不良少年は飯食って喧嘩して、ボーダーに入るそうです   作:綾(あや)

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ワートリに久々に読んだので!

更新頻度は控えめですが、なるべく文字数を多くしてます!


一歩を踏み出す

 

人口約28万人 三門市

 

この物語りは一人の不良少年の奇妙な日常である

 

 

 

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瓦木遼平(かわらぎりょうへい)は三門市の高校に通う不良だった。ボーダーなんて大したことないと高を括っていた彼は、ある日、白髪の小柄な少年とぶつかる。

 

「おっと、悪いね」

 

軽く謝る少年。しかし、瓦木はその態度が気に入らなかった。

 

「おい、テメェ。謝るならもっと誠意見せろや」

 

そう言い睨む。普段の瓦木ならまずここで噛みつくことはないが、生憎今日は機嫌が悪かった。瓦木の顔は決して悪くはなく、むしろ美形である。しかし身長の高さ、睨んだ時の目つきの悪さや威圧感により、殆どの人は怯えることが当たり前だった。

 

しかし少年は威圧感を感じていないのか、キョトンとした顔をしたあと、にこりと笑った。

 

「そういうの、やめたほうがいいよ」

 

「あ?」

 

怒りに身を任せた瓦木の拳が少年に向かって振り下ろされる。しかし、拳は空を切った。驚く間もなく、少年の蹴りが瓦木の脇腹に入る。

 

「ぐっ…!?」

 

吹き飛ばされる瓦木。しかし、すぐに体勢を立て直し、すかさず距離を詰める。

 

「やるじゃねぇか…!」

 

今度はフェイントを交え、低い姿勢からのアッパーを狙う。しかし、少年は体をしならせるように後方へかわし、反撃の拳を繰り出した。

 

「チッ…!」

 

瓦木は紙一重で避け、その腕を掴んで投げようとする。だが、少年は素早く回転し、瓦木の足を払う。

 

「うおっ…!」

 

体勢を崩されながらも瓦木は倒れまいと踏ん張り、逆に少年の腕を強引に引き寄せる。間合いを詰めた状態で膝蹴りを繰り出した。

 

「くっ…」

 

少年の動きが一瞬鈍る。その隙を見逃さず、瓦木はさらに追撃を狙う。しかし——

 

「遅いよ」

 

少年は瓦木の腕を流し、驚異的な動きで瓦木の背後に回り込んだ。そして、鋭い掌底を瓦木の背中に叩き込む。

 

「ぐはっ…!」

 

瓦木は地面に膝をつく。息を切らしながら顔を上げると、少年は微笑みながら言った。

 

「オマエ、ケンカは強いけど、戦い方を知らないね」

 

「クソ…誰だよ、お前…」

 

「空閑遊真。クガ・ユーマ」

 

その言葉に、瓦木は歯を食いしばった。こんな小柄な奴にここまでやられるとは。

 

 

 

--

 

 

 

瓦木は喧嘩を挑んだ相手に敗北し、苛立ちながら帰り道を歩いていた。

 

「クソッ…!」

 

拳を握りしめたまま、瓦木は唇を噛む。こんなはずじゃなかった。自分が喧嘩に負ける記憶は中学生以来だった。

 

夜の三門市の路地を歩いていると、突然、背後に異様な気配を感じた。

 

「...あ?」

 

振り向いた瞬間、空間が歪み、黒い穴——ゲートが開いた。

 

「なんだ、あれ…?」

 

言いかけた瞬間、巨大なトリオン兵が姿を現した。

 

「!」

 

瓦木は身構えるが、武器もなく、どうしようもない。周囲の人々が悲鳴を上げて逃げる中、トリオン兵はまっすぐこちらへ向かってきた。

 

「ヤバいな…!」

 

トリオン兵の巨大な腕が振り下ろされる。瓦木はギリギリで横に転がり、間一髪で回避する。

 

「クソッ!」

 

逃げ場はない。ならばやるしかない。瓦木はトリオン兵の足元に飛び込み、足を蹴り上げる。しかし、硬い装甲に衝撃が走るだけで、びくともしない。

 

「効かねぇ…!」

 

トリオン兵が再び腕を振り上げる。その瞬間——

 

「よう、無事か?」

 

突如、強烈な風が吹き荒れた。トリオン兵の胴体が一瞬で切断され、爆発する。

 

「お前、大した根性だな」

 

そこに立っていたのは、茶髪の男——迅悠一だった。

 

「助かったぜ...」

 

地面に倒れながら、瓦木は呟いた。

 

迅はニッと笑い、手を差し出す。

 

「なあ、お前。ボーダーに入らない?」

 

その言葉に、瓦木は目を見開いた。

 

——こうして、不良だった瓦木遼平はボーダーに足を踏み入れることになった。

 

 

 

--

 

 

 

迅に連れられ、瓦木は玉狛支部へと足を踏み入れた。独特な雰囲気のある建物の中には、ボーダー隊員たちが待ち受けていた。

 

「へぇ、新入り?」

 

そう声をかけてきたのは、小柄ながらも鋭い眼差しを持つ少女——小南桐絵だった。

 

「こいつ、なかなか根性あるよ。戦闘センスも悪くない」

 

迅が笑いながら言う。

 

「私は小南桐絵。玉狛支部のエースで、超強いから覚えときなさいよ!」

 

「俺は烏丸京介。よろしくな」

 

「木崎レイジだ。レイジでいい」

 

「それから、私は宇佐美栞! オペレーターやってるよ!」

 

「瓦木遼平、よろ」

 

それぞれの自己紹介を聞きながら、瓦木は「なかなか面白そうな奴らだな」と思った。

 

「でさ、新入り。あんた、どのくらいやれるわけ?」

 

突然、小南が瓦木をじろりと見てきた。

 

「は? いきなり何だよ」

 

「いや、迅が強いって言うからさ。どのくらいか試してみたいなーって」

 

「…チビのくせに偉そうだな」

 

「はぁ!? 誰がチビよ!」

 

「いやどう見ても…」

 

「ぶっ飛ばす!!」

 

こうして、くだらない言い合いから模擬戦へと発展した。

 

 

 

--

 

 

 

瓦木は初めてトリオン体に換装され、全身の感覚が違うことに驚く。

 

「うわ、なんだこれ…」

 

「それがトリオン体ってやつだよ」

 

宇佐美が解説を始める。

 

「トリオン体は、身体のトリオンを使って作る戦闘用のボディ。痛みも感じないし、損傷してもベイルアウト機能があるから安全に戦えるんだよ!ちなみに今遼平くんが使ってるトリガーはスコーピオンって言って、耐久力はないけど重さもほとんど感じないし、どこからでも出し入れできるから、遼平くんにピッタリだと思って選びました!」

 

「ふーん…便利なもんだな」

 

そんな説明を聞きつつ、試合開始の合図が鳴る。

 

開始の合図と同時に、小南が一気に距離を詰める。高速の斬撃が瓦木を襲うが、瓦木も素早く後方へ跳び、喧嘩で鍛えられた反射神経を駆使してギリギリで回避する。

 

「へぇ、やるじゃない」

 

小南がにやりと笑う。しかし、その瞬間、瓦木がカウンターを放った。

 

「そっちこそ、のんびりしてていいのかよ!」

 

瓦木の拳が小南のガードを弾き、トリオン体の肩に斬撃を与える。

 

「やるじゃない!」

 

小南は一歩引くと、次の瞬間、ブーストをかけて一気に加速。斧を翻し、縦横無尽に斬撃を繰り出す。

 

「チッ!」

 

瓦木は防御に回るが、一撃、また一撃とトリオン体に傷が刻まれる。

 

「そろそろ決めるわよ!」

 

小南が一気に瓦木の懐に飛び込み、鋭い突きを繰り出す。しかし、瓦木はギリギリでその攻撃をいなし、拳を振り抜いた。

 

「くらいやがれ!」

 

渾身の一撃が小南の腹部を捉え、トリオン体がわずかに後退する。

 

「……ふふっ、なかなかやるわね」

 

小南は笑いながらも、目を輝かせた。

 

「でも、終わりよ!」

 

彼女はすかさず体勢を立て直し、瓦木の横を駆け抜ける。その一瞬、瓦木のトリオン体の腕に深い一閃が走る。

 

「クソッ…!オラァ!」

 

しかしカウンターにより、瓦木の拳も小南の腹部を捉え、拳が当たる。

 

お互いトリオン漏出により、体が青白い粒子を散らしながらトリオン体が解除される。

 

「勝負あり、と思ったのに...アンタどんな反射神経してんのよ」

 

小南が少し引いたように言う。

 

「チッ、あと一歩だったのによ…」

 

瓦木は悔しそうに拳を握る。

 

「まぁ、初戦にしては上出来じゃない? 悔しかったらアタシを倒してみなさいよね!」

 

小南が笑いながら手を差し出す。瓦木は少し間を置いて、その手を掴んだ。

 

こうして、瓦木は玉狛支部の一員として本格的な修行を始めることとなった。

 

 

 

--

 

 

 

瓦木遼平は玉狛支部での訓練を続けていた。玉狛独自のスタイルに戸惑いながらも、木崎レイジの指導のもと、トリガーやトリオンの扱いに磨きをかけていく。レイジは瓦木の素質を見抜き、彼に適した戦闘スタイルを模索していた。

 

「お前の戦い方は直感的で、荒削りだが力強い。だが、それだけでは通用しない場面もある。もっと技を磨け」

 

「はっ、言われなくてもやってやるよ」

 

玉狛のメンバーと模擬戦を繰り返しながら、自分の戦い方を模索し続けた。そして、一定の実力を身につけた彼は、正式に本部の隊員試験を受けることになった。

 

 

 

--

 

 

 

瓦木が正式にボーダーに入隊すると、彼は嵐山隊の指導のもとで本格的な訓練に参加することになった。嵐山隊はボーダーの広報活動も担う名門部隊であり、隊長の嵐山准は戦闘能力だけでなく、人格面でも優れた人物だった。

 

「ようこそ、瓦木君。君の実力は迅から聞いてるよ。ここでは基本戦術をみっちり教えるから、よろしく」

 

「…ったりめぇだ。ここまできて適当にやる気はねぇよ」

 

訓練では基礎的な戦闘の技術を磨くことはもちろん、チーム戦術の理解や連携の重要性を叩き込まれた。瓦木は元々単独戦闘の感覚が強く、あまり仲間との連携は理解できなかったが。

 

そんな中、瓦木は異例の記録を打ち立てる。トリオン兵を相手にした模擬戦訓練で、歴代最速のタイムを叩き出したのだ。これには嵐山隊の面々も驚きを隠せなかった。

 

嵐山もこの結果に驚きつつ、「やはり、君はすごい才能を持っている」と評価した。

 

 

 

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本部での訓練を終えたある日、瓦木はランク戦の説明を受けた後、ふらりと施設内を歩いていた。

 

そんな時、瓦木とガラが悪い男の肩がぶつかる。

 

「アァ?...見慣れねぇツラだな。新入りか?」

 

声の主は影浦雅人。模擬戦以外の戦闘により、隊務規定違反でB級に降格した問題児だ。鋭い目つきとラフな態度、全身から漂う危険な雰囲気に、瓦木も邪険な態度になる。

 

「…テメェこそ、なんだその態度は?」

 

影浦は瓦木をじろりと睨んだ。サイドエフェクトの影響で、瓦木の苛立ちが手に取るように伝わってくる。しかし今までの嘲笑うような感覚ではない。純粋な敵意であったため、影浦は少し違和感を覚えた。瓦木もまた、影浦の無遠慮な態度に反発を覚え、睨み返す。

 

「...テメェからぶつかっておいて何だよ、お前、もしかして短気か?」

 

「テメェがムカつく態度取るからだろ、ぶっ潰すぞ」

 

影浦はニヤリと笑い、「じゃあ試してみるか」と言いながら、親指を後ろに向け、ランク戦のブースを指さす。瓦木もまたニヤリ、と笑いながら応じ、ブースに入る。

 

 

 

--

 

 

 

すぐにステージに転送されると、影浦は一瞬でスコーピオンを形成し、鋭い斬撃を繰り出した。瓦木はそれを察知し、ギリギリで回避すると、拳と足の先からスコーピオンを生成し、反撃に転じる。

 

「はっ、面白ぇ戦い方するじゃねぇか。」

 

影浦は軽快に身を翻しながら、スコーピオンを自由自在に変形させ、リーチを自在に操る。瓦木も負けじとスコーピオンを拳や足に瞬時に形成し、体術と組み合わせた独特の戦い方を見せる。

 

(…こいつ、攻撃が読めねぇ...?)

 

影浦のサイドエフェクトは相手の感情を察知する能力。そのため相手の攻撃する感情を読み取れば、不意打ちも事実上攻撃をも喰らわない。しかし瓦木の攻撃は直感的であり、それは自分の意志ではなく反射的なものに近かったため、その読みにくさが影浦にとっても厄介だった。

 

「やるじゃねぇか、お前名前は?」

 

「あ?...瓦木遼平」

 

「オレは影浦雅人だ、覚えとけ金髪!!」

 

影浦はスコーピオンを鞭のように変形させ、マンティスと呼ばれている技で瓦木の隙を突く。瓦木は間一髪で防ぐが、その勢いで吹き飛ばされる。

 

「チッ…!」

 

瓦木は地面を蹴り、近づいてきたところにスコーピオンを足から発生させてカウンターを狙う。影浦は紙一重で避けるが、瓦木の拳に形成されたスコーピオンの一撃が肩をかすめた。

 

「はっ…やるじゃねぇか」

 

影浦も負けじとスコーピオンを鋭く伸ばし、瓦木の胸元を狙う。瓦木もまた、拳のスコーピオンを最大限に展開し、真正面からぶつかった。

 

ガキィンと、お互いのスコーピオンが激しくぶつかり合い、衝撃で両者ともに吹き飛ばされる。

 

瓦木はバク転で体勢を立て直し、影浦もスコーピオンを地面に突き刺し、見据える。

 

「行くぞ金髪ゴラァァァァ!」

 

「来いよチリチリ頭ァァァァ!!」

 

口調こそ悪いが、瓦木と影浦は先程とは違う感情でニヤリと笑い、ぶつかり合う。

 

しかしボーダーでの戦闘では経験が瓦木よりはるかに多い影浦が有利だ。結果的に4-6で影浦が勝利した。

 

「ハッ、でかい口叩きやがると思ったが、そんなもんかよ」

 

「アァ!?...いつかテメェの顔面を叩き潰してやる、覚悟しとけ」

 

「こっちのセリフだわ金髪野郎」

 

 

 

--

 

 

 

影浦との模擬戦が終わり、翌日。

 

遼平は一先ずは玉狛に住むことになっていたため、戻る道を歩いていた。戦いの余韻がまだ体に残っており、思わず拳を握る。

 

「やっぱ、もっと強くならねえとダメだな」

 

二度の敗北を味わった遼平であったが、余計なことを考えるより、今は前に進むだけ、と意気込み気持ちを落ち着かせる。

 

玉狛支部に足を踏み入れ、椅子に座ると小南が隣に座ってきた。

 

「おかえり!で、どうだった?」

 

「ん?別に大したことねーよ...あの野郎以外はな」

 

「ふーん...あの野郎って?」

 

「チリチリ髪の野郎だ」

 

そう言うと、小南の表情が一瞬だけ変わった。

 

「...まさか、影浦さん?」

 

「ああ。まあ、勝ち越されたけどな」

 

「...初日からあの人と戦うとか、アンタもなかなかのもんね...」

 

呆れたようにため息をつく小南を尻目に、遼平は奥へ進もうとした。

 

そのとき、不意に背後から誰かの気配を感じる。

 

振り返ると、この前の白髪の少年と目が合った。

 

「おー、おまえまた会ったね」

 

「...白髪チビ、こんなとこで何してんだよ」

 

「白髪ちびじゃないよ、空閑遊真。おれはボーダーに入ることになったんだ」

 

遼平は一瞬目を丸くしたが、すぐに口元を歪める。

 

「へぇ、そうかよ。……ってことは、正式にボーダー隊員か?」

 

「まあね。そういうおまえは?」

 

「瓦木遼平だ。こっちも玉狛所属だよ」

 

「ふーん。じゃあ、これからよろしく」

 

「その前に、喧嘩の続きだ。ボコボコにしてやるよ」

 

「お、いいね。やる?また勝たせてもらうけど」

 

遊真がニヤリと笑い、遼平も応じるように拳を握る。

 

こうして、二人の模擬戦が始まった。

 

 

 

--

 

 

 

開始の合図と同時に、遼平が猛然と突進する。

 

「――っ!!」

 

この前の喧嘩の時よりも一段と速くなっている遼平に驚くも、遊真は素早く後方へ跳び、スコーピオンを形成する。だが、遼平は一瞬で距離を詰め、その攻撃を拳で弾いた。

 

「うおっと、速いね」

 

遊真はスコーピオンを変形させ、遼平の足元を狙う。だが、遼平は跳び上がり、それを回避。

 

「その程度か?」

 

着地と同時に、遼平の蹴りが遊真のシールドをカチ割り、拳が胸に掠れる。

 

「くっ...!」

 

遊真は後方へ吹き飛ばされるが、すぐに受け身を取り体勢を立て直す。

 

「やるね」

 

「まだまだ」

 

遼平は一気に遊真との距離を詰める。遊真もスコーピオンを振るうが、遼平の動きがそれを上回る。

 

一瞬の隙を突いて、遼平の拳が遊真の顔面へ直撃した。

 

「――ッ!」

 

遊真がバランスを崩し、トリオン体が大きく損傷する。

 

「これで終わりだ」

 

遼平がとどめの一撃を放ち、遊真は活動限界を迎えトリオン体が解除された。

 

「リョーヘイ、強いね」

 

「はッ、これでこの前の喧嘩は引き分けだな」

 

そう言い放つと、遼平は満足げに笑ったのであった

 

 

 

--

 

 

 

遊真との戦闘が終わった後、遼平、遊真、修、千佳の四人は迅の前に集まった。

 

「この三人は遼平と同じ新人隊員だ」

 

迅が軽く腕を組んで言う

 

「まずは遊真。向こうの世界から来た近界民だな。でも別に街を襲うってワケじゃないから」

 

「ふーん...え、こいつ近界民なの!?」

 

予想外の情報に遼平は口を開けて驚き、修も同じように冷や汗を垂らしながら驚いていた

 

「迅さん!?それ言っちゃって大丈夫だったんですか!?」

 

「遼平は別にバラしたりしないし、それにいずれ知られることになるならここで言っておいた方が楽だろ?」

 

迅のその言葉に修は一先ず納得する

 

「てか遊真、お前を殴ったときに堪えてなかったッつーことは...お前あの時もトリオン体だったのか?」

 

「ふむ?まぁそうだね。でも驚いたよ、リョーヘイが生身でおれと互角で戦えてたし」

 

遊真が苦笑しながら肩をすくめる。

 

「それからこのメガネくんは三雲修、遊真の友達でボーダー隊員ね」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

修は少し怯えている様子だが、しっかりと挨拶をしてくるあたり、根が真面目なんだなぁ、と遼平は感じた

 

「おう、よろ。んで修はどれくらいやれるんだ?遊真は戦闘に慣れてるって感じだが」

 

「いえ...実は僕は空閑と違って大したことないです...でも、僕は食らいついていきます!」

 

「へー...」

 

修の真剣な眼差しを見た遼平は一瞬驚くが、すぐに表情を変え笑う

 

「あと雨取千佳ちゃん。すごいトリオン量を持ってる。トリオン量ならボーダーで一番だ」

 

「よ、よろしくお願いします!でも私、まだ戦える自信がなくて...」

 

千佳は少し戸惑いながら言う。

 

「千佳だっけか?喧嘩だろうが何だろうが最初は慣れることだ。俺だって中学までは負けてたんだ。ゆっくり慣れてけよ」

 

「は、はい!」

 

女の子に対しその例えはどうなのだろうか...と三人は思う

 

そしてその後は宇佐美や迅により、各役職が決まった。修がシューター、遊真がアタッカー、千佳がスナイパーとして動くことになった。途中までは遼平も聞いていたが、すぐに飽きて寝てしまい、小南に写真を撮られたのは内緒。

 

その日の夜、遼平の携帯に影浦からメールが届いた。

 

『19時にここに来い。遅刻したらぶっ飛ばす』

 

そこには、お好み焼き屋『かげうら』の写真と地図が添付されていた。

 

「...何企んでやがんだ」

 

遼平はため息をつきつつも、時間通りに店へ向かった。

 

店に入ると、そこには影浦隊のメンバーが揃っていた。影浦雅人、北添尋、絵馬ユズル、仁礼光。そして隊長の影浦が腕を組んでこちらを見ていた。

 

「おう、来たか」

 

影浦が手招きする。

 

「何の真似だよ、俺を財布代わりにしようってか?」

 

「しねぇわボケ。俺の奢りだ、感謝しやがれ」

 

ふーん、と適当に返事をして、席に座る。

 

「どーも、北添尋です。カゲとやり合えるなんてすごいねー!よろしく!」

 

「絵馬ユズル...よろしく」

 

「アタシは仁礼光だ!」

 

ユズルは簡潔に言いながら、少し遼平を観察するような目を向けた。

 

「瓦木遼平だ」

 

それぞれが自己紹介を済ませた後、テーブルには熱々のお好み焼きが運ばれてきた。

 

「ほら、食えよ」

 

影浦が慣れた手つきでお好み焼きを焼くのを見ていると、自身の皿に置かれる

 

「なぁ、なんで俺を呼んだんだよ」

 

遼平が口に運びながら、影浦に聞く。

 

「あ?別に大した理由じゃねーよ」

 

そう言いお好み焼きを食べる影浦を横目で見つつも、自分も箸を進めるのであった

 

 

 

--

 

 

 

影浦たちとの食事が終わり、玉狛に戻ると、迅が待っていた。

 

「お帰り、遼平。遊真の件で、本部に動きがありそうだ」

 

「本部?なんか狙ってんのか?」

 

「あぁ、遊真の黒トリガーを城戸さんたちは狙ってるんだ。力ずくでな」

 

「ふーん...それ渡せばいいんじゃねーの?」

 

遼平はそう答えるが、迅は首を横に振り

 

「いや、それができないんだ。遊真にとって黒トリガーは...命みたいなものなんだ」

 

いつになく真面目に話す迅に、遼平は静かに聞く。

 

「太刀川さんや、風間隊、それに三輪隊。城戸さんの命令で遊真の黒トリガーを狙ってる」

 

「...つまり、それを阻止しなきゃならねぇってことか」

 

「そういうこと。そして、遼平...手を貸してくれないか?無理ならそれでいい」

 

迅がそう言い頭を下げる。そもそもこれは本部と遊真の問題であり、本来は遼平が関わる必要なんてない。しかし迅は無茶を承知で頼み込んだ。

 

遼平はしばらく考えた後、口を開いた。

 

「はッ、俺が関係ない...?いーや、違うね。俺と遊真はもうライバルなんだよ!乗った!」

 

こうして、遼平は迅と共に、迎え撃つことになった。

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