異世界通販生活ー新たなる転移者   作:屋根裏散歩

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意味不明なタイトル…。

ウルップ約75リーグ(約100km)
白銀のアルメリア


そうだな…それがいいかもしれないな。

「ケンイチ兄さん、確かアネモネの母親ってウルップでアネモネを産んで亡くなったんだよな?」

 

俺はある事を考えながらケンイチ兄さんに確認した。

 

「ああ、そう聞いたな、確か白銀のアルメリアって名前らしい…ここからだと多分200km位は離れているんじゃないか」

「なぁ…その人の墓を此処に埋葬しなおしてやらないか、アルメリアさんも娘の側で安らかに眠りたいだろうし…」

「いい考えだが…問題は…」

 

どうやらケンイチ兄さんも同じ疑問を感じたようだ。

 

「問題はきちんとした墓があるのか、遺体の状況だな」

 

俺は少し考えると、

 

「この事ははっきりするまでアネモネには話さないでおこう」

「そうだな」

 

こうして、俺はアルメリアさんが眠るウルップへと向かうことにした。

 

「ウルップならわかります」

 

ケンイチ兄さんがどうやらプリムラ義姉さんに聞いていたらしい。

 

「なら護衛は…やっぱりアマラ義姉さんに頼むとしよう」

 

俺はアマラ義姉さんに護衛を頼む事にした。

 

「よいぞ、その方がアネモネにとってもよかろう」

 

二つ返事で快諾してくれた。

 

ーーー数日後ーーー

 

「それじゃケンイチ兄さん、行ってくるよ」

 

俺はコンコルドセンチュリオンをアイテムBOXから出すと、ウルップを目指した。

 

「すごい快適なんですね」

 

初めて乗るプリムラ義姉さんが目を輝かせていた。

 

「それに過ごしやすい温度で!」

 

そんな光景をアマラ義姉さんが微笑みながら見ていた、

 

「先ずはダリアに到着だな」

 

午前中にダリアに到着した。

 

「ちょっとアザレアの実家に行ってくるよ」

 

俺はそう言うと、アザレアから託されたプレゼントや手紙をアザレアの母親に渡しに向かった。

 

「それじゃウルップへ」

 

俺はアザレアの実家から戻ると、ウルップを目指しダリアをあとにした。

 

「此処か…」

 

昼を少し過ぎた当たりでウルップに到着した。

 

「……この状況なら、墓があるかも怪しいな」

 

寒村…いや廃村といっても変わらない位の村が眼の前にあはあった。

 

「村長の家は何処?」

 

護衛としてついてきたニャメが1軒の家で聞いていた。

 

「なんじゃお前は?」

 

村人が集まりだし、此方に敵意を向けてきた。

 

「ふん」

 

アマラ義姉さんが不機嫌そうにしだした、

 

「まさか…アマランサス様!」

 

恐らく村長と思われる老人が跪いた。

 

「妾を知っておったか…皆のものよく聞くがよい、此方はハマダ伯爵…あのハマダ辺境伯の家のものぞ」

 

うん…その一言で村中が大騒ぎになった。

 

「あの…先ほどは大変失礼な…どうか!」

 

どうやら村人達は何かしらの罰を受けると思い込み怯えていた。

 

「その事なら気にするな…それよりこの村でアネモネと云う女の子を育てていた家は何処か教えてくれ」

 

俺は本題を切り出した。

 

「それなら…うちです」

 

一番貧しそうな夫婦が名乗り出た…。

 

「君達に聞きたいのだが、アネモネの母親の遺体は今はどうなっている?」

 

俺の問いに、

 

「アルメリアさんの墓は村外れにございますが…あのアネモネとは」

 

やはり聞いてきたか、

 

「アネモネは今ハマダ辺境伯家で幸せに暮らしている」

 

奴隷としてわずかな金子で売り飛ばした子供が幸せに暮らしている、信じ難いことだろう。

 

「そうですか…よかった」

 

婦人が泣き出していた、

 

「確か子供がいたと聞いたが…」

 

夫婦の周りには子供の姿が無かった。

 

「アネモネを売ってしまったその年に…流行病で3人共亡くしました」

「そうか…済まない」

 

気不味い空気が流れた。

 

「えっと…アルメリアの墓は此方です」

 

夫が場の空気を変えてくれた。

 

「そうだった…済まないが案内を頼む」

 

其処は小高い丘となってきて、村を見渡せる場所だった。

 

「此方で御座います」

 

石が置かれた質素な墓がそこにあった、

 

「アルメリアだけか?」

「はい、子供達はあちらに葬っています」

 

どうやら個別に埋葬していたみたいだ。

 

「アルメリアの墓を掘り返し、遺体をハマダ辺境伯領地へ移送する」

 

俺の言葉に、

 

「そうですね、アルメリアさんも草葉の陰で喜ぶでしょう」

 

俺は村人に賃金を払うと墓を掘り返させた。

 

「旦那、棺が出やした」

 

村人の一人が報告した、

 

「蓋を開けろ」

「へい」

 

俺の指示で棺の蓋が開けられた。

 

「何故裸なのは聞くまでもないか…」

 

どうやら衣服や宝飾品を取られて裸で埋葬されたようだ、まぁこの村の貧しさを考えれば仕方の無いことだろう。

 

「シャングリ・ラでと…」

 

俺は棺と服を買うことにした。

 

「棺はこれ位が妥当か…辺境伯の家族だからな」

 

新たな棺は蓋に彫刻が施された豪華な物だった。

 

「旦那…こりゃぁ…タダの行き倒れですぜ」

 

事の詳細を知らない村人がそう言ってきた。

 

「アネモネは一応ハマダ辺境伯の娘扱いだからな」

 

アネモネの育ての親が驚き固まっていた、そして…、

 

「それは…本当ですか…よかった、本当によかった…子供を売ってしまってこんな事言えた義理ではないのですが…幸せそうです…」

 

夫婦して泣き出していた。

 

「これが今のアネモネだ」

 

俺は1枚の写真を見せた、其れはハマダ家一族の集合写真だった。

 

「この娘が…」

 

ケンイチ兄さんの隣で手を繋ぎ笑って写真に写るアネモネの姿がそこにあった。

 

「旦那、移し替え終わりましたぜ」

 

村人が棺の入れ替えを終えた、勿論女衆が服を着せる方もやり終えていた。

 

「収納」

 

俺は棺をアイテムBOXに収納した。

 

「それなら帰るか…とその前に」

 

俺はアネモネの育ての親の所へ行くと、

 

「お前達がアルメリアの墓の管理をしていたのだろう」

「はい…」

「これは少ないが気持ちだ、受け取ってくれ」

 

俺は金貨と領の名産『イカクン』を手渡した。

 

「ありがとうございます」

 

夫婦が頭を下げた。

 

「ではな…」

 

俺はアイテムBOXからコンコルドセンチュリオンを出すとサクラへの帰路についた。

 

「ふぅー帰り着いた」

 

夕方、俺達はサクラに帰着した。

 

「やはりここが一番か…」

 

アスチルベ湖畔、その近くのアゲラタム高地つまり屋敷がある高地側にアルメリアの墓が作られた。

 

『白銀のアルメリアここに眠る』

 

大理石で作られた墓石にはそう刻まれていた。

 

そして翌日。

 

「アネモネちょっといいかな」

 

俺はケンイチ兄さんと申し合わせて、アネモネを連れ出した。

 

「此処が君のお母さんのお墓だ…」

 

アネモネは驚きの顔をしていた。

 

「お母さん…覚えてない」

「産まれてすぐらしいからね、だけどね忘れてはいけないよ」

「うん」

 

アネモネが墓前で手を合わせていた。

 

「アルメリアさんもこれで安らかに眠れるかな」

「そうだな」

 

俺とケンイチ兄さんは手を合わせるアネモネを後ろから見ていた…えっ!!!

 

微かに空気が流れ…大理石の墓石の後ろにアネモネとよく似た女性が佇んでいた。

 

「ケンイチ兄さん…アレ…」

「ああ…俺にも見えてる…多分アルメリアさんだろうな、微笑んでいるから…」

 

アルメリアと思われる女性は誰達の方を向くと、静かに頭を下げ消えていった。

 

「よかったみたいだな…」

 

折しも今日はアルメリアが亡くなった日だった。

 

 

 

 

 

 

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