく足を進める眷属達を見送った。どうやら、うまく騙しきれたみたいね。

 

「……リアス、よくやった」

 

「あら、素直なのね」

 

アザゼル先生の言葉にそう返す。正直言って、私も私で心的なストレスは大きい。

 

「俺だってこんな状況になったら嫌でも素直になるさ。だからこそ言う。お前はすげぇよ」

 

「誉め言葉は正直何の足しにもならないわ。……それで、件のことは分かって来たの?」

 

「ああ、お前の情報とヴァーリの情報を照らし合わせた。あいつが消えたのは、間違いなく曹操の奴の仕業だ」

 

件の話。それは『岸波大地の消失』。

 

それは三日前の夜。イッセーの家にお土産を持って行ったきりダイチが帰ってこなくなったこと。その日の夜、駒王町に侵入者が現れたのもあったけど、英雄派の連中が同時刻にやってきて、そっちの対処をしていた。そのせいもあって、もう一つの方の異常に立ち会えなかったのだけれど、その現場に行ってみたら血だまりがあった。

 

その血は、一目でダイチのものだって分かったわ。だって、あんなにも禍々しくて、憤怒に満ちた血を流せるのは、それこそ名だたる大悪魔の類でなきゃ無理だもの。それくらいの負の感情が籠ったものだった。それにこれは直観だったけど、あの血からはいつも私が受けている優しさを感じた。証拠なんてない。けど、確信しているの。あの血がダイチのものだって。

 

だからこそ、受け入れがたかった。ダイチが誰かに負けるなんてこと。

 

それからもダイチは帰ってこなかった。すぐにアザゼル先生に報告したら、『もしかしたら英雄派の仕業かもしれない』って言っていたわ。何でも、ヴァーリから奴らが空間に干渉する魔術を使う方法を知ったって言っていたし。

 

それからはダイチの家は暗くなった。朱乃は想い人がいなくなったことでずっと動揺している。今回の試験程度なんてことはないでしょうけど、それでも良くない方向での逆転の芽を生んでしまった。

 

酷かったのはダイチのご両親とハルキちゃんだった。

 

ダイチが勝手にいなくなったことでパニックに陥っていたわ。悪魔のことは知っているから、アザゼル先生と一緒にある程度事情を誤魔化して話をしたのだけれど……

 

―「大地は……大地は帰ってくるのですよね……?」

 

―「落ち着いてください、お母様。今こちらが世界最高峰の技術をもってして捜索させています。もうしばらくお時間を……」

 

―「大地は帰ってくるのかと聞いているんです!あの子は……あの子は私達の大切な息子なんです!何で……何であの子だけがこんな……!!」

 

―「アザゼル先生。あなたの事情はよく分かりません。ですが、僕らの息子が帰ってくる保障がないなら、気休めはやめてください」

 

―「にぃに……どこなの……うわぁああああん!!」

 

ダイチがなんであの一家に深く肩入れするのかよく分かったわ。あの一家はあの人が大切に思い、そして失ったものを全部持っている。そして、その輪の中に入れて無償でくれた。悪魔の私が言うのもあれだけど、あの人達は聖人すぎる。

 

ダイチのご家族があの様子で分かったが、祐斗やイッセーも試験に影響が出る。特にイッセーはダイチのことをよく慕っている。事の真相を知った暁には試験どころじゃなくなるのが目に見える。だからアザゼル先生と共に、かん口令を敷いたわ。

 

朱乃が知ってしまったのは、もう事故と思うしかないわ。私が謝る筋合いはない。だけど、それでも謝るなら、無茶な期待をしてしまってごめんなさい、朱乃。

 

ただ、一つ気になったことがあるの。これはアザゼル先生も『俺からは何とも言えない』と言っていたんだけど……黒歌とアーシアが妙に落ち着いていたのよ。

 

黒歌とアーシアはダイチの眷属と御使い。何より恩人にして愛する人。その消失となったら一番慌ててそうだったのに。私が色々心配した時だけど……

 

―「なぁに、あの朴念仁のことにゃ。どうせ酒の一つでも持って帰ってくるにゃ。出来れば焼酎がいいにゃ。赤兎馬の紫辺りとかいいね」

 

―「私もダイチさんの無事を信じています。信じていますから、私の出来ることをするだけです」

 

なんて、若干の強がりを感じつつもそんな返答。あなたたちに一体何があったの?

 

 

リアスside out

 

 

イッセーside

 

 

―『そりゃおめー、相手は中級悪魔でも上の連中が行くところだぞ?お前らはそうでなくても上級悪魔級かそれ以上の実力だってのに。今回の実技がぬるいと言ったのも分かっただろ?』

 

試験が終わっていの一番にアザゼル先生に電話したらそう返された。筆記試験は気合と根性と努力のおかげでなんとかなった。そして実技の方だったんだが……何というか拍子抜けした。試験官との戦いだったんだが、余りにあっさりと終わったせいで『これ、いいんだよな?』ってなったのは今でも覚えている。

 

そんなこともあって、今俺達四人はホテルに移動して、その中にある貸し切ったレストランでのんびりと試験の疲れを労ってもらっている。

 

色々と感想戦とか今後の展望とかを話す。猥談が一番楽しいってのはあるけど、こういう未来を見据えた話も悪くないな。

 

それと、先日のサイラオーグさんとの戦いについて。

 

『覇龍』(ジャガーノート・ドライブ)の獣バージョンである『覇獣』(ブレイクダウン・ザ・ビースト)。理論的にはサイラオーグさんも出来るそうだ。ただ、そんなことが出来るあのレグルスを隠していたことはバアル家による独断であり、同盟違反になっているので、今バアル家は魔王様方に問い詰められている。天使や堕天使勢力からも文句が出ているそうだ。サイラオーグさんがまだ上を行くということも驚きだが、それと同じくらい世の中のめんどくささを感じた。

 

あと、アーシアの神器についての夢を聞いた。何とあの子は歴代の所有者に比べてかなり上の能力を誇っているそうだ。だから、これ以上回復速度やクオリティを上げるよりもスケールとかの拡大を図った方がいいとアザゼル先生に判断されていた。

 

そして出たのが『壁役』について。アーシアに無理に力をつけるより戦いを代行させる方がよいとアザゼル先生は言う。で、今のアーシアには使い魔的なものでドラゴンのラッセーと契約している。だが、このラッセーはまだ子供ドラゴン。壁役にするには無理がある。なので、アザゼル先生もアザゼル先生で先輩の御使いにふさわしい壁役な奴を探してみるって。

 

先輩。いよいよアンタの所だけで世界を崩せそうですよ。

 

「で、アザゼル。もうこの子たちに『あの事』を話すの?試験も終わったし、ちょうどいいんじゃない?」

 

「それもそうか。正直気が乗らないけど、バレることだしな」

 

「アザゼル先生?」

 

小猫ちゃんのお姉さん、黒歌さんがアザゼル先生にそう言う。何だろう、『あの事』って?

 

「イッセー、木場。それにレイヴェルと小猫。このことは既に朱乃は知っていることだ」

 

「何すか、急に」

 

「単刀直入に言う。岸波大地が急に消えた」

 

……ん?

 

「消えた、とは一体?」

 

木場がそう言う。うん、こいつが言うなら間違いないや。先輩が消えた。そうかそうか、先輩が、ねー。

 

「どういうことっすか、アザゼル先生?」

 

俺がそう訊くとアザゼル先生は言う。

 

「まずだが、事の下手人は英雄派の曹操。奴だが、つい三日前の夜に岸波に接触、そして何らかの術を使って奴をこの世界から追放したと思われる」

 

「つ、追放?」

 

「そんな無茶な……」

 

俺と木場はそう言う。三日前って、それ、先輩が俺んちに来た時じゃ……。それに先輩は今病気で……。

 

「先生、岸波先輩は今病気で寝込んでいるのでは?」

 

「ああ、あれは嘘だ。リアスと一緒にお前らに混乱を招かないために吐いた嘘だ。すまねぇ」

 

「そ、そんな……」

 

先生と部長が俺のことを心配してくれていたのなら責めることなんて出来ない。でも、先輩と一緒に過ごしている朱乃さんはそのことを知っていて、あれだけの冷静さを保っていたのか?

 

「ここからは俺の推測だが、あのチート野郎の岸波は『攻撃』に対しての防御面は厚いなんてもんじゃない。だが『攻撃』として認知されないもの……それこそ転移魔法のような類は一切防げない可能性がある。実際、リアスとライザーの時はグレイフィアの用意した魔方陣で飛んだそうだしな。だからこそ、曹操達はそこを突いたんだろう」

 

そ、そんな……!先輩が、そんなことに……!

 

「そんなことがあったのですね。……ただそれにしては黒歌さんやアーシアさんの落ち着き方が気になるところです、アザゼル先生」

 

木場がそう言う。俺も気になっていた。だってさ、あの二人って仮にも先輩の女でしょ?だったらもっと慌てていいと思うのよ。それこそ、よく見るとかなりメンタルをやられている朱乃さんみたいに暗くなってもおかしくないっていうか……

 

「聖魔剣のボーイの言うことも分かるにゃ。……ただね、あいにくこっちはご主人様から直々に『世界への宣戦布告』を託されているの。事の内容次第では三大勢力だけじゃない、色んな所を巻き込んだ全面戦争……いや、蹂躙だって辞さないそれを託されたの。そんなヤバいもん、いきなりポンと渡されたんだから、突然いなくなった程度で驚くのは無理ね」

 

「く、黒歌さん!それは……!」

 

「宣戦布告、ねぇ……。あいつも曹操やバアル家の連中のようなのがいる世界は認めたくない傲慢さくらい持っているだろう。何より、この世界の住人はあいつの『元いた二つの世界』の住人より圧倒的に弱い。不要と見なされれば……。いよいよ、破滅へのカウントダウンが始まったか?……クソがッ!今回は二天龍の時とは訳が違うんだぞ……ッ!曹操め、責任を取るつもりがないからここまでやりやがったな……ッ!!」

 

アザゼル先生が不穏なことを言い出す。やめてくださいよ。だって、先輩は俺達の『ヒーロー』なんですから、そんなことは……

 

そんな時だった。俺達の体をぬるりとした感覚が襲ったのは。俺はその感覚をよく覚えている。だからこそ、俺は即座に思考を変えた。そしてすぐに禁手化(バランス・ブレイク)した。

 

最近、カウントもほとんどないくらいに禁手化できるようになった。そのことも先輩に言いたかった。この歳になっていうのもあれだが、あの人に褒めてもらいたかった。なのに、曹操はその機会すらも奪いやがった。

 

うーん、ギルティ。

 

そんな風に思っていると、ソファの方に人影が。

 

「どうやら、あっちから来てくれたようだな」

 

「そうだね、イッセー君」

 

そいつは槍をこっちに向けてくる。

 

「やぁ、久しいね、赤龍帝。それにアザゼル総督。京都以来だな」

 

「曹操……ッ!!」

 

イッセーside out

 

 

 





感想欄に新着があるといつも見ています。皆様の温かい声がうp主を頑張れらせます。
それはそれとして頭を抱えているのは確かです。一応、構成というか『この後どう着地するか』ってのは決めてあるのですが正直不安しかないという。
何はともあれ、イッセー君がかっこよくなればいいなと思いながら今後も続けます。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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