ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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第44話 見せろ、己の高貴

 

リアスのお母様との邂逅の後、俺は今後寝泊まりする個室に案内されていた。

 

冷蔵庫とテレビが完備されている。特に冷蔵庫の中になんか瓶のジュースが入っている。ブドウとオレンジだ。いや、味はどうでもいいねん。こういうのってお高いのが相場じゃん。飲むに飲めない。けど、のどが渇いた。

 

扉の外に顔を出す。そこには俺を案内したメイドさんがいた。

 

「あのー、ジュースってありますかね?」

 

「それでしたら冷蔵庫の方にすでに準備させていただいております」

 

「……ありがとうございます」

 

俺は礼を言う。そうだよな。あのリアスの実家なのだから完璧に用意してくれてるよな。

 

俺はちょっと憂鬱になっていると廊下をメカクレ金髪巨乳のお姉ちゃんが通っていった。思わず見入ってしまったが、一礼をされて目が覚めた。俺は黙って礼を返す。

 

俺は部屋に戻り、冷蔵庫を開けて、瓶を手に取る。そうかそうか、これを飲めってか。はぁ……(クソでかため息)

 

俺はコップを手に取り、瓶を開け、オレンジジュースを注ぐ。びっくりするほどきれいなジュースだ。香りもいい。これ、飲んでいいのか?って疑うよ。

 

「ここにいる当面の間はこういうのに慣れていかないといけないのか……いただきゃす」

 

俺は瓶の王冠を取り、コップにジュースを注ぐ。紫の暗い空の冥界に太陽が降り立ったかのような眩いオレンジ色である。

 

さて、俺は窓際の卓の上に瓶とコップを置き、椅子に腰かける。実にいい。パソコンを起動させる。仕事をしよう。

 

気が進まんがここまで来たら後には退けない。実際に飲んでみることにしよう。感想?そんなもの俺に要求するな。こちとらバヤリースオレンジですら高級品に思っている奴だぞ、こんなガチの高級品の味が分かると思うなよ。精々『赤ワインのフルボディを思わせる重厚感の甘みとそのくどさを切る酸味が特徴的』くらいが言えることの関の山だ。

 

のんびり旅の疲れを癒すことには専念してられない。カタカタとパソコンに打ち込みまくる。

 

日が差し込むわけじゃない。だが、こういうちょっと仄暗い感じも悪くない。

 

順調に物事も運び、少しだけ休憩をしようとした時のことだった。扉を叩く音が聞こえた。

 

「レッドゾーン様、少しよろしいでしょうか?」

 

外から声が聞こえる。声質からして、ミリキャス君かな?

 

「大丈夫です」

 

「失礼します」

 

扉を開けて中に入ってくるのはミリキャス君だった。後ろにはさっき見た金髪巨乳のお姉ちゃんがいる。

 

俺はささっと卓に椅子を二つ用意する。

 

「さ、座って」

 

「は、はい!」

 

「後ろの女性も」

 

「いえ、それがしはここで充分でこざいます故」

 

あら、そう?従者の鑑ね。

 

俺はミリキャス君の対面に座る。さて、何用かな?

 

「どうしたんだい、ミリキャス君?もしかして『今すぐリアスと縁を切れ』とか?」

 

「そ、そんな!僕はそんなことを言いたいわけじゃなくて!」

 

「ごめんごめん、冗談だ。それで、何か用かな?」

 

そう言うと、ミリキャス君が腹を括った顔をする。

 

「あ、あのレッドゾーン様。僕はお父様たちからあなたが異世界から来たことを教えてもらいました」

 

ふぉあああああ!!ちきしょう!もう毒牙が蝕んでやがる!!

 

「それでお願いがございます。レッドゾーン様の異世界での活躍を聞きたいのです」

 

その目は強い憧れを感じる。憧れが理解から程遠いってのが良く分かるよ。

 

「……そうだね。一応、君のお父様、サーゼクスさんに俺の過去を書籍化するって話があって、それを今書いていたんだが」

 

「ほ、本当ですか?!」

 

食い気味に反応するミリキャス君。そうか……これが……俺の背負う罪か。苦くて、酸っぱくて、とげとげしいけど飲み込まなきゃ。

 

「ただ、折角来てくれたんだ。先行販売、というわけじゃないが、今書いているものに推敲が入るだろう。そうなったら俺の書いた原本とは異なり出すだろうし、手つかずのお話をしよう。それでいいかな?」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

いい笑顔だ。

 

で、何を話そう。『ロマノフ以外のシーザー筆頭のナイトたち全員善人√の戦国編』にしようかな?それとも『ニャル子と化したサガの神化編』にしようかな?

……よし、サガ君には犠牲になってもらおう。どうせならお涙頂戴にするか。

 

というわけで、俺は『復活したゼンアク率いるサガやキリコたちと戦い抜いた神化編』という凡夫でも書けるクソ小説を話した。

 

外なる神のサガ。それに付き従うゼンアク。

それに抗った自分たち。

神歌の力と翻弄される人間たち。

それらの戦いの最中で失った友の命。

掴み取った未来。

 

「こんなものかな。今でも、あいつらは俺の胸の中で生きている……ってミリキャス君?」

 

「うっ……うっ……」

 

ミリキャス君が泣いている。従者のお姉ちゃんの方を見ても無言で対応されるだけ。

 

「み、ミリキャス君?」

 

声をかけるも、声を荒げないように必死に耐えている様子。これ、やったな。打ち首か?

 

「ミリキャス様。レッドゾーン様がお困りですよ?」

 

「うん……分かってるよ。でも、涙が止まらないんだ……」

 

打ち首は回避か?それにしてもこの子の感受性の良さにちょっと苦しさを覚える。

 

心苦しさを覚えているとミリキャス君が顔を上げた。

 

「レッドゾーン様」

 

「なんだい?」

 

「レッドゾーン様は大切な方々を失って、なお立ち上がった。何故……何故そう強くあれるのですか?」

 

なんか深いことを聞かれた。強くある、か。分からんよ。俺とて弱いし、強くなった覚えはない。

でも、それっぽいこと言わないとだめだよなぁ。しかもその場しのぎじゃない奴。

 

あっ、閃いた。

 

「『意地』かな?」

 

「『意地』ですか?」

 

「ああ、『意地』。正直言って俺は弱いさ。強くなんてない。自分じゃ勝てない相手がいたら逃げ出したいさ。そんなちっさい男が俺だ。それでもさ、手を伸ばせば手が届くところにいる誰かが、俺に助けを求めているってのに、俺が弱さを見せていたら、その人の最後の希望まで砕いてしまうことになる。そんなことをするくらいなら、俺は嘘でも強くあろうとするよ。どれだけ怖い相手でも、立ち向かう。誰かの希望になることなんておこがましいけど、誰かの希望を守る盾になることくらいは俺にも出来るはず。それが、俺に与えられた数少ない『出来ること』ってもの。その一つが『意地』さ」

 

「『出来ること』……」

 

「柄にもなく語っちゃったな。今でも俺は『英雄』に憧れる。実際にはなれなかったけどね。……けれど、英雄になれなくとも『誰か一人の隣にいれる人』にはなれる。それが誰かの心に響いて、多くの人が寄り添え合えたら、きっと皆が『英雄』になれるだけの強さを持てる」

 

「……」

 

「ミリキャス君」

 

「は、はい!」

 

「俺と同じ道を進むな」

 

そう言うとひどく驚いた顔をする。ごめんな。でも、俺の道って誰も歩めないだろうし、誰にも歩ませたくないんだ。

 

「俺の道は失うものが多すぎる。そんなの模倣してはダメだ。心が折れるに決まっている。俺だってそうなりかけたんだ。いや、確かに折れた時もあった」

 

俺はぐっとオレンジジュースを飲み干す。

 

「それと、だ。手が届く範囲でしか助けられる人を助けてはならない。全員助けていたら、絶対に大切な誰かを傷つけることになる。だからこそ、手が届く範囲の人を全力で守り抜く。それが、俺の中での『憧れの英雄』ってものだね」

 

優しく説くと、ミリキャス君は涙を拭い、そして顔をキリっとさせる。いい顔じゃないか。今の話から少しでも学んでくれると嬉しいものはある。

 

「僕、何も分かってなかったんですね。これじゃあ、皆に笑われちゃうな」

 

「ミリキャス君?」

 

「ミリキャス様……」

 

「レッドゾーン様に憧れて、あなたと同じようになれると思って。でも、あなたはこの世界の誰よりも頼もしくて、寂しさに負けないように頑張るお方で。……あはは、お父様があなたのことを話す時、どうしてあんなにも笑顔なのか分かった気がします。あなたは自分の範囲で『出来ること』を全力でやった。そしてお父様たち他者に寄り添った。……あなたのようにはなれない。だって皆が元々持っているけど忘れてしまうものの延長線の先頭に常に立っているのが、あなたなのだから。魔王の皆様があなたを『英雄』と呼ぶ理由が分かりました」

 

ミリキャス君の言葉は、無理に片意地張っているわけじゃない感じがする。本心から、俺のことを尊敬してくれている。そう思う。

 

「ありがとうございます!僕、無理に頑張ろうとしていたんだって分かりました。レッドゾーン様がそうしたように、僕には僕の出来ることがある。それをやっていこうと思います!それがきっと、お父様の子として産まれてきた訳なんだと思います!」

 

ああ、この子はリアスの甥っ子で間違いない。この輝き、まさしく彼女のそれだ。どこまでも立ち上がろうとするそれだ。

 

俺はそっとミリキャス君の頭を撫でる。急な俺の行動にちょっと戸惑いを隠せてない彼。

 

「レッドゾーン、様?」

 

「君は俺と違う。どこまでも眩しくて、強い子だ。君なら、俺のような悪夢の道を行くことはない」

 

「レッドゾーン様?一体どういう……」

 

「誇れ、ミリキャス君。君は間違いなく、サーゼクスさんの息子であり、リアスの甥だ。彼らの持つ、何人たりとも汚せない気高さを、その心に持っている」

 

「……っ!!……はい!!」

 

そう言うと、彼は扉の方に向かった。

 

「ありがとうございました!失礼しました!」

 

「また話が聞きたかったらいつでもおいで。話せる範囲だけなら話すよ」

 

「はい!」

 

そう言ってミリキャス君が部屋を後にした。メカクレお姉ちゃんと俺だけがこの部屋に残る。

 

「ありがとうございました、レッドゾーン様」

 

「別に礼をされることをした覚えはないさ」

 

「いえいえ。ミリキャス様、最近見ていて無茶だと思えるほどに張り切るようになっていたのです。それをこうして諫めてもらえたのは、家臣として喜ばしい限りです」

 

そう言うお姉ちゃん。

 

「俺としては彼を泣かせたことを黙っていてほしいと思うばかりなんだが」

 

「それでは少しばかりおぜぜをいただくことになりますが……」

 

「……分かったよ」

 

「あ、英雄様からカツアゲの形で取ろうだなんてことは思っていません故、今のは聞かなかったことに」

 

この人相当面白い人だな。ちょっとからかうか。

 

「キスの一つでもすれば黙ってもらえるかしら?」

 

「それこそそれがしにはもったいない。そもそも、お嬢様の想い人の味見をしようなどとそんな無礼、この小心者には出来ませぬ」

 

……食えんな。てか、リアスは別に俺にそんな感情抱いてないだろうよ。

 

余談だが、ミリキャス君が扉を開けた時から外から『ミリキャス様、ご立派になられて』なんて声が複数聞こえた。ほんと面白いよ、ここは。

 

 

 

 

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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