ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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今回書いたこの手の転生ものにありがちなことへのツッコミ。それを書くために以前の主人公の過去を書いたとも言えます。





第39話 赤と白の悲願と決意

 

えぇ、ヴァーリ君ここで裏切るのぉ?

 

ちょっとどころじゃない困惑を持ちつつ、今目の前の状況をがんばって飲み込もうとする。

 

「アザゼル!」

 

「来るな和泉!……いつからだ?いつからそういうことになっていたんだ?」

 

心配して空から降りてきた朝倉さんを止め、アザゼルさんが問いかける。てか朝倉さん、堕天使だったのね。

 

「コカビエルを本部に連れて帰る途中でオファーを受けたんだ。悪いな、こっちの方が断然面白そうだったんで。『アースガルズと戦ってみないか?』なんて言われたら、我慢も出来ないことは知っているだろう?」

 

「……降ることはないだろうな。お前はなんだかんだその辺りのプライドはある。確かに俺は『強くなれ』とは言った。だが、『世界滅亡の要因にだけは作ることも無ければお前がなることにもなるな』と言ったはずだ」

 

「関係ない。今回のクーデターの下準備と情報提供も俺だからな。紅轟教団の連中がかぎつけたのは、多分俺達の方から漏れたんだろうな」

 

そういうヴァーリ君。やだなぁ、こいつと戦うの?赤のドライグさんが倍加なら白のアルビオンさんはさしずめ半減ってところか?チートやないかい!

 

「せ、先輩!これは一体……ってアザゼル!あんたその腕……!」

 

「役者はそろったようだね」

 

どうやらヴラディ君の救出は終わったらしい兵藤とリアス達がこちらに駆けつける。

 

「懐かしいだろう、アルビオン。手を組み合った三大勢力、二天龍、そしてレッドゾーン。まるであの頃じゃないか?」

 

――「ヴぁ、ヴァーリ?まさかとは思うが、ここで?」

 

「ああ、当然」

 

――「……がんばれ、俺」

 

アルビオンさんの困惑にヴァーリ君が答えた。彼は胸に手を当てて言う。

 

「俺の本名はヴァーリ・ルシファーだ」

 

……はい?

 

「死んだ先代魔王のルシファーの血を引く者だ。けど、俺は旧魔王の孫である父と人間の母の間に産まれた混血。だから『白い龍』(バニシング・ドラゴン)を手に入れることが出来た。偶然だが。だが、運命、奇跡、そんなものが存在するなら、それは俺のことを指すだろうな」

 

「嘘だと思うだろう?本当さ。俺が知っている中でも過去現在未来全てにおいて最強の白龍皇にこいつはなる」

 

アザゼルさんがそう言う。そうなのか、彼もまたハーフなのか。なんか俺の周り、ハーフ多いな。

 

「そうだ、土産にこれをやろう、アザゼル」

 

そう言ってヴァーリ君は何かよく分からんもんをアザゼルさんに投げつけた。

 

「オーフィスの力の一端だ。カテレア達はこれで自身を強化するつもりだったらしいが……あの紅轟教団の女には強化しても勝てなかっただろうな」

 

寿水さんのことか。随分高く買っているな、ヴァーリ君は。

 

『堕天龍の閃光槍』(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)を使いたいもんだが、それで勝てるかな……ファーブニルも話は聞いてくれねぇし」

 

「無理だよ、アザゼル。いくらなんでもそれは研究不足がすぎる」

 

「だよなぁ……おい佐々木」

 

「岸波です」

 

あっ(察し)

 

「お前なんとかしろ。そもそもあいつの狙いはお前だ」

 

そうだよな、俺だもんな。じゃあやるか。……ん、俺?

 

「俺が狙い?」

 

そう訊くとアザゼルさんは兵藤の方を向いた。

 

「おい、ドライグ。お前話してやったらどうだ?お前らの『悲願』って奴をよ。ここ逃したら当分アルビオンと会えねぇぞ」

 

――「くっ……口車のうまい堕天使だ」

 

「てか、ドライグ。前から言ってるその『悲願』ってのはなんなんだよ。いい加減教えてくれよ」

 

兵藤が文句を言う。

 

――「ああ、だったら言ってやるよ。俺達の『悲願』はな……

 

 

 

 

 

お前の『打倒』だよ、レッドゾーン!!」

 

……え、俺?

 

「俺?こう、どっちが強いとかじゃなくて?」

 

俺の疑問にドライグさんが答える。

 

――「それもある!だがそれ以上に成し遂げねばならないんだよ!」

 

――「そうだそうだ!」

 

――「つーか、お前、どうやって空飛んでるんだよ!非常識にもほどがあるだろ!」

 

何か非常識な連中に常識を説かれた。ちょっと悲しい。

 

「そういうわけだ。俺達は嫌でも戦う運命にある」

 

「いやだよ、そんな運命。瓶ゴミか?プラゴミか?なんなら回収してくれるんだ?」

 

必死に抵抗するが、周りの感じを見るにどうもダメらしいです。クソがっ!!!

 

「そんなに嫌なら、無理矢理にでも動かすか」

 

そう言うと、ヴァーリ君はこちらを向いて言う。

 

「岸波結希に岸波優衣、岸波遥輝。いい家族じゃないか」

 

……あ?(最上級の神の叡智)

 

「それに紅轟教団の強者である最上。はぐれの黒歌もいる」

 

「黒歌っつったら……リアス・グレモリー、一体どういうことだ?」

 

「えっと、それはですね……」

 

「君は復讐に駆られると強くなるのは知った。だからこうしよう、君の家族たちを殺して、君は再び復讐者となるんだ。君の今までのつまらない人生もこれで華やかにもなろう。ついでだ、朝倉も殺すか」

 

――『あー、私もう知らない』

 

「どうせ君の周りなんて君に比べれば塵あく……っ!!」

 

コ  ロ  ス

 

 

 

Side out

 

 

 

イッセーside

 

 

 

先輩が激怒した。激怒なんてもんじゃない。ドラゴンの入っている俺が言うのもあれだが、ヴァーリの奴は完全に先輩の逆鱗をぶち抜いた。

 

きっかけはヴァーリの挑発。戦いを嫌がる先輩を戦わせるために、先輩の家族を人質にとった。その中には小猫ちゃんのお姉さんの名前もあった。

 

そしてアザゼルの部下の名前を出した瞬間、世界が染まった。それは『怒り』だ。どっちかと言うと『憤怒』とか『激昂』っていうのかな、とにかく尋常じゃないものだった。俺達がコカビエルに心折れた時のものとは何もかも違う。完全に殺しに行くそれだ。

 

それを俺が感知したらさ、次の瞬間には先輩の拳が深々とヴァーリの鳩尾に入っていた。

 

「っ!」

 

――「おい、ヴァーリ!しっかりしろ!」

 

――「あいつも大変ねぇ。死にたがりの主を持った余りこんなことになって。そう言う意味では今の俺は実に恵まれている」

 

ドライグが呑気にそう言う。いや、元をたどればお前らのせいだろ……。

 

先輩の重い一撃をもろにくらったヴァーリは後ろに後ずさりする。こんなこと言うのもあれだが、今すぐにでも謝った方が身のためだと思うよ。

 

「や、やるな……これが伝説の力か……アザゼルやシェムハザとは大違いだ」

 

「けっ、あんなバグと比べんなよ」

 

アザゼルが悪態をつく。ヴァーリはヴァーリでどこなく喜んでいる感じがする。マジかよ、どんだけバトルジャンキーなんだよ。

 

そんな風に思っていると先輩が人間の姿に戻った。どうしたのかと思ったら、おもむろに上着を脱ぎだした。先輩どうしたんすか?!……なんて思ったのは最初だけ。先輩の体を見て俺は言葉を失った。プールの時にはなかった傷が、体中に刻まれている。はっきり言って、余りにも痛々しい。見ていられない。でも、背中だけには大きな傷はなかったのはちょっとかっこいいと思ってしまった。

 

「はぁああ!!」

 

先輩が全身に力を込めだす。ドラグ・ソボールのバトルのように、空間が揺れる。先輩もどす黒いオーラを纏いだす。まるでモンハンのイビルジョーみたいに。傷だらけの姿と黒いオーラ、赤く光る眼も相まってそうにしか見えない。

 

――「おい、ドライグ!お前も加勢しろ!」

 

――「無茶言うなよ。そうでなくても俺の主、弱いのに」

 

アルビオンの救援要請に冷たく返すドライグ。悔しいけど、その通りだ。俺は弱い。先輩に敵うはずがない。これは事実なんだ。

 

「お前にはあの力を使う価値もない」

 

先輩はそう言うとばねのように飛び出し、その拳でヴァーリの顔面を打ち抜いた。爆音が響く。奴の兜が一瞬にして砕かれ、素顔を晒すことになった。とてもじゃないが、俺にあれを耐えれられる自信はない。

 

地に伏したヴァーリの頭を踏み、先輩はヴァーリを見下ろす。

 

「その翼、もう一度もぎとってやろう」

 

――「あぁぁぁぁぁぁあああぁぁああぁぁあ!!!!」

 

「あ、壊れた」

 

アザゼルの呑気な声とは対照的にアルビオンは悲鳴を上げ、先輩は翼をむしる。鎧だから何度でも生えてくるが、そのたびに先輩は翼を握りつぶし、むしった。アルビオンの言っていたことが正しいなら、奴は過去に先輩によって翼を失っている。そのトラウマを掘り返されているのだから、精神的苦痛は半端ないだろう。

 

何とか空に逃げ出すヴァーリだが、すぐに足を掴まれて、地面にたたきつけられる。その後は何度も先輩に踏み抜かれ続けた。

 

――「……全く、見てられないな。おい、相棒。禁手、使うぞ」

 

「お、おいドライグ?まさかあそこに飛び込めっていうのか?」

 

――「ああ、そうだ」

 

ドライグが珍しく馬鹿なことを言い出す。何?お前は俺に死ねっていうの?

 

「馬鹿なの、お前?それでも最強のドラゴンかよ。退き際くらい理解しているものかと思ったけど……」

 

――「やめろ、相棒」

 

そう言うとドライグは俺の言葉を止めた。そこにはどこか覚悟を決めた感じがした。

 

――「俺だっていやだよ。もしかしたら、今度こそ終わりかもしれない。魂を消し飛ばされるかもしれない。ただ戦って消えるなら本望だ。だが、今までの生活で分かったがレッドゾーンの根っこには『捕食』がある。俺達の魂をそのまま食べるかもしれない。そんなの、屈辱だよ」

 

先輩のことをいよいよイビルジョーみたいな扱いをし出すドライグ。

 

――「それに、俺だって勝てる見込みがあってこんなことは言ってない。寧ろ負ける気しかしない」

 

「じゃ、じゃあなんでそんなこと……」

 

――「それはお前が分かっているんじゃないか?」

 

そう言うドライグ。な、何のことだ?

 

――「お前の周りの連中だってそうだ。堕天使総督殿は分かっているだろうが、本来ならあいつは歴史の表舞台に出ることはなかった。なのにお前は、お前の主たちはそれを無理矢理引っ張り出したんだ。フェニックス家との時の戦いなど特にそうだ。何から何まであいつに全部丸投げして、あいつの平穏を奪った。それがお前らだ。だろ、堕天使総督殿?」

 

「ドライグの言う通りだ。お前らはお前らが思っているほど、無知な子供ではもういられない。あいつの存在は、はっきり言ってお前らには釣り合わなさすぎる。俺らですら不釣り合いだし、ガブリエルみたいな『いい女』って奴を何人差し出しても足りないだろうに、まともに大人にもなっていないお前らにはあいつの相手は無理だ。なのにそれを無理矢理引き下げさせて、おんぶにだっこ。挙句の果てには『私達は強い』と錯覚。奴の望みであっただろう『家族との平穏』すらもお前らは奪ったんだ。あいつの人生を、希望を台無しにしたんだ。下手な古い悪魔より極悪だよ、お前らは」

 

そっか、俺達は……先輩の人生を……なんてことを……

 

「リアス・グレモリーと兵藤一誠。特にお前らはその自覚が足りない。世界を変えられるだけの才能があるにも関わらず、努力を諦め、自分の至らなさと弱さに言い訳を重ねてただ甘えているだけの怠惰の塊だ」

 

「わ、私はそんなつもりじゃ……」

 

「そんなつもりがなくとも、世界がどう思うかは違う。特に、和平という歴史の転換に立った以上、価値観はぐっと変わる。そうなってくると猶更な」

 

アザゼルの言う通りだ。コカビエルの時だって、先輩が奮い立たせてくれて強くなれた気がした。けどそれは結局『気がした』だけであっただけ。俺が倍加をため込んでいる時も先輩がコカビエルを追い詰めてくれていた。手柄を横取りしただけだった。

 

――「そういうことだ。お前らはもう茨の道から引き返せないんだよ。特にお前らはあいつの過去を知ってしまった。お前らがあいつの望んだものを全て奪っているってことをこっちに提示してきたんだよ」

 

ああ、馬鹿だ。俺はなんて救いようのない馬鹿なんだ。こんなに言われてもまだ『先輩はそんなこと思ってない』って思っている自分がいる。先輩の心を、先輩の悲しみを俺達が分かるはずがないのに、それでも先輩の優しさに甘えようとしてしまう。

 

――「だからお前らの出来ることは、『自分らだけでも最悪何とかなる』『最低限の責任を自分で果たせる』ってことの証明以外ないんだよ。これはそこにいる魔王たちにも同じことが言える。そして今、相棒だけでもそれを示せる。力があることを奴に伝えられる。それが、今のあいつを止めるってことだ」

 

ドライグがそう言う。こんな状況になってなお、俺の中には先輩の言葉がある。それに甘えてしまいそうになる。

 

――お前は弱い。だから弱い奴なりに色々模索しろ。ダメなら考えるのやめて馬鹿一直線にいけ

 

――『らしくあれ』。分からないなら考えるのをやめて、一旦俯瞰しろ。馬鹿になるってのはそういうことだ

 

フェニックスの時もそうだった。

 

――なのになんで君達はそんな簡単に諦める?!なんでそんなにも簡単に生きる者の特権と尊厳を捨てられるんだ?!

 

――過去が消えていく。なら、俺はせめて明日が欲しい。だからあがき続けてるんだ

 

コカビエルの時もそうだった。

 

――……相変わらずの馬鹿面だな。だが、いい面だ

 

ああ、俺は馬鹿だ。先輩は、最初っから俺達にその機会を与えていてくれたんだ。

 

俺は拳を思いっきり自分の頬にぶちこんだ。

 

「イッセー君?!」

 

「大丈夫だ、木場!……ったく、俺は馬鹿だ!馬鹿で仕方ねぇ!なのに小難しいこと考えようとしてよぉ!要は『強くなる』ってことだろ!だったら俺の夢の『王様になる』って奴の過程と変わんねぇじゃねぇか!今はまだ弱いけどよ、やってやるよドライグ!」

 

――「ようやく目が覚めたか」

 

「ああ、悪かったな。お前の口車に乗ってやる」

 

俺は腹を括る。きっと先輩のことだから俺に対しては甘く出てくれるだろうと思っている。だからこそ、『あの人に何度も挑める』。確実に死なないからな。

 

俺は一歩足を踏み出そうとした時、ふと足元に転がっている宝玉が目に入った。ヴァーリの奴の……というかアルビオンの鎧のだ。

 

……。

 

「なぁ、ドライグ」

 

――「なんだ?」

 

「神器ってのは宿主の思いに応えて変化するんだよな?」

 

――「ああ、そうだが?」

 

「今からイメージを送る。いけそうか教えてくれ」

 

俺はすぐにイメージを写し出した。これが可能なら、ワンチャンだろうと先輩をビックリさせることだってできるはずだ。

 

――「っ!……平和主義な男かと思ったら随分危険な代物を送ってきたな。だが面白い!死ぬかもしれんが、意地でも俺が死なせん。それに、これは俺の限界を超えることにもつながる。やってみる価値はある!」

 

「よし、なら行くぞ赤龍帝さんよ!」

 

――「応とも!正気の沙汰ではないが、正気のままで赤き龍の帝王など名乗れるか!行くぞ、兵藤一誠!!」

 

「何をするつもりだ?」

 

アザゼルがこちらを不思議そうに見つめる。

 

「『白い龍』!アルビオンにヴァーリ!もらうぜ、お前らの力!!」

 

俺は右手の甲の宝玉を叩き割りそこに拾った『白い龍』の宝玉をぶち込んだ。

 

木場が聖と魔の逆の力を両立させたんだ。俺達だって出来ない道理はない。

 

右手から白銀のオーラが湧き出て、俺の右半身を包む。俺の中で大きく脈動があり、その瞬間、右手から全身へと激痛が走る。

 

「うがぁああああああああ!」

 

痛い痛い痛い!!ちくしょう、心が折れそうだ!今にも逃げ出したい気分だ!

 

でも逃げない!俺は強くなるんだ!少しでもあがく!先輩の愛した皆のように、俺もなるんだ!

 

「無茶なことをする。聖魔剣はイレギュラーだってのに、それを人為的に起こそうだなんてな。しかも俺の腕輪無しで。だが、面白ぇ。見させてもらうぜ」

 

そう言うアザゼル。

 

――「ぐぉおおおおお!!」

 

ドライグも苦悶の声を上げる。だが、俺に比べて随分余裕そうだ。

 

――「この程度の痛み、あの時の屈辱に比べればどうということはない!」

 

お前もお前で色々抱えていたんだな!

 

『Weish Dragon Balance Breaker!!!』

 

――「おい、相棒!いいこと教えてやる!」

 

なんだよこんな時に!

 

――「歴代宿主の男たちは、須らく女にモテたぞ」

 

「俺の想いに応えろぉおおお!!」

 

『Vanishing Dragon power is taken!!』

 

俺の右手が眩しい白い光に包まれた。真っ白なオーラが右腕を包み、そして俺の右手の籠手は白いものになっていた。

 

「へへへっ、さしずめ『白龍皇の籠手』(ディバイディング・ギア)って所か?随分不格好だが、なんとかなったな」

 

よし、俺の準備はもう終わった。あとは、先輩に伝えるだけだ。

 

「いくぞぉ!」

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!!』

 

「ほう、さっきとは断然違うな。確かに最弱の赤龍帝かもしれんが、根性は最高クラスか?評価を改めるか」

 

アザゼルが何か言ってるが気にしない!俺はやれることをやるだけだ!

 

ヴァーリを何度も踏んでいた先輩の足が止まる。憤怒の形相でこちらを向いた。こ、こえぇ……!で、でも俺はやんなきゃいけねぇんだ!

 

――「いけるぞ、相棒!」

 

「おっしゃあ!先輩、いきますよ!」

 

俺はそのまま先輩めがけて飛び込んだ。時間がゆっくりと感じる。怖い。けど、不思議とその恐怖は乗り越えられる気がした。今はまだ誰かを引っ張るなんて出来ないけど、いつか先輩のようになりたい。そんな気持ちが俺に勇気をくれる。

 

「うぉおおおおおお!!」

 

俺の右ストレートが先輩の頬を貫いた。

 

い、いてぇ……!鉄とかそんなもんじゃねぇ!もっと堅い何かを殴ったような感じだ。

 

思わず下を向いてしまったので、恐る恐る顔を上げる。そこには怒りの形相を止めた先輩の姿があった。見れば、体の傷も見えなくなっている。マジでイビルジョーやん。

 

「兵藤、お前……」

 

「先輩、テロリストに加担するような行為ですいません。でも、先輩に思いを伝える方法がこんなのしかないんです。俺、馬鹿だから」

 

そう言うと、しばらく間をおいて先輩はオーラを抑えた。そして優しく微笑み、俺の頭をポンポンと優しく叩いてくれた。

 

「ったく。馬鹿な後輩だ。世話が焼ける」

 

「……はい」

 

「だが、少しは見込みがあるようになったな」

 

「……っ!はい……っ!」

 

先輩、ずるいっす。その時々でその人が欲しい言葉を言って……。そりゃ、学園1のモテ男なわけだ。

 

「俺も随分頭を熱くしすぎたな。悪い」

 

「そんなことないっすよ。俺だって、家族のこと人質にとられたら、ああもなりますよ」

 

「ありがとな」

 

「どういたしましてっす、先輩」

 

俺達は笑い合う。今度こそ、少しは成長できたかな?

 

そんな風に思った時だった。俺達の所に一人やってきたのは。

 

「ったくヴァーリの奴、挑発の仕方くらいちゃんと勉強しとけってのによぉ」

 

そいつは三国志風の鎧を纏っていた。そいつはヴァーリに手をかけるとそのまま担ぎ上げた。

 

「美猴、闘戦勝仏の末裔だ」

 

アザゼルが答えた。だ、誰?

 

「ったく、速攻で分かる言い方にしてやる。……奴は孫悟空。西遊記のエテ公だよ」

 

「そ、そ、孫悟空ぅうううう?!」

 

「正確に言うと、孫悟空の力を受け継いだ猿の妖怪だ。しかし、まさかお前まで『禍の団』(カオス・ブリゲード)に入団とは世も末だな」

 

アザゼルの言葉に笑う孫悟空。

 

「俺っちは仏になった初代とは違って自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴。よろしくな、赤龍帝、レッドゾーン」

 

何か軽く挨拶されたよ。

 

美猴がヴァーリを担いで棍を地面に突き立てると地面に黒い闇が広がった。それが奴を捉えるとその身を沈ませていく。まさか逃げるつもりか!

 

俺は追いかけようとするが、刹那、体から力が抜けた。激しい疲労が全身を襲う。禁手状態も解けていく。前のめりに倒れそうになった所を、俺は先輩に抱きとめられた。

 

「あれだけの力を一瞬だとは言え爆発的に発散したら体力も空っぽになる。今のお前じゃ、貯蔵の限界も見えているし、長時間の戦闘は無理だ」

 

アザゼルがそう説明する。ヴァーリの奴はぐったりしているけど、それでも鎧を纏っているじゃないか。これが、これが才能の差って奴か……。なら、超えるしかないな。こんな所で立ち止まってちゃ先輩に笑われもしないからな。

 

「悪いねぇ。ヴァーリも旧魔王の血族だから忙しいんだ。アースガルズとかと戦わないといけないし、色々こっちにもあってねぇ。それじゃ、また会おうぜぇ」

 

そう言って美猴たちは消えていった。

 

 

イッセーside out

 

 

 

 





個人的にはイッセー君をかなりうまくうすしお味に出来たんじゃないかって思っています。


諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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