ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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第150話 禁断の終わり

 

そこに君がいた。

 

そこに全てがあった。

 

破滅も何もかもがどうでもよくなるほどの愛があった。

 

ならば謡おう、全ての始まりを。

 

 

 

イッセーside

 

「せ、せせせせ先生??!!これは一体どういう!!?」

 

「ヴァーリ、パス」

 

「断る」

 

先輩の奥さんが目の前にいる。実写化とかそんなもんがちゃっちいくらいにそっくりなお方がいる。ど、どういうことだよ!?

 

「アザゼル……これは一体?」

 

サーゼクス様も驚いた様子でアザゼル先生に訊く。先生は頭に手を当てて答えた。

 

「こいつはな、神滅具『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』の今代の所有者、ラヴィニア・レーニだ。イッセーには前に言っただろう?『今代の『永遠の氷姫』は凶悪だ』って。そいつだよ。ほら、ラヴィニアも何とか言ってやれ」

 

「ラヴィニア・レーニと言います。魔女をやっているのです。それと、ヴァー君がいつもお世話になっています」

 

「こ、これはご丁寧に……」

 

ペコリと頭を下げるラヴィニアさん。思わず会釈を返してしまう俺達。

 

……ん?ヴァー君?

 

「ヴァー君?」

 

部長がそう言うと、隣からすごい大きな気配がした。

 

「……」

 

見るとヴァーリが何とも言えない雰囲気を出していた。フルフェイスの兜越しで伝わってきている。うん、これは触れない方が良さそうだ。人には掘り下げられたくないことが一つ二つあって当然だもんな。

 

「アザゼル先生、一ついいでしょうか?」

 

「何だ、木場?」

 

木場がそう言うと、アザゼル先生は返事をした。

 

「アザゼル先生はいつから岸波先輩の奥さんとラヴィニアさんの関係を知っていたのですか?」

 

俺達が疑問に思っていたことを言う木場。それに対してアザゼル先生は頭をポリポリと掻いて面倒そうに答えた。

 

「会談の時からだ」

 

「そんな前からかい?」

 

その言葉にサーゼクス様も驚かれる。

 

「だってしょうがないだろ!まさか、こっちの子飼いで神滅具持ちの魔女が俺達を救った異世界の英雄の嫁の生き写しなんてどんな確率だよ?!」

 

そ、そりゃぁそうですよね。俺だって突然『実は小猫ちゃんやゼノヴィアとは前世からの縁者だったんだ!』なんて言われたら頭がおかしくなったと思うし。

 

「僕達にそれを言わなかったのは、理由があるのかい?」

 

サーゼクス様が続ける。そうだよな。確かにアザゼル先生の縁者なら早くに会わせてあげることも出来るし、何でそうしなかったんだろう?アザゼル先生のことだし、何の理由もないことはないだろうけど……。

 

「理由は三つある」

 

そう言って指を立てるアザゼル先生。

 

「一つ、ラヴィニアはあくまでもただの『魔女』だ。下手に名前を大きくすると良からぬ悪魔が集る可能性を考えた」

 

「それは……確かに否定はしないな。あの岸波君のお気に入りの魔女となれば誰だって気になる。それに、岸波君を脅す材料にもなりかねないからね」

 

アザゼル先生の答えにさらっと恐ろしいことを言うサーゼクス様。魔女の世界も大変だ。俺もこの戦いが終わったら契約の見直しとかしないとな。

 

「二つ、こいつは最強の神滅具使いだ。それこそ、曹操やヴァーリなんて比じゃない。数多の神滅具持ちを見てきた俺ですら、こいつ以上の逸材はいないと思っている。そんなのが本格的に表に出たら……パワーバランスが崩壊しかねないと懸念した。そうでなくとも岸波が表に出て、俺達の味方をするせいで俺達はある種のヘイトを他勢力から買っているからな」

 

アザゼル先生が二本目の指を立てた。

 

「アザゼルは随分私を高く買っているのですね」

 

「だろうよ……。グリゴリ幹部が5人掛かりで挑んでようやく五分五分だったのが一昨年よりちょっと前だろ?その成長性なら、今じゃ神だって落としかねん……」

 

げんなりとするアザゼル先生。色々苦労なさっていたんだなって伝わる。

 

「三つ。三つ目なんだが……」

 

先生がオカ研の女性陣の方を見る。

 

「まぁ、いいだろ。もう周知の事実だし」

 

「何かしら?私達に関係あるの?」

 

部長がそう言うと無言で頷く先生。

 

「三つ。こいつが出たらあいつは他の女に一切靡かなくなる可能性が大きすぎた」

 

アザゼル先生の言葉に、皆一斉に黙る。靡かなくなる……ああ、そういうこと。

 

ここにいる皆は先輩のドがつくほどの愛妻家ぶりを知っている。だからこそ、悟った。

 

『ああ、この人には絶対に勝てない』って。

 

「言っておくが、こいつは過去に岸波に助けられている。しかも、岸波の野郎の感じだと、ラヴィニアを助けたこともしっかり覚えてやがる。こいつは、昔からラヴィニアをモブだと思っちゃいない。ただの付き合いの長さ以外で勝てる要素なんてないぞ。てか、これに関してはアーシアがいなくてよかったな。あいつが聞いたら気絶してたぞ」

 

アザゼル先生の言葉に部長と朱乃さんの表情が無に変える。ちょ、ちょっと!しっかり!!

 

「そんな感じだ。とにかく、色々理由があってのことだ、サーゼクス。申し訳ねぇ」

 

「いや、いいんだ。アザゼルにも理由があったらなら仕方のないこと」

 

サーゼクス様もいたたまれない感じで先生のフォローをする。

 

ちらっと隣にいる白いライバルを見る。上の空、ではなく何もない虚空を見つめている。

 

――「白いの?」

 

――「頼む、そっとしておいてやってくれ……。ノイローゼが再発しそうなんだ……」

 

「ダイチ……ウッ、頭が……」

 

ドライグが声をかけるとヴァーリの代わりにアルビオンが返事をした。何か、色々あったんだな。そっとしておいてやるか。

 

「お話は終わりか?」

 

ふと声をかけられる俺達。その声の主は、ドギラゴンだった。

 

「ドギラゴン、要望通りにラヴィニアを連れてきた。ここからどうする?」

 

アザゼル先生がそう訊くと、ドギラゴンが言う。

 

「こっちの準備は完了した。だろう、ドキンダム?」

 

「無論だ。ラヴィニア、ちょっとここの魔方陣の上に立て」

 

「はいなのです」

 

ドキンダムに誘われてドギラゴンとドキンダムが作ったと思しき魔方陣の上にラヴィニアさんが立つ。

 

「ラヴィニア、お前は『創聖のアクエリオン』は歌えるな?ここでそれを歌ってほしい」

 

「はい!今すぐにでも行けます!」

 

ドキンダムの問いにそう答えるラヴィニアさん。え、『創聖のアクエリオン』?なんで今?

 

「おい、ドギラゴン。今の切羽詰まった状況で歌なんてどういうことだ?」

 

「詳しく説明してほしい」

 

アザゼル先生とサーゼクス様の声にドギラゴンは答えた。

 

「ちょっとした余談になる」

 

「は?どういう……」

 

俺の声を遮るようにドギラゴンは言う。

 

「端的に言おう。『創聖のアクエリオン』はな、あいつが前世でアクエリオンへの止まらない愛を文字にした上、そのアクエリオンからも『うれしい』と感謝を告げられた思い出のラブレターみたいなものだ」

 

全員固まる。

 

「それって……」

 

「ああ、そうだな。ありゃ『青春時代の1ページ』、しかも『初恋』だ。空洞で虚無とも言うべきあいつを一気に満たしたのが、アクエリオンだった。あとは……察しろ」

 

「(まぁ、一部嘘で一部本当に近いんだが……まぁ、いいか。ドキンダム様は静かにしてるぜ)」

 

なるほどね……そんな背景があったのか……。

 

「どうりで愛が重い歌詞なわけで……」

 

思わずつぶやいてしまった。その言葉が聞こえていたのか、周囲からも同意の様子がうかがえる。

 

「それをあそこでラヴィニアを見て茫然としている馬鹿にぶつける。先ほども言った通り、今の岸波大地は『荒ぶる感情に身を任せている』状態だ。その感情を、別の感情……すなわち『愛』で黙らせる」

 

俺達の視線が岸波先輩へと向く。驚きの余りか、ずっとこちらを見て棒立ちしている。あれだけ荒ぶる神となっていた先輩が、一瞬で静かになった。これだけでも今の先輩にとってラヴィニアさんと言う存在がどれだけ大きいか伝わってくる。

 

そんな中で俺達を覆う感情があった。それは『安堵』だ。さっきまで聖槍だのなんだのと気を張ることが多かった。でも、今はそんなことを気にしなくてもいい。少しだけだが、大きな安堵を得た。

 

ドキンダムが声をかける。

 

「ドキンダム、こっちの準備は完了だ」

 

「ああ、分かった」

 

そう言って、ドキンダムとドギラゴンがラヴィニアさんの両サイドに立つ。すると、魔方陣から光があふれ出した。

 

「さて、この歌は冥界全土に響く愛の歌だ。この奇跡を、とくと見るがいい」

 

ドギラゴンの言葉が終わると、音楽が鳴り響いた。俺達が知っているアニソン調の『創聖のアクエリオン』ではなく、優しい管楽器の音色だ。

 

歌詞の一つ一つがこの冥界の空に響き渡る。神がいるなら、ぜひとも聞いてほしかったくらいの歌声だ。

 

こんなことを言うのもあれだが、きっとラヴィニアさんよりも歌の上手い人はいるだろう。てか、いるに決まっている。

 

だけど、この歌だけはそう言う人達でも超えられない美しさがある。それはきっと、先輩がこの歌に込めた『愛』なんだろう。

 

先輩がどれだけの年月を過ごしたかなんて分からない。けれど、文字通り12000年なんて軽く思ってしまうほどの『愛』が、そこにはある。俺は分かった。

 

長い年月によって歪まず、汚されない夢がそこにある。

 

聞きほれていると、先輩の様子が変わった。全身から光の粒があふれ出したのだ。どす黒い禁断の力を感じるものじゃない。もっと明るく、そして温かい光だ。

 

「♪~」

 

間奏のハミングが入る。どこまでも透き通った声。その声に、俺達は魅了されていた。

 

歌が2番に入る時には既に先輩の全身から光の粒があふれていた。よく分からないドキンダムXこと先輩の表情も残悔を叫ぶような表情をしているように見える。実際、先輩の目からは涙のように光があふれているからな。

 

「オレハ……オレハ……」

 

先輩の声が聞こえた。はっきりと言葉が聞こえた。さっきまでの怒りに満ちた声ではない。人間の言葉が聞こえた。

 

「オレハナンノタメニ……力ヲ……」

 

搾るように出された言葉。それは先輩の本心だった。先輩、あなたはどこまで自分で自分を苦しめれば……!

 

カランと快音が聞こえた。聖槍が落っこちたのだ。さっきまで先輩が持っていた聖槍がだ。完全に先輩の力が抜けていっている。

 

ラヴィニアさんの歌も佳境に入った。先輩の体はもう光に覆い尽くされている。

 

「君を知ったその日から僕の地獄に音楽は絶えない」

 

そうして歌は終わった。先輩が強い光を発し、そして小さくなっていく。次第に球体になっていった。

 

その光の球は俺達の近くに降り立った。

 

「先輩?」

 

光が消えるとそこには地面に仰向けに寝ている先輩がいた。傷一つ付いていない。

 

「先輩!!」

 

「ダイチ!!」

 

俺達は思わず先輩に駆け寄った。息はしているから生きていることには違いない。

 

ラヴィニアさんが抱き上げる。先輩は目を覚まさないが、どこか満たされた表情をしていた。

 

こうして、俺達の長い戦いは終わった。

 

先輩は帰って来たし、俺も強くなって帰って来た。全部が丸く収まった……なんて言えないけれど、それでも元の日常には戻れそうだ。

 

めでたしめでたし……かな?

 

イッセーside out

 

 

 





この作品に幕を下ろす理由3:データの破損
12章途中の投稿までに13章を書き上げていたのですが、以前お話した通りデータが破損しました。色々試しましたが、復旧も叶わず。少しでもバックアップを怠ったのが悪いのですが、それにしても急に吹っ飛んだので、精神的にきついものがありました。






次回、最終回。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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