ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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さて、主人公の大嘘の時間です。これを中心に今後は主人公が苦しむことになっていきます。
『書く必要あんのか』と言われたらマジでその通りですが、今後主人公を苦しめたいので書きました。





第36話 嘘の時間

 

イッセーside

 

先輩の過去。俺達が知りたかったこと。それが今目の前で映像となって流れる。

 

初めは焼き鳥野郎との戦いの後のことだった。先輩にあの人の過去を聞くとしゃべりたくないと言われた。きっと事情もあっただろうし、俺達には理解及ばないことかもしれないと思った。

 

その予想が当たったのはコカビエルとの戦いの時。心が折れた俺達にあの人が言ったのは『自分が異世界の人間である』ということ。

 

はっきり言って、信じられなかった。だってよ、いきなりアニメとかラノベの世界観の話をされたって分からねえよ。

 

でも、どこか納得がいった。だってあんなにすごい人がこの世界の人間である訳がないからな。そんな先輩の悲痛な声に俺は立ち上がったんだが、こんな俺でも信じてくれたのはかなりうれしかった。

 

ゼノヴィアに聞いたが、あいつプールの時に先輩にその……男女的なことを求めたそうだ。で、思いっきり怒られたんだとか。まぁ、あの人真面目だしな。うらやましいとは思うけど、俺だったら迷いの余り頭をコンクリに打ち付けていただろうな。あいつはあいつで反省して『ちゃんと恋心とか知ろうと思う』っていう始末だし。逞しいな、おい……。

ただ、それ以上に気になったのが、先輩が怒りと悲しみを混ぜて自分の家族のことを語ったこと。ゼノヴィアが言うには『今とは別の家族がいて、彼らには二度と会えないというような言い方だった』ということだ。……なんつーかツッコミどころだらけだけど、あいつの持って来た情報は木場や部長たちの頭を悩ませていた。

 

そして今、俺達は先輩の過去を知ろうとしている。オカ研の皆も真剣に先輩の出した光を見つめている。

 

始まった映像には先輩が平野を走っている映像が流れた。いつもの人間の姿じゃなくて、レッドゾーンと呼ばれるロボットの姿だ。ただ気になったのが、肩にマークが入っていないこと。今の先輩って確か肩に鳥のマークが入ってたよな?それがないんだよ。てか、何となくだけど先輩デカくないか?

 

そんな先輩が砦のような場所の前にたどり着くと、いつものイケメン姿に戻った。昔の先輩って本当にデカかったんだ。人間の姿になったら急に小さくなったからそれで分かった。

 

『おかえりなさいませ、王子』

 

「……なんだって?」

 

衛兵の言葉にサーゼクスさんが声を漏らす。俺達も驚きを隠せない。ま、まさか先輩って……

 

『おう、お前らのドラゲリオン王国第1王子『アポロヌス』様のお帰りだ』

 

う、嘘ぉおお?!先輩って、『王子様』とか女子に言われていたけど、マジで王子様なの?!

 

しかもアポロヌスって先輩、名前違うの?どういうこと?声もなんか知っているイケボっていうよりもう少し若々しいっていうか……

 

『ささ、お通りを』

 

『ありがとう……っと。一応しておくか。ドラゲリオン王国特殊部隊『NEVER』第17精鋭部隊隊長アポロヌス・ドラゲリオン。ただいま帰還しました』

 

『報告感謝します』

 

それから先輩は門をくぐり、町へと入っていった。映像の奥には大きな城が建っている。人々が往来しており、『the・城下町』って感じだ。

 

そんな中を先輩は通っていた。その時にも先輩は色んな人に声をかけられていた。それらの声には大きな信頼と愛情が込められていた。それで分かったことがある。先輩って昔からあんな感じだったんだなって。異世界人って言うからちょっと邪悪な感じを予想して構えていたが、そんなことはなかった。あの人は昔っからああだったんだ。

 

その後映像が少し飛んで、城の中に先輩が入っていった。門がすっごい圧だ……

 

先輩が城の中を歩いていくと庭らしき場所に出た。そこには金髪のすっごい美人の妊婦さんが椅子に座っていた。え、何で妊婦って分かったかって?そりゃ、あんな不釣り合いなまでに大きなお腹を見たら察しも出来るよ。

 

「「はぁ?!」」

 

アザゼルとヴァーリの声が重なる。なんかあったのか?

 

その妊婦さんが先輩に気付くと立ち上がって近づいた。

 

『アポロ!』

 

そして、思いっきりキスをした。待って先輩。隣の部長たちの圧がやばい。ここにいるだけで死んでしまいそうなんすけど!なんちゅーもん流してくれたんや……!

 

「一応言っておくと、妻です」

 

おぉう、空気が淀んでくる……心なしか、レヴィアタン様と天使側の女性の顔も暗い。

 

『アクエリオン!座っててよかったのに……』

 

『旦那様の帰宅に座ったままなんていられませんよ』

 

「おい、ヴァーリ。こりゃ……」

 

「どうするアザゼル?そうでなくとも前世の因縁とか言ってるあの人にこのことを知られてしまうのは、ちょっとヤバそうな気がするんだが?」

 

「……今は黙っておこう」

 

アザゼルとヴァーリが何かしゃべってるけどどうしたんだろうか?

 

「アザゼル?」

 

「悪いなミカエル。映像の女が俺の知り合いの女に滅茶苦茶似ていてな。驚いただけだ」

 

『お腹の子は大丈夫なのか?』

 

『ええ、もうすぐ臨月にもなりそうって』

 

『なんだって?!』

 

先輩がすっごく驚いている。あんな表情見たことないから新鮮だ。そんな時に、先輩たちに大きな影が重なった。そこには龍のような鳥のような、巨大な存在がいた。映像越しだが、俺はそれに大きな恐怖が心に湧きあがり、それと同時に不思議と敬意の心が出てきた。そのドラゴンもどきの近くにはすごい美人のお姉さんもいた。

 

『父上と母上。お仕事の方は?』

 

ち、父上と母上?!ってことはこのヤバそうなドラゴンもどきが先輩のお父様でお姉さんがお母様?!驚きの連続すぎてちょっと疲れてきたんだけど?

 

『終わったさ。それに今面白そうなことを聞いたな』

 

『アクエリオンさん。お腹の子、どうでしたか?』

 

『順調に育っていて、もうすぐ臨月だそうです。それに、医師によると男の子だそうです』

 

『まぁ、それは!』

 

『それにしても男か。お前も苦労することになるぞ、アポロヌス?』

 

先輩の奥さんがどや顔をしていた。てか今更だけど、先輩の奥さんもお母様もすっげー美人だし、おっぱいも大きいな。

 

『そうかそうか……俺はこの子のお父さんになるのか……』

 

先輩がそう言いながら奥さんのお腹をさすり、少し涙を流す。

 

『もう、アポロったら。産まれるまで泣かないでください。それでも『殺戮の天使』と呼ばれた私の夫ですか?』

 

『全く、こんな軟弱者を息子に持った覚えはないぞ……』

 

『うふふ。あなただって、アポロヌスが産まれてくる時はそっくりなこと言ってましたよ、ドゥーム?』

 

『ぬぅ……ミサト……』

 

『ご、ごめんなさい……もっとしっかりします……』

 

そこには確かに幸せな家族風景があった。それにしても、臨月ってことはあれか、本当にもうすぐお子さんが生まれるってことか。

 

その時だった。映像が変わった。

 

そこには先ほどまでの幸せそうな空間はなかった。どこもかしこも火に包まれており、先輩のお家である城の頂点には先輩のお父さんとお母さんが刺さっていた。その光景を表すのなら、『地獄』。

 

ロボットの姿の先輩が戦っている。その相手は……大量のドラゴン達だった。

 

先輩の体は既に傷だらけだった。金属のパーツは剥がれ落ち、無機質の姿なのに、とても痛々しく感じた。

 

先輩がドラゴンを屠っていく。そんな中、ひときわ目立つドラゴンがいた。真っ赤で、巨大で、恐怖を感じる。まさしく『大王』の風格を持ったドラゴンが。

 

そんなドラゴンが先輩を吹き飛ばした。先輩はなんとか立ち上がり、攻撃を仕掛けるも、届かない。

 

『何故だ!何故お前達は!』

 

『禁断の復活。そのきっかけとなる禁断の使徒の誕生。それだけは阻止せねばならない』

 

先輩の問いに赤いドラゴンは答える。

 

先輩が吹き飛ばされ、立ち上がるが、ロボットの姿から人間の姿に戻ってしまっている。目の前にはすでにドラゴンの手が。これは回避が間に合わない。

 

そう思った時だった。先輩を一つの影が付き飛ばした。先輩の視線の先、先輩が立っていた所にいたのは……先輩の奥さんだった。

 

『……え?』

 

先輩の声をかき消すように轟音は響く。ドラゴンの手は止まらず、そのまま先輩の奥さんを潰した。間違いない。即死だ。血だまりが広がる。

 

「おえっ……」

 

ヤバい!吐きそうだ!耐えろ!

 

「うっ……!」

 

「アーシア……無理をするな……」

 

吐き気を耐えきれず、嗚咽してしまうアーシアとその背中をさするゼノヴィア。

 

「ヴァーリ。無理するなよ」

 

「……分かっているさ」

 

見ればヴァーリもヴァーリですごく苦しそうな顔をしている。先輩はその目が死んでいる。

 

『あ……あ……』

 

映像からは先輩の余りに悲痛な声が聞こえてくる。

 

『あぁあああああああああ!!貴様らぁあああああ!!』

 

その瞬間だった、先輩をどす黒いオーラが包んだ。この世の物とは思えない、いや、思ってはならない物と感じる。

 

『目覚めたか……よりにもよってこんなタイミングで……!』

 

『ぁあああああああ!!』

 

先輩が再びロボットとなって赤いドラゴンに襲い掛かる。その姿は目では追いきれない。一筋の閃光となって、ドラゴンの脇腹を抉った。だが、そのスピードの代償か、先輩の片腕が吹き飛んだ。

 

その赤いドラゴンは先輩が止まった瞬間を見定めて、叩き潰した。あっけなかった。先輩が負けた。フェニックスにも、コカビエルにも負けなかった先輩が負けた。それだけでも信じられないってのに、余りにも情報が多すぎる。

 

目的を果たしたかは知らないが、ドラゴン達がいなくなる。残されたのは、先輩だけだった。そんな悲惨な光景の中に、青色のロボットみたいな奴が現れた。

 

『うーん、こいつは使えそうだ。ウイルスにも耐えうる逸材だろう。ドラゴンの馬鹿どもに感謝せねばなるまい』

 

そう言って先輩を拾いあげると、どこかへ去っていった。

 

「奴の名前はギュウジン丸。禁断の力を研究し、己の手中に収めようとした身の程知らずの天災」

 

「禁断?なんだいそれは?」

 

サーゼクスさんがそう訊くと先輩は答えた。

 

「宇宙を滅ぼす力。生きとし生ける者を食らいつくす凶悪な力です」

 

そこからは先輩へのひどい仕打ちが待っていた。記憶を封印され、力をギュウジン丸という奴が支配出来る程度のものにされた。肩には鳥のマークが入り、今の先輩と同じ姿になった。言ってしまえば、『実験用のモルモット』として扱われていた。

 

そして一番ひどかったのは、そんな先輩にやらせた行動だった。それは『蹂躙』。何にも関係ない人達を殺させたのだった。先輩は人の姿に戻ることなく、ロボットの姿で、命を轢きつぶしていった。

 

「ひどいわね……」

 

「許せないね……これは……」

 

部長の言葉には怒りが込められていた。木場もあいつの過去が過去だから、静かに怒りを燃やしていた。俺もだ。優しい先輩を利用して、先輩が守りたかった他者の幸せを踏みにじらせるなんて……

 

「ちょっと冗長でしたね。私も少し気分が悪いんで、早回しでいきます」

 

そう言うと先輩は映像を変えた。そこにはさっきの先輩の奥さんを殺したドラゴンとは違う、赤い鎧を纏ったドラゴンと、天使の翼を生やした白いドラゴン、巨大な一つ目のドラゴンがいた。

 

「私の蹂躙は続いた。だが、世の中そんなうまくいかない。『侵略者』に対抗するために生まれた力を持つ者達『革命軍』とそのトップであるドギラゴン,ミラダンテ,デス・ザ・ロストによって私は倒れた。だが、それだけでは終わらなかった。私はどうやら『禁断の使徒』に完全になっていたらしい。私は伝説の禁断の存在を、ドキンダムXを復活させてしまった」

 

そう言って映像を変える。そこには三匹のドラゴンに相対する、巨人。

 

「なんだよ……あれ……」

 

いや、巨人と表していいのか?映像越しにも分かるその巨大な邪悪さ。2本の槍を携えるそれは革命軍と呼ばれる奴らを一瞬で蹂躙した。

 

三大勢力のトップであるサーゼクスさんたちも冷や汗をかいている。それほどにヤバい奴なんだ、あれは。

 

「結論から言うと、私は革命軍を壊滅させ、星を禁断の力で染め上げた。なぁ、兵藤。なんでこの禁断の存在がそんなことをしたと思う?」

 

俺に質問が飛んでくる。そ、そんなことを言われても、俺、何を言えばいいか……

 

「わ、分かんないっす……」

 

「それはな、まだ上の存在がいて、そいつへの献上品として、この星を作り変えているからだよ」

 

「何だって?!」

 

「岸波君、それは一体?!」

 

「冗談もいい加減にしろよ、岸波」

 

トップたちの言葉を受けて、先輩は映像を変えた。

 

「これが、禁断の中の禁断。終焉の禁断ドルマゲドンX。私の最後の主であり、宇宙全体にドキンダムXを送り込んだ張本人」

 

そこに映ったのは、まさに『悪魔』と呼ぶべき存在だった。いや、悪魔って言葉も生ぬるい。こんな邪悪は知らない。先輩の言う『終焉の禁断』ってのが中二病ではなくガチだってのが分かる。

 

映像でもその強大さが伝わる。部長たちも手を震わせるばかりだ。

 

――「あばばばばば」

 

「ど、ドライグ!しっかりしろ!」

 

――「おぉおぉぉおおぉ」

 

「耐えろ、アルビオン」

 

レッドゾーンにトラウマを覚えている二人が壊れだす。いや、無理もない。普段はあれだが、俺だって分かる。あんなものと戦うってなったら、魂が残っているだけでも御の字だろう。

 

「私は、ドキンダムを吸収してその身を再び変え、星を滅ぼそうとした。ドルマゲドンXにとってはただの『遊び』相違ない。その時の奴は余りに退屈していたから『自ら退化』したほどだったからな。そんな我々の前に、ドギラゴン達が再び立ちふさがった」

 

映像が変わる。底には青い鎧を身にまとい、人型になったドギラゴンがいた。

 

『レッドゾーン、いやブラックアウト!そしてドルマゲドンX!終わりにするぞ!』

 

『ほざけ、クソトカゲぇ!!』

 

先輩の叫び声。目の前にいるドギラゴンが悲惨なあの過去を思い出させるのか、悲痛な叫びに思えた。

 

ドギラゴンが剣を携え、仲間のハムスターと共にドルマゲドンXと先輩に挑む。……え、ハムスター?

 

「そして、決着の時が来た」

 

ドギラゴンの体に後ろの地球から光が注がれる。するとドギラゴンの体が黄金に輝きだした。

 

『これが、生きる者の力だぁあああああ!!』

 

黄金に輝く光の剣で先輩諸共ドルマゲドンの頭を貫いた。

 

『アクエリ……オ……』

 

最期に自分の奥さんの名を呟きながら、先輩は散った。

 

「物語はここで終わり……とはいかなかった。簡単に言えば、ドルマゲドンを倒した際の時空の歪みに巻き込まれて別の世界に飛ばされてな」

 

先輩がそう続けると、映像が変わる。そこには地球と思しき青色の星を眺める機械姿の先輩がいた。見た目も何だか方がコーンのような円錐の物になっていて、全体的に白色が目立つ。何だかアメリカンバイクみたいだ。

 

『記憶を取り戻し、大昔の姿になり、体の構造も変化した。その上、人に戻れなくなった。簡単には死なせてくれないってことか……っ!何か来る!』

 

あ、いつもの先輩の声だ。

 

そんな風に思っていたら、先輩が警戒態勢に入る。すると隕石が星に迫っていた。

 

「あれは隕石ではなくてな、ちょっとした怪獣って奴だ」

 

先輩がそう説明してくれる。よく見るとトカゲのような頭が見えた。それは猛スピードで星に落下していった。先輩もそれに続いて、大気圏を突入し、ついに街中へと落下した。

 

『痛いが、我慢だ』

 

先輩はそう言って、自分の身の丈の2倍くらいはあろうかという怪獣に挑む。が、古傷が癒えていないのか苦戦し、ついには倒れてしまった。

 

「ああ、皆。さっきまではシリアスで残酷な物語だったが、こっからはちょっとしたロボットアニメだと思ってみてくれ」

 

先輩がそう言う。言われてみれば、ダンガムとは違う、スパロボで言うスーパー系のロボットたちのアニメみたいだ。

 

先輩が倒れていると二人の人影が近寄ってきた。その姿に俺は驚きを隠せなった。

 

『おい、ブリキもどき!大丈夫か?!』

 

「イッセー?」

 

「え、俺?」

 

そこには俺の姿があった。服装は違えど、顔のパーツとか諸々が全部俺だ。

 

『ああ……なんとか……』

 

『あなた、ここで何をしているの?』

 

そう言って出てきたのは銀髪の女の子。とても凛々しい姿だ。

 

『おめぇこそ誰だ!』

 

『今はそんなことどうでもいいわ。いい?あれは『アヴァタール』。宇宙を彷徨う怪獣の一種よ』

 

『『はぇ……』』

 

先輩と俺のそっくりさんの声がハモる。

 

『とにかく、この町は終わりよ。奴は暴れ出したら気が済むまで基本的には止まらないの。悪いこといわないから逃げなさい』

 

『んなこと出来るか』

 

そっくりさんがそう啖呵を切る。

 

『俺はな、この町の人にカツ丼を奢ってもらったんだ。そんな優しい人達のいる町がこんなになっているのに逃げだすなんて出来ねぇ』

 

『馬鹿なの?!言っておくけど、あれは画面の向こうの怪獣とかじゃない、本物の怪獣なの!このエンペギエル星系の星々に眠る神話の怪物となんら変わらないの!実際に文献でそう書いてあるわ!だから!』

 

『おい、ブリキ!』

 

『ブリキじゃない、アポ……いや、レッドゾーンだ……』

 

『聞いてるの?!』

 

『おい、レッドゾーン。お前、どうすればあいつに勝てる?さっきまでいい勝負してたろ?なんとかならねぇか?』

 

そっくりさんが先輩の胸に上り、立って訊く。

 

『……ちょっと待て。今の俺の体の構造とそれぞれの感情の関係を計算して……』

 

先輩が何やらぶつぶつ言いだす。遠くでは怪獣の雄たけびが聞こえる。

 

『おい、早くしろ!』

 

『よし出た。おい、小僧。名前は?』

 

『名前?んで今そんなこと『いいから教えろ!』ああ、もう!ダイチ!この大地にしっかりと足を付けて立ち、どんな困難な状態にあっても絶対に再びまた立ち上がる。父さんと母さんがつけてくれた名前だ』

 

「ダイチ。俺の今の名前の元になった男だ。どこまでも凡才な男だった。だがな、どこまでも真っすぐで、眩しい男だった。今でも俺はあいつを尊敬している。俺の今の名前も、あいつからとった」

 

先輩……大地って名前にはそんな由来が……

 

『いい名前だ。おい、ダイチ一つ訊く。お前、女の好み(タイプ)は?』

 

『はぁ?なんでそんなことを……』

 

『いいから答えろ。それによっては状況が変わる』

 

『……のデカい女』

 

『聞こえねぇ』

 

本心かどうか知らないが、先輩がいじわるそうに訊く。それに対し、そっくりさんのダイチという人は大声で答えた。

 

『おっぱいのデカい可愛い女の子!これでいいか!』

 

『よく言った兄弟(ブラザー)!!』

 

先輩が満足そうに答えると、ダイチと女の子を掴んで胸に押し込んだ。

 

視点が変わると、そこはまるでロボットのコクピットのようだ。

 

『こ、ここは?』

 

『な、なんなの?』

 

『俺の中だ。今からお前らは俺のパイロットだ。腹くくれ』

 

そう言うと、先輩の体が光り出した。そして体が変わっていく。その姿は俺達の知っている先輩のロボット姿だった。

 

『な、なに、これ……?』

 

『成長の見込みありの乳のデカいお嬢ちゃんも覚悟決めろ!』

 

『なっ!セクハラはやめなさい!あと、私の名前はマナよ!』

 

テンションのおかしい先輩が怪獣に立ち向かう。さっきとは打って変わって、一方的な戦いだった。ダイチって人が操縦し、細かい動作をマナって女の子がする。初めてとは思えないほどのコンビネーションを見せて、あっという間に怪獣を倒してしまった。

 

「ここからはダイジェストだが……兵藤にはちょっときついものがあるかもしれん」

 

「え?」

 

そう言って流されたのはダイチさんによるハーレムライフだった。ヤクザとカルト教団の戦いだったり、昆虫人と魚人と協力して紫色のフェニックスを倒したり、ゴルファーみたいな巨大なドラゴンとの修行だったり様々な冒険をしていたが、やっぱり気になったのは、ダイチさんのハーレムライフ。なんていうか、ハーレム王ってああいうのを言うんだな。自分の憧れが遠いことを痛感したよ。確かにああいう『本物』を見ていたら、先輩にとっては俺の目指すハーレム王なんてお子様のそれだよな。

 

「そしてこれが、俺がこの世界に来る前辺りになるシーンだな」

 

そう言って写し出したのは、傷だらけのドルマゲドンとその尖兵たち。それらに対抗するように戦う先輩やダイチさん達が紡いだ縁のある皆の姿だった。先輩も全身を真っ白にし、背中に大きな翼のようなものを生やし、剣を携えている。

 

てか、ドルマゲドン、てめぇ死んでなかったのかよ!どんだけ先輩に付きまとうんだ!

 

『おい、ダイチ、マナ。聞け』

 

『なんだ、レッドゾーン。まさか諦めるわけじゃねぇよな?』

 

『俺に策がある。俺がいつもの生活みたいに魂を抜け出させて奴のコアのある場所に取りついて、場所を固定させる。その際、この体はお前らが今後自由に操れるようにする。俺の合図があったら、俺ごと叩き斬れ』

 

『なっ?!あなたそんなこと言って……!』

 

『いくぞ!』

 

『待って!待ってくれ!』

 

そう言うと先輩の体から人間サイズの男性の姿が出てきた。間違いない、人間の姿の時の先輩のそれだ。先輩はドルマゲドンに向かって飛んでいくと、額に組み付いた。

 

『この奥だ!』

 

『いやだ!レッドゾーン!俺には……俺には!』

 

『私だっていやよ!何でこんな形を……!』

 

涙を流す二人に

 

『やるんだ、ダイチ!マナ!いい加減に俺離れしろ!!』

 

『ダメよ!こんなの、絶対後悔する!』

 

『……お前らを選んだのは、俺にとって間違いなく得だった』

 

『な、何を言って……』

 

『お前らが繋ぐ手は、もう俺じゃない』

 

『『っ!』』

 

先輩がそう言うと、二人は覚悟を決めた顔をした。

 

『やるぞ、マナ』

 

『……地獄で先に待ってなさい』

 

そう言うと、白い先輩は剣を高らかに掲げる。すると、かつてドギラゴンが先輩を斬った時のように剣が黄金に輝きだし、その刃を伸ばした。

 

『『うわぁああああ!』』

 

二人はそう叫んで剣を振り下ろした。

 

『……さよなら、ダイチ。マナ』

 

先輩は満足げな顔をしてそう言い残し、ドルマゲドンごと斬られた。

 

すると、映像が真っ暗になる。いや、どんどんズームされていっている。よく見れば先輩が浮かんでいる。

 

「ここは謎の空間だ。俺にも分からん場所。おそらく、『次元の狭間』と呼ぶべき場所だろう」

 

そう説明する先輩。先輩を眺めていると一つの小さな光が現れた。そこからは声が聞こえた。誰のものかは分からない。そんな声に、先輩は手を伸ばした。

 

光景が変わる。先輩が空から落ちている映像だ。先輩に合わせて落下先に映像が映る。あれは……まさか!

 

「あれは、僕らだね」

 

「ええ、間違いなく」

 

「なるほど、こうしてここに繋がってくるか」

 

トップ三人がそう言う。やっぱり、あの赤いのはドライグで、白いのがドライグのライバルのアルビオンか。

 

先輩は映像を閉じた。なんていうか、俺達はとんでもないものを見てしまった。

 

「と言った感じですね。どうでしょう?俺が嘘をついていると思う人はそれでいいです。ですが、これ以上語り出すと、いかんせん時間が足りませんから」

 

先輩はそう語る。先輩が故郷に帰れないのは、この世界が偶然来てしまったから出ていく方法も分からないだけだったんだ。仮に出て行けても、もう先輩の故郷はドラゴンたちによって壊されている。ダイチさん達の所に戻りたくても、どこに行けばいいか分からない。八方塞がりだったんだ。

 

俺はなんて情けなかったんだろう。コカビエルとの戦いの時、簡単に平和な日常を諦めた俺達の姿は、先輩にとってさぞ軽蔑したろうに。それでも先輩は俺達を立たせてくれた。ダメだ、前からそうだったけど、今まで以上にこの人には足を向けて寝れない。

 

「おい、岸波。お前には俺達に悪意を持って敵対することはないんだな?」

 

「当然です。俺には守りたいものがある。今の両親と弟。リアスに兵藤たち。俺の大切な人達を守りたい。今度こそ守り切って、共に生きたい」

 

先輩のその言葉に俺含めオカ研の皆は涙した。こんな俺を、俺達を求めてくれるんすね、先輩……!

 

「そうかよ。だったら、信じるさ。お前の行動理念も、ちょっと分かったし、収穫がデカいからな」

 

「僕もだね。ただ、これを僕達だけがとどめていていいのか、という疑問もあるけれどね」

 

「どう言うことでしょう?」

 

ルシファー様にミカエルさんが尋ねる。

 

「少なくとも、僕の知っている範囲に大きな権力を持った悪魔で岸波君の大ファン、というよりもシンパと言うのかな?そんな感じの人物たちがいてね。彼らにとっては岸波君の過去は知りたくて仕方ないものだ。そんな欲望に走る力のある悪魔を止めるのは、僕でも少々手こずりそうだと思ってね。少し案は考え付いたが……うまくいくかな?」

 

「奇遇ですね。私も同じです。天界にも、かつて岸波殿に救われた天使が今もいます。ですが、彼らの欲求を無理に抑えて『堕ちる』ことになってしまえば、こちらとしてもダメージは大きいですし……」

 

「まぁ、その辺りは後々考えていこう。今は岸波のことを知れただけでも十分だ」

 

懸念を示すルシファー様とミカエルさんに対して締めに入るアザゼル。

 

そんな時だった。全身を違和感が走ったのは。この感覚は……ギャスパー!

 

イッセーside out

 

 

 

 





戦国バサラの『逆光』とレガリアの『Divine spell』を聞きながら書いた覚えがあるので、内容が若干それに寄っている可能性。


あ、ドルマゲドンXデュエプレ実装おめでとう(大遅刻)

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

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