ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~ 作:ブラッキオ
戦いは終わった。ロキを倒した。フェンリルはヴァーリと共にどこかへと消えた。とりあえず終わったのだ。
疲れて座り込む者もいれば歓喜に震える者もいる。そこにヴァーリチームはいない。いつの間にかいなくなっていた。逃げ足だけは早いものだな。
ロキの方はと言うと、ロスヴァイセさんがなんか魔法を使って封印処理をしているそうだ。餅は餅屋ってわけだな。
禁断の力を注入された兵藤だが、特に問題はなかった。いつも通りピンピンしているし、ドライグさんも神器の方に問題はないと言っている。そのせいで余計に不気味がられたが。そんな兵藤も今はタンニーンさんと一緒に戦後処理で穴を埋めている。
ま、そんなわけだ。とにかく今は誰も大きな怪我が無かったこと、そして犠牲を出さなかったことを喜ぼう。喜びの夜って奴だ。
俺は採石場跡地のちょっと小高い所で呑気に座って皆を見ている。隣にはスコルとハティが小さくなって寝ている。すると、こちらにやってくる人影が一つ。
「岸波殿、少しいいか?」
バラキエルさんだ。砂煙で埃っぽい感じにはなっているが、特に外傷もなさそうだ。で、なんでしょうか?戦後処理についての話とか?
「はい」
「隣失礼する」
隣に座るバラキエルさん。しばらく無言が続く。怖いです。もしかして朱乃のこと?それとも奥さんのこと?いずれにせよ、何かあるんだろうけど、話してくれない。
「岸波殿、折り入って話がある。いや、聞きたいことがあると言った方が正しいか」
ようやくバラキエルさんが口を開いてくれた。何でしょう、俺で良ければ答えますよ。
「単刀直入に聞く。君は娘のことが……朱乃のことが好きか?」
「ええ、まぁ。なんだかんだ言ってもう3年の付き合いになりますからね。じゃなきゃ、こんなに長い付き合いで仲良くしてないですよ」
そもそも仲良くなきゃ朱乃のことを解決なんかしませんよ。友達が一生後悔しそうだってのに手を伸ばそうとしないのはちょっといただけない。だから手を伸ばさせた。結果、あなたと仲直り出来たわけですし。
「そうじゃない。その……一人の女としてだ」
衝撃の一言。それお父様のあなたが聞きますか?いや、これどう答えたもんだ?下手に『(朱乃)先輩、好きっす!』なんて言ったって信じてもらえそうにないしな。何なら信頼も失いそうだし。
それに気にかかるのは、先日の黒歌の発言。童貞くさくてたまらないが、もしかしたら朱乃も俺に対して友情ではない好意を持ってくれているかもしれない。もしそれが本当なら、それに対して不誠実なことはしたくない。
「そう、ですね……難しいです。如何せん、3年もの付き合いになりますから。もしかしたら堕天使や悪魔のような長寿の種には分かりにくい感覚かもしれないですけど、俺にとって、その一年、そのひと月、その一日がその人との大切な思い出なんです。だからこそ、俺は朱乃の想いが分からないままで、勝手な感情を決めたくない。だからと言って、見ないふりをするという不誠実もしたくない。そんな所です」
そう言うと、バラキエルさんは納得してくれた様子。
「そうか……君は真面目だな」
「そんなことないです。今のだって、アザゼル先生に言わせれば『問題の先送り』『結局あいつの想いに応えようとしてない』とかですし。何なら『もういっそのこと抱け』とか言われそうですし」
「ははっ、そうだな。アザゼルならそう言う」
そう言うと立ち上がるバラキエルさん。
「ありがとう、岸波殿。君が娘の友人であった幸運、何物にも代えがたいと分かったよ」
「それはこっちのセリフですよ。朱乃と出会えたこと、俺だって幸運に思いますよ」
あんなにいい子に出会えたこと、うれしくない訳が無いだろう。
「そうか……娘はまだ頼りないだろう。迷惑をかけるかもしれんが、許してくれ」
「勿論です」
そう返事をすると、バラキエルさんは朱乃の方へと歩いて行った。言動とかじゃないけどさ、何ていうか似てるよね、朱乃とバラキエルさん。ちゃんと親子だよ。
○○○
ロキとの戦いも終わり、2年生の修学旅行も近づいてきたある日のこと。俺達オカ研部員たちはいつも通りオカ研にいた。アザゼル先生はバラキエルさんのお見送りがあるとのことでいないが、他のメンバーは揃っている。さ、部活を始めよう。
「そういう訳で不肖ロスヴァイセ。駒王学園高等部に教師として赴任しました」
とはいかなかった。我々の仲間に新しい顔がやってきた。名はロスヴァイセ。そう、あの騒がしい面白ヴァルキリーだ。
ここに赴任することになった理由は一つ、『俺とスコルとハティの監視』。
どうやらオーディンさんはアーシア争奪戦での俺の持つ力のヤバさとミョルニルをバグらせた禁断の力を危険視し、監視するためにロスヴァイセさんを派遣することにしたそうだ。まぁ、そうなるよな。
スコルとハティだが、俺への懐き様を見て、なんと我が家に来ることになった。普段から大型犬くらいの大きさにもなれるということで、そのサイズでグレイプニルという鎖を組み込んだ首輪をつけることでマジでただの犬と同じになれるんだとか。これには2頭も大喜びだった。
ただ、危険なことには変わりないので、そのための監視をロスヴァイセさんの仕事に組み込んだそうだ。
我が家への説明だが、馬鹿正直に『俺が拾った』という訳にも行かず、『アザゼル先生が元々無理矢理引き取らされた犬が新居で飼えないと後だしじゃんけんで言われてしまい、飼えなくなっていたので俺達で預かろう。場合によっては引き取ることも視野に入れよう』ってことでごり押した。餌代とかも北欧神話の方々がある程度肩を持ってくれるとのことで両親も『お前がちゃんと世話をしろ』と言う条件で許しを得た。
ま、翌日には犬だけど猫かわいがりする両親と遥輝がいたんだけどね。スコルとハティも我が一家との関係は非常に良好。余程家族愛というのを知らなかったのか、大好きアピールをよくするようになった。
……昔から『犬を飼ってみたい』って父さんも母さんも言っていたの、忘れてないからな。
でもこうして『お前、危険』ってのを示されるとちょっと悲しくなってくる。俺って普通の人間として生きられないんだなって思っちゃってさ。何が悲しくて食べる飯の味が分からなくなっていかなきゃいけないんだよ。
さて、と。
「(頭が痛い……)」
俺は体の中で宴だなんだと騒いでいる駒にそうツッコむ。原因はティファニアさんとレナさん、ルイーザさん。
昨日駒とカードのことで彼女達から連絡あった。何か覚悟決めたとか言ってるからもう結末が見え切ってる状況に今の俺はいるんだ。
頼む。俺の精神をこれ以上削らないでくれ。
話を戻そう。そんなロスヴァイセ先生だが、実質クビ飛ばしと変わらない方法でここに来たらしく、職は得たけど路頭に迷っているのと変わりないとのこと。そんなところにリアスの魔の手が差し伸べられた。
リアスったら、北欧よりもずっと好待遇でロスヴァイセ先生を引っこ抜いたのだ。どうやら相当いい待遇だったようで、ロスヴァイセ先生は二つ返事でリアスの『戦車』となった。ロスヴァイセ先生の特長と『戦車』の性質が合わさることでどうやら『移動式ビーム大砲』が完成したとか。これにはリアスもウキウキだった。
待遇で思い出した。サーゼクスさんとセラフォルーさんの勧めで作った冥界での俺の銀行口座がつい最近出来た。今までの俺関連の収益の一部と今後の収益はそこに入るそうだ。今度いくら入っているか見てみよう。5万円くらい入っている夢を見てもいいよな?
そんなわけだ。俺の日常は嫌でも進んでいく。でも、不思議と悪い気はしない。
Side out
アザゼルside
ロキの襲撃も無事死人を出さずに済んだ。オーディンのじじいの会談も成功。イッセーたちも神と言う滅多に戦えない存在と戦えた。これ以上にない成果だ。しいて言うならヴァーリチームを逃がしたこととスコルとハティの所在か。前者に関してはどうにでもなるだろうよ。後者は不安も多いが、考えを変えれば『神殺しの牙を2頭もこちらの戦力に引き込めた』ってなる。少しはテロリスト諸君への牽制にもなるだろう。岸波には頭が上がらないぜ。……その岸波が世界に牙を剥かなければの話だが。ま、あいつもそんなことをするような奴じゃない。ちょっと家族への想いが強いだけだ。
俺はと言うと、グリゴリで待機している馬鹿共に土産物を頼まれたバラキエルの買い出しに付き合っている。総督の俺がいくらなんでもこんなんだからっつっても限度があるだろ……
これも平和の一つの形か。
今はデパートのベンチで座っている。ゆっくりしているとバラキエルが両手に袋を抱えて戻って来た。
「頼まれていた品はこれで全部か」
「お疲れさん」
バラキエルが隣に座る。こいつは昔から堅物だ。こう言った買い物とかは慣れてないだろうよ。だが、その無骨さ故に一度頼まれちまったもんは遂行してしまう。
……結果、大切なものを失っちまうことになってもな。
俺は手荷物を漁る。取り出すのは弁当箱。巾着から取り出し、バラキエルにそれを渡す。
「アザゼル、これは?」
「いいから開けろ。あ、言っておくが俺は渡されただけだからな」
バラキエルが弁当箱を開ける。渡してきた奴は朱乃だ。『父様に渡してくれ』と言う一言も一緒にな。それ以外は何もない。ま、今のこいつらにはそれで充分だろうよ。
箱の中身は色彩豊かな和食。バラキエルがこっちを気にするので、『さっさと食え』と手で促す。
バラキエルは箸を取り、煮物の芋を口に運ぶ。すると、涙を流し出した。
「間違いない……忘れるもんか……朱璃の味だ……」
その一言を呟き、無言でがっつき出す。かつて『神の雷』と呼ばれていた男とは思えない程に涙をボロボロ流しながら、夢中で食べた。
「お前の嫁のことがあった手前でこんなことを言っても説得力がないけどよ……朱乃のことは俺やリアス、それに岸波達に任せてくれよ。今度こそ問題はない。朱乃の惚れた男は度し難い程のスケベだ。ぶっちゃけ俺以上だろうよ。だけどそれ以上に不安になるほど真面目だ。そして強い」
バラキエルが箸を止める。
「あいつが異世界の人間だってのはお前も知っているだろうよ。……あいつはお前と似てるんだ。あいつはあいつでその異世界で嫁を目の前で殺された。腹に臨月の子供もいる状態でな。あいつが悪いんじゃない。それでも、あいつはあいつ自身を今も憎み続けている」
「そんな……そんなことが……」
「だからこそ、お前らのことが許せなかったんだろうよ。祝福されて産まれてきた子供とどこまでも子煩悩な親が仲違いしているってのがよ。自分がどれほど欲しても、どれだけ対価を差し出そうとも二度と手に入らない幸せをみすみす捨てようってのが。そんな思いも『身勝手で醜い欲望』と断じるほどのクソ真面目なのが奴だ。任せるには充分すぎる。何より……
「ああ……そうだな。懐かしいものだ……」
こいつもあの時レッドゾーンの口八丁に乗せられた男だ。だからこそ、こいつもこいつで岸波の真面目さと誠実さは理解しているだろうよ。
「しいて言うなら朱乃はまだ弱い。岸波の隣に立つには未熟だ。……だからこそ強くなるまで俺は付き合う。岸波も待つ覚悟をしている。今度こそ、全部守ってやるよ。岸波も一緒にだ」
「そうか……そうか……」
バラキエルはそう言うと、再び弁当を食べだした。『もう他の女を愛さない』。それだけの覚悟を持った男が心から惚れて、そして死に別れた女の味と同じ味の料理を静かに味わう。
どこまでも傲慢で無知だったから堕ちることになったのが俺だ。こんなこと言っても信じてはもらえないだろうよ。でも言わせてくれ。
ありがとう、岸波。こいつらだけじゃない。俺も救われたよ。
アザゼルside out
という訳でこの章は終わりです。
次は今までの流れだと原作8巻なのですが、その原作がそれまでのストーリーの隙間を埋める小話集な所があるので、このSSでは書かないことにします。その代わり短めのオリジナルストーリーを書きます。と言っても、そんな『完全オリジナル!』と言ったものではないです。主人公の今までのツケを払わせるだけです。
原作8巻の内容が知りたい方は原作を買って読んでください。そして私と同じ苦しみを味わってください。
諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。
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無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
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逃げるな卑怯者(炭治郎並感)