「何か…忘れているような…」
俺達は水中ドローンを使用する本来の目的をすっかり忘れていた。
「クラーケンの捜索ではなかったのかぇ」
呆れながらアマラ義姉さんが言ってきた。
「…そうだった、すっかりイカ釣りに集中しすぎて忘れてた」
俺は再度PBRを湖中程迄進めると、水中ドローンを操作した。
「今の処ソナーに反応は無いぜ」
今回のお供ニャメナがソナー画面を見ながら言ってきた。
「ニャニャそっちは?」
返事がない。
「ニャニャどうした?」
俺は振り返ると操舵席を覗いた。
「仕方ないな…」
親クラーケンが出てこない限り暇なニャニャは舟を漕いでいた。
「やっぱり真っ昼間だと動きが鈍いか…いや居たぞこりゃぁ…」
俺の言葉にニャメナがモニタ画面を覗き込んでいた、
「なんかあったのかよ?」
「おぅ、クラーケンの団体様だ」
モニターに大きいクラーケンが5杯と幼体が多数映されていた。
「これだけいりゃぁ…俺達が死ぬ迄イカクンとスルメ、塩辛の原材料に困る事はなさそうだな…帰るとするか」
俺は操舵輪にもたれて居眠りをしているニャニャを起こすと、
「ニャニャ起きろ、帰るぞ」
「ふにゃ〜」
俺は操舵席につくとサクラに進路を取った。
「いや〜まさかな」
俺はドローン映像をケンイチ兄さんとアキラさんに見せた。
「まじかよパナイ数だな…」
アキラさんが驚いていた。
「取り敢えず幼体を10杯程捕獲して…生態や繁殖について調べられそうだな」
俺はクラーケン養殖計画を練ることにした。
そしてその日の夕食後…。
「皆に話がある…近い内にクラーケンの養殖をやろうと思う、サンタンカで加工しているイカクンやスルメを安定供給する為に必要な事だからな…」
俺は全員の顔を見渡した。
「その養殖って何です?」
うん其処からだったか…。
「養殖っていうのは人の手で野生の生き物をある大きさまで育てる作業のことだな…つまり必要なサイズの幼体クラーケンを育てるという事だ、釣りだと供給量が不安定だろ、この技術だと安定した数を揃えられる、つまり、プリムラ義姉さん簡単に言うと必要な人に必要な時必要なだけ下ろせるということだよ、売れ残って捨てるとか売りたくても商品が無いと云う事がでにくくなる」
俺の話を聞いたプリムラ義姉さんが理解したらしく…満面の笑みを浮かべた。
「クラーケン養殖場所は湖北西部の少し深い場所に生簀を作って其処で行う予定だな…当面は釣った幼体クラーケンの生態観察が目的だ」
それから俺は生簀で幼体クラーケンの生態について調査を開始した。
「幼体だと本当にイカだな…このサイズで産卵できるのか…となるとスルメと塩辛については安定供給可能か…残る問題は外敵か…」
幼体クラーケンについて多少分かったことが出てきた。