その前任者2人の加護を聞いて驚く
そして、自分なら加護に落胆する、
その加護の強みを知らないまま
「加護について」
俺には女神様の加護がついている。これが導き手の条件なのだそうだ。ただ運が良くても勇者になれるのだ。……気分は最高に微妙である。今はアクセルタウンの民宿「オクリガナ」でルビと一緒に切り盛りしている。
……つい先ほど「行きましょう女神様!」とカッコつけたばかりなのに、1時間後には、雑巾で床を拭いていた。これは流石に苦笑するしかない。
ルビがこの民宿を長期休業するとなると、転生者がくることはなくなるのだ。それはつまり……
「俺が最後の導き手になるのか?」
「そう言う事になりますね……」
つまり、俺がダメな時は世界が終わるとほぼ等しいと言う事になる。運だけの勇者にかかる重圧がやばい。世界よりもルピが……俺を救ってくれた人が消滅することは絶対にあってはならない。
戻り先として、この建物は残すらしい。それにしても、街のみんなは民宿の女将がこの世界の神様ってわかっているのだろうか。確認したところ……
「街のみんなには知られてないよ。だからルビって呼んでね?そして、こうして丁寧な口調はお互いやめよ!」
との事、会ってまだ半日なのに今では砕けた言葉使いをしている。とは言っても、人との距離の取り方なんてわからないし知らない。ましてや、女神なら尚更だ。ただでさえ無理難題の「世界を救う」というノルマがあるのに、的確にコミュニケーションを取れなんて……しかも女性。
「俺にとってはいろんな意味で助けてもらった人ですよ?砕けた言葉使いは心がけるが……その、接し方は変わらないかも……」
なんとも俺は情けない。目は合わせれない、とりあえず「すみません」と言うなど、女性と接したことがあんまりない男性の挙動そのままになっている。現状、民宿のオーナーとバイトみたいな関係という事で成り立っているが、このままだと砕けた言葉使いにコミュニケーションを求められる。俺としては女神様とその従者としての立ち位置が良かったな。
「雄一くん?いや、ユウって呼ぶね。ユウはこれから世界をまたにかけるような旅のパートナーに、いつまでも距離をとって良いと思う?」
ルビはそう言うが、全くその通りだと思う。俺が無関係なら「なんだ、長い時間過ごすんだからさっさと言葉を砕けたら良いのに。コミュニケーションも円滑にすべきだろ」なんて考えるだろう。だが当事者としては無理だ。距離が欲しい。人と話すのに緊張してしまう……
「……ともかく、ルビ……さんの加護って奴を教えて……ください。加護の意味をもっと知らないと今後に関わるから……」
このままだと惨めになると踏んだ俺は、話題を変える事にした。ルビはため息をつき……
「ゆうって、真面目なのか……律儀なのかわからないね。でもわかったわ、加護についてね。確かに理解した方が良いわね」
そう言って説明をしてくれた……
「加護は、その名の通り私の力が
言いまとめると……女神の力をもらって、世界に何なく順応した人間になると言うことだ。なんかピンとこない。
また俺の顔にそんな感情が出ていたのだろう……ルビは説明を続ける。
「まず、この世界には魔法があるの。マジシャンとかではなく、自然の理を理解した上で発動できるもの。1つの魔法には莫大な時間がかかる。でも、その世界を調整している私だから……全ての種類を渡すことができるの」
基本的に魔法は火、水、風、闇で構成。これら一つ一つを得るためには人としての時間全てをかける必要がある。しかし、その加護を受けた女の子は全て一瞬で手に入れたという。それだけですごそうだ。
次にスキル、これは覚えればその途端に一定のレベルの事ができるものだ。例えば……料理でオムライスを作る。ある程度の出来栄えができると、次からはレシピを確認しなくても作れると言った具合だ。自転車に乗れるようになれば、体が覚えるというイメージに近い。そう言った説明のあと、ルビが続けて話した。
「私のスキルを覚えるということは……その、女神としての邪を祓う能力があるということなの」
それも凄そうだ。詳しく聞けば、触れただけでアトラスの方々にダメージが入るという。何とも強力なものだ。それはスキルというより能力に近いな。言わば異能という事かな。
「ルビさん?そして、俺の運……は?」
少し期待と、不安の眼差しで聞いてみる……俺の加護についてだ。
「本当に、運が良くなる……だけ……です」
俺の期待通りの回答が返ってきた。
「ルビのファン――奇襲」
剣道と合気道で大事なことは相手の動きを予測すること。どのスポーツでもそうだが、相手がいる限り、その思考や動きを捉える必要がある。どんな非力でも、わかっていれば避けれるし、ツボがわかれば攻撃は通る。
体に染み込んでいる俺の体の動きは、スキルとして体現……できなかった。だが、スキルや能力として持たなくても動きは再現できるし、感じ取れる。
そういう事をチンピラみたいな奴を相手にして考えていた。なぜ、そうなったかというと、ここ3日間の行動にあるらしい……まとめると
1.ルビは女神であり、容姿も美人である
2.俺は見た目から弱そうである。
3.そんな2人が仲良さそうに話しながら歩く
4.前からルビを狙っていた人に敵視される
その敵視する中の1人として、このチンピラが今目の前にいるわけだ。3に関しては断じて同意できない。相変わらずルビの後ろの風景を見ながら会話をしている。目の前の男の人にはわかってもらえそうにない。現に男は
「お前いつのまにか仲良くなったんだ?ルビちゃんには不釣り合いな男なんだから、さっさと手を引け三下」
なんて言ってくる。不釣り合いなのは同意だよチンピラさん。現在ルビは旅支度で買い物中、俺は店番。そこにこいつがやってきたという事だ。
しかし、事の発端は俺が「旅支度」という言葉を言ったがためだ。俺と旅をするという話題になった事が原因なのだ。確かに、そんなの、誰でも勘違いするよな。
「黙ってないで、なんとかいえよぉ!」
そう言って殴りかかってきた。これは、制圧しないと店が危ない。そう思った俺は
……バキ
殴られる事にした。
「なんで避けない?なんで
男の人は驚いている。実は俺もだ。打ちどころが良かったのか、全然聞いてない。そりゃ拳とは言え殴りなれてない人のものは若干のためらいがある。
この人はそれにあたるから、多分イキがってる人なんだろう。なら、怖くないや。親父狩りの連中に比べたら全然平気だな。
「あの、今殴られたので……
記憶に刻まれている正当防衛という言葉をだす。なぜだろう。この言葉がトラウマのように響く。
とにかく、明日から旅の活動を開始するのだから、穏便にしたかった……けど、手を先に出されたのだから、こっちもやり返せる。チンピラはそのまままた殴りかかろうとしたが、なぜか、その動きが予測通りにくる。
「なぜあたらない!くそ!」
埒が開かないと思ったのか、ナイフを取り出したところに……
「ダストさん?なにしてるの?」
運良くルビが帰ってきてくれた。その途端……
「あ……えと、ルビちゃん?また!」
そう言ってダストと呼ばれた男は出て行った……本当にいきがっているだけなんだな。どの世界にもいるよな。ああいう人……
どの競技でも予測はあると思います。
何通りもある選択肢の中から、
予測したものを選ぶ、それが当たり続けたら、、、