悪魔の王の異世界活劇   作:Revak

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第20話

 

 一か月後。

 

 ゴエティアの庭に多数の悪魔と洞窟小人(ドワーフ)や吸血鬼、森妖精(エルフ)たちが集っていた。

 

 近衛騎士全員に蛙の悪魔(フロッグ・デーモン)翼の悪魔(ウィング・デーモン)山羊頭の悪魔(ゴートヘッド・デーモン)などだ。

 その数は五百に上る。

 

 壇上に立ちバァル・ゼブルが宣言する。

 

「今これより、神聖王国との戦争を開始する!」

 

 その宣言にその場にいた者たちが歓喜の声を上げる。

 

 ついに始まるのだ。神聖王国との戦争が。

 この一ヵ月、ソロモンは戦争の準備をしてきた。

 戦力を集め、召喚NPCを集め、情報を収集する。

 勇者の情報も会得し、神聖帝国の闇も知った。

 

 そうしてついに、戦争が始まる。

 

 

 

 

 ■

 

 この世界において人間と多種族の共存は、短期的にならば可能である。

 だが、長期的となると不可能と化す。

 理由は単純で、人間は一部の突出した者以外弱者だからだ。

 弓の腕では森妖精(エルフ)に負け、鍛冶技能では洞窟小人(ドワーフ)に負け、闇夜では吸血鬼に負ける。

 繁殖力でもゴブリンに負ける人間は、人間がいないといけない事、人間のみが優れた事象というのが存在しない。

 

 故、仮にある程度問題をすっ飛ばして人間と異種族が暮らすようになったとしよう。

 百年、二百年では問題なくとも三百年目から人間は数を減らす。

 社会という物を形成し資本主義に染まった世界はあらゆる物事において金という物を消費し始める。それには子を育てる行為すら含まれる。

 故、子を作るはいいが育てるための資金を用意できない……あらゆる能力で劣っている人間が就職できない世界では、人間の子供は被差別者になる。

 そうして子供は数を減らし、成長しても生活保護などの弱者救済措置が無ければ生存できず、緩やかに数を減らし……絶滅するだろう。

 オロバスの見立てでは仮に人間も含めてソロもが支配すれば千年もすれば人間は絶滅危惧種になると予想している。

 

 そして、バァル・ゼブルは人間を保護する気はない。

 領土拡大と民の意見によって神聖王国との戦争を開始したはいいが敵対種族である人間を臣下に加えるつもりは一切ない。

 代わりに人間をペット、愛玩動物としてならば飼育してもいいだろうと考えている。

 既に思考が人間のそれではなく悪魔の物に染まっている証拠だ。

 

 そうして今、バッケン近くの平原にソロモンの軍が展開された。

 

 

 それに対しバッケンの者たちは大慌てだ。見たことのないモンスターの軍勢が現れたのだから。

 

 悪魔たちは多数存在する。

 

 山羊の頭に人の体、蝙蝠の翼を持つ山羊頭の悪魔(ゴートヘッド・デーモン)

 人とカエルを組み合わせた悪夢のような外見の蛙の悪魔(フロッグ・デーモン)

 猛禽類の頭に人の体、カラスの翼の手を持ち片足の翼の悪魔(ウィング・デーモン)

 

 更に複数の人の死体が集まってできた人の悪魔(ヒューム・デーモン)

 

 黒い鎧を纏い鎧には金のスリットが入った悪魔の翼を持つ悪魔騎士(ゴエティア・デモンナイト)などなど。

 

 総勢約十万の軍勢が展開されていた。

 

 平均レベルにして七十を誇る悪魔の軍勢だ。レベル四十が最大のバッケンでは対処できないレベルである。

 

 軍を転移魔法で展開させた後、バァル・ゼブルが軍の先頭に立つ。

 

 そしてレベル十一の魔法を唱える。

 

<隕石招来>(コール・メテオ)

 

 瞬間、空から巨大な──直径一キロを超える隕石が降ってくる。

 燃え盛る隕石だ。それがバッケンへと降っていく。

 

 地上からも目視できる距離に生成され、隕石は尋常じゃないスピードで地上へと降りる。

 唱えてから三十秒ほどで隕石はバッケンの中心に落ちた。

 

 大爆発が起こる。

 

 熱風がバァル・ゼブルが立っているところまで届き、街が火の海に包まれる。

 誰もが死んだ。リーフ家の者も、パイモンやシュヴァルツが仲良くしていた店主や冒険者も、皆死んでいく。

 それに対しバァル・ゼブルは思うところはない。所詮は人間であるからだ。

 

 バァル・ゼブルは種族特殊能力(スキル)で飛び上がると杖を振り下ろしながら言う。

 

「さぁ、悪魔たちよ。街を蹂躙せよ。男は殺し、女は犯し、子供は喰らえ」

 

 その言葉に悪魔たちは我先にと人間を食らうために進軍を開始した。

 

 ソロモンと神聖王国の戦争が開幕した。

 

 

 

 

 

 

 

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