ハイスクールD×D×R~禁断の使徒が頑張るRe:ライフ~   作:ブラッキオ

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魂の連投です。



第96話 英雄ってのは

 

イッセーside

 

時は来た。俺達は京都駅前のバス停に立つ。理由は勿論、二条城へ行くため。

 

ゼノヴィアだが、デュランダルの改修が終わったようで、こちらでの再会となった。そのため、アスカロンはと言うと、俺に返却された。久しぶりだな、アスカロン。こんな主だが、頑張ってくれよ。

 

俺達がバス停で待っていると九重も来た。彼女は裏京都で待機しているはずだった。レヴィアタン様やアザゼル先生からもそう言われているが、『自分も行きたい』と言う。流石に遠足気分で行くような場所じゃないと注意した。したんだが……

 

―「頼む、私にも母上を救わせてくれ!」

 

……はぁ。この様子だと、俺が後でコテンパンに叱られそうだ。

 

そう言う訳で俺達は九重の目と圧に負けて連れていくことにした。

 

そんな時に俺達を霧が覆う。それは昼間のものと同じ。つまり、『絶霧』(ディメンション・ロスト)のもの。もう来やがったか。

 

俺達は霧に包まれる。相も変わらず気持ち悪いぬるりとした感覚だ。

 

霧が晴れるとそこは地下鉄のホームだった。周りを見渡すと人気がない。他の皆もいない。

 

「奴らの持つ技術は計り知れないの」

 

九重を除いて。

 

「どうやら、あいつらはもう仕掛けてきたらしいな」

 

そう呟くと電話が鳴る。画面を見ると、『木場』の文字が。この空間、電話は通じるのか。

 

「もしもし、木場か?今どこだ?お前もこの奇妙な空間に転移してるんだよな?」

 

『うん。こっちは京都御所だよ。ロスヴァイセさんと匙君も一緒。そっちは?』

 

「九重とで、京都駅地下鉄ホーム。ちょっと待て、地図を出す」

 

俺はオフェンス陣に渡された地図を開く。……ちょっと待て。

 

「おい、木場」

 

『うん、分かってる。このフィールド、相当広大だよ』

 

木場の言う通りだ。京都御所は二条城の北東だ。そして京都駅。そうなってくると、この京都の町並みを丸々再現していると言っても過言じゃない。

 

「こいつは、二条城を中心に、ってか?」

 

『うん、そうだね。二条城を中心に京都の町を再現。ゲームのフィールドもこれくらい広いものはあるから不思議じゃないけど、どうやら英雄派はこちらの情報を徹底的に調べ上げているようだね』

 

ま、そんな奴らも先輩のことは全く研究してないようだけどね。今回もレーティングゲームの練習だと思って利用してやろう。

 

「そうだな。とりあえず合流は二条城でいいか?」

 

『うん、了解。アーシアさん達にはイッセー君が連絡するかい?どうやら、英雄派は僕達を招待したいらしいからね』

 

「分かった。アーシア達にはこっちからつなげる。そっちは外にいるアザゼル先生やレヴィアタン様達につなげてみてくれ。全く、唐突な招待なんて迷惑なだけだっつーの」

 

俺は木場との連絡をそこで終える。アーシア達にも連絡をとったがどうやら教会トリオでの転移だったようで、イリナとゼノヴィアとのコンタクトも取れた。今のアーシアには守る盾がない。そう言う意味でもゼノヴィアとイリナがいるのは安心だ。

 

待って、つまり俺は実質一人ってこと?ええい、冗談ではない!

 

俺はとにかく皆との合流を優先して二条城へと向かった。途中、木場からの連絡があった。どうやら外とはつながらないようだ。ロスヴァイセさんによれば、フィールドに特殊な結界を張ったか魔法の術式をかけているのではないかとのこと。

 

つまり、あいつらは『中でバラバラになった奴らだけなら連絡を取り合ってもいい』って言っていることになる。随分舐めた真似しやがって……!

 

……今は合流が優先だ。ここは京都駅の地下鉄ホーム。ならどこをどう行けば二条城に向かえるかは昼間の移動で知っている。

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』

 

俺は禁手を発動する。移動の目途はついた。ここは敵陣、道中で何があるか分かったもんじゃないからな。

 

「九重」

 

「なんじゃ?」

 

「俺はさ、岸波先輩ほど頼りにはならないけど、それでも精一杯やるぜ」

 

「……そうか、よきに計らえ」

 

俺はそれだけ言う。すると、誰かの気配が。敵意もしっかり感じる。

 

視線をホームの先に向けるとそこには英雄派の制服を着た男がいた。お出ましのようだな。

 

「こんばんは、赤龍帝殿。俺のことは覚えているかい?」

 

「悪いな、俺は男の顔は余り覚えられないんだ。それに俺はあいにく馬鹿なんでな、てめぇのような畜生に割く脳のリソースはない」

 

いや、若干ながら覚えている。確か、こいつは影を自在に操る男。駒王町で戦った奴だ。

 

「そうかい。確かに俺はあんたのような強さはない。だが、これならどうかな?」

 

そう言うと一言、『禁手化』と言い、全身を影の鎧で覆った。随分仰々しい。それに、どことなく俺に似ている。

 

「自分のような禁手だ。そう思ったかい?そう、その通り。あんたらにやられた後、俺は強い防御力をイメージしたんだ。あんたみたいな鎧が欲しいと願った。それだけ赤龍帝の力は魅力的だった。『闇夜の大盾』(ナイト・リフレクション)の禁手状態、『闇夜の獣皮』(ナイト・リフレクション・デス・クロス)。さぁ、あの時の続きといこうか」

 

何だかめんどくさそうなのが来たぞ?影の鎧は生き物のようにうねうねしているし、眼光だけがこっちを見ている。シンプルにSAN値が削れそうな見た目だ。

 

さて、それも修行としよう。緊張感も震えもあるけど、怖気づいてしまうことはない。こんな奴に比べたら、木場の聖魔剣の方がよっぽど怖い。

 

俺は拳を握り、ブースターで一気に接近して男を殴り飛ばす。

 

「あれ?」

 

が、相手の体をすり抜けてしまった。男が霧散し、インパクトの瞬間の感触がない。相手は何事もない様子。まるで煙に突っ込んでいくような感覚だった。

 

振り向いて何度も攻撃をするが、攻撃が通らない。もとの位置まで下がるが、相手の様子に変化はない。

 

試しにドラゴンショットを撃ってみる。が、避けることもない。全弾すり抜けた。チッ!面倒なこと!

 

「無駄だ、この鎧にはどんな攻撃も通じない」

 

ホーム内の影が意思を持ったかのように鋭い刃となって俺の方へと向かってくる。九重を抱えながら俺はその影から逃げていく。ちょいちょい俺に攻撃が当たるが……残念だったな、俺の鎧も相当堅いんだ。サイラオーグさんってのが規格外すぎるだけでな。

 

足を掴もうとする奴をアスカロンで切り飛ばすなど抵抗はしている。だが、一向に解決の糸口が見えない。

 

訳の分からない攻め手に直接攻撃の効かない防御。俺の大っ嫌いなテクニック系だ。

 

「ハハハ!やるなぁ、赤龍帝。流石だ。けど、そちらの攻撃はこちらには届かない。持久戦になれば俺の勝ちだ!」

 

随分言ってくれる。その通りだがな!

 

そんな時だった。脇から小さな炎の球体が飛んでいった。九重がやったものだ。それは英雄派に向かっていく。が、大したこともないのか、男はそれを握りつぶしてしまった。

 

「これは小さな狐の姫様。この程度の熱量ではこの鎧は貫けませぬ。熱さが足りない!」

 

「おのれ!」

 

九重の頑張りを嘲笑う英雄派の男。

 

……いや、待てよ?あいつって鎧なんだよな?んでもって、今の感じだと熱は伝わるようだし……

 

――「相棒、お前、随分外道になったな」

 

い、いいえ!これは勝つための手段であって、何もそこまでひどいことはしませんよ!?ちょーっと痛い目に遭ってもらうだけで。

 

――「それを外道と呼ぶのだろうが……」

 

ええい、うるさい!俺はやるんだ!

 

「ドライグ、九重を翼で頼む」

 

――「あい、分かった」

 

俺は息を大きく吸い、腹の中で小さな火種を作る。そしてそれを倍加させる。さぁ、元龍王直伝の技をやらせてもらおうか!

 

『Transfer!!』

 

俺は大火力の炎を口から吐き出す。ホームを火炎が包み込み、地下をその息で埋め尽くした。

 

「まずい、この熱量は!」

 

男は逃げようとする。が、ホーム中が俺の炎で覆われている。逃げ込める影なんてない。

 

「おのれ赤龍帝!」

 

余程蒸しあがるのがいやな様子。そいつは破れかぶれでこちらに突撃してきた。よし、今だ!

 

俺は男とすれ違いざまにその鎧に触れるようにする。

 

『洋服崩壊』(ドレス・ブレイク)!!」

 

パァンという気持ちいい音と共に、そいつの鎧は剥がされた。

 

「しまった!?」

 

「燃え尽きやがれ!」

 

男の周囲に炎が渦巻き、その場で絶叫しながらのたうち回った。

 

鎧。それは確かに自分を守る物かもしれない。でもな、現実の鎧だって熱は通るし、そもそもその鎧だって剥がしてしまえば問題ない。

 

お前が攻略のヒントをくれたんだ。悪く思うなよ?

 

 

――

 

 

炎が止む。ホーム内は真っ黒こげだ。これがリアルじゃなくて良かったぜ。

 

英雄派はと言うと、全身にやけどを負っている。もう立ち上がれないだろう。

 

「こうまでしても、勝てないか……」

 

男は倒れながら言う。

 

「悪いな。力を持った意味も、戦うための理由も知ろうとせず、ただ溺れたお前らとは違うんだ」

 

俺だって未だにドライグが宿った意味なんて分かんない。理由もだ。ただ運が悪かっただけだろう。実際、ドライグも『お前には才能がない』って言うくらいだ。もしかしたらレイナーレなんかに出会わなければ、ドライグも目覚めることなく、俺は一生を終えていたかもしれない。

 

それでも、ただ力に流されてばかりの人生なんて嫌だ。そう思わせてくれた先輩に誇れるわけがないからな。

 

「教えろ、赤龍帝」

 

「あん?」

 

「俺は昔から迫害されてきた。神器使いにはよくある話だ……。お前らの所の聖女もそうだろう……?そんな中で俺は曹操と出会った。この力を『才能』と言い、俺に英雄になれる資格があると言ってくれた……」

 

こいつ、まさか洗脳されずに曹操の奴に?でも、神器使いの話とかアーシアのような例を知ってしまうと、奴の心の弱みも分かるし、そこに付け込まれたってのも理解出来てしまう。悔しいけどな。

 

「例え利用されていてもか?」

 

俺がそう訊くと奴は肯定した。

 

「クソみたいな人生を送って来た俺が、誰かのためになれるかもしれない。ようやく実が結べたかもしれない。こんなにすごいことがあるか……!悪魔もドラゴンも、皆元々は人間の敵だ……!それが常識だ……!なのに、なんでお前はそうも正義の味方面が出来る……!悪の権化のくせに、なんでそんな風にいられる……!」

 

そいつの目からは涙が流れていた。ああ、そうか。こいつはもしかしたら俺の可能性だったのかもしれない。

 

俺がもし部長に、岸波先輩に出会うことがなかったら。俺はきっと赤龍帝の力を疎まれていただろう。そうなったら、俺はこんな姿になっていたかもしれない。もしかしたら、部長の敵になっていたかもしれない。

 

俺にこいつを咎める資格はないのかもしれない。それでも、俺は言いたい。

 

「『悪魔は決して泣かない』」

 

「何を……?」

 

「お前らとは違って、先祖の威光も前世の栄誉も一切使わない大英雄の言葉だ。俺は悪魔さ、間違いなくな。だがよ、その大英雄は人間ってものを『種族』ではなく、『あり方』で決めてんだ」

 

俺はそいつの目をしっかり見据える。逃げてはならないからだ。

 

「俺は、そんな大英雄に気に入られている。だからこそ、あの人に報いたいって思える。あの人の望む平穏とかをもっと世界に広げたいって思える。元をたどればお前と似たようなもんだよ」

 

だけど、曹操という外道とあの人は違う。

 

「けどよ、あの人は曹操とは違う。自分が弱いからって言っても『大義の為なら何でもしてもいい』なんて思ってない。それこそ、味方を平気で切り捨てたり、自分達を拒絶する人を洗脳までして拉致しようだなんて以ての外だ。自分自身が悪魔にならない為に、自分と戦い続けている。だからこそ、俺は悪魔だけど『性根まで悪魔になんてならない』って決めている」

 

『それに』と俺は言葉を続けた。

 

「その人が言っていたんだ。『英雄ってのはなろうとした瞬間に失格だ』ってね。お前ら最初からアウトってわけ。そんな奴らにその悪魔如きが負けるわけがないんだよ」

 

そう言うと、満足げな顔をする男。

 

「そうか……そうか……。そうだったな……。お前らの所には……『本物』がいたな……」

 

そう言うと、そいつは静かに目を閉じた。呼吸はしているし、死んではいない。

 

俺は九重を抱えて走り出した。もうあの男みたいな悲劇を生まない為にも、俺は曹操達をぶっ潰す。

 

二条城。決戦まで近い。待っていろよ、曹操!

 

 

イッセーside out

 

 

 





原作のここの辺りを読んでいると、本来は挑発の意味で使われたはずのゾルダの『英雄ってのは』の下りが本当に思えてくるんすよね。

諸事情によりこの作品の全データが吹っ飛んで継続投稿のやる気も吹っ飛んだうp主です。HSD×Dから逃げるのも癪なせいか、リブートも本格的に視野に入って来た次第です。心機一転のリブートをするか、それともこの作品を意地でも続けるかアンケートと取りたいです。因みに、リブート後だと主人公の眷属は完全ハーレムでない方がやりやすそうなので、完全ハーレムでなくなります。とりあえず12章は意地でも書ききります。

  • 無理スンナ。リブートしたらしたで読むで
  • 逃げるな卑怯者(炭治郎並感)
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