星に会わず、ロビンにあったルートです。
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羽根を休めて、ロビンさん! new
純白より紫がかった羽が頭の横から生え、頭には楽器のように繊細な作りのヘイロー。
まるで天使の様なその姿は「天環族」と呼ばれる種族の特徴だ。
柔らかな笑みを浮かべた天環族の少女がとある街の大きな建物の目立つ部分にポスターとして貼られていた。
彼女の名前は「ロビン」。
銀河中を飛び回り、時には危険な地帯に足を踏み入れ──身体に傷を残しながらも歌い続ける、乙女。
ロビンは、その名を知らない人の方が稀で、今や全宇宙において知らぬ者はいないほどの歌手であった。
彼女の歌は聴く者を「調和」させ、「共感」させる不思議な能力を持っていた。
そんな彼女だが現在──。
※※※
「……ロビン。また勝手に行動して…誰かと行動しろって何回言えば分かるんだ? もしもの事があったらどうするつもりなんだ?」
呆れた表情を見せる青年が困った顔をしている少女の目の前に立ち、説教をしていた。
ロビンは純粋無垢な瞳で見上げるばかりで、何も言わない。
青年──「レン」は頭を抱えたまま大きく溜息を吐いた後に言葉を続けた。
「お前さあ。お前に何かあったらサンデーは勿論、色んな奴が心配するんだぞ。分かってるのか?」
レンは腰に手を当てて少し怒っているように見せながら言うものの内心ではやはりロビンに甘くなってしまう為、強く言うことが出来ずにいた。
レンは、ボロボロで行き場もないとき、たまたまロビンと出会い救われた過去がある。
その恩からレンはロビンの護衛を引き受けた。
それに、レンのとある実験による精神異常の副作用は、ロビンから直接聞く歌により安定した。今となってはどんな薬よりもずっとずっと頼りになる。
というわけで、お互いを利用し合うような形でお互いを支え合っていたのだった。
ロビンは困ったように片手を頬にやり、視線を逸らす。
その動作には名家で育った事がわかる優雅さが溢れていた。
「それは……わかってるわ。でも……どうしても外に出たくなる時があるの。我慢できないのよ」
落ち着いた声色でありながらどこか切ない雰囲気を感じさせる言い方をロビンされ、レンは言葉に詰まる。それ以上追及することが出来なかったのだ。
それは単に言い負かされた訳ではなく、ロビンに対する恋愛感情からくるモノだ。
レンは自覚しているため、すぐに咳払いをして誤魔化す。
「はぁ~〜……。全く。仕方がないな。今回だけだからな! 次からは俺とか、他の奴と一緒に行動してくれよ」
レンの言葉を聞き終えてから数秒後、ロビンはクスクス、と笑顔を浮かべる。
レンが自分に甘い事を知っているからこその余裕だ。
このやり取り自体を楽しんでいるように見えた。
「ふふっ、ありがとう、レン。なら、早速付き合ってくれるかしら? そのために帽子にサングラスまで掛けて変装したんだし」
そう言って可愛らしく微笑むと、自分の頭の帽子を撫でる。
二人の会話は人が来なさそうな場所に移動して行っていた為、ロビンとしてはこのまま出かけたい気持ちだったようだ。
それを見て取るとレンは何も言わずに了承する他なかったようで、「ハイハイ」と投げ槍気味に返事をするのであった。そしてそのまま二人一緒に歩き始めることにした。
二人並んで歩いている内に、段々と会話も増えてきてお互いリラックスしてきた。
先程までのムードとは打って変わって和やかな雰囲気が流れ始める。
様々な店を見て回り、楽しい時間を過ごしていくうちに気づけば辺りはすっかり暗くなってきていた。
そんな折、二人はちょうど公園を見つけた為そこで一休みすることに決めた。
ベンチへ座り込みながらジュースなどを飲んだりして休憩している最中に突如ロビンが呟く。
「昔に話をした事、覚えているかしら? ……『鳥はどうして空に飛び立つのか』について」
「あぁ覚えているよ。お前とサンデーは似ていて、違う答えを出したな」
「ええ。その時、あなたは似たような話があって…その登場人物が言ったのは『飛びたいから空を飛ぶ。理由なんてなくても。翼が折れて死ぬかもしれなくても。他人のためなんかじゃない。誰かに命令されたからでもない。鳥はただ、自分が飛びたいから空を飛ぶ』……素敵な考え方よね」
そう言うとロビンは柔らかい笑みを見せた。
それにつられてなのか、自然と口角が上がるレン。
些細な事でも覚えてくれていたという事に嬉しさを感じずにはいられない。
「でも、あの時。あなたの答えは聞けなかった。
時々……。今の私がしていることは、あなたを鳥かごに閉じ込めていると同じじゃないか、って思うこともあるわ……」
その言葉を受け、レンは口を閉ざし、静かに空を見上げた。そしてロビンの方を見る。
そこには不安げな瞳を持つ少女の姿がある。
しかし、純真な彼女が心を痛めるほどの話題ではない。
それは自分の問題を軽視しているから──と言うより、彼自身が何も考えずにいる訳では無いからだ。
「……それはちょっと違う。俺は選んだんだよ。
人生と言うのは、選択して、道を決めていくものだ。
もしかしたら、別の人生を歩んでいた可能性はある。
それでも、俺がいいと思うなら、間違いなんかじゃないんだ。なんて、ちょっとカッコつけ過ぎたかもな」
ロビンに対して精一杯の優しい微笑みを見せて、励ましの意味合いを込めてそう言った。
それを受けて、ようやく安心できたのか、ロビンは小さく微笑みを返してくれ、レンは安堵した。
そして更に付け加える。
「それに──こうやってある程度平和に暮らせてるしな。それだけで十分だと思ってる」
照れ臭そうに頭を掻きつつ言うレン。そんな姿を見て、ロビンは僅かに目を見開くが、すぐさま柔らかな表情に戻りながら答える。
「良かった……。あなたが幸せだと感じてくれるなら、一番良いことだと思うわ」
二人の間を穏やかな時間が流れて行く。
最近は忙しく働いているせいでこんな風にゆったりとした空気が訪れる機会など滅多になかった事をレンは思い出した。
しかし、夜風は冷たく、肌寒さを覚えるようになった事によって現実へ引き戻された。
レンはベンチからゆっくり立ち上がると伸びをする。それを見てロビンも慌てて立ち上がり背筋を伸ばした。
「そろそろ帰らないとな……」
「ええ。そうしましょう」
レンの一言を聞いて、ロビンは隣を歩く。
その服装を見て、レンは上着を脱ぐと彼女に差し出す。
「……レン?」
「風邪を引いたらまずいからな。サンデーだって、他のみんなも心配する」
「ありがとう。ふふ、暖かいわね」
レンは苦笑いしつつ言うと、上着を受け取ったロビンは肩にかけながら嬉しそうに身を縮めた。
小鳥が寒さに耐え忍ぶ時の様な仕草に似て、可愛いなとレンは思うが口に出せない。
恥ずかしさもあるし、いきなりそんな発言をしたら、台無しになりそうだからだ。
それに、彼女の喜ぶ様子を見るだけで暖かな気持ちになる。
それが今のレンの全てでいいと思っていた。
だけれど──きっとロビンは飛び立つだろう。彼女はそういう子だ。
その時に、自分はどうすればいいのか。わからない。いや、わかりたくないんだろう。
余計なことを考えてしまい、レンはため息を吐きたくなる。
そんな思考を振り払おうと首を振った
互いに相手との距離感を探りながら慎重に接していくしかない状況下が今の現状。
だが、今はまだそれで構わないだろうと考えていた。
もう少しだけ今のままで居させてほしいと願いつつ前へ進む。
(そうするしかない。それしかない。そうだろう。)
言葉は声にはせず胸の中で繰り返す。
そうやって、何度もやってきたのだから。
今回だってうまくいくはずだ、とレンは自分に言い聞かせる。
すると、突然服の裾を引かれた。
疑問を抱き、反射的に振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべているロビンの姿がある。
「ねぇ、レン? 見てみて」と言って指をさして来たので釣られるままにその方向へ顔を向けた。
そこには満天の星空があった。
夜空いっぱいに広がる星々はとても美しく輝いている。
普段ならば気に留めることもない光景であるものの今は違った。
今まで忘れていた感情が呼び起こされていくかのような気分になっていく。
レンは朝より、夜が好きだった。
確かに暗闇は怖いが──人の営みを灯す明かりや瞬く星屑たちを見るのは嫌いじゃなかった。
明るければ空は見れない。眩しくて。明るくて。
レンは──自分が惨めになりそうで、朝は苦手だった。
だって、目覚めてしまえば現実と向き合わなければならない。
夜だったら夢の中に逃げることが出来るからまだマシなのだと思えてしまう。
そんな弱虫な自分を変えたいと思っても、情けない生き方しかできていない事を思い出してしまい辛くなってきた。
しかし同時に美しい景色に魅了されていることも確かである事から複雑な気持ちとなる。
「綺麗ね」
そんな心情を察してなのか、偶然なのか分からないが……ロビンは優しく声をかけてきた。
まるで心の中を見透かされているのではないかと思うほど、ピンポイントだったのでレンは目を見開き、驚く。
月光が、ロビンの……紫にも見える白い髪と、頭の横の羽。それからヘイローも輝かす。
神秘的な姿に、レンは息を呑んでしまう。
暫く見惚れていたが「レン?」と声をかけられた事で、時刻を確認しようと腕時計を確認すると既にかなり遅い時間になっていることに気づく。
(ヤバい……!!サンデーにまた怒られる!!)
「帰るぞ、ロビン!!」
慌てて、彼はそう言って強引に手を掴むと走り出し始めた。
急展開に戸惑いつつも素直について来るロビン。
だが、彼女は僅かに笑みを零して、楽しげにしていた。そんな彼女の様子を見ながらレンは密かに思う。
こんな日々が永遠に続けば良いのに……。
と。しかしながら世の中というのは都合良く出来ているわけではない事を理解していた。
それは、彼女の普段隠れている弾痕が物語っている。
ロビンは自らの意思で危険地帯に向かう事もあるし──命が狙われる事さえ、稀にある。
彼女の幸せを願う一方で、それ以上を求める気持ちで揺れ動き続けていく日々。
……だけれど。それでも。
二人は夜の暗がりで手を握り合いながら家路につく。
そんな場所がある事に、静かにレンは感謝した。
───だが。それから、サンデーにそのままレンだけ彼の部屋に呼ばれ、淡々と責められ、疲れ果てる羽目になるのだった。
本来であれば、オリ主はロビンとあまり関わりないので、頑張ってる人だなという印象です。
この世界線ではレイシオとは知り合いではありませんね。