王城に着くなり王女であるリリスにいいように連れ回され…家も占拠された。
「これだから王族は…」
俺は多少ではあるが苛立ちを覚えていた。
「ほんとだな」
リリス王女の思い付きなのか、地下の鼠退治や城に巣食う見えざるものの退治を押し付けられていた。
「全く…」
夜にリリス王女に呼び出されたケンイチ兄さんが疲れ果てた顔で帰ってきた。
「ケンイチ兄さん、何かされたのか?」
ケンイチ兄さんが溜息をつくと、
「あのメイドいたろ…マイレンとか言う綺麗な人」
「メイド長的な人だろ…個人的には好みのタイプだな…歳上でお淑やかそうで…」
「そうだ」
俺はその人がどう関係しているのか分からなかった。
「…どうやら、ドMらしくてな…毎夜リリス王女から性的遊戯を嬉々として受けているようだ」
ケンイチ兄さんがヤレヤレという顔で教えてくれた。
「それと、謁見の日取りが決まった…明日の昼過ぎだそうだ」
そして翌日…お昼。
「謁見の間には獣人や獣は入れません」
エスコートの男と一悶着あったが、
「家族だ、それが認められなければ帰る」
ケンイチ兄さんの断固な意志に相手が折れた、そのまま帰られたら自分の首が危ないのだろう。
「こちらです」
俺達は謁見の間に入った。
「獣人と獣が謁見の間に…汚らわしい」
周りの貴族達がぼそぼそと話していた。
「ニャメナ、ミャレー気にするな…お前達は俺にとっても大切な家族だ…勿論ベルもな」
そして…そうきたか。
「国王陛下からの召喚により、まかり越しました、辺境の魔導師ケンイチと家族でございます」
ケンイチ兄さんが国王陛下に頭を下げた。
「魔導師ケンイチには、今から陛下の御前で試合をしてもらう!」
「はぃ? おい、ちょっと待て?!」
一斉に周りにいた貴族や騎士達が距離を取る。
「対するは…王都の綺羅びやかな新星、メリッサ・ラナ・ナスタチウム様!」
「おおお~っ!」
周囲の貴族達から歓声があがった。
待てよ?……ナスタチウムって言ったか、あれ?…アストランティアの婆さんの相手の貴族って、ナスタチウムって家じゃなかったか?
それじゃこの女がもしかしたら、あの婆さんの孫か…あの婆さんも若い時はこんな美人だったのだろな、学園の華とか言われてたと自慢していたから。
「あはは!…辺境から凄い魔導師が来ると言われてみれば、タダのオッサンじゃない!」
メリッサが喧嘩を売ってきた。
「オッサンで悪かったな!」
ケンイチ兄さんが売り言葉に買い言葉で…。
「こんな場所にわざわざ家族まで連れてきた挙句、巻き込んで。馬鹿な男!」
「俺達はただの謁見としか聞いてない…それにウチは、家族で1つの戦力なんだよ、アネモネは立派な魔導師だぞ」
実際、俺は魔法使えないしな。
「呆れた! 子供を当てにするなんて!」
突然の出来事に、どうしようかと迷っていると、女の魔導師がなにやら唱え始めた。
『我の願いに応えよ闇の倦族…』
呪文を唱えた魔導師の目の前に魔法陣が出現した、そしてまるで地獄の扉が開いたように、そこから巨大な生物が現れた、それは四つ脚で踏ん張る長い尻尾を持った、巨大なトカゲ。硬そうな鱗を逆立ててこちらを睨み、赤い目を光らせている。
「おおお~っ!!」
周りの見物客達から歓声が上がった、
「ケンイチ兄さん…あれはヤバいぞ」
俺の言葉にケンイチ兄さんが重機を召喚するとミャレーとニャメナにも武器を渡し指示を出していた。
「それなら俺は!」
俺はホイト イーストンボウと揺変性C4爆弾式矢を数本召喚した。
「健吾…お前それ…まさか」
「弾頭はC4矢じりで重量5.2オンス、セムテックス等の炸裂弾やニトロが混ざった弾頭で「揺変性C4」と言う爆弾式矢じりだよ…」
俺は矢をつがえるとをレッサードラゴンの眼球に照準を合わせると、矢を放った。
「嘘!あんな貧弱そうな弓矢で??!」
メリッサが愕然としていた、何故なら矢ははレッサードラゴン眼球を外れ下顎に突き刺さり、下顎を粉砕していた…更にニャメナの投げた圧力鍋爆弾が顔面の一部を粉砕した。
「トドメを」
ケンイチ兄さんが重機を運転するとレッサードラゴンの頭頭を粉砕した。
「アイテムBOX収納」
レッサードラゴンの死骸がその場から消えた。
「ちょっと、私のレッサードラゴンが!」
メリッサが何やら文句を言っていたがスルーした。
ケンイチ兄さんと俺は謁見の間で大暴れをしていると、リリス王女の声が響いた。
「待つがよい!」
リリス王女が不問にするから妾の…と言ってきた。
「お断りします」
ケンイチ兄さんが即断した、
「少しは躊躇いとか無いのかえ?」
リリス王女が呆れていたが、
「妾の誕生日が近いから何か貢物をしてくれれば無罪放免状が出せるぞえ?」
ケンイチ兄さんが少し考えると、
「大粒真珠のネックレスを取り出した」
ネックレスを見た王女が驚嘆の顔をしていた。
「ありえぬ!」
「あの揃った粒!」
「あんな巨大な!」
「あんな物ねだられたら…領が傾く」
周囲からも驚きの声が聞こえてきた。
そして王女が髪をかき上げると、
「…はいはいわかりました」
ケンイチ兄さんが王女にネックレスを付けた、
そして王女が王様に駆け寄り、その膝の上に乗ると国王に二言三言囁いていた。
「ケンイチこれじゃ、これでそなた達は無罪放免、天下御免じゃぞ」
ケンイチ兄さんが王女から免状を受け取ると…何者かの視線にビクついた。
「あのぅ…先程から王妃様からの…視線が怖いのですが…」
「母上は…免状が有ってもどうにもならぬ…まぁ頑張れ」
リリス王女と話していると…
「我が娘に贈り物が有っても、妾には無いのかえ…?妾も誕生日じゃが?」
ケンイチ兄さんがリリス王女を見たが、そっぽを向かれた。
「誕生日の話は嘘だな…」
俺かそう考えていると、
「王妃様、此方を」
ケンイチ兄さんがリリス王女に献上した真珠のネックレスよりも更に大粒で大きさの揃った物を取り出すと、王妃の首に掛けた。
「これは素晴らしいの…先程から気になっておったのじゃ…何故娘はリリスと呼んで、妾はアマランサスなのじゃ?アマラと呼ぶがよい」
「それではアマラ様いかがでしょうか」
アマラ様はどうやら真珠のネックレスが気に入ったようだ。
「ケンイチ、そなたにこれを」
アマラ様が1本の鍵をケンイチ兄さんに手渡した。
「どこかのダンジョンの入り口の鍵ですか?」
リリス王女や周囲の貴族達が驚きの声をあげた。
「その鍵は妾の寝室の鍵じゃ」
俺もケンイチ兄さんも呆れた…俺達も固まった、高価な物の返礼は自分の身体を差し出すのか、カナン様といい、何を考えているのやら。
「流石にこれは不味いのでは?」
ケンイチ兄さんが王様をみた、そっぽ向きやがった…厄介払いでもしたいのか?
「寝室と云えば…」
ケンイチ兄さんが幽霊騒ぎの元凶であったアマラ様の寝室にあった花瓶について聞いていた。
「あれには呪がかかっていてな、とある貴族から貰ったたものじゃ、まぁその貴族は男衆は全員死罪、女衆は王都から所払いにした」
くわばらくわばら…。
俺達は帰ることにした…その時だった。
「国境の街ソバナへと続くベロニカ峡谷で50カン(約100m)に渡り谷が大崩落! 完全に街道が埋まってしまいました!」
側近が慌てふためきながら報告してきた。
パンツァーファウストではなく、ランボーが使ったていた弓矢に変更します(流石に無理ありすぎなので)