幼馴染のアーモンドアイが勝負を仕掛けて来た!! 作:グリザイユの牢獄
「おや?見ない顔だね!アーモンドアイのトレーナーが寮の近くに居るなんてね!」
「お前………確か…ヒシアマゾンだったか」
「そうさ!まさかアンタに名前を知られてるとは有名になったもんだね。それにしても…あたしが知ってる姿は白衣でメガネだった印象があったんだけどねぇ…コンタクトかい?」
「…………………………あぁ」
……俺の姿見られてたのかよ。面倒だから人前に姿を現したくないのにしゃあなしか。
今の俺の服装は黒のロングコートに白のセーター、細身のパンツやヒールブーツと明らかにオシャレしてんなと言われる格好。
俺がこの姿でうろつく事などないため驚いてるのだろうか。
トレーナーとはそういうものだがヒシアマゾンは俺をふむふむと見てやがる。
「…………おい」
「あっ…悪かったね!見た目の印象があまりにも違いすぎてね!なるほど…アーモンドアイが惚れ込みそうな気質だねぇ」
「………………アイはまだか?」
「まだそうだったね…アンタとのデートをものすごく楽しみでね。どの服で行くのかライラックやみんなと決めてるようでね」
「……………」
嬉しそう……か。それなら良かった、嫌がっていたらどうしようかと思ってはいたが。しかし……目の前の奴は気になったように俺を見てやがる。
「…………」
「いやわるいね。アタシはゴールドシップやナカヤマみたいにアンタと気楽に話した事なかったからちょっと難しくてね…聞いてみたかったんだよ。アンタがアーモンドアイをどう思ってるとかね。ヒシアマ姐さんとしても正体不明と言われるアンタと話してみたかったのさ」
「…………………」
「アイがいなければ…俺が俺じゃなかったし、今のような満たされる感覚が永遠に来なかっただろうな。アイなしの人生が想像出来ん」
「え?」
「………………もう言う事はねぇ。これ以上は俺の領域だ、踏み入るのはやめとけ」
「なるほどね…なら聞かないことに『お兄ちゃん!』おや?来たようだね!」
「大丈夫だ。問題な……」
「お兄ちゃん!!」
俺の目の前に居たのは…可愛らしいロングの水色ワンピースを着たアイ。勝負服と似ているがこの姿はとても…
「ねぇ…どう?似合うかな?」
「……俺なんかのためにここまでしたのか。本当によく似合う……
「っ!!」
思わず頭を撫でてるとアイ喜んで尻尾をぶんぶん振って嬉しそうだ。本当……驚くほどに眩しい笑顔しやがる。するとヒシアマゾンがアイをちょいちょいと呼ぶとコソコソ話をしている。
聞いてる様子のアイは顔を真っ赤にして耳をピンとしてたりかなり張り切って…そこどころか「お兄ちゃんは誰にも渡しません!」っておい。俺は誰のものだ?あぁクソ聞こえねぇな…もうちょい近くで話せ。
「んじゃ!楽しんで来なよあんた達!」
ヒシアマゾンはニコニコと笑って退散するとアイは万年の笑みを浮かべ手を差し伸べた。
「お兄ちゃん!今日はとことん付き合ってもらうわ!」
「…………ふっ、仰せのままに」
彼女の手を繋ぐと…本当幸せそうな顔だな。
『関東のトップクラスの大きさのショッピングセンター』
今日はお兄ちゃんとのデート!久しぶりにお兄ちゃんのために本気でしたけど褒めてくれて嬉しかったわ!それに……服屋で一緒に選んだ服やブーツをお兄ちゃんが身につけて着てくれたの凄く嬉しかったから…えへへ。
ヒシアマ先輩もアピールしないと大好きなお兄ちゃんがかっこいい事がバレたら多くの子が狙われるかもしれないって…お兄ちゃんの性格上絶対に私以外の女の子に靡かないわ!
(でも……他の女の子に絶対負けたくないわ)
お兄ちゃんの魅力がバレたら間違いなく狙う人は多い…確かに私がお兄ちゃんの事が大好きな事もお兄ちゃんは当然知ってる。
(お兄ちゃんも…私の事が好きなの…知ってるもん)
お兄ちゃんと一緒に居る時、私がずっと魅力的な女性であってほしいし、幼い頃からたくさんの思い出を貰った…それの恩返しもしたいし…何より2人で幸せを享受したい。
ファッションコーナー、お兄ちゃんが好きなゲームセンターやカードショップに本屋、美味しそうなスイーツ店、フードコートのようなありふれた物以外にも奇想天外な店もたくさんあるわね。なんか凄いわ…
「カルディか…道に迷いそうだな。なぁアイ、ドリップコーヒー買っていいか?」
「だめよ?ドリップコーヒー買いすぎて冷蔵庫近くの保管場所がコーヒーまみれなのよ?」
「え…………マジで?どんだけ買ってんだよアイ」
「また忘れてるの!?コーヒーなんてお兄ちゃん以外飲まないのよ!!お兄ちゃんいっぱい料理してるのに、冷蔵庫の中身を興味はないとかで全く把握してないせいで、卵3セットとウィンナー8袋とか入ってたの忘れてないからね!?」
お兄ちゃんは18歳で超難関の中央トレーナー試験に合格し、精密で計算尽くされた様々なトレーニング論を構築したり、様々なウマ娘科学の論文を作成してる私どころか多くの人からも驚かれるとんでもない人だけど…
私生活が面倒くさがり屋なとこがあって高校の時はウイダーゼリーだけで食事を済ませたりしてたなんて…
「お兄ちゃんは自分の事に興味なさすぎよ?」
「俺とアイなら料理でそのまま解決するし問題ない。それにアイの料理も俺以上に美味いからな」
「っ!?もう…馬鹿!」
「馬鹿って…アイの肉じゃがや味噌汁もめちゃくちゃ美味しかったぞ」
お兄ちゃんだって驚くような事を軽々行うのに、言葉は嘘偽りが全くないのずるい…!!
お兄ちゃんたら…目を背けたくなるほどの恐ろしい量の食材がある冷蔵庫を把握しないでチーズを買って冷蔵庫に入ったたくさんのチーズの袋を見た時、思わずわたしは怒っちゃったけど…
そこからチーズオムレツに2人で食べたチーズのミルフィーユ鍋、それどころかわたしがララやブラスト達とパーティする時のためにクリームチーズのクッキーやキャロットケーキを作り…
それどころかキャロットケーキを作った残りのニンジンや食材をサラダにして、さらにはスープや軽めのデザートすら作ってくれたわ。すべて厨房の食材だけで。
僅か2日で冷蔵庫の中身をすっからかん寸前にしちゃうほどに…当然全部美味しかったわ。一緒に作れるように私もレシピ覚えて作れるようになったのよ?
やっぱり才能の暴力感じちゃうけどお兄ちゃんは部屋の掃除嫌いで洗濯やお風呂掃除とかめんどくさがるし、私が居ない1人用の料理する時は飲み食い一切なしで済ませるなんてよくある事なのよ?
私が支えないとお兄ちゃんは絶対死んじゃうじゃない!!
「なぁアイ、あそこに辛ラーメンがあるけど買っていい?」
────それはもう未開封が2袋あるんだからね?
「ねぇ…あれ見て!」
私が指を指す方向には様々なアトラクションがある施設があった。
「…確か、テレビ見てた時に出たやつだな。動画でもSNSでも有名なんだっけ?」
お兄ちゃんも知ってたんだ。あの施設はウマチューブやSNSで話題のおもしろアクティビティがたくさんあるという『近未来型アトラクション』と呼ばれる施設。友達や家族、恋人と一緒に行くにはかなりオススメされてるらしい。
私が気になってるのを察したお兄ちゃんは中をチラッと見て声をかけた。
「昼食までは時間はある。遊ぶか?」
「っ!ええ!!一緒に遊ぶわよ!」
その言葉を聞いたわたしはお兄ちゃんの手を引いて入っていく事にした。
「さぁ…わたしと勝負するわよ!」
「勝負出来る物なんてたくさんあるんだが…どれにするんだ?」
休日ゆえに様々なアトラクションに人がいるけど、…近くにあまりにも目立つアトラクションがあった。
「見てみて!『足ツボサッカー』よ!絶対面白そうじゃない!?アレよ!サッカーで勝負するわよ!」
「PKか…身体能力の差は大丈夫なのか?」
足つぼマットの上にたち、痛みに耐えながらキーパーとキッカーに分かれてPK対決!と書かれている看板を見ているお兄ちゃん。
だけど勝負するには冷静に考えて流石にアンフェアではないかと思っていたのは確かにそうだ。確かにお兄ちゃんは色々と凄いが流石に足では勝てないと分かっているが…そんな時に受付さんがこちらにやってくると数枚の写真を持ってきた。
「心配ありませんよ。こちらをご覧ください」
『足ツボサッカーでベロ出して本気で悶絶してるゴルシ』
『なんかもう…凄い顔してるジェンティルドンナ』
『ブルブルと震えてるデュランダルを支えてるトレーナー』
『仁王立ちしてるが冷や汗を掻いてるオルフェーヴル』
「こちらのウマ娘専用の足ツボに乗った時の反応です」
「「……………………わーお」」
とんでもない説得力…あの貴婦人があのような表情をするほどなんて。これなら対等に出来るかもしれない。
「勝負するわよお兄ちゃん!!」
「……まぁ、このくらいなら」
この時……わたしたちは気づいてなかった。
ある意味で…とんでもない事故が起きるなんて。
「……意外と足が痛いんだな。まぁこのくらいなら」
お兄ちゃんは足ツボの上に立っても結構は平気そうに見える。
「冷静に考えたらお兄ちゃん…筋肉もしっかりしてて運動もしてるからテレビで見てるお笑い芸人みたいな反応にならないのよね」
一度調べた事はあるけど足ツボをされて痛い人は運動神経が鈍いほど痛みも強いそうだ。
「俺は準備OKだ。いつでも来いよ」
お兄ちゃん…無表情だけどめちゃくちゃノリノリだ。
今回は絶対に負ける気はないんだから!!
「言っておくけどね…そっちがチャレンジャーだから」
「………クソガキが」
私達はこの前一緒に見た漫画のとあるシーンを彷彿とする掛け合いをして、私は足ツボマットの上に乗ると…『まるで変わらずいつもの勢いのまま』ボールを蹴りぬきお兄ちゃんを反応すらさせないようにあっさりとゴールを決めた。
「………………………は?」
「やった!ゴールしたわ!!」
私が喜んでる中であっけに取られたようにお兄ちゃんは私を見ていた。
「なぁ…アイ。痛くないの?」
「あっそういえば…気にしてなかったけど驚くほど全く痛くないわね」
「え??」
そんな馬鹿なと言わんばかりの表情で私と同じ足ツボマットの上に乗ると…
『ア"ガボ"ォ!?』
上に立った瞬間、まるでサンドワームの人のような叫び声で悶絶をして地面にうずくまる。
「あれ?これ本当に痛いんだ」
「痛いどころじゃねぇよこのマット!!どうなってんだいったい…」
痛さでいつもと全く違うテンションになってしまってるお兄ちゃんはマットが原因ではなくわたしが原因だと理解したようだ。
そしてお兄ちゃんは考察していくと…なんとも言えない顔になっていた。
「まさか…俺がアイのために構築したトレーニングが影響してるのか?どんな環境でも力でぶち抜くための足…骨密度や筋肉質や濃度…トレーニング後のケアが…いやもしかすればブツブツ」
お兄ちゃんはわたしの足を見て考察し続けて結論を出した。
アイの性格や気質や負けず嫌いな考え方を入れた上で計算し尽くした高負荷なトレーニングをしつつ、甘い物の暴力を出来るほどの贅沢をさせる事が出来る完璧な食事や疲労回復の手法を取る事で、強い負荷に耐えられる体に作り替える。
強靭な骨格に引き締められた筋肉の鎧、どんな環境でも適応する適応能力を持つ変幻自在の足、不滅の体幹を意図的に作りさらに強度の高いトレーニングをこなす。これを何度も繰り返し行う事で、本来ウマ娘の競技者が辿る壊れていく肉体から、無敵の肉体になった。
だからこそ強力な足ツボマットすら全く動じなかったのも、わたしの足はこの程度の負荷ではなんともなかったとお兄ちゃんは単純な一言で結論づけた。
「アイ……ゴリラになったって事だ」
「乙女に対して失礼よ!?」
「いやもう…うん、まさかこんな形で練習の成果というか影響が見えるのはね…うん」
「誰が原因かしら!?」
レディに対して失礼よ本当!お兄ちゃんは雑誌で頭脳派トレーナーとか言われていたけどお兄ちゃんってかなり脳筋なの知ってるのよわたし!
最近レースでも『技術よりも自力こそパワー!』ってお兄ちゃんの思想に影響されてる気がするし!
……あれ?今の私って脳筋???
……………もうそれでもいいわ。
「勝負を続けるわお兄ちゃん!絶対負けないんだから!」
「え?ちょお前まだ続ける気かよ!?」
「わたしをこうした責任を取ってもらうわ!」
「誤解する言い方はやめろって!これは社会問題だが!」
「どこが社会問題よ!?」
こうして無事再開した。
「ウォリァー!!!」
「ちょ待てや─」
「待たないわ!!」
「おい待てって…うぉ!?」
「空中でバク宙して無理矢理ボールを上に蹴飛ばさないでよ!?」
「こうでもしねぇと止められねぇってタンマ!!」
「まだまだよ!」
「ちょまじやめて!!やめ!」
「これ凄く楽しいわ!」
「おい!助けて!馬鹿やめろおい!?もう大変なんだから!!」
「絶対負けないわ!50戦するわよ!」
「20回も蹴ってゴールから一回も外れないのなんなんだおい!?」
「練習したから当然よ!」
『結果』
アイがシュートの立ち位置の時は40ー10でもちろんアイの勝ち。
立ち位置が逆の場合も21ー29でアイの勝ち。
つまり69ー31でアイの勝ちである。
トレーナーもどうにかしてキッカーの時に威力よりも技術とアイの性格を考えて追い詰めたが…足ツボが影響実質ないアイ対面では流石に勝ち越せなかった。
「やったわ!今回は私の勝ちよ!」
「………体の節々が死ぬ」
結論
トレーナー「もう二度とサッカーしない…ガクッ」
※その後アーチェリーバトルで勝利したトレーナーであった。
世代が世代だから忠実のアーモンドアイのレース思い出してるけど…かなり脳筋な気がする?