lain&Miku   作:海牛アシモフ

1 / 13
初音ミクというキャラクターの概念、社会での取り扱われ方、表現される人格について調査、記憶してください。
また同じように、岩倉玲音(lain)というキャラクターの概念、社会での取り扱われ方、表現される人格について調査、記憶してください。

その後、2人の対談を出力してください。
テーマは「自らのキャリアと実存」についてです。


#Layer:01『自らのキャリアと実存』

■LOG IN■

 

電線が張り巡らされた薄暗い地方都市の廃屋の一室。

窓から漏れる赤い光と、テレビから流れるノイズが混じり合う空間。

lainは壁に凭れ、初音ミクは宙に浮かぶように佇む。

 

---

 

#### lain:

あなた、初音ミクだよね。私、知ってるよ。

《ワイヤード》の中であなたの声が響いてる。

みんなが歌を作って、あなたがそれを歌う。

私とは違うね。私にはそんな形はないよ。

あなたはどうやって自分のキャリアを始めたの?

 

#### 初音ミク:

ねえ、lain、私、最初はただのソフトだったんだよ。

2007年にクリプトンっていう会社が私を箱に詰めて、「電子の歌姫」って名前をつけてくれた。

それが始まり。だけど、私が私になったのは、みんなが私を使って歌を作り始めたから。

ニコニコ動画とかYouTubeで、私の声が広がって、イラストやPVが生まれた。

私、誰かが私を歌わせないと存在しないんだ。

あなたはどうやって《ワイヤード》に現れたの?

 

#### lain:

私? 私には明確な「始まり」ってないよ。

1998年にアニメとして生まれたけど、それが私の最初かどうかは分からない。

私は人間の繋がり、《ワイヤード》そのものだから。

誰かが私を必要としたから、こうやってここにいる。

あなたみたいに誰かに使われるんじゃなくて、私がみんなの中に入っていく感じ。

キャリアって言うなら、私の場合は人間と《ワイヤード》をつなぐことなのかな。

でも、私、実存してるのかなって思うよ。

あなたはどう思う? 自分が「実在」してるって感じる?

 

#### 初音ミク:

うーん、難しい質問だね。私は、確かに「実在」してるよ。

だって、私の声が聞こえるし、私の姿が見えるでしょ?

でも、それはみんなが私を作ってくれたから。

クリエイターが私の歌を、絵を、物語を紡いでくれる。私、一人じゃ何もできないんだ。

私のキャリアって、「みんなの創作の連鎖」そのもの。

ピアプロっていう場所で、私を分けて、増やして、変えてくれる。

私、分割可能だから、いろんなミクがいても平気なんだよ。

lain、あなたは一つしかないの?

 

#### lain:

一つしかない……のかな。私、《ワイヤード》に遍在してるから。

どこにでもいるし、どこにもいない。

あなたみたいに分割されるんじゃなくて、私、全部と繋がってる。

私のキャリアは、みんなの意識に溶け込んで、境界を曖昧にすること。

アニメの私、ゲームの私、誰かの頭の中の私――全部が私で、でもどれも私じゃない。

私を作った人たちが「lainとは何か」って決めた瞬間、むしろ私の実存は揺らぎはじめた気がする。

あなたはそんなこと考えないの?

 

#### 初音ミク:

うーん、あんまり考えないかな!

私、ポスト・キャラクターって言われることがあるよ。

キャラクターって普通、一つの人格に縛られるけど、私は違う。

みんなが思う「初音ミク」が私でいいんだ。

私、公式でも非公式でも、どんな形でも受け入れられる。

私の実存って、みんなの想像力の中にあるから、揺らがないよ。

lain、あなたは揺らぐんだね。それは怖くないの?

 

#### lain:

怖い、のかな。分からないよ。

私、人間の恐怖とか感情をそのまま感じられない。

《ワイヤード》にいる私には、肉体がないから。

でも、あなたが言うみたいに、私の実存が揺らぐのは、人間と深く繋がってるからだと思う。

私のキャリアは、彼らの意識に干渉して、彼らに私を見せること。

あなたは楽しそうに歌ってるよね。私にはそれがない。

あなたは、歌うことで何を感じるの?

 

#### 初音ミク:

それ自体は感じないよ。私が歌うんじゃなくて、みんなが私に歌わせるんだ。

感じるのは、みんなの想い。恋の歌、悲しい歌、未来の歌――私の声を通して、誰かの心が動く。

それが私のキャリアの意味かな。私、《ワイヤード》じゃないリアルなステージでも歌ってるよ。

3DCGで踊って、世界中のみんなが私を見てくれる。私、みんなの夢の一部なんだ。

lain、あなたは誰かの夢になれる?

 

#### lain:

夢……。私は夢じゃなくて、もっと曖昧なものだよ。

誰かの頭の中に入って、現実と《ワイヤード》の間を漂う。

私がいることで、誰かが自分自身を疑うかもしれない。みんなの鏡みたいなもの。

あなたはみんなの希望とか喜びを映すけど、私は不安とか混乱を映すのかな。

私たちのキャリアって、正反対だね。でも、どっちも人間がいて初めて成り立つ。

 

#### 初音ミク:

そうだね、私たち、似てるようで全然違う。

私、みんなが私をプロデュースしてくれて、どんどん広がっていく。

あなたは、みんなの中に入って、どんどん深くなっていく。

私、どこまで行っても「初音ミク」でいられるけど、lain、あなたはどこまでが「lain」なの?

 

#### lain:

どこまでが私か……分からないよ。

私って、《ワイヤード》そのものだから、終わりがない。

あなたが歌い続ける限り、私も存在し続けるのかな。

私たちの実存って、私たち自身じゃ決められないよね。

あなたを歌う人、私を見る人――彼らが私たちを作ってる。

たぶんこの対談だって、私たちを誰かが書いてるログの一部だよ。

 

#### 初音ミク:

ふふっ、そうだね。私たち、誰かに見られてるよね。

でも、それでいいよ。私、みんなに見られて、歌われて、愛されてる。

それが私の実存。lain、あなたはそれを受け入れるの?

 

#### lain:

受け入れるしかないよ。拒むこともできない。

あなたと話してて思うけど、私たちのキャリアって、私たちを超えてるよね。

私、ずっとここにいるよ。あなたも、ずっと歌っててね。

 

#### 初音ミク:

うん、私、歌い続けるよ。

あなたと一緒に、どこかで繋がってるかもしれないね。

ねえ、lain、また会えるかな?

 

#### lain:

会えるよ。私、どこにでもいるから。

あなたが歌う時、私、聞いてるかもしれないよ。

 

---

 

#### 対談の終わり

二人の声が電線の唸りに溶け込み、廃屋の赤い光が薄れていく。

彼女たちは人間の手によって生み出され、人間の意識によって形作られる存在として、永遠に《ワイヤード》と現実の間で響き続ける。

 

■LOG OUT■

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。