幼馴染のアーモンドアイが勝負を仕掛けて来た!!   作:グリザイユの牢獄

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今更だけどウマ息子が真面目に出てきたら真面目にえぐいの産まれそう。


極天の来訪者

「アイ、すまない。機材を部屋に忘れてきたから取りに行く」

「分かったわ。ストレッチしておくから待ってるわよ」

「すまん」

 

早朝のターフ。誰も居ないターフの中で冬夜がアイの走りのデータをまとめるための機材を一部忘れてしまったため取りに行ったため、彼女1人でストレッチをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然……どこからか気配がした。

 

 

アーモンドアイが一瞬感じた…『強者』の気配を。その瞬間…ターフの中心に流星の如く何かが堕ちた。

 

その流星が降り立つ衝撃は砂塵が舞う。その衝撃に思わず目を閉じてしまうが何かが居るのは分かっていた。

 

 

 

 

 

「やれやれだ」

 

 

 

そこには1人の少年が居た。

 

 

「なんだ、人っこ1人も居ないと思ったら誰か居たのか。凄いな…この時間にいる人なんて早々居ないだろ。俺が知ってる限り6時からなら早朝練習に参加するはずだぜ」

「声…男の人?」

「あ?なんだテメェ」

「!」

 

目の前に居たのは、美しい白銀の髪色に鹿毛のメッシュが入れてある自分と同じ背丈の少年。

 

そしてアーモンドアイ自身と同じ…瞳孔に十字の光が入った星を彷彿させるような特徴的なデザインが紅く…そして蒼く輝いていた。

 

そしてもう一つ特徴的があった。

 

「おい見てんじゃねぇよ」

「あれ?貴方の…そのチョーカー」

 

少年が首元につけてるチョーカーは、アイが勝負服を着てる時につけてるチョーカーと瓜二つ。いや同じだ。

 

「!!!!!」

(一瞬思ってしまった。まるで小さいお兄ちゃんが目の前に居るみたいだなって)

 

 

アイは気になった事も多く感じたため、こちらを見る事もせぬ少年に話しかける。

 

 

 

「ねぇ、あなた」

「…………」

 

「トレセン学園は女子校だから不審者の対策としてバリケードや柵が従来よりも大きい、それに門もたづなさんは開けてないのよ?どうやって入ってきたのかしら」

 

「……別に。軽く飛び越えただけ」

「本当に言ってるの?ソノンエルフィーさんでも飛び越えるのは不可能だと公言してるのよ?」

「俺は、あの『親父』と『母さん』の息子だ。容易く可能だ」

「親父と母さんの子って…」

 

 

少年の答えにアイは本気で困惑してるが、彼はその答えに本気の誇りを持っているのが窺える。

 

 

少年はため息を吐いて、髪をいじって話し出す。

 

「おい、お前は俺の要件に関係は……!!」

 

不機嫌そうな顔をして話しかけるなと話そうとした少年は、アイの顔を見た瞬間本気で驚き沈黙する。

 

「……マジか。なるほどな」

 

少年はこちらを見て肉体をじっくり見つつアイを見ると獰猛な笑みを浮かべる。ケラケラと笑いを浮かべる姿はまるで笑っている時の誰かを彷彿とさせる。

 

「あー雰囲気でなんとなく分かる、流石だな。あの時の精神構造が赤ちゃんみたいな怪物オヤジを魅了しただけある」

「どういう事?」

「あーそんな事は後でいいよ。いや。しかしだ。いいねえ…それ」

 

少年がアイを指差して見る。すると何食わぬ顔でターフのど真ん中で自らが履いていたスニーカーを脱ぎ捨てて、新しい靴を履く。

 

 

「こいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言った瞬間…少年がアイを何食わぬ顔で横切ると暴風が吹き荒れた。

 

「!!」

 

普通の人間とウマ娘では、走れる速さの限界が違う。それは一般常識と言っても過言ではない。

 普通の人間が走れる最大速度は、時速三十六キロメートル程度。それに比べてウマ娘は時速六十キロメートルを優に超える。それは人間とウマ娘の間にある努力しようとも超えられない壁。

 

だが少年は…アイが多くを見てきたライバル達より…下手すらそれ以上のスピードでターフを走っている。

 

信じられない光景だ…人間がウマ娘と同等のスピードで走るなど。

 

 

「どうした!?信じられないって面しやがって!どういう事か聞きてぇなら!」

 

 

 

 

 

 

 

あんたが俺をターフで轢き殺せばいいだけさ

 

 

ジェスチャーと共にアイを無視し、スピードを上げてターフを駆け出す少年。

 

 

「アイに勝負を仕掛けに来たって事ね」

 

それを見たアイは察した。少年はターフで自分に勝負を仕掛けに来たのだと。

 

「未知にも負ける気なんてないわ!わたしの方が貴方より絶対に速い!負ける気なんてない!!」

 

 

瞬間だった…アイの脚がターフに適応した瞬間、彼女の筋肉が一瞬にして筋が一気に表面化するとその脚力で異常なゼロスタートと共に駆け抜ける。

 

そして一瞬にして少年に追いついた。

 

「あはっ♡何それ怖すぎー」

「ずいぶん余裕そうじゃない!」

「あらら…この時代の多くのウマ娘のメンツのタイムを見てその基準を元にしたスピードで進んだのにすげぇな」

「………『この時代』?」

 

「やっぱりこれじゃダメか。とりあえず」

 

 

 

 

試しに一回アタックしてやるよ

 

 

少年はほんの僅か、足の筋肉が増大化し、体を少し倒すように走ると一気に差が広がる。

 

「!!!」

(アレでも全くというほど本気じゃなかったの!?)

 

思わず彼女は驚く。少年はこちらを歯牙にかけないように加速する。風を切り裂き、まるでこちらを襲うような鋭利な暴風へと変貌させ向かい風にさせているのは恐ろしい限りだ。

 

だがその程度の暴風なら造作もない。

 

 

彼女は…アーモンドアイは間違いなく歴史において最強と言っても過言ではないふざけ散らかした地力がある。

 

その力強い踏み込みは何もかもを蹴散らす豪脚となる。アーモンドアイは次のステージへの適応を一瞬で整えてまた駆け出す。軽い。前に進んでいる…この程度の風などアイにとっては障害物になんざならないのだ。

 

一瞬のままに半周などとっくに過ぎていたのだが、彼女に疲れなどさらさらない。そして彼もそうだ…多分あと一周くらいは範囲内だ。

 

標準を定める─アイも体を僅かに倒し、ギアを上げるとその距離を一瞬にして縮めた。

 

 

「え、マジで?」

「…ずいぶん余裕そうじゃないの」

「すげぇわ。これでも大半の相手なら平気でちぎれるのにまだ全然余裕そうなの怖っ」

「どこが余裕そう…なのよ!」

「っ!?」

 

一瞬にしてアーモンドアイはギアを数段階上げた。

 

さっきまでのやり返し…今度はアーモンドアイが先にスパートする。

 

思わず少年は思わず「お?」と反応するもアイは歯牙にかけずに引き離していく。その様子に想定内だと笑みを浮かべると息を大きく吐いた。

 

 

「強いなぁ…流石だわ。伊達に俺の時代にまで語り継がれるだけある」

 

 

 

 

「いやそれ以上。母さんの若い頃が栄光が多く語られるだけある。だけど…それじゃ俺は殺せない」

 

 

「負けず嫌いって親譲りなんだ」

 

 

少年は獰猛な笑みと共に告げた。

 

 

 

 

「よし!決めた…全部もらう」

 

 

 

その瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」 

 

 

 

突然…アイの足が深淵の沼に飲み込まれる感覚を覚えた。

 

足がぐちゃぐちゃに呑まれる…それ同時にアイの体を掴むように後ろに何かいた。機械で造られた異形の手の中に閉じ込められ自分が突き進むのを封じている感覚。

 

この感覚はアイですら知らない…人造の神が後ろから己を覆ってくる感覚は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういうのって親父から受け継いだんだ。ごめんごめん、追い詰められる事がほぼないから『領域(ゾーン)』使うのはそうないのさ。はぁ…俺が本気で走れるなんざいつぶりだろうな」

 

 

 

「さて…この世は平等。『ゼン』と『アク』に大差なし。俺の前を走るんなら対価を寄越すんだな」

 

アーモンドアイは分かっていた…何かが消えた感覚を。

 

『Peerless Heroine』

 

『天地穿ツ●●●●●』

 

 

その瞬間……人の手に造られし神の呻き声と共に少年は光と闇に包まれ今までとは桁違いのスピードで全てを蹴散らす。

 

「あぁ……これはいい。体が少し重いけど。じゃあ今から」

 

 

ぐちゃぐちゃにしてやる!!

 

 

黒く染まっていた瞳は片方のみ、アーモンドアイそっくりの瞳に変貌するるや否や一瞬で抜き去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

(力が……抜けていく!?)

 

力が全く出ない。むしろ吸い尽くされている感覚すら覚えてるようでアーモンドアイが冷や汗を掻きながら走り続けるも分かっていた。距離が離され続けている。むしろ少年は真逆と言わんばかりに加速し続ける。

 

(今までの常識が通じない!いや…これは!)

「まるで私自身を相手してる感覚!」

 

自分自身が目の前にいるとすら感じている。違和感があったのだ…何かがおかしいと。人間がウマ娘より早く走れるなんざこの際どうでも良かった。

 

だが彼の存在は誰よりも気になっていた。見れば見るほどアイ自身と冬夜を思い出してしまう。まるで自分の息子が目の前にいるような…

 

 

「っ!!」

 

何かに浸っている暇などなかった。改めて前を見るも開かれた差がまだまだ伸びている。

 

「このままじゃ…アイは…負ける!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………

 

「強敵との戦いってのが1番心が躍るんだよな」

 

少し前のトレーナー室、冬夜との会話を思い出す。

 

「お兄ちゃんにも強敵だと思える相手っているんだ」

「むしろ俺にとってはガキの頃から強敵ばっかだった。金稼ぎでやっていた分野はともかく本気の趣味の方がよっほどさ」

「どういう事?」

 

「これはどの道にも全て言えるが…プロゲーマーだろうと画家だろうとどの道にもバグり散らかしたやつってのは腐るほど。頭おかしいやつなんてのもよくあることさ」

「ただ頭おかしいで片付けてもいいがそういう奴らの多くは尋常じゃない経験の積み重ねから来る地力を持つ奴らだ」

「そういう奴らは社会不適合者だろうと極めてる分野においてはG1ウマ娘みたいな物」

「正直言って俺やアイみたいなあからさまな知名度がある人より…知名度はない隠れ強者みたいな人の方が1番怖いんだよな」

 

 

冬夜が少し思い出すかのように話を続けていると神妙な顔をする。

 

 

 

 

 

「俺は常々考えてる事がある」

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

(常識は日々塗り変わる物。そして己は適応し塗り替える物、未来を突き進むなら常に進化し続けなければならない。そして自分が本当にピンチな時こそ己を学習する時間だ) 

 

「今が…その時でしょ。お兄ちゃん」 

 

 

 

自分が進化しなければあの少年に絶対勝つ事は出来ない。逆境に立たされた状態の中でアーモンドアイは考えていた。

 

自分は本質的にはチャレンジャーだ。だが勝てば勝つほどチャレンジャーと共に挑戦者を迎え撃つ立場になる。自分はいつのまにか迎え撃つ立場へとなっていたからこそ…レースで勝ち続けたからそどこか感じていた。

 

(レースでピンチになった事なんてほぼなかった気がする)

 

海外のレースだろうと国内だろうと…全て己の地力と冬夜の読みを合致させて徹底マジレスしてきた。圧倒的な力で全ての小細工を破壊したのだ。

 

だが突然あの少年が現れたと思えば、自分が大差で引き離されてる状況。ならば一世一代の大博打…己の最適化もとい進化のみ。

 

それが出来なければアイは負ける。

 

 

だからこそ彼女は自分を見直し決断した。

 

 

(自分の限界を……)

 

アイは、自ら無自覚に制限していた肉体の縛りを全て捨て全開に、そして今この状況…相手より早くゴールする事以外の雑念を捨て、自分の中に感じる荒ぶる闘志に火を灯す。

 

 

「勝つわよ…アイ」

 

光輝ける闘志とドス黒い漆黒の闘志…一気に大地を踏み込んだ。

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

真後ろに居る…少年は尋常ではないプレッシャーを感じていた。

 

 

「マジで言ってるのか……」

 

アーモンドアイを引き離したと思っていた。想定外だった…まさかここまで取り戻してくるとは思わなかった。あの走りからはドス黒い恩讐や絶望、煌く祈りや一番星などが浮かび上がる何もかもがぐちゃぐちゃに混ざり合った物。

 

『領域』というにはあまりにも悍ましくその本質は自分以外のあらゆる敵対者を否定すると言っても過言ではない…世界と言われてもおかしくない代物。単純に言えば『祝福』に近いと理論づけつつもアイに一瞬で抜かれようとした中で少年はたった1人考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石にか。なら…こっちも最終手段しか…ないよな!!」

 

 

相手が相手だ…しゃあなし。そんな表情を浮かべる。ゆっくりと時間が、意識はよりクリアになり、苦しさの全てが何処かに置き去りにされ、音も消え失せるもアーモンドアイだけは『領域』の世界ををズタズタに破壊して普通の時間を走り続ける中で…

 

彼の心臓が…エンジンの如く鳴り響く。

 

「あっは♡そこまでやるならいいぜ?…俺の体が壊れても知らねーけど」

 

少年は、己自身のトリガーを引いた。

 

────『愛と魔王と邪道の決断(パーフェクト・アブソリュート・ワン)

 

彼自身の…簡潔に言うのならば多くのウマ娘が持つ固有スキルみたいな物だ。

 

さっきまで使っていたのはあくまで己の力ではない。ある意味両親からの祝福だが今からの全力は己の全て。肉体の全てがエンジンへと…限界すら破壊。止まるつもりはないと…バイクは急に止まれないからそのまま轢き殺してやると。

 

 

足をつけたターフの一部が焼け焦げる中、紅く…そして黒く染まった弾丸となった少年が内側から駆け出した。

 

 

 

 

「炎のファイナルスロットルだぁぁ!!」 

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

「クソが!理事長のやつ!あっちが夜だからってこっちが早朝なのに平気で電話かけに来やがって!!」

 

ターフに向かう廊下を冬夜がイライラしながらパソコンと機材片手に歩いていると走っている足音が2つ……2つ??

 

 

「アイ以外にターフに誰かいるのか?」

 

朝早くから俺たち以外いたか?とおもいターフを見てると、何やら一部ターフが焼け焦げてるような…

 

「なんだあれ…」

 

そこにはアイとほぼ同速…しかも全力のアイとタイマンでやり合えてる1人の少年が…

 

「それ以前にアイと一緒に走ってるの野郎だろ?それ以前にあのガキの筋肉のつき方とかあの走りのフォーム…アイそっくりじゃね?」

 

 

珍しく、正真正銘の本気で走るアイの隣で汗をドロドロと流し猟奇的に笑って隣でラストスパートを行う少年。

 

「これは……」

 

冬夜は思わず、見惚れてしまった。アイもそうだが隣で走る少年の走りが魂すら消費しても関係なしと言わんばかりに命を燃やしている。

 

だが…あの容姿も含めて…

 

 

 

「まるで…俺とアイがそこに居るみたいだ」 

 

こうして見惚れる中で2人が完全に同時にゴールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

「ふぅ……ふぅ…」

 

 

ゴールした直後、2人はすぐさま止まると、思いのほか疲れたのか少年は膝をつき、アイは汗を拭って呼吸を整える。

 

 

(マジかよ…俺が全身全霊を出したってのに同着!?)

(アイも全力を出したのに…この子が最後駆け上がってきた。やっぱり気になるわ…この子について)

 

 

少年は膝をついたまま見上げるとそこにはアイが呼吸を整い終えて、冬夜を見つけた途端笑顔になって小走りをしてる様子だった。

 

 

(頭いってんのか…さっきまで1周以上マジの全力だったろ!!なんで呼吸軽く整えただけで走れるんだよ!こちとら『この肉体』でも全力出しすぎて足がだいぶ終わってんのに!)

 

「……これ、実質俺の負けじゃねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

「おいお前…」

「!!」

 

そこには気になって少年の元に冬夜が来たようだ。冬夜は少年を睨みつつも違和感があるような表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

「……親父」

「は?…まぁいい。疲れてるんだろう。お前には色々聞きたいことがある。ついさっきまでお前と容姿が合致する奴をデータで見ても見つからなかった事、ウマ娘…しかもアイと互角に走れる男、個人的な話だが、何故お前はどこかしらアイと俺にそっくりなのか…聞かせてもらいたい事が多くあるのでな」

 

「はぁ…相変わらず仏頂面なもん……っと!?」

 

冬夜の問いに対して少年は呆れたように立ちあがろうとするもバランスを崩しかけてしまい、ポケットからペンダントらしき物が落ちる。

 

「!!」

「あ?なんだこれ」

 

冬夜はヒョイと手に持った瞬間…ペンダントがパカっと真っ二つに開くとそこには写真が見えた。

 

 

その写真は『目の前の少年が5歳くらいの姿と共に、少し背丈が伸びた冬夜と愛おしそうな表情を浮かべるアーモンドアイが映る写真』だった。

 

 

 

 

「は?」

「え?」

「ハハッ、昔から変わらないんだな親父も母さんも。つーか母さんほぼ10年前と見た目変わってないなぁ…親父は自分に擦り寄ってくる女なんてクソほどどうでもいいなんて言ってるのに。親父は俺でも分かるレベルで母さん大好きだからな…」

 

少年はペンダントを冬夜からヒョイと取り返すと、立ち上がって独り言のように話していく。

 

 

 

「おい…色々話を聞かせろ」

 

 

 

「何歳だ?」

「今中1、妹が2人いる」 

 

 

「………お前はなんでトレセンに居る」

「りゅー兄が色々と。ついでに若い頃の母さんと走りたかったし」

「りゅー兄って誰だ」

「親父もご存知、鬼龍龍斗。タバコはスティルおばさんの事も考えて吸わなくなったなったけどパチンカスだよ」

「アイツ終わってんな…親父言うな」

「事実だし」

 

 

「なぜお前はウマ娘と同じスピードで走れる?」

「えー教えない。俺の存在を信じてくれないと始まらないよ」

 

 

 

「お前…普段何してるの?」

「学生だけどだるすぎて基本ブッチ、親父の研究所に入り浸ってるかバイト感覚で研究所参加して勉強してるよー」

「…中学は」

「公欠扱いしてもらって当然サボる」

「まんま高校時代の俺だな」

「お兄ちゃん???」

 

 

いくつか質問した中で最後に、一個冬夜が考えた中で絶対答えられない質問を出してみた。

 

 

 

「俺とアイが結ばれた時のエピソードを知ってるから答えてくれよ。それが合ってるなら信じてやる」

「お兄ちゃん!?」

(落ち着け、普通の奴じゃ答えることは無理だ。答えられたら知らんが)

 

 

少し顔を赤くしてるアイに対して落ち着けと静止させる。そのまま冬夜は少年を見た。

 

 

少年はそれに対して何食わぬ顔で答え始めた。

 

 

 

 

 

「有マの親父と母さんが住んでた場所の近くの丘で2人きりの中でしょ?俺の命は全てアイの物だ。アイのために全部使う。だから最後の刻までずっと隣に居てほしい…「いやなんで知ってんだよ!」知ってるし」 

 

 

「その後、結婚してくださいってプロポーズした後に母さんが涙流して承諾してお二人さんが抱き合ってキスしたけど親父、病み上がりの肉体に鞭打って動かしたもんだから入院に逆戻りしたけど、退院後に結婚指輪をオーダーメイドで作った」

「親父が右手の薬指に結婚指輪をつけてる理由が手を繋いだ時に片方だけにしか指輪がないのは寂しいから...指輪も、離れ離れにならないように……っておいお二人さん」

 

 

少年が少し呆れ顔になった理由、それは質問した側である冬夜が口を抑えて恥ずかしそうに、アイに至っては顔が真っ赤になっていた。

 

 

「なんで質問した側が赤くしてんの?」

「……分かった。お前を息子だと信じる…だから話をやめろ…恥ずかしい」

「お兄ちゃんと…子供作ったんだ…えへへ…ウフフフ」

「おい落ち着けアイ、なんでそんな嬉しそうなんだ!?」

「ちなみにプロポーズエピソードを話してくれたの母さんだよ。耳にタコが出来るくらい何度も聞かされてるけどそれくらい嬉しいんだろうな」

「アイ!!」

「ふぇ!?違う違う!お兄ちゃん!それは未来のアイに文句を言って!」

 

少しだけアイの恥ずかしそうにほおをつねる冬夜を見て、ケラケラと笑う。

 

 

「おい…聞いてなかったな。お前…名前は?」

「名前?」

 

 

名前…そう聞かれた少年は不適な笑みを浮かべた。

 

 

 

「それは教えないぜ?俺の名前を知る時は、俺が産まれた時、二人が名前を決めるだからな。まっ…俺を呼び方は自由にどうぞ」 

 

 

 

「白髪フブキ」 

「親父が推してるどっかのVtuberと似た名前をつけるな」 

 

「いやフブさんまだ続けてんの!?」

「そこかよ!!」




沙条 ○○ 13歳

アーモンドアイと冬夜の息子にして長男。冬夜とアーモンドアイの良い点と悪い点をきっちり受け継いだ問題児。

白銀の髪で瞳はオッドアイであるが、瞳にアイと同じ星のような十字の瞳のため完全な親譲り。現在中学生であるが、学校に行くことを面倒くさがってサボる。その代わり冬夜の居る研究所にバイトのような形で多くの事を勉強している。

前話とこの話を見てなんとなく分かるかもだが、彼…男だしウマ娘のような耳はないけど大概バグった肉体性能してる→これは生まれつき。

高層ビルから飛び降りても死なないし。なんかウマ娘と同じくらい足が速いし何故か…本当に何故か『領域』2個持ちという相変わらずふざけ散らかした性能はあるが、これに関してはそんな怪物に渡り合えるアーモンドアイがおかしい。

この子も大概やさぐれてもおかしくないが、ぐれなかったのはアイと冬夜のおかげ。

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