不良少年は飯食って喧嘩して、ボーダーに入るそうです   作:綾(あや)

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展開むずい!


不可能をブッ壊す男

 

 

玉狛へと続く道を暗闇の中、太刀川、出水、三輪隊、風間隊。そして冬島隊の狙撃手、当真が駆け抜けていた。黒トリガーを除くボーダーでの最高戦力と呼ばれる軍団を相手に、迅と嵐山隊は真正面から向かい合う。

 

「確かにあんたらの強さはよく知ってる。いいとこ五分五分だろ。おれ一人だったらの話だけど」

 

迅の頭上から勢いよく飛び降り、瓦木遼平が戦場に介入する。ボーダーでのランクは自分たちの方が上で差があるのにも関わらず、どこかこの男には身構えるほどの威圧感があった。

 

「さぁて、やろうか」

 

 そこからはすぐさま戦闘が開始された。遼平は背後からの透明化の奇襲を狙っていた風間隊の一人、歌川の振り下ろした刃を、華麗な身のこなしでかわす。続いて、背後へ回り込み、首を掴みブン投げる。追撃に飛び蹴りを放つも、太刀川が旋空を放ち援護する。並みのボーダー隊員ならば斬られた理由すらも分からず緊急脱出しても不思議ではないが、遼平は斬撃をスコーピオンで覆われている拳で相殺した。防御に回ると弱いスコーピオンだが、攻撃力は弧月と同じであり、攻撃を相殺することも可能。そして旋空を振るった太刀川へ足元からの急襲で迎撃するも、三輪の弾丸により不発に終わる。しかし遼平の存在は、敵の陣形を崩すには十分だった。

 

このままでは不利と悟った出水は自分の豊富なトリオン量を生かし、フルアタックのアステロイドをブッ放す。当然出水は無防備になるが、三輪隊が防御陣形を作り、連携して襲いかかる。遼平は鋭い直感と鍛え抜かれた反射神経により、攻撃を捌き切る。

 

迅と嵐山隊も遼平と連携し、嵐山は瓦木の奮闘を見つめながら、心の中で確信する

 

「瓦木君が味方とは...心強い!」

 

瓦木遼平というたった一人の男によって、敵の攻勢は次第に乱れ、連携も崩れ始める。敵の反撃も激しさを増すが、瓦木は己の技と闘志を限界まで研ぎ澄ませ、容赦なく攻撃を繰り出す。激しい一進一退の中、彼の一閃ごとに、敵の陣形は崩れ、戦局は瓦木の猛攻によって大きく傾いていった。

 

 玉狛への道は、瓦木の参戦によって新たな局面を迎え、仲間たちに希望の光をもたらすのであった。

 

 

 

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瓦木参戦により陣形が崩れたが、さすがは遠征部隊であり、切り替えが早くすぐに立て直す。

 

『おい三輪、誰だあいつは』

 

『俺もよくわかりませんが...恐らく玉狛の新人でしょう』

 

『アイツの相手はどうする?出水と俺で削り切ってやろうか?』

 

『いや、戦い方からして真っ向勝負タイプだから、無駄にトリオンを消費する必要はないだろ。三輪、任せられるか?』

 

『わかりました』

 

太刀川の指揮により、三輪隊が配置につき、瓦木に襲い掛かる。

 

「遼平、頼むぞ」

 

「誰に言ってんだ」

 

そう言い残すとともに、迅は、太刀川と風間隊と激しくぶつかり合う。

 

「さてと...やろうぜ」

 

遼平は三輪隊と向かいあうと、静かに笑った。

 

一瞬にして三輪に近づき、全力の右ストレートを放つ。恐らくボーダーで最も速いとされる一撃であり、反応しきれず三輪は右腕を切り飛ばされる。しかし流石はA級隊員、一筋縄ではやられまいと咄嗟に体を逸らし心臓部を避ける。

 

「へぇ、やるじゃねぇか」

 

追撃を仕掛けるも、米屋がカバーに入る。接近戦の場合は最も隙ができるのは攻撃後であり、一瞬の隙を叩かれれば不利となる。しかし三輪隊は数の有利を活かし、どちらかが必ず死角に回り込み、片方の相手をすれば片方が叩ける陣形になっている。それを避けたいがために広い場所に出ると、狙撃手に狙われる。数多の喧嘩を経験してきた遼平であっても、崩すのは簡単ではない。

 

だが、不可能をいつでもブッ壊してきたのが瓦木遼平という男だ。米屋が素早い斬撃を仕掛けに来ると同時に、三輪も死角から攻め込んでくる。それに対し遼平は米屋を足払いでバランスを崩すと、槍を掴み、斬りかかってくる三輪へ向けた。一瞬動揺した隙を見逃さず、米屋の右足を切り飛ばすと同時に殴り飛ばし、槍を奪い投擲する。

 

「器用なことしてくれんじゃねーか!」

 

「っ!?陽介!!」

 

しかしそれを難なく避け、弧月を再展開するが、既に米屋の視界は遼平の拳で覆われていた。拳がクリーンヒットし、米屋はトリオン体が崩れ緊急脱出する。

 

「オラァァァァ!!次!!」

 

咆哮をあげる遼平の姿に、三輪は一滴の汗を垂らした。直後、隙だらけの遼平の頭と胸に、三輪隊の狙撃手、奈良坂と小寺の狙撃がヒットする。意識が逸れている完璧なタイミングでの狙撃に、思わず三輪も勝利を確信する。しかしその一瞬が仇となり、気が付いた時には三輪は心臓部を殴られ緊急脱出していた。

 

「読めてんだよバーカ」

 

残された狙撃手に単独で戦える力はなく、攻撃をしてくる素振りはなかった。こうして三輪隊と遼平の戦闘は、遼平の勝利で終わったのであった。

 

その後は迅が嵐山隊と連携して勝利し、激戦は勝利に終わった

 

 

 

--

 

 

 

その日の夜、遼平は本部へと足を進めていた。

 

「あのヒゲ...迅が言うにはボーダーNo1攻撃手だったのか...見くびってんじゃねーぞ」

 

遼平は納得がいっていなかった。結果的には迅が太刀川、風間隊と戦い、勝利を収めた。しかし遼平は『自分では太刀川に勝てない』という予測を立て、自身を舐められているかのような感情になったのだ。実際はトリオン量を考慮して三輪隊が選択されたのだが、そのことを遼平は知る由もない。

 

「あの野郎とのタイマンだ」

 

そう言い放つ遼平の眼は、静かに燃えていた。

 

戦場の余韻を背に、瓦木は本部へ到着した。内に秘めた闘志は燃え盛り、太刀川隊の隊室へと足を踏み入れた。

 

「太刀川、10本勝負しようぜ」

 

その宣言とともに、瓦木は太刀川隊作戦室の扉を開き、堂々と室内に飛び込んだ。部屋には、既に隊員が揃っていた。

 

「オマエは...瓦木とか言ったか?」

 

扉が激しく開かれると、そこには隊員たちが自由に過ごしていた

 

「誰だねキミは?ここはA級1位の太刀川隊の作戦室なんだよ?分かっているのかい?」

 

最初に口を挟んだのは、太刀川隊の隊員、唯我。彼はボーダーのスポンサーの御曹司であり、実力は大したことはないが、コネで部隊に入り、いつも自分の存在を主張していて、瓦木に絡み掛かった。

 

瓦木は、鋭い眼差しを向けると、無表情で一言。

 

「どけ、邪魔」

 

その返しに、唯我は恐怖を感じ、引き下がった。その直後、出水が苛立った声で割り込む。

 

「唯我、うるせーぞテメー...ん?オマエは、確かさっきの...」

 

室内の混乱の中、誰もが遼平を注目していたが、そんな様子を気にせず、マイペースにをゲームをしているのは、オペレーターの国近柚宇。普段から淡い口調で話す彼女は、遼平を見ると、今微かなるときめきを覚えたように話す。

 

「ん~?何か騒がしいね~...ありゃ、さっきのアクロバティックな子じゃん!どったの~?」

 

緩く話しかける国近を見返すも、すぐに太刀川に視線を移し、見据える。太刀川はしばらく考えた後

 

「いいぜ、オマエとは戦ってみたかったんだ」

 

そう答えた。その言葉に遼平は口角を上げ、笑みを浮かべるのであった

 

 

 

--

 

 

 

試合が開始すると同時に、お互いは小細工なしのぶつかり合いが起こる。試合は全10本。瓦木の戦いは、まるで路上喧嘩の延長のような荒々しさと、即興的な機転が光る。太刀川は、弧月による冷静な技で応戦する。

 

【第1本】

両者は互いに譲らぬ構えで距離を詰める。瓦木は、突進と同時に拳を放つが、太刀川は一瞬の隙を見逃さず、弧月で反撃に応じる。激しい衝突音が室内に響く。しかしここでは太刀川の旋空により、先制点を取る。

 

【第2本】

遼平は、喧嘩慣れた本能を全面に出す。荒々しく、流れるような動きで突進し、一撃を狙う。しかし太刀川は、その予測不能な動きに驚きながらも、見事なタイミングで防戦。激しい交錯の末、太刀川が再び先手を取る。

 

【第3本】

このラウンド、瓦木は奇襲のごとく、予想外の低い構えから繰り出す左フックと肘打ちの連続技で攻め立てる。太刀川はその猛攻に一瞬たじろぐが、耐え抜く。攻防が衝突する音が室内に響き、結果は遼平が反撃に成功し、このラウンドは遼平が勝利した

 

【第4本】

太刀川は、瓦木の攻撃パターンを読み切り、反撃に転じる。瞬時の間合い調整と正確な斬撃、そしてカウンターが炸裂。瓦木は喧嘩慣れた直感で防戦を試みるが、太刀川の精密な技に押され、太刀川がこのラウンドを奪取する。

 

【第5本】

ここで瓦木は、己の得意とする路上格闘の技――体全体を使った乱打と、踏み込んだ勢いのある突進を放つ。太刀川は瓦木の攻撃に驚くが、強烈なカウンターを放つ。しかしやられまいと瓦木は拳を放つが、激戦の末、太刀川が上半身を真っ二つにして、このラウンドも勝利し、スコアは4対1に

 

【第6本】

瓦木はここで、普段の喧嘩とは違う、玉狛での訓練により洗練された一撃を狙う。今までの荒々しさを抑え、むしろ瞬発力と鋭い切れ味を武器に、太刀川に襲いかかる。驚異的なスピードで動く瓦木に、太刀川もまた反応を早めるが、瓦木の一撃は予想を超える激しさを見せ、瓦木がこのラウンドを奪取する。

 

【第7本】

両者は、一進一退の攻防を続ける。瓦木の喧嘩慣れた乱暴な技と、太刀川の洗練された戦術が衝突する中、太刀川は瓦木の攻撃パターンを読み、的確な反撃を連続して決める。モニターには、両者の動きが映し出され、観戦していた国近と出水はいつの間にか熱中していて、唯我は開いた口が塞がらないでいた。このラウンドも太刀川が制し、スコアはさらに膨らむ。

 

【第8本】

試合の流れを変えるため、瓦木は全てを賭して挑む。荒々しくも、研ぎ澄まされた本能を解放した彼は、太刀川の隙を突くべく、かつて見せたことのない新たな技―低い構えからの回し蹴りと、体全体を使った連続攻撃―を放つ。太刀川はその技に一瞬たじろぐが、すぐに冷静さを取り戻し、瓦木の攻撃を受け流す。結果、瓦木がこのラウンドを取り返し、ここでスコアは5-3となる。

 

【第9本】

再びぶつかり合う中、瓦木は太刀川の強さを当初は過剰だと思っていた自分を情けけなく感じ、すぐにその考えは甘かったと悟る。喧嘩でも鉄パイプやナイフなどと武器を使ってくる輩がいたが、どれも太刀川の剣技とは天と地の差があり、瓦木を焦らせていた。しかし瓦木は落ちついて対応し、一閃に合わせて地面に手をあてバク転の形になると、そのまま足を振り上げ太刀川の肩から腰を切断し、ポイントを取る。

 

【第10本】

太刀川は、これまでのラウンドで積み上げた技術と冷静さを最大限に発揮すべく、深い呼吸を整える。瓦木は、喧嘩慣れた荒々しさと、これまでに培った新たな技の数々を武器に、太刀川へと突進する。

両者はぶつかり合い、今まで以上に激しく鳴り響く。瓦木の一撃一撃は、勢いを持ちながら、どこか計算された鋭さを漂わせる。太刀川は、その奇襲的な技に対し、冷静なカウンターと瞬時の防御で応じる。

 

そして、決定的な瞬間が訪れる。瓦木が、一瞬の隙を突いて、全力の一撃を放つ。だが、太刀川はその攻撃を見事に受け流し、逆に瓦木の体勢を崩す一撃を放つ。

 

「……やるな、お前。やっぱあん時は俺が戦えばよかったな」

 

太刀川のその言葉は、激闘の最中、瓦木の耳に深く響く。だが、結果は既に定まっていた。10本のうち、太刀川が6本、瓦木が4本を制し、最終スコアは6対4で太刀川の勝利となった。

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