ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~ 作:ブラッキオ
もっとノリと勢いが欲しい。
木場side
「よっ、お前ら。無事か?」
岸波先輩の軽い挨拶に、イッセー君の無事に僕らは安心感を覚える。ああ、良かった。イッセー君、君まで失ったら僕はどうすればいいか分からないよ……
「せ、先輩だ!」
「喜ぶのはいいが……兵藤、この辛気臭い空気はなんだ?」
「あ、えーっとそれはですね……「神の不在を知ったらこのザマだ、レッドゾーン」
イッセー君の言葉にコカビエルが割り込む。奴の発言を聞いて、岸波先輩は首を傾げる。
「は?どういうことだ?」
「そのままさ。神を信じてやまない連中が、神の死を知り、絶望した。この俺にも実力が届かなくて、だ。弱い連中だ、そうもなろう。だがお前は違うだろう、レッドゾーン?」
「……なるほど、アーシアとゼノヴィアさんがしみったれているのはそう言うことか。それで?その後俺の後輩を、塔城さんと兵藤の馬鹿を殺そうとしたのか?」
「こんな弱い奴らがいたところで世界は変わらん。だが、おかげでお前を呼び出すことは出来た。塵芥でも役に立ったな」
コカビエルの笑みに対し、岸波先輩は無表情を貫く。でも分かる。普段不器用だけど優しい先輩が怒っている。
「……はぁ。OK、大体把握。要は『神いない。こんな世界なんて何の価値がある』ってのと『おめーに勝てない。無理だ死んでしまおう』ってことか。OK、OK。……これは説教がいるな」
先輩が事の次第を読み取った。そして次の瞬間、先輩は叫んだ。
「スゥー……黒歌ぁあああああ!!!」
先輩が突然、冥界のお尋ね者の名前を叫ぶ。え、黒歌?なんで小猫ちゃんのお姉さんの名前を?
僕達の疑問を余所に、魔法陣が現れ、そこから一つの人影が飛び出す。
「にゃっはー!呼ばれて参上にゃー、ご主人様!」
……え?
「な、なんで……?」
「白音、けがはない?」
「あ、え……?」
小猫ちゃんが困惑している。それもそうだ。彼女にとってお姉さんは自分の命を奪いかけた怨敵であり、肉親。その複雑な感情は僕らには到底理解できない。そんな相手が自分の先輩に呼ばれて現れたのだから余計に理解できないだろう。
「黒歌、あのカラスもどきにどれだけ粘れる?」
「そうねー、ざっと15分。でも、いたぶってから殺せというのなら10分でも大丈夫だけど?」
「いや、殺さないでいい。あいつの相手、頼めるか?」
「合点。いくわよー、ゴミ山に集るカラス!」
「はぐれ悪魔風情が馬鹿にしやがって……!」
小猫ちゃんのお姉さん、黒歌とコカビエルの戦いが始まった。それを余所に岸波先輩は僕達の方を向く。
「さて、まずだが……アーシア、君に聞きたいことがある」
「は、はい」
先輩は声色を優しくして、アーシアさんに声をかける。
「俺は運命ってのは、未来ってのは変えられると思っている。それが人間の持つ力だからな。そこに神は一切の介入は出来ない。その上で聞きたい。俺と君の出会いってのは『神に決められた運命』って奴だったのか?」
「……」
「俺はね、そうは思わない。もしかしたら誰かによって決められたものだったかもしれない。それでも、俺と君の出会いは神が決めたんじゃなくて、君が求めた繋がりだと思っている。あの教会の時だってそうだ。君は神に助けを求めたか?」
「……いいえ、確かにダイチさんに助けを……」
その言葉を聞いて、先輩は満足げにしていた。その鎧姿では分かりにくいけれど、その目は満たされていた。
「神は死んだだろう。というか、聖書に名前が載っている大物がそう言っているんだ、確かなんだろうな。けど、神がいなくても俺達は巡り合えた。君は生きてこれた。兵藤達とも手を取り合えた。君はもう一人で飛べる。だからさ、今すぐ神から自立しろとは言わない。けれど、君が思うより君自身は強く立ち上がっている。神の愛を必要とせずとも生きていることだけは忘れないでくれ」
先輩は優しく説いた。確かにそうだろう。神に運命を委ねられているのであれば、神のいないこの時代に出会えた僕らというのは一体何なのだろうか。
「それでも神がいなければ何も出来ないのが人間だと言いたいなら、こう言わせてくれ。……神に逆らい続けた俺と、神に見放されて異端となった君が出会えたのは一体どういうことなんだ?それに、俺が君を守った姿は、誰かに命じられるだけの情けない姿だったかい?」
「ダイチ、さん……!」
アーシアさんが泣き出す。
「ゼノヴィアさん、あんたもそうだ。俺達の出会いは少なくとも神の意志は介していない。あの時の謝罪だってそうだ。自分から進んでやれたんだ。神に命じられ、神に操られてしたわけじゃない。だから自分で立ち上がれた自分をもっと誇れ。そしてこれからもそんな自分を誇っていけ。戦士なんだろ?この程度でくじけていたら、本当に守りたいものすらもその手から離れていくぞ?」
「レッドゾーン……」
「……さて、ここからは厳しくいくぞ」
そう言うと、先輩の目が変わった。部長の婚約パーティーの時のそれと同じだ。
「てめぇらなんだその情けない面は!!これが俺の信じたリアス・グレモリーとその眷属の面か!!」
その声に、思わず体を震わせてしまう。まるで親に悪戯がばれて説教される子供のように。
「俺は信じてたよ、君達は俺よりもずっと強いって……俺なんか本当は関わってはならないくらいに眩しい存在だって……。なのになんだこの体たらくは!!馬鹿にするな!!」
違います……僕達の方が関わってはいけないくらいなんです……それだけ、僕達は……
「俺はな、人間が好きなんだ。どんな深い絶望の闇に覆われようとも、その光は決して消えない。その輝きに、俺はどれだけ救われてきたと思っている!どれだけ憧れてきたと思っている!……俺が見てきた奴らは皆、諦めなかった。どれだけ高い壁であっても、命を散らすことになっても、『それでも』と言い続け、抗ってきた。社会的な弱者だろうと、必死になって戦っていた。『これが生きる者の力か』って何度も思ってきた。中には君達ほどの才能もない奴もいた。そんな奴さえも抗い続けてきた。なのに……なのになんで君達はそんな簡単に諦める?!なんでそんなにも簡単に生きる者の特権と尊厳を捨てられるんだ?!」
先輩の悲痛な叫び。僕達は今、大英雄を失望させている。
「……無理っすよ」
「イッセー君……」
「無理なもんは無理なんすよ、先輩……折角こんな俺達のことを気に入ってくれていても、どれだけ期待しても、俺達には無理なんすよ……あいつには、コカビエルには勝てない……」
イッセー君のやけくそな言葉、それは僕らの総意だった。僕達だって現実を見られないバカじゃない。諦めだってする。無意識に言い訳しているのかもしれない。でもそれが事実なんだ。
イッセー君の言葉を聞くと、先輩は彼を立ち上がらせた。そして……
「ふん!」
「へぶぅ!!?」
殴り飛ばした。イッセー君の右頬に、きれいなストレートが入った。
「いったー!!?先輩、何するんすか!!」
「……お前ら、いつぞやに『俺がどこから来たのか?』っつったよな?今答えてやる」
そう言うと、先輩の雰囲気が一気に変わった。コカビエル以上のプレッシャーだ。
「俺はこの世界じゃない、異世界から来た。いや、流れ着いた、と言った方が正しいか。要するにな○う系のそれとおんなじなんだよ」
「へ、先輩?」
「岸波君、それは一体……?」
「俺はな、その異世界ってので死んでるんだ」
……は?先輩が、死んだ?
「俺の魂は運が良かったのか紆余曲折あってここに来た。……俺は過去らしい過去、思い出がないんだよ。なんなら残ったものさえも消えていくまである」
「ダイチさん?」
「俺には、もう帰る場所がここしかないんだ……」
先輩の悲痛な声が僕らの耳に入る。
「……過去が消えていく。なら、俺はせめて明日が欲しい。だからあがき続けてるんだ……なぁ?死人の俺の方が明日を求めているってのは、一体どういうことなんだ?生きているんだろ?だったらあがけよ!自分たちの明日を、世界を守れよ!」
先輩……。あなたはもう帰れないからこそ、今を、未来を大切にしている。だからこそ、僕達のような諦める者が許せないんですね……。
「……ぁああああああ!!クソ!クソ!!なんて情けねぇんだ!!」
「い、イッセー?」
「先輩、ありがとうございました!また先輩に『頼る』どころか『押し付ける』所でした!」
イッセー君の言葉は、確実に僕達の心を貫いた。ああ、僕達はなんて情けないんだ。
「……相変わらずの馬鹿面だな」
「せ、先輩!いくらなんでもそれは!「だが、いい面だ」……っ!」
「今すぐに倍加を連打しろ。俺がコカビエルの体力を削りきる。とどめの美味しい所はお前に任せた」
「はい、任せてください!」
「黒歌!交代だ!防御壁を張って妹のことを守れ!」
「はいにゃー!」
そう言うと、黒歌がこちらへと下がってくる。
「ようやくレッドゾーンのお出ましか!」
「悪いなカラスもどき。お前の翼はどうも俺が知っている髭面の堕天使とは違って汚く見えて仕方ない。むかつくから殴らせろ」
「髭面……アザゼルのことか。あいつも随分舐められたものだな!」
「それじゃ……ぶっ潰す!」
先輩の一言から、その蹂躙劇は始まった。騎士の僕でさえ見たことのない速さで、『師匠』さえも追い付かないだろうその速度でコカビエルをその身一本で攻撃する。
「クハハハ!そうだ、これこそ俺が求めた闘争!」
「あー……こいつそういう系か……気持ちは分かる」
先輩はめんどくさそうにしながらもコカビエルの言葉に同意した。
「俺もウィクロスやってると、勝っても負けてもやり合えればそれでいいって思うし」
「お前の言うウィクロスというものが何かは知らんが、お前もこっち側だったようだな!」
あのコカビエルが手も足も出ない。いや、むしろ手も足も出させている。その上で全てノーガードで受け止めている。なのにそれを一切ものともしない。これが、かつて世界を救った英雄の力……
「ふんっ!」
「ごへっ!」
コカビエルの顔面に先輩の拳が入る。イッセー君のものとは比にならない威力だ。コカビエルがゴミのように飛ばされる。
「うぉおおおおおお!!行くぞぉおおおお!!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』
イッセー君の神器から発せられたその言葉。間違いない、『禁手』だ。彼もまた、僕と同じ領域にたどりついたんだ。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!』
「もっと、もっとだ!」
――「……ハッ!相棒どうした!何があった?!てか、『禁手』?お前、何があった?!」
「今起きたのぉ?!まぁ、いい!おいドライグ、もっと力を寄こせ!」
――「何だか知らんがいいだろう!ただし『死ぬほど』無茶はするなよ!」
「分かってるさ!」
イッセー君も自身への倍加を物凄い勢いでかけていく。すごい……君はこの短時間で自分の壁を越えたっていうのかい……?
――「相棒!これ以上は今のお前には無理だ!死ぬぞ!」
「今の……つまりいつかは超えられるってことか!よっしゃー!希望が見えたぜ!先輩行けます!」
「よし、ちょっと待ってろ!うぉおおおお!」
岸波先輩はそう言うと、目に見えぬ速さでコカビエルをその拳で叩いていく。残像によって、先輩の腕が何本もあるように見える。
「行くぞ兵藤!」
「はい!」
先輩はコカビエルの腰を後ろから刈り取るように蹴り飛ばす。その先にいるのは、イッセー君だ。
「行くぞクソ堕天使ぃ!歯ぁ食いしばれ!!」
飛んでくるコカビエルをしっかりと見つめ、拳を振りかぶる。
「だっしゃおらぁあああ!!」
イッセー君のアッパーがコカビエルを貫いた。月の輝く夜空に奴は舞う。
無音。ただただその光景に目を奪われた。
コカビエルが地面に落下すると、僕は我に戻った。先輩を見れば腕を組んでコカビエルの様子をうかがっている。が、少し見てこちらを……いや、イッセー君の方を向いてサムズアップをした。
「よくやった、兵藤。お前は正真正銘の馬鹿野郎だ」
「へへっ、ありがとうござ……」
嬉しそうに反応するが、力が抜けて前のめりに倒れるイッセー君。そんな彼を、岸波先輩は一瞬で距離を詰め、抱きとめた。
「全く、しまらんな……」
「す、すんません……」
「謝るな。今はゆっくり休め」
先輩はそっとイッセー君を地面に下ろした。
ああ、情けない。何もしなかった僕らのために、先輩は立ってくれた。フェニックスとの戦いの後の先輩の言葉を借りるなら、『イッセー君を助けたのであって、僕達を助けたわけじゃない』というのが本音なのだろう。何せ、僕達は先輩から見れば『諦めた』に違いないから。それでも……それでも僕達は先輩を見てしまう。あの光を求めてしまう。
ある意味悪魔らしいが、僕らはなんて罪深いのだろうか……
木場side out
原作主人公、早めの覚醒
諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。
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無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
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逃げるな卑怯者(炭治郎並感)