会心の一撃   作:脱兎の如く

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このすばから異世界を描きたくて書きました。
こちらの作品は少し重めで、ゆっくり書いていきます。
別で趣味程度の作品もございますので、
そちらもどうぞ


序章 プロローグ 世界の異物の行先
侵食される日常


侵食される日常

「侵食」

 普段から俺は、些細なことを気にする男だと自分では思っている。机の位置、椅子の角度、リモコンの位置……その細かさは誰もが第一印象でA型と言い当てるほどである。だからか、最近では家族の些細な違和感も細かく見ることができる。こんな自分だからか、友人と呼べる人は限られている。それでも学生としては充実したものだと満足している。だが、最近、こまかな違和感がある。ふと見た風景に違和感があったり、友人の顔が違って見えたりした。そこまでは勘違いとして許容してたのだが、本日、見逃せない違和感となってしまった。

 それは、たまに音が聞こえなくなるのだ。なぜ聞こえないことがわかるかと言うと、説明することに造作もない。相手が「口を動かしているのに俺が音を感じない」からだ。さらには、聞こえないというジェスチャーを家族や友人に送っても、さも満足したように去っていく。なんでだろう。まるで現実の世界に自分だけが切り離されていくような感覚。もしかしたら「自分の勘違い」なのかもしれない。そうであってほしいという願望が半分、そして、その奇怪な現象を楽しんでいる自分が半分いる。

 22歳を迎えた自分は、就職活動をしている大学4年生。浪人することなかったのは幸いだったが、今ではこれでいいのかと自問自答している。最初は世界を変えるようなすごいことをしようと考えていた。

 

 病むことのない戦争、紛争

 終わることのない環境破壊

 毎年度現れる新ウイルス

 痴情からの殺人や時間……

 

 大学に入ってから目を向けた現実は全て人類が起点となっている。なら、それなら、人を変えてやろうと「教育」の道を進んだ。しかし、そこも同じ事だった。人を育てる事に私情を持ち込む者や、やまない不祥事……絶望するのには十分すぎる要素だった。細かいと言われる事も友人からはあったが、自分には自分の信念がある。言葉にできないけれど、きっとその信念はこの現状を拒否するはずだ。

 もしかしたら、そんな自分はその現実を拒否するために「聞こえなくなった」のかもしれない。

 

「違う景色」

 教育の鏡である教師の道のほかを探している。もう何社目だろう。2次試験までいくのだが、そこからは周りくどい「不採用」という現実がスマホに届く。その会社に熱意もやりたい事もあるわけがない自分は、個人面接があると必ず詰まってしまう。「志望動機」である。そもそも絶望感から路線変更した若者に、どんな志望動機があるのだろうか??人事の方もそこは見抜くらしい。いっそ、この世界の目を瞑っていることも見抜いてほしいものだ。

 そんな不採用の帰り道、また()()()()()()()()。夕陽が白いのだ。まるで昼間のように……自分の目がおかしくなったのかと考えたが、その陽の光に照らされる水であれ花であれ、正常に見える。俺の中の夕陽という概念が拒否されている感覚だ。

 川の畦道で立ち止まってしまった自分を、不思議そうな顔で散歩をしている方々が不思議そうに見てくる。それは、周りでなく()()()()()()()()()()()()()()()ことを指している。

「もしかして、おれがこの世界の違和感というか……異物なのか?」

 そう呟いた途端、怖くなって走り出した。それを数奇な目でみる先ほどの人達。気づいてしまった。なぜ、その発想をしなかったのだろう。変わっているのは周りでなく、自分かもしれないという可能性を……

 今日、学友に電話をしてみよう。それで共有する事で少しでもこの気分を楽にしたい。

 そう願った俺は、夜に電話するとの連絡を学友に送る。スマホ画面には既読がつき、了解のスタンプがつく。今ほど学友がいることの幸福感を感じたことはない。やっぱり食事に誘えば良かっただろうか……この不安がなくなるなら奢るのもやぶさかではない。

 その時、俺は気づけば良かった。

 学友の名前を思い出せないことを……

 

「家族の消失と現実からの乖離」

 家路に着く、それは誰しも経験することだ。もし、それができなくなった時は後期高齢者なのか、それとも何かの病になってしまった可能性がある。今の自分は後者なのだろう。……家路がわからなくなっている。いや、

「俺、家なんてあったっけ?」

 そのつぶやきは、もう考えることをやめた白い夕陽の中に消えていく。そもそも、家族はいたか?いや、居たはずだ。自分が存在することがそもそもの証明だ。家族が成り立たないと俺はいないはず。

 だが、今日の最初から自分への違和感に気づいてしまった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そもそも、家族との会話も覚えていない。音が聞こえなくなることが度々あるから仕方ないと思うが……なぜ、聞こえないのに、会話しないのに相手は満足してたのだろうか。

 怖くなる。自分がこの世界の異物のように感じてきた。

 すがる思いでスマホを開く、このブルーライトの光が自分が存在するという証明になる。なぜなら、契約者として自分がいることにより、この機械は成り立つからだ。

 そう思っていた。

 その画面には「圏外」の文字。

 それは、契約者のいないという意思表示を俺に叩きつけている。学友にも電話をできない……学友?の名前……あれ??男性だっけ、女性だっけ?

 「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 思わず叫んでしまった。高校まで剣道部と合気道をしてきた自分はそれなりに声が通る……はずだが、

 周りの人はすでに何事もないように通り過ぎている。そもそも、俺という存在がいないかの如くに。このままでは自分が壊れそうになった自分は、財布の中にある所持金を確認する。家庭教師のバイト代が入っていたので10万ほどある。今日はこれで宿を探して泊まろう。

「そういや、この街の名前……なんだっけ、宿……どこだろう……」

 徐々に混乱から抗えなくなってきた自分は、民宿の文字を目指してフラフラと歩き出した。




自分が思っていた違和感だったものが、
実は自分が異物のようなものだったということです。

たまーに考えるのですが、
自分が世界から弾かれるような存在だったら怖いですよね
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