その本当の意味で導き手となった者は
女神の加護の元、一撃のみ邪を葬る一撃を放てる。
導き手の一撃
会心の一撃
「討伐開始」
俺たちはひた走る!ゴブリンたちは俺たちを見つけた順にバラバラに追いかけてきた。ここまでは想定通りだ。ゴブリンたちの速さは小学低学年という感じだ。そんなに速くないというか……遅いな。これは、作戦としてはバッチリなようだ。
「よし、丘の上にルビ!その少しくだったところに俺とダンで待ち構える!ダン!いくぞ!」
俺は最上を出し、構える。
「任せろ!マスター!」
ダンも構える。ゴブリンたちは丘を駆け上がるところだ。バラバラになっており、縦に長い列になっている。
ダンと俺で一体のゴブリンを斬りふせる。血を吹き出して倒れていった……ゴブリンの血って青いんだな。赤血球あんのか?
2体1の構成でダンと俺で8体のゴブリンを倒したところでルビが叫んだ。
「この後から集団よ!走るわよ!」
その合図に走り出す、個体としてはばらつきがあるから、走れば徐々に差が生まれていく……次の丘で15体、そしてその次の丘で全てのゴブリンを討伐した。
まさにヒットアンドアウェイ。この戦術はまた広めるに値するな。わかりやすいし、やりやすい。これで、また一歩アクセルタウンに平穏が近づいたのだろう。
走りすぎて疲れ果ててしまった。一度丘と丘の間の窪みに入り、なだらかな斜面で横になる。と言っても、ダンはさすがと言うか、まだまだ余裕そうだからと見張りを頼んだ。ゴブリンといい、ギガトードといい、それぞれ単体で来たから良かった。一度に来られたらどうしようか……
……そう思っていた時だ。ダンが叫ぶ。
「やばい!ジャイアントエスカルゴだ!」
カタツムリと遭遇した。
「導き手の一撃」
状況はまずいかと思う。ダンは大丈夫そうだが、ルビが疲弊している。俺も走り切れるかと言えば不安しかない。余裕なのはダンだけだ。このままだと間違いなく誰かがやられるだろう。あのカタツムリは見た目より速い……大きいからか先ほどのゴブリンよりも速く迫ってきているように思える。
俺はカタツムリに向けて最上を構える。そして、叫ぶ、
「ダン!……ルビを担いで逃げろ!」
俺なら運がある。ルビはなにもない。なら、先に死ぬのはルビだ。守ると言ったのに守れない未来なんていらない。作戦はない。丘と丘の間隔は大体30メートルくらい。その頂上同士でエスカルゴと俺は対峙している。
「ユウ!だめ!一緒にきてよ!」
ルビが叫んでいる。が、振り返らない。
……振り返れない。実は何にも手立てがないからか、震えているし、手もだめだ。震えてる。こちらの世界に来た時の俺に戻ったようだ。誰かを守りたくて……守っても認められなくて……絶望して……でもここでは認められたいのに……俺は変わらないのか!?
「ユウ!早く!」「マスター!」
でも、変わるなら今だよな。
「早くいけぇぇぇ!」
認められるとか、誰かに褒められるとかのために誰かを守るのではない。本来守ることが目的で、その結果で誰かが助かるものだ。そうだ、そんな事も忘れてたのか。前の世界で、なにがあったかわからなくなっているけど……今はただ、ただただ……
守りたい
ルビ視点
確かに私はモンスターに殺されるようにしようとした!けど、これは違う!今ならユウを
泣いているダンさんに抱えられて遠くに向かっている。ジャイアントエスカルゴはまだだれも
……そんな時だ
ユウが違う世界の人に……いや、本来そうなのだが、調整したからこの世界の住民のはずなのに……
いつのまにかダンさんも止まって……
「なんじゃ?ありゃ?」
ユウを見ていた。
ユウ視点
今、絶望したことや、不甲斐なかったこと、信じてくれなかった家族のこと、離れた友人のこと、全部全部思い出した。思い出してしまった!走馬灯みたいなものか?だが、あの時の俺とは違う!確かに、あの親父狩りにやられてたサラリーマンをただ……ただ!
「守りたいだけなんだ!それ以外に理由はない!」
その瞬間、懐かしい感覚が訪れると共に。周りが明るくなった気がした。……体が軽い………目の前まで来ているデッカいカタツムリ……いや、ただのカタツムリだ。一撃喰らわせてやる!ルビを守るんだ!
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉ!!!!!!!!」
周りの明るい空気を収束させながらジャイアントエスカルゴに突撃していく、どこを切るかなんて考えてない。ただ、ど真ん中にはちゃめちゃに一撃だけ喰らわせる。
「これが俺の最期の一撃だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その一撃の刹那、光が一点に収束すると共に
爆音もない、ただ無音に消えていったその一撃を見て
ルビは
「
有りもしない希望と共にその一撃に既視感があった。
やっとここまで書けたーーー!
とりあえず、もうすぐ南平野編は一区切りです。
この後、導き手はどのような振る舞いをするのでしょうか。