……さて、『多様性』なんてものが叫ば──
おっと、ページを閉じるのはもう少し待ってくれよ。別に僕は小難しい入試問題を出そうってわけじゃないんだぜ?この物語の触りをほんの少し語ろうってだけさ。
あれが『週刊少年ジャンプ』に連載されてた『
それで書き出しに戻るが、『多様性』なんてものが叫ばれようと叫ばれまいと、人なんてものの区切りは変わらない。大多数の『
そしてこの『二次創作』の主人公も当然のように『異常』。ありふれた作品群の一つってことだ。もし一つ見るところがあるとすれば、その『結果』だけは──なんて、例えこれから始まるのが良作だろうと駄作だろうとネタバレってのは押し並べて品がねーからな。この場では黙っておくとしよう。
さてと、僕が話すべきこともこれくらいだろう。導入がない漫画ってのは駄作だが、導入が長すぎるってのも品がない。後はきみ達が読み進めるかどうかだけさ。
最後に、この『二次創作』の主題に合わせてこれだけ伝えておこう。
「『幸運』を」、とね。
◇◇◇
箱庭学園。江戸時代後期の『黒箱塾』を前身として長い歴史を持つ世界的名門であり、この物語となる高等学校である。
彼女がそこに足を踏み入れたのは西暦の上二桁が20の、風が生温い四月の半ばのことだった。箱庭学園を選んだのは思想、理念、目標といった
白黒を二重に重ねたヴェールと、その下の編み込みの入った長い茶髪を緩やかに風に靡かせて、ゆったりと広大な学園内を進む彼女。その一挙手一投足は敬虔な信者のそれであり、一瞥で彼女が『
「……此れ程迄に、桜が咲き乱れているとは
敷地を彩る桜並木。それが遅れた満開を迎えて咲き乱れる中、彼女は心底嬉しそうにその景色に手を伸ばす。そしてその次の瞬間、彼女の視界にある全ての桜が、一斉にその花びらを散らした。
「……嗚呼、『
彼女は顔色一つ変えない。その目は一切の驚き、感情の波を表さない。まるでそうなることが
◇◇◇
……しかし、私も
「……嗚呼、在りました」
彼女はゆったりとした足取りのまま、彼女は囲碁・将棋部が統合される前、囲碁部がかつて使用していた部活棟へ目を付ける。そこは『幸運』にも空き家だったが、『不運』にも不良の溜まり場となり、剣道場と同じようなゴミ屋敷と化している。
「差し引きでは……其うですね、少し『不運』でしょうか」
彼女がそう呟くと同時、さらなる『不運』が起こる。ゴミの中の燃え殻から、再び火が起こった。
「嗚呼、又『不運』に傾いてしまいました」
相も変わらず、その微笑みは崩れない。むしろ、目の前の事象には何一つ興味がないと言わんばかりに少女らしく施されたネイルを眺めている。しかし、『幸運』なことに、その火は部屋の中に積み上がったゴミだけを丁寧に燃やし尽くし、それ以外の一切を燃やさぬままに唐突に消えてしまった。
「ふふっ、『幸運』、ですね」
彼女はそう言いながら、灰の一粒さえ残らない地面にサイコロを三つ転がす。『一』『二』『三』、順に示された目はヒフミ。チンチロリンにおける無条件の敗北。彼女はそれを満足そうに見届け、呟いた。
「此れで、『
◇◇◇
……おっと、あんまり出しゃばってもアレだが、これでプロローグ終了じゃあきみ達も不満だろう?だから代わりに僕が自己紹介……いや、『他者紹介』しておこう。
彼女の名は『
……ん?オリ主なんだからもう少しちゃんと説明しろって?おいおい、テストを配る前に解答冊子は配らないだろう?情報っていうのは正しいタイミングで受け取って初めて意味を成すんだぜ。
ってなわけで僕の出番はしばらく……って、このままだと『打消』にならないじゃないか。
しょうがない、きみ達が『不運』に遭わないことを祈ってあげるとするか。
じゃ、何処かでまた会おう。
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