ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~ 作:ブラッキオ
これでこの章は終わりです。ここまで続いたのも皆様のお気に入り登録等の応援のおかげです。アンチ・ヘイトの感情もないかと言われると、否定はしません。
夢を見ていた。
俺がこの世界に降り立って、家族が出来たとある日の夜。
『クレセリア・ベリアル』と名乗る女性と『八重山正明』と名乗る男性を助けたこと。
夜に大きな邪悪を感じてこっそり外に出て、邪悪に近づけばそこに彼らはいた。
傷つく女性と絶望に飲まれそうな男性。
許せなかった。俺の正義が叫んだ。『この敵共を撃滅せよ』、と。
気が付けばこの手を血に染めていた。首はあらぬ方向に曲がり、心臓に剣を刺され、手足はかろうじてつながっているような神父たちの惨状がそこに広がっていた。
俺はクレセ、いやクレーリアだったか?彼女と彼女を『主』と慕う者たちと多分正臣という名前の男性と共に走った。
その途中、追手に追い付かれた。自我を抑えられた、兵器として使われている少女だった。
俺は彼女を解放した。虚ろな彼女に、俺は見惚れた。
走って、走って、よく分からない場所にたどり着いた時、彼らは俺を連れて行こうとした。
魔王が人間の魂をあの世に引きずりこむのとは違う。俺を守ろうとした。自分を殺しに来た少女と共に。明確に『善意』『正義』を感じた。
だが、俺には家族がいる。守るべき場所がある。そのためなら例え世界だろうと壊して見せる。彼らにそう告げ、去った。
公園の蛇口で血を流す時、俺は何も考えていなかった。『俺は正しいことをした』。それさえも考えていなかった。ただ、ユノハ様が『あなたは悪くない』と何度も必死に声をかけてきたことだけは朧げでも覚えている。
何故大昔のことを夢に見たのだろうか。俺が黒歌と幽さんの『主』になったからか?彼女たちを命を懸けても守る覚悟が足りていないからか?
それとも、俺はあの行為に罪悪感など抱いているとでも言うのか?
この暗い感情に飲まれそうな俺に、生きる資格など……
「……さん……チさん?」
声が聞こえた。ふと意識を戻すとそこには俺を心配そうに見ている眷属の二人とアーシアがいる。そうだ、俺達は今日のリアス・グレモリーVSソーナ・シトリーのゲーム。そのゲームを観るために特別な部屋にセラフォルーさん達のご厚意で俺達は案内された。そしてゲーム開始前の待ち時間、俺はテレビの前で少し睡眠を取ろうとした。そうだったな。
「ダイチさん、どこか具合でも……」
アーシアが心配してくれる。すまん、別にそんなことはないんだ。ちょっと過去に思いをはせていただけなんだ。妙に苦しみが残っているけど。
「何でもない、アーシア。それに二人とも。心配させてごめん」
そう言うとより一層心配そうな顔をする三人。え、今の間違いだった?
混乱していると、アーシアが俺をそっと抱きしめた。え?えぇ?
「ダイチさん。私達は、あなたの味方です……」
「アーシア……」
「ダイチさんからすれば、きっと私達は頼りないと思います。でも、あなたの苦しみを少しでも和らげることくらいは出来ると思ってます。こんな風に思うことは、傲慢でしょうか?」
アーシアの切なる声が響く。俺、そんなに苦しんでるように見えていたか……
俺はそっとアーシアを抱きしめ返し、しばらくしてから彼女を離す。
「どうやら、まだ『王』という立場に慣れていなかったらしい。これは、嘘じゃない」
俺が不安を吐露すると、三人はフフッと笑う。
「そうですよね、だってダイチさんは『王子』ですから。まだ戴冠してませんもんね」
「黒歌殿、どうやら我々の主は支えがいのある、あざとい主のようですぞ?」
「ええ、全くにゃ。でも、そんなあざとい奴に心から落とされちゃったんだから、私達もちょろいもんね。……それにしても魔王から聞いていたけど、ご主人様って本当に王子なの?」
黒歌が俺に質問してきた。サーゼクスさんから聞いたのか。どこまで聞いたのか知らんけど、まぁ、今後のことも考えると知っておいてほしいことだ。嘘の内容だけどな!!
「まぁ、そうなるな」
「しかも異世界のでしょ?嘘にしか思えないけど、魔王様が言うなら本当なんでしょうね。何より、ご主人様がそう言うんだから信じるしかないわね」
黒歌、ごめん。本当にごめん。
「それにしても王子ですか。国の規模がどうであれ、高貴な身分。さぞ、女性の引く手は数多だったでしょうな」
幽さんがそうからかう。ごめん、俺、前世でもまともなモテ方をしてない記憶がおぼろげにあるんだ。それに俺には超絶怒涛の大嘘の権化たる『嫁』ってのがいるからな。
「変なモテ方をしてはいたが、嫁が出来てからはそんなこともなくなったしな」
そう言うと、豆鉄砲を食らった表情をする眷属の二人。なんだよ、俺が嘘でも結婚してたら悪いかよ。
「まぁ、皆死んだがな」
嘘の真実とかいう矛盾塊にのっとって俺は言葉を続ける。悲しい空気が広がる。ああ、俺、本当に救えないバカだ。
「もう済んだ話だ。俺はどれだけ辛くとも前に進まなきゃいけない。後悔する資格なんてないんだ。もう……もう、大切な人達を失わないために……」
俺がそう言うと、黒歌がチョップを俺の頭に入れた。
「ご主人様、スマイルにゃ」
「黒歌?」
「とりあえず今は白音たちのゲームを観て、そんでもって夕飯のことを考えながら仕事を終わらせる。人生なんてそんなもの、でしょ?」
「随分極端ですが、黒歌殿の仰る通りです。大地様の過去がどうであれ、我々はあなたを愛し、その背に続きます故」
黒歌と幽さんがそう言う。恵まれている。恵まれすぎているな、俺。とっとと立たんか、愚図め。
「ありがとう。二人とも」
「わ、私もですよ、ダイチさん!」
アーシアも続く。俺、度し難い屑で馬鹿だけど、皆の笑顔くらいは守れるはずだ。命を懸けてでも、俺は皆を守ろう。
そう決意をした時だった。テレビの映像が変わった。どうやら、ゲームが始まるようだ。
「さて、見定めさせてもらおう」
実は先日のパーティーでシトリーさん達からお言葉をいただいた。何でも、『私達が夢を掴む資格があるか、見定めてほしい』とな。間違いない、あの老害下等生物共がシトリーさんの夢を嘲笑ったのが原因だろう。マジで殺してやろうか、あいつら?
リアスもリアスでパーティーの時に宣戦布告されていたらしく、運がいいのか悪いのか、シトリーさんと入れ替わりで『私達の戦いを見てくれ』と言われた。
こんな俺だが、腐っても『戦士』だ。『英雄』になっちまった男だ。責任はちょっとくらい果たすよ。
え、全部じゃないのかって?あいにく俺は無責任な男でな。
―――
結論から言おう。リアスが勝った。まぁ、下馬評でも80%で勝てるって言われてるってアザゼル先生も言ってたしな。
ただ、勝ち方……というか勝つまでの過程に問題があった。ごちゃごちゃ言うのもあれなので端的にまとめると、『窮鼠猫を嚙む』だ。
まず、ゲームの地形だが、駒王町のショッピングモールが舞台。これだけならいいんだが、問題は『地形の大規模破壊をした場合、失格』ということ。『火力ぶっぱ正義』『搦め手をごり押しでぶっ飛ばす』っていうのが得意なリアスたちに対して余りに不利な条件だった。その上、シトリーさん達は搦め手など細かい動きを得意としている。分が悪すぎた。しかも、シトリーさんの指示で全員がスリップダメージやカウンターに集中しており、フルパワーで暴れられないリアスたちを完全に殺しに来ていた。
そんな中で何とかリアスたちは切り返していた。兵藤も兵藤で謎の力で女性の心の声を公開させていた。名前は『パイリンガル』だそう。どうやら女性限定で公開させるものらしく、それを使ってシトリーさん側のタネを暴いていた。ただまぁ、女性の秘密を暴くってのはいつの時代も不作法というものなのだろうな、兵藤がすごいバッシングを受けてました。
そんな中、シトリーさん側の主力(とは信じたくないけど多分主力の)匙君が落とされた所で流れが変わった。
実はスリップダメージの要に匙君がいたのだ。ただそれだけなら落とせば終わりなのだが、あいつ、相当ガッツがあったようで、死してなお主の勝利のために兵藤の奴の血液を削っていた。
結果、兵藤のエネルギーが底に達し、陥落。互いに主力『兵士』を失う形となった。
ここからが問題。兵藤が落とされてから、リアスたちの動きが明らかに良くない方向に行っていた。ぶちぎれる朱乃や木場。明らかにしょげてる塔城さん。指揮系統が混乱したリアス。ゼノヴィアさんとヴラディ君はそもそも兵藤より前に落とされていたが、それでも感じるものがある。
あいつら、兵藤に依存してるな?
俺には依存しないと誓ってはいたが、だからと言って兵藤に依存するか。確かに支えとなる一本の太い木があればこれ以上にない安心感は得られる。だが、それを折られた時、人は簡単に瓦解する。
そんなわけでリアスたちは混乱したまま、突っ走った。結果、シトリーさんのサレンダーでゲームは終わったが、結局最後に残ったのはリアスと塔城さんのみ。そもそも少数精鋭の気があるリアス達とは言え、流石にこの勝ち方は屈辱的なものだっただろう。
そんな風に思っているとノック数回の後に扉が開かれた。
「こんにちは、大地君!」
「やぁ、岸波君」
「セラフォルーさん、サーゼクスさん」
魔王二人がやって来た。一体何用で?
「色々聞きたいことがあるが、率直に聞こう。この戦い、君にはどう映ったかな?」
そうだよな。聞くならそのことだよな。何せ二人の妹なんだし。
「俺としては『どちらも屈辱しか残らない戦い』としか言えません」
「と言うと?」
「下馬評で勝率80%と言われたリアス・グレモリーは『王』以外は一つの駒しか残せなかったザマで、20%しか勝率が無いとされたソーナ・シトリーは清々しい程に勝利へ貪欲な戦いぶり。敗者には正当な屈辱と下馬評を覆しかけたことへの栄光、勝者には正当な栄光と油断と弱さを見せた勝利の末の屈辱。はっきり言って、高校生の身に背負わせるには……いや、彼女達が今後ゲームをしていくのなら今の内に味わうべきだったか?」
そう言うと、二人は満足げだった。
「君はその辺りをしっかり割り切れるんだね」
「割り切れるもんか。ただ第3者の視点ならこう見えるってのを言っただけ。本音を言うなら、大切な友達二人にはこんな状況で戦ってほしくなかった。『叶わないと嘲笑された夢のため』なんてもん、後ろに無い方がよかったんだ。これではどちらも道化だよ」
「道化、か……」
「やはり、改革はもう少し早めに進めた方が良さそうだね」
「そうだね、サーゼクスちゃん」
何やら思惑がある様子の二人。
こうして、リアス達のデビュー戦は苦い思い出となりながら幕を閉じたのであった。
―――
さて、色々苦い思いもした冥界合宿も終わりを迎えようとしている。見送りにグレモリー一家全員が来ている。その中にはサーゼクスさんとグレイフィアさんご夫婦も。
「そろそろ落ち着く、なんて言わないさ。若輩なりにもっと頑張ろうと思うよ岸波君」
「大地君、どこかの誰かさんったら最近までことあるごとに『隠居しよう』なんて言ってたの。それを変えてくれたのは紛れもないあなたよ。感謝しかないわ」
「ヴェ、ヴェネラナ……それは言わないという約束だったはずだぞ……?」
「……?」
「お父様、お母様、ダイチが困ってます」
何だかよく分からない漫才を観させてもらった。
「レッドゾーン様!次会う時まで、僕は僕の出来ることを見つけてみせます!」
「ああ、君の行く道に栄光があることを願うよ」
ミリキャス君に別れを告げる。
「岸波君。あの歌たちは必ず大ヒットする。そうなったら君も忙しくなるから、覚悟しておいてくれ」
「しょ、承知しました」
黒歴史となりつつあるそれを掘り起こすサーゼクスさん。冥界が地獄に近いならそのまま奈落の底に沈めてくれ。
「それがしはしばらくの間ルシファー様の『騎士』に鍛えさせていただきます」
「次に会う時を楽しみにしているよ」
幽さんとの別れも済ませた。連絡手段も確保してあるので、いつでも呼んでくれと言われてもいる。
色々あったが、なんだかんだ楽しめたし、人生の転機になったな。来た甲斐がある。
こうして俺達は列車に乗って人間界へと帰った。
そうして、事件は起きた。
俺達が人間界側の駅のホームに着いた時だった。アーシアが男に詰め寄られていた。
「アーシア・アルジェント……ようやく会えた!」
俺はその顔を知っている。
「あ、あの……」
「お、おい!俺達のアーシアちゃんに何の用だ!」
「僕を忘れてしまったのかい?僕達は前に会っていたよ?」
兵藤が割り込むと、そいつは胸元を開き、傷を見せた。それを見たアーシアは、信じられないものを見るような表情をした。
「まさか、そんな……!」
「ああ、そうだ。あの時は顔を見せられなかったけれど、僕はあの時の悪魔だ」
その言葉にアーシアは絶句した。
「僕の名前はディオドラ・アスタロト。傷跡が残らないようになるまで治療はしてもらえなかったけれど、僕は君に救われた」
奴は、アーシアの前に跪いて、手の甲にキスをした。
「アーシア、僕は君を迎えに来た。パーティーの時に挨拶出来なくてごめん。でも、君と再会できたことは運命なんだと思う。僕の妻になってほしい。僕は君を愛しているんだ」
ゲロ以下野郎……!!
青白天門を組もうとして奮発して理想と平和の決断を買ったはいいものの、どっかのインパルスとかゲンムは『まぁ、1枚1000円くらいだろ』と高を括った結果、その価格にぶちぎれて組むのをやめた者です。
諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。
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無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
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逃げるな卑怯者(炭治郎並感)