ってことで初投稿です。
あ、それと、ちょっと大きめに過去改変してます。ちょっとかなり似たような設定のシナリオがあり、それに関する言及があったので…気になる人は気になるか、と。
ミカニコスさんのいる場所を時計塔から個人の工房へ変更して、それに合わせてちょこちょこ描写が変わってます。そのために一時的に非公開にしてました。
「ハ、はぁ…、はぁ……」
息苦しい。
5つ目の群れを殲滅し、残り一つとなったところだけど…さすがに体力に限界が見えてきた。
この程度でバテるなって?無茶言うなぁ、何十キロ、もしかすれば百何十キロ戦闘しながら全力疾走してから言ってくれぇ…
距離は確かに出力の違いがあるけど、時間にすれば20分以上全力疾走しながら戦闘してる状態なんだよこちとらぁ…
『シス、無理は…』
(…うん、分かってる。最後の群れは一番街から遠かったと思うけど…今どこらへんにいるか分かる?)
『えーと、ここから左手前の方向に2000。だけど直進して待ち伏せするのが良いかもね』
(おっけー、少し休みながら向かおう。いくらなんでも消耗が激しいし)
私の体の原動力は大半が魔力。とはいえ半分…は言いすぎだけど、1/3くらいは人間の生体部分だから多少とはいえ代謝を行う必要もある。そんな中途半端な体のせいで呼吸やら何やらは一応必要になってるし、身体的疲労なんかも一応感じるときは感じる。単なる動力源的な意味のエネルギーは魔力で補えるんだけどね。
(カラ、一応聞くけど群れは増えてない?)
『ちょっと待ってね…………う、ん…大丈夫…ん、増えてないね。これで打ち止めだったかな?もしかすると私が感じ取れてない可能性もあるけど…だいぶ集中して探知したから見逃してはないはず』
再度魔力の偏在状況が共有される。街から外れた部分における反応の位置情報はあと一箇所のみになってるから…まあ、何とかなった感じかな。
……なんだったんだ、これ。あまりになんというか…異様としか言いようがない。色々と。謎に統率の取れた行動に、カラの探知に引っかからない…わけではないにしろ、引っかかりにくい肉塊。
でも気になるのは、なーんでこんな外側で姿を現したかだよねぇ…
さっきやってた感じだと結構隠密能力とかは(あるとするなら)かなり高いものと思われる。なら街中に進出してから姿を表せればいいものを、なんでかこんな外側で姿を現してのそのそと街を狙い始めてる。
消耗が激しい?単純に油断?それとも何かほかの要因が…?
…他の、要因?
(カラ、もう一回聞くけど、魔力反応は増えてないんだよね?)
『増えてないよ?』
(……まさか…いや、いやいや…)
『…え?』
単純にして最悪の予想が頭を過ぎる。
ここまで肉塊の統率が取れてるっていうことは、何かしら指揮官らしいポジションのやつがいる可能性が高い。ならそれがわざわざこんな街から離れたところで隠密を弱まらせたとするなら、その意味は?
(カラ、
『っ…!!ちょっと待ってて!………………ち、違う…これ───』
『神聖力じゃない…!れっきとした
やられた…!!
(急ぐよ!)
『ま、待って!それでも、反応は既に街に到達して広がってきてる!シスが対処しようにも、絶対目につく!』
(そこは大丈夫…とりあえず近い群れを片付けるよ)
パ、とその場の地を蹴り、近い反応の方へ急ぐ。
少しのあいだでそこそこ回復はできた…急ぎつつ丁寧に、撃ち漏らさないように殲滅する!
一端が見えた肉塊の群れに向かって機銃機構を展開、先手必勝と言わんばかりに弾丸をばら撒く。
カラには全力で探知をしてもらってる。撃ち漏らしがないように観測してもらって、かつ新しい反応が出てこないことを確認してもらう。
いきなりの急襲に、泡を食ったように肉塊の群れは暴れだしてこっちに向かってくるけど…こちとら、もう既に似たような群れを五回も対処してる。的確に襲ってくる肉塊を機銃機構で撃ち落としていく。
(よし。カラ、そっちは?)
『問題は、なし。でもここからどうやって…』
(…ちょっと弾丸の形成に注力する。カラ、グラビティドライブ預けるから街中にいる肉塊の方に飛んでもらって良い?)
『……あー、なるほど…これなら確かに…いやでもちょっと危なくない?』
(問題ない、はず。少なくとも戦闘面では問題なし、そこまで派手な動きしなきゃ見つかることもそうないはず)
カチカチと主砲の中で弾丸を形成していく。
あんまり慣れないし、万一無関係な人に怪我させちゃいけないから細心の注意を払いながら……オリジナルの弾丸…というか砲弾の組成を組み上げながらカラの操るグラビティドライブに身を任せていると、すぐに街が見えてきた。
街の中は、目視で分かるくらい混乱していた。
肉塊が侵攻し、道行く一般の人を襲っている。貪るように触手を伸ばしているものやワニのような口を開いて丸ごと体を飲み込もうとするもの、ゆっくりと人の体を侵食するように飲み込んでいくもの………それらから慌てて逃げ惑う、人々が見えた。
『シス、そろそろ着くよ。大丈夫?』
(……ん、問題なし。行くよ…!)
カラからグラビティドライブの制御権を受け取って、少し高度をまた上げる。
カラの魔力感知からちょうど真下に肉塊の群れがいることを確認して、そのまま主砲を下に向ける。
……どうか、これ以上被害が広まりませんように。…撃つ。
白煙を纏いながらかなり遅いスピードで射出されたそれ……煙幕弾モドキを視界に収めながら急降下、直後、バフ、と周囲のかなりの広範囲が白く染まった。
「うわ!?何だ!?」
「な、何何何!?」
「また異教徒の攻撃か!?」
「聖人様方はどうしてまだ…!!」
混乱する声が多く聞こえる。魔力の持たない、混乱する人の動きは読みづらい…けど、少なくとも肉塊の動きは見える。
煙で視界は封じてもカラが魔力の位置で肉塊の動きは読んでくれるから…!
(一、二、三、四…)
『街中に来てるのはそんなに多くない?』
(数は、ね。でも一体一体は烏合とは呼べないかも。面倒なのが揃ってそう…あいにく煙幕弾もそんなにずっと滞留してるわけじゃない。さっさと済ませよう)
『やいさほー………あれ』
(?)
と、戦闘態勢に入ったところで、一瞬カラの言葉が途切れた。どうしたんだろ?
『この場所…いや…え?』
(カラ、どした?)
『……いや…いや、大丈、夫。なんでも、ない。シスは対処に集中して』
(……分かった)
何かはあるんだろう。今の状態で私の方にカラの考えが入ってこないってことは、カラが今私に伝えるべきじゃないと判断した情報のはず。じゃあ、私はそれに則るまで。
周りの人に当たらないように主砲もしまって火器類は全封印、ブレードと鉄翼、徒手空拳のみで肉塊の相手をする。
幸い相手からこっちは見えてない。すぐさま直近の肉塊に肉薄、その勢いのままブレードを突き刺し引き裂くようにその体を切り払う。
流石に動くとバレるのか後ろから触手が飛んできたけど軌道を蹴り飛ばしてずらし、鉄翼を操って地面ごと体を貫く。
「──────、───!!」
その瞬間、アルミ缶を握りつぶすような形容できない悲鳴が撒き散らされると同時に周囲な無差別な触手が振り回された。
『ッ!切り払うよ!』
が、それより一足早くカラが鉄翼でその触手を根本から断ち切り防いだ。同時に私の方は別の肉塊に殴りかかり、推定岩程度なら砕くことのできる拳を最大威力でその身体にめり込ませる。
悲鳴が上がる。制圧する。迎撃される。弾き飛ばす。
死に間際の悪あがきもカラが先んじて防いでくれる。いつの間にか周りに響いていたのは街の人達の悲鳴よりも肉塊の断末魔の方が多いとまで言えるくらいになっていた。
(…よし!これで最後!さすがに煙幕もだいぶ薄れてきたしさっさと飛ぶよ!)
ワニ型の肉塊に鉄翼を突き刺し、すぐさま空中に身を投げる。加速の追いつかない不完全な速度ではありつつ、若干の煙幕を纏わせながら地上からの肉眼でははっきり視認できないくらいまで高度を上げる。
(なんとかなった…かな?で、カラ。なんか言おうとしてなかった?)
『う…うん。………他にも肉塊の反応が集まってる場所があって、ね……』
おっとと。まじか。
(…どうしようか。場所どこかわかる?)
『あ、うん、えっと二箇所あるんだけど、一箇所はあの大聖堂?ってところ。でもたぶん対抗してる感じっぽいしそっちは全然大丈夫っぽい、んだけど、………』
(…カラ?大丈夫?どした?)
さっきから言葉がたどたどしい。なんかあったのか、とか思ってると…
『……………もう一個の場所、は、…工房。一時的な拠点にしてた、あの、ミカニコスさんとかがいた……』
(!?)
一瞬頭を色々と考えが巡る。
なんで?なんでピンポイントでミカニコスさんの工房が?中には?フォス君とかミカニコスさんはまだいるんじゃ?アインさんは残ってる?いつから肉塊が集まってる?
無事?
(急ごう!)
『…わかった、言ってもそこまで離れてない、急行するよ』
その場から方向を決めて加速、出せる最大速度を蒸して工房まで急行する。
ぐるぐると空回りする思考を胸の内に抑え込んで、吐き出しそうになった悪態を喉の奥に飲み込んで、気持ちの悪さを息といっしょに排して、定めた目的地へとその体を撃ち出した。