「なあ、健吾…こないだ出したM113もう一度出せるか?」
ケンイチ兄さんが聞いてきた。
「出せるけど…」
俺はそう言うとM113をアイテムBOXから出した。
「これ本物なのか?」
ケンイチ兄さんが履帯に手をやりながら聞いてきた。
「勿論…使い込まれた中古みたいだけどね」
俺の説明にケンイチ兄さんは、
「しっかし…」
「まさかな」
ケンイチ兄さんがM113の車内を見廻しながら呆れていた。
「アネモネ手伝ってくれるか?新しいおやつを作るから」
俺はホットケーキを作る為に、アネモネに声を掛けた。
「ケンゴ、新しいお菓子作るの!?」
アネモネが眼を輝かせて駆け寄ってきた。
「そうだよ」
俺はホットケーキ作りに必要な小麦粉、卵、ベーキングパウダー、砂糖、牛乳をシャングリ・ラで取り寄せるとそれらを混ぜ合わせ、カマドに焚べた炭に火をつけてもらった、
「アネモネ、この黒い物に火をつけてくれるかな」
「いいよ」
アネモネがカマドに焚べた炭に火をつける為にファイヤーボールを弱めに放った。
「あとは焼き上がりを待つだけだよ」
俺はフライパンに生地を流し込むと何枚も焼いていった。
「おっと…こいつを忘れる所だった」
俺はシャングリ・ラでバターとメイプルシロップを追加で購入した。
「何か良い匂いがするのぅ」
カナン様がいつの間にか横にやって来ていた。
「新作かえ」
「はい、カナン様も如何ですか?」
「勿論頂く」
ちゃっかりと夫婦で来てテーブルについていた。
「今日はこれにするか」
俺はアッサムと書かれた缶をアイテムBOXから取り出した。
「うむ、このホットケーキなる菓子も美味しい…紅茶も…こんな高級な紅茶…」
カナン様が何やらモジモジしていた…頼むからこんな所で身体をなんて言い出さないでくれ!
「まぁ…お友達ですからね、これくらいは普通ですよ」
「健吾が本気で帰らせたかったらこれを出しますから」
プリムラ義姉さんが缶に入った粉末のインスタント紅茶を出していた。
「ケンゴ殿…それも紅茶なのかえ?」
カナン様が興味津々で聞いてきた。
「紅茶という名の激甘水です…飲んでみます?」
「うむ」
俺はカナン様にインスタント紅茶を淹れると差し出した。
「味は…ですからね」
カナン様は俺からティーカップを受け取ると、口にした。
「これは…何とも…」
「でしょ…こんな物は大事な友人になんて出せませんよ」
カナン様が何やら眼を潤ませていた。
「お友達は大切だな」
そう言うと頻りに頷いていた。
「それにこんな激不味い物の飲まなくても、茶葉だけでもこれくらいありますから」
俺はアイテムBOXから複数の缶を取り出した。
その缶には、[ダージリン][アッサム][ウバ][セイロン][キーマン][ニルギリ][ケニア]と銘柄が記載されて更にオレンジペコー、ペコー、 ブロークンオレンジペコーと各グレードが複数有った。
「ケンゴ殿…これ総て紅茶なのかえ!」
カナン様が驚きの表情をしていた。
「はい、本当はこれ以外にも茶葉の形状の違いからフルリーフとブロークンがあります…今の処はお友達のユーパトリウム子爵夫妻と親戚であるマロウさん以外には出しておりません」
返事を聞いたカナン様が俺に抱きついてきた。
「うんうん、お友達とは良いものじゃな」
「こんなに嬉しそうな笑顔のカナンは初めて見た…ケンイチ殿、ケンゴ殿…これからもカナンと仲良くしてやって欲しい」
嬉しそうにはしゃぐカナン様の隣で子爵が頭を下げた。
「子爵勿体ないお言葉…勿論です」