「忙しい中皆に集まってもらって済まない」
ケンイチ兄さんがダイニングに全員を集めると口を開いた。
「このハマダ辺境領もそれなりに人が集まり領としての形を成してきた…其処で各員に其々の役割を振ろうと考えていた…先ず健吾からだ」
ケンイチ兄さんが俺を見ると、
「ケンゴ伯爵、ハマダ領農林水産を担当補助にネメシア、それと警備部門も兼任してもらう配下はミャレー、ニャメナ、ニャメ、ニャー、ニャニャ、ニャサレの6名」
「了解した」
俺はハマダ領農林水産部門と警備部門の責任者となった。
「次、領主代行がリリス、行政官アマラで続投とする…アマラについては騎士団と魔導師隊も任せる」
「わかったぞぇ」
アマラ義姉さんが頷いた、
「次は財務だな、これはユーパトリウム子爵領の財務と併せてとなる…プリムラ頼む、補佐としてアルスとする…カナンを補助につける」
「かまいません」
プリムラ義姉さんがアルスとカナンが頷いた。
「それじゃぁケンゴの担当である農林水産部門はクラーケン等の養殖や作物の栽培管理、魔獣の肉や素材の管理までをやってもらう…勿論それらに必要な機材や資材、人材の管理もだな」
俺は必要な事をメモしていた。
「次に騎士団だが団長はミレット、副団長はアルトニアとする。アマラ、後で伝えてくれ」
「うむ」
アマラ義姉さんがケンイチ兄さんからリストを受け取っていた。
「次は魔導師隊だが…隊長にメリッサ…それとアネモネについては領主護衛に配置とする」
ケンイチ兄さんがアネモネの配置も話した。
「うん、わかった」
アネモネが嬉しそうに答えた。
「アザレアはケンゴの秘書として動いてくれ」
「うん」
俺は此処で疑問を感じた、
「俺には秘書がついてるけど…ケンイチ兄さんには居ないのか?」
「俺か?その時必要に応じてメイドの中から連れて行くつもりだが…」
やっぱりか…。
「多分マイレンだろうな…」
俺は何故かマイレンだと思った。
「それじゃ其々頼む」
こうして領内の役割が決まった。
数日後。
「辺境伯よろしいか?」
俺は仕事上は上司であるので呼び方を変えた、
「ケンゴ、今迄通りで構わないよ…畏まられると尻が痒い」
やっぱりケンイチ兄さんだ…堅苦しいのが苦手だ。
「それならケンイチ兄さん、農林水産部門の今後の業務内容だけど」
俺は持ち込んだノートパソコンを開いた、
「先ずイカクンとスルメの安価かつ安定供給についてだけど、幼体クラーケンの養殖の目処が立ったからサンタンカの村に加工場の増設と人員の補充を計画中だ。それとこれはカローラ亭での調理販売となるけどイカ飯の生産と試験販売…これが新規事業となる。既存はとうもろこし、サトウキビの継続作付け、それとサトウキビからの砂糖生産となる」
俺は画面を見せながら事業計画を説明した、
「日持ちするスルメについてはマロウ商会の協力で王都迄販路が拡大している、それとアストランティアに新たに建設したカローラ亭調理工場について、ゴーヤ前男爵を施設長として再雇用した、彼はその手の管理には有能だったからね。それから、奥方も経理や在庫管理をさせた処、有能だったので此方も同じく再雇用した」
俺の説明を聞いていたケンイチ兄さんが、
「ゴーヤ前男爵夫妻の再雇用か…」
何か疑問があるようだったが、
「前男爵の話だとゴーヤ男爵…つまり息子は何ら反省もなく俺達に恨み辛みしか言わないらしく、呆れたから放逐して家を追い出したそうだ」
「成る程…反省もせず手に余ったか…それなら問題ないだろう」
俺は更に報告を続けた、
「一般販売については原則マロウ商会経由となるのだけど…ソガラム夫人であるソフィアさんが離婚して娘さんとアストランティアに戻り食堂を始めるそうだ、なのでそちらにも商品を量は少ないが卸してゆく予定でいる」
「ソガラムの奥さんがついに見限ったのか…わかった、許可する」
俺の事業計画はケンイチ兄さんによって総て承認され、正式に動き出した。
「売上金については総て領庫に一旦収める形をとろうかと思っているのだけど?」
俺は売上金について追加説明した。
「それならプリムラに渡して、其処から健吾の取り分を受け取ると良い…割合はどうする?」
ケンイチ兄さんがその辺を聞いてきた、
「そうだなぁ…領庫8で俺が2でどうかな」
俺は2割でと提案した、
「いやそれは少なすぎだろイカ釣り漁船の維持もあるから健吾が3.5でどうだ」
俺はケンイチ兄さんの申し出を受け入れた。
「ケンイチ兄さんサンキュ」
まぁ俺のネットバンキングには投資で得た利益が振り込まれ続けているから…4人の夫人を食べさせていくだけの金はある。取り分無しでも困ることは無いのだが。