「国境の街ソバナへと続くベロニカ峡谷で50カン(約100m)に渡り谷が大崩落! 完全に街道が埋まってしまいました!」
側近が慌てふためきながら報告してきた。
「それじゃ…俺達はこれで在所に帰ります」
ケンイチ兄さんが謁見の間から立ち去ろうとした時、
「まさか、このまま帰るのか?国家の危機なのに!」
リリス王女が食い下がってきた。
「此処にいる貴族様達におまかせすれば…」
ケンイチ兄さんが何とか帰ろうとしていると、
「儂からも頼む!、其方を呼び出して見世物にした事も命の危険に晒した非礼も詫びる! この通りだ、王国を救ってくれ!」
国王がケンイチ兄さんに頭をさげた。
「国王陛下が頭を下げるなんて!」
周囲の貴族が驚きの声をあげていた。
「わかりました」
ケンイチ兄さんが国王からの依頼を受けた。
「済まない、少し寄り道することになるけど…」
「妾も行くぞ」
リリス王女が名乗り挙げた。
「妾が行けば、何かと都合が良いぞ」
リリス王女がケンイチ兄さんの召喚したハイエースの助手席に乗り込んだ。
「仕方ない…ハンヴィー召喚!」
俺もハンヴィーを召喚すると、同行するメイドさんに3人を乗せた。
………数日後。
崩落した道は開通した、ワイバーンの退治と云うおまけつきで…そしてリリス王女から聖騎士と云う称号をケンイチ兄さんが受けた。
そして、レインリリー公爵家へと向かった。
「じゃあ行ってくる」
翌日、通行手形を受け取ったケンイチ兄さんが、帝国へと旅立っていった。
数日後。
「ただいま」
ケンイチ兄さんがレインリリー公爵家に帰ってきた、5人の異国人を連れて。
「俺はアキラだ、こっちはレイラン、アンネローゼとミャア…クレメンティーナだ、宜しく」
ケンイチ兄さんが帝国からの亡命者だと紹介した。
「まさか…本当に!」
そしてまた謁見する事となった…でやっぱりアマラ様が暴れケンイチ兄さんに食い止められ…痴態を晒していた。
「妾も連れて行ってたもれ」
アマラ様がとんでもない事を口にした。
「王様!」
ケンイチ兄さんが王様を見ると、顔を逸らした。
「まじかよ…ただ厄介者を押し付けようとしているのかよ」
俺は王族の対応に呆れ果てた。
結局連れて行くのだが………。
「やっと帰ってきた…」
俺達は貴族の地位を受けた、
「ケンイチ兄さんが辺境伯で俺が伯爵とか…どうなってるんだよ」
俺は考えるのをやめると、
「ただいま、留守中何かあったか?」
留守番を依頼していたニャメに声を掛けた。
「何も無かったにゃー…ていうかケンゴの旦那貴族になったって…」
ニャメ達が驚いていた。
「気にするな、それよりお前はこのまま俺の所で正式に護衛として雇いたいが」
俺は慣れ親しんだ3人を伯爵邸の警護として務める気はないかと聞いた。
「私達みたいな猫人でも…」
ニャメが驚きながら聞き返してきた。
「ニャメ心配するなよ、俺達をみたらわかるだろ」
ニャメナが笑いながらニャメに答えた。
「宜しくにゃ」
ニャメ達が新たに住み着くことになった。
「よし、ケンイチ兄さん新居の設計を始めるよ」
俺は途中まで出来上がっていた設計図にニャメ達の部屋を追加した。
「ケンイチ兄さんこんな感じか」
俺は出来上がった設計図をケンイチ兄さんに見せた。
「成る程、玄関入って直ぐの両側にミャレー、ニャメナ、ニャメ、ニャー、ニャニャの部屋か…」
俺はケンイチ兄さんに玄関ホール両側の部屋について説明した。
「玄関ホールの右側が食堂と厨房…其処に繋がるメイド達の私室か…しかしメイド達の部屋だけで15部屋も有るとは」
ケンイチ兄さんが図面を見た。
「左側は俺の部屋、プリムラ、アネモネ、アマラ様、リリス様の部屋…ホール奥が健吾の部屋と専用の研究用厨房…と大浴場か…で、今までの家はどうするんだ?」
「そうだね、サクラの中心に移築して領の公的施設にしようかと思ってる」
「なる程な…」
程無くして新築の邸宅は完成した、平屋造りの純和式建築で、そして今までの邸宅は俺のアイテムBOXに一旦収納した。
「庭に池があるのかえ」
アマラ様が扇子を口許を隠すような仕草で俺に聞いてきた。
「俺達の故郷の伝統的な建築様式でして、本来は武家屋敷の作り方です」
俺は予め作った縮尺模型をアマラ様に見せた。
「こんな精密な模型は初めてみるぞぇ…ホールに飾ったらよいのぅ」
リリスの提案を受け、俺はガラスケースに入れると縮尺模型を玄関ホール中央にフロア案内も兼ねて展示した。
「これなら何処に誰の部屋が有るのか分かり易いのぅ」
アマラ様とリリスが縮尺模型を見ながら彼処は此処はと話していた。