ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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今は他のカードたちでカジュアルにEXターンを取れるようになったからと言って、お前を許した覚えはないぞ、クラッシュ"覇道"。





第32話 EXターンとかいう大概陰キャな害悪戦法

 

授業参観の翌日のことである。俺はオカ研の皆と一緒に旧校舎の『開かずの教室』と呼ばれている部屋の前に集まっていた。

 

随分真っ当にオカ研らしいことをするのかと思っていたがそうではなく、どうやらここにリアスの『僧侶』がいるんだとか。

 

どうやら兵藤とゼノヴィアさん以外のリアスとその眷属にはその顔は知られているらしい。そいつは諸事情でフェニックスの戦いの時もコカビエルの時も姿を現さなかった。と言うのも、そいつはかなり難儀な能力を抱えているそうで、それを捌ききれるほどリアスに実力がないとされていたんだとか。だから封印していたよう。だが、フェニックスの戦いでの奮闘ぶりやコカビエル相手に生き残ったことなど色々あって、この度サーゼクスさん他お偉いさんたちが封印解除をオッケーしてくれたんだとか。

 

で、その封印解除のためにアーシア込みで俺達人間組もいるのだが、果たして俺達は必要なのだろうか?

 

ということで聞いてみました。やり取りは以下の通りです。

 

教えてリアス博士!

 

―「アーシアはともかく、俺って必要なの?ただの人間の俺が?」

 

―「安心して、あなたはただの人間じゃないわ。どちらかというとヘラクレスとかクーフーリンとかその類よ」

 

皆その言葉にうなづいていた。特に兵藤は首がもげそうになるくらい。……ひでぇや。

 

「ここにいるのよ。一日中ここに住んでいてね。一応深夜になると封印は解けて旧校舎内だけなら部屋を出てもいいことにはなっているのだけれど……その、中にいる子がそれを拒んでいるの」

 

事情を知らぬ俺達にリアスはそう説明する。テープが張られ、謎の刻印も刻まれている扉に手を突き出して魔方陣を展開する。

 

しかし、封印か。どんな厄介者なんだ?

 

「ひ、引きこもりなんすか、そいつって?」

 

兵藤が訊くと姫島さんが答えた。

 

「確かに傍から見ればそうかもしれませんが、中にいる子は眷属の中でも一番の稼ぎ頭なのですよ?」

 

引きこもりは否定しないのね。でも、稼ぎ頭か。何か株とかやってるんか?

 

「あの子、パソコンを介して特殊な契約を人間と執り行っているのです。今時は人間側も色々あって直接会いたくないというタイプもいますし。その手の人とは別の形で交渉して、我々と関係を持つのです。それを、パソコンひいてはネットを仲介にして解決しているのですよ。ことそれを介した取引率なら新鋭悪魔の眷属の中で上位に入るほどの数字ではないでしょうか」

 

へぇ、悪魔の契約も色々あるのね。俺も今度姫島さん辺りと契約してみるか?リアスだとなんか恥ずかしいし、塔城さんや木場相手だと情けなさが勝つし。兵藤はなんか嫌だ。

 

「さぁ、開けるわよ」

 

リアスの方もやることは終わったよう。彼女が扉を開ける。

 

「いやぁあああああああああ!!!」

 

(アトラル・カの咆哮)

 

何事だ?と思っている俺達を余所にリアスと姫島さんが中に入っていく。

 

「ごきげんよう。元気そうで何よりだわ」

 

「な、何事ですかぁああ?」

 

ふむ、声からして……どっちだ?中性的で分からん。主相手に妙に狼狽しているのは不思議だ。

 

「封印が解けたのです。魔王様方の許可が下りて、もう外に出てもいいのですよ?さ、私達と一緒に出ましょう?」

 

姫島さんが優しく語りかけるが……

 

「やですぅうう!ここが!ここがいいんですぅうううう!外なんて嫌だぁあああ!人に会いたくないぃいいいいい!」

 

……こりゃぁ、相当重症やな。主とその女王相手にこれか。優しい姫島さんでもこれではどうにもならんだろうよ。

 

見れば兵藤、アーシア、ゼノヴィアさんの新参者たちは頭の上に『?』を浮かべている様子。事情を知る木場は苦笑、塔城さんはため息。二人の様子から察するに、この展開は予想出来ていたようだ。

 

兵藤の奴と中を覗いてみる。カーテンが閉め切られて薄暗い部屋。可愛らしい装飾が施されており、ぬいぐるみとかもある。うん、実に女の子って感じ。

 

ただ、その中で異質を放っているのが棺桶。部屋の一角に置いてあるが、リアルで使うようなサイズ感とクオリティ。この辺りはアーシアに聞けば本物かどうか分かるだろうか。

 

ここから得られた情報によれば『リアスの僧侶は地雷系女子』ってことになるな。

 

中に入ると、リアスと姫島さんの所に人がいた。床にペタンと座り込んでいる。

 

その子は金髪に赤い瞳、人形のような肌と顔立ちをした女の子だった。

 

「お、女の子!しかも金髪!」

 

兵藤が興奮する。まぁ、気持ちは分かる。自分の同僚にこんなにかわいい子がいたらそうもなるか。

 

そう思っているとリアスが首を横に振る。え、リアス?その反応はどうしたんだ?

 

「この子、男よ」

 

……はい?

 

「いやぁ、部長も冗談が上手で。どこからどうみても女の子じゃ「この子女装趣味があるの」

 

姫島さんの言葉に段々と顔色が変わっていく兵藤。な、なるほど。いわゆる『男の娘』って奴か。驚いた……

 

「はいぃいいいいいいい?!」

 

「ひぃいいい!ごめんなさぁあああい!」

 

兵藤の驚きの声に、男の娘は悲鳴を上げた。女の子大好きなお前には相当堪えただろうな。ご愁傷様だ。

 

「なんて……なんて残酷な……つーかなんで女装癖なんだよ!誰に見せるんだよそれぇ!」

 

兵藤の悲しみの声にその子は反論する。

 

「だ、だって可愛い服がいいんだもん!それが女の子の服だっただけで!」

 

「なんでだよぉおお!俺の夢を壊すなぁあ!」

 

「……人の夢と書いて儚い」

 

「塔城さん、今の奴にはマジで洒落になってない」

 

続々と入ってくるゼノヴィアさんたち新参者たちと木場たち古参。

 

「と、と、ところでこの人達は?」

 

「あなたがここにいる間に増えた眷属たちとオカルト研究部の部員よ。『兵士』の兵藤一誠、『騎士』のゼノヴィア。そして眷属じゃないけれどアーシアと岸波大地」

 

「ひぃ!人がいっぱい増えてる!」

 

ああ、何というか、完全に敵視されてるな。見知らぬ相手にここまで警戒するのは、彼の性格か?

 

「アーシアは世にも珍しい回復の力を持つ神器を持っているわ。そしてダイチはあの英雄であるレッドゾーンよ」

 

「へ、レッドゾーン?」

 

「はい、一応その名前で通っています」

 

「れれれれれ、レッドゾーン?!」

 

俺もこういった反応に慣れていく必要があるのかな?

 

「お願いだから一緒に外へ出ましょう?レッドゾーンもあなたと一緒にいてくれるから」

 

「嫌ですぅうう!外の世界なんて僕には無理な話なんだぁあああ!!怖い!お外怖い!どうせ出たって皆に迷惑をかけるだけなのにぃいいいいい!」

 

瞬間、全身に違和感が走った。

 

「な、なななな、なんでぇ?!何で僕の神器が効かないのぉお?!」

 

「神器?」

 

周りを見渡すと皆動きを止めている。いや、『止まっている』。それもまるで時間を停止させられたかのように。

 

「い、いやぁ!来ないで!来ないでぇええ!」

 

俺みたいなのが相当珍しかったのか、丸くなってしまう彼。うーん、どうしたものか。とりあえず話だけはしたい。

 

仕方ない、ちょっと強硬手段を取るか。

 

俺は彼に近づきすぎない程度の距離で床に座った。

 

「ヒィ……」

 

「……」

 

こういう場合の答えってやっぱり『沈黙』だと思うのよ。いくら強硬手段とはいえ、無理に外に出そうとするから余計にことがややこしくなる。彼とて骨格やらなにやらで考えるに、無理にでも外に叩き出さねばならない成人男性ニートってわけでもあるめぇよ。

 

「……」

 

彼の怯える声が時の止まったこの部屋に響く。

 

「あ、あの」

 

「ん?なんだ?」

 

数分経って何もしてこないことにヤバさを感じたのか彼がコンタクトを取ってきた。よし、第一関門突破。

 

「な、何も聞かないんですか?」

 

「いや、別に。君が嫌なら聞く必要もあるめぇよ」

 

そう言うと、彼はこちらを向いてくれた。

 

「あ、ああ、あの!」

 

「ん?」

 

「ほ、本当に英雄・レッドゾーン様なんですか?」

 

お、この反応は初めてだ。まぁ、他の皆は俺がレッドゾーンになっているのを見てから俺の正体を知ることになっているからそれもそうか。

 

いや、アーシアは違うな。じゃあ初めてじゃねぇじゃねぇか。

 

「ああ、本当だ」

 

とりあえず信じてもらうために一回レッドゾーンに変身する。

 

「ほ、本当だ……」

 

「とりあえず信じてもらえて何よりだ」

 

人間の姿に戻ると彼は体をビクッと震わせた。

 

「……」

 

「……あ、あのぉ」

 

「どうした?」

 

「なんであなたには僕の神器が……『停止世界の邪眼』(フォービドゥン・バロール・ビュー)が効かないんですか?」

 

「バロ、バーロウ?なんだそれ?」

 

「……ぼ、僕の神器は、目に入ったものの時間を止めてしまうんです」

 

時間停止。なるほど、そんな能力があるのか。

 

「そうか、君の神器はそんなものなのか。てか、君の名前は?」

 

「ぎゃ、ギャスパー・ヴラディです……」

 

ギャスパー・ヴラディね。覚えておこう。

 

「で、ヴラディ君は君の神器が俺には効かないことに驚いている、と」

 

「は、はい……今まで一度もこんな経験がなかったので……」

 

時間停止か。要はエクストラターン(壁とやってろ)ってことか。

 

「まぁ、昔の俺にとっては時間停止なんて日常だったしな」

 

「え?日常?」

 

ああ、思い出すよあの日々を。

 

ミラダンテⅫのタイムストップ・デュエルとかいう公式認定(後にお仕置きを食らう)クソロックだったり蝉ことアナカラーデッドダムドにおけるVV-Ⅷのお手軽エクストラターンとか、クラッシュ覇道とかユニバース・ゲートとか色々あったな。サガループっていう絶望の一人回しもその類だな。

 

今となってはいい思い出……いや別にいい思い出ではないな。ミラダンテⅫに関しては俺もカツキングやガイアッシュから革命チェンジしてたけど、敵味方どっちにもなるあれらは使ってて複雑な感情を抱いていた。

 

侵略者のレッドゾーンの俺が言うのもあれだが、VV-Ⅷのクソっぷりは筋金入りだぞ?赤青覇道とかと違って、勝てる勝てない云々の前に『不愉快』って感情が先に来るんだもん。使ってる側もアナカラーデッドダムドが当時まだCRYMAXジャオウガみたいなフィニッシャーに欠けていたから出した所で『これどうやって勝つんだ?』って感じがすごかったし。アダムスキー使うなら青単タコンチュGRすればいいし、マジで『プレイ難易度も値段も高いし構築もプレイも迷走する割に不愉快度だけは一線を画す』ってもんだったからなぁ。

 

「味方は簡単に大陸丸ごと時間停止(S級侵略で禁断機動)するし、敵に至っては息をするように奇跡を起こして時間停止して(ミラダンテⅫとかラフルルとか出して)来るし。視界の範囲内だけなんて可愛いもんだ」

 

何か、思い出すだけで腹が立ってくるな。俺は許さん。殺してやるぞドギラゴン剣……!

 

「そ、そそそ、そんなことが……」

 

「おかげで時間停止にも慣れたし、抵抗の仕方も分かっているが、奴らとはもう金輪際会いたくないってのが感想だ。……話は変わるが、君は自分の神器を制御できてないな?」

 

「っ!」

 

単刀直入に彼に聞く。どうなのかは反応からはっきりと分かった。

 

「流石ですね……やっぱりレッドゾーン様には隠せないや……」

 

俺には分かる。彼が神器を発動した時、妙に興奮していた。多分だが、彼の神器はアーシアとは違って感情が高ぶってしまうと勝手に発動してしまうものなのだろう。そこに彼本来の臆病な性格が相まって神器の乱発具合が加速している、って感じか?

 

「……そうです。僕は神器がうまく扱えなくて暴走させてしまうんです。そのせいで、友達も、家族も、皆も止めてしまう。そのたびに嫌われる。一人ぼっちになる。……もう嫌なんです。誰かに嫌われるのも、怒られるのも……。こんな思いをするならこんな神器なんて欲しくなかった……!生まれてこなければ良かった……!」

 

ヴラディ君はついに静かに涙を流しながら思いを吐露した。そっかそっか。そんな風に考えていたのか。

 

「辛かったろうに」

 

「え?」

 

「苦しかったろうに。寂しかったろうに。誰もが弱かったばかりに君を虐げることしか出来なかった。なんて酷いものだ」

 

ぶっちゃけると、ここでパニックになったヴラディ君に刺されても、俺は文句を言うつもりはないし、誰にも文句を言わせない。だってさ、こんなにも他人を思いやれて、悪いことがあれば自分を責めてしまう優しい子を『悪』とすることが出来るか?刺されたって痛くもないだろう。だってこの子の方が余程痛い思いをしてきたんだから。

 

「そんな奴ら忘れろ、とは言わんさ。少なくとも言えることは、俺は君を虐げてきた弱者とは違う。力がある男だ。君を恐れたりはしない」

 

「レッドゾーン……様……」

 

「それに、神器なら訓練すれば何とかなるんだろ?あそこで馬鹿面晒してる兵藤がまさにそうだしな。もし神器を使うのが怖いなら、時間停止が日常だった奴が近くにいれば、それも少しは和らぐだろう」

 

半分しか目が開いていない兵藤を指さす。

 

「なにより、今のリアスがここに来て、君を解放しようとするのは、君を虐げてきた奴らとは違って彼女が強いことに他ならない。君の神器を何とも思わないという証左だ。彼女は君が知っている彼女じゃない。でも、君のことを思いやる優しい『王』であることは、昔から変わらないと思うよ?」

 

「うぅ……うぅ……」

 

「それとも、君の目にはリアスがどこまでも弱くて情けない『王』に見えるのかい?」

 

「僕は……僕はもう、こんなに寂しい思いをしなくていいの?」

 

「無論」

 

「僕は、もう嫌われなくていいの……?」

 

「それこそ君の努力次第だ。そのクソッタレな神様の贈り物を飼いならすまで、俺は付き合うぞ?」

 

「僕はもう……一人でいなくていいの……?」

 

「当たり前だ。だったらおまけで兵藤の奴もつけてやる。覚悟しろ」

 

そう聞くと彼は大声をあげて泣き出してしまった。今まで溜まっていたものがあったんだろうな。その声はこの部屋に響き渡った。

 

泣き出して少ししてから違和感が全身を襲った。ヴラディ君が時を止めた時と同じ感覚。周りを見れば皆動き出している。

 

さて、傍から見れば俺は彼を泣かした咎人他ならない。止まっていた皆にはどう説明したらいいのやら……

 

 

 

 





うp主はミラダンテⅫが好きです。なんだかんだ言って、復帰した頃に出たカードなもんですから。それはそれとしてあれが許されると思ってはいませんけど。
まぁ、なんだかんだでピン投でも活躍しているし、今のままでいいんじゃないんですかね?


諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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