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シルバーメインの鎧がベロブルグを歩くと聞こえる金属音を耳にしながら、レン達は整備された道を歩いて行く。
その地に足を踏み入れ、温かさを感じたなのかが「寒くなくなってきた」と何気なく呟けば、ジェパードは「ベロブルグ」は「最後の砦だからな」と返す。
先程も聞いたような言葉だ。不思議そうな顔をする一同に、ジェパードは重く、口を開く。
──700年前。天外より現れた
その頃、大地は焦土と化し、至る所に熔岩と煙が満ちていたと言う。
──そんな存亡の機に瀕した時、突如として寒波が訪れた。
──
「変な話し方……」
「慣れた感じだな……。でも、子供に言い聞かせる、みたいな話し方、と言うよりは教科書通りみたいだ」
「元々が彼自身の言葉ではなく、何かの書籍から引用したものなのだろう」
思わず小声でなのかとレンが話せば、丹恒がそう分析した。
ジェパードは見た目通り、頭の硬い性格なのだろう。
「そっか。じゃあ、なんでウチらにこんなこと話すんだろ?」
「君に聞かれたからだ」
なのかが不思議そうに呟けば、目を閉じ、腕を組んだジェパードはそう返した。
「「「……」」」
わざわざ小声の会話に割り込み、丁寧に解説をしてくれた彼に一同は沈黙を返す。
空気を読めない辺り、あまり友達が多いタイプでは無いのかもしれない。
そんな失礼な事をレンは考えつつ、一同が都の奥に進めば、大きな建物が見え──長い真っ直ぐな石畳の階段がその前にあった。
「着いたぞ──此処が「クリフォト城」ベロブルグの心臓であり、「建創者」の本部だ」
「クリフォト城?」
「
建創者達はあの方の呼びかけに応じ、ベロブルグを築き上げ、天災と寒波から文明の灯火を守ったのだ。
クリフォトの庇護を受ける建創者達も、これまでの長きに渡ってこの都市を率い、外部からのあらゆる災いと戦っている。
……この城は「大守護者」様の住居だ」
「大守護者?」
「そういやさっきも最終判断は「大守護者様」みたいな事を言ってたな。このベロブルグのトップの人なのか?」
「……まあ、そのようなものだろう。
建創者達によってベロブルグのリーダーに推薦された方の事だ。
現代の守護者は──「
「ほぉ。そうなんだ〜。ありがとう!」
「……これからカカリア様に謁見する。伝えたい事は先に準備しておいた方がいい。
……お忙しいお方だ。要件だけ簡潔に述べるようにな」
「えっ、ええ!? もう会うの?
先にどっかで身だしなみを整えた方がいいんじゃない?」
「そうそう、こんな格好でいいの?
偉い人なんでしょ?」
ジェパードの言葉に慌ててなのかは反応し、星が同意したが、丹恒は「時間の無駄だ。誰も気にしない」と返す。
「丹恒……。女の子ってのは見た目を気にするものなんだよ?
全く。そういう事したら、モテないよ?」
不満げになのかが丹恒を見れば「モテなくて結構だ」と素っ気なく返される。
「……先に使者を送っている。
カカリア様はすでに君たちの来訪をご存知の筈だ。早く行くとしよう」
「う、うわ〜〜!?!
本当にそのまま行くの!?
どうしよ〜!ウチ、ちょっと緊張してきたよ〜!」
なのかがぎゅっと自分の手を握りながら言うのを見て、レンが思わず笑えば「他人事だと思って笑ってる!? レンだって偉い人に会うんだよ!? ちゃんと喋れるの!?」と抗議され「まあ」と曖昧に返す。
「星は!」
「え?私?」
「そうだ。星は黙ってないとダメだよ!? アンタ、顔はかわいいのに……なんか、言動がたまに変みたいだから! ちゃんと大人しくしててよ?」
「え? どうすればいいの?」
「分からないけど!!? こう……お腹に辺りに手を揃えて、喋らなければ、大丈夫! なんじゃない?」
「お腹……?」
なのかが自身のおへそ付近に手を重ねて言えば、星もそれを真似るように手を揃える。
まるで親を真似る雛鳥のような行動に、レンは堪らず噴出した。
「ぷっ、ま、まあ、緊張は解けたな……! くくっ!」
笑い過ぎて、生理的な涙が出始めたレンをジトッとなのかは睨む。
「レン! 真面目になってよ〜!」
「はいはい。悪かったって」
「……仲がいいのは結構だが、今しかカカリア様は時間が取れないようだ。急ごう」
ジェパードの言葉に星達は姿勢を正し、改めて、彼の後に続いた。
※※※
階段を上がりきれば、武装したシルバーメイン達がチラホラおり、こちらを静かに見つめている。
だが、気にせず一同は奥に向かった。
そして最奥。
執務室らしき大きな部屋の机の椅子がある方に立つ金髪女性と、向かい合って、巻いた銀髪の少女が話している姿が見えた。
「──しかし、このような犠牲には、なんの意味もありません!不適切な──」
「……下がってよい、ブローニャ。来客だ」
何かを少女──ブローニャは金髪の女──カカリアらしき女性に必死に訴えていたようだが、女性はジェパード達を目に捉えると、ブローニャに退出するように促した。
するとブローニャは目を逸らし、言いたかった言葉を堪えると「は、お母様」とだけ伝え、踵を返す。
その時、見慣れないレン達に視線を
「───「大守護者」様。4名の「よそ者」を連れてまいりました」
「使者から話は聞いている。
よくやってくれた、ジェパード。貴様も下がってよい」
「は」
大守護者──カカリアがそう伝えれば、お辞儀をし、ジェパードはその場から立ち去って行く。
茶色の重い扉が閉まるのを確認し終えるととカカリアは「ようこそ、寒波の向こう……いいえ、天外から訪れし客人、と言うべきかしら?」と先程の高圧的な態度から一変し、柔らかな表情を見せた。
「私はカカリア・ランド。
ベロブルグの守護者たる者。
この場で皆々の来意を尋ねよう」
胸元に手を置きながらカカリアが尋ねれば、星は不思議そうに「天外から来たことを信じてくれるの? 私たち、どう見ても怪しいと思うんじゃない?」と首を傾げる。
カカリアは金髪を髪留めで束ねた、白を基調とした服を着た若く見える女だった。
雪の結晶の様な大きな紋様と、沢山付けられた勲章らしき物が目に付く。
だが良く考えれば宇宙ステーションで偉い立場の人間(ヘルタやアスター)も女性だし、星穹列車の姫子も女性。
特に気にすることでは無いのかもしれない。
「あら、疑ってほしいのかしら?
自分から言い出した事なのに。自信がないのね?
ふふ、そうね。疑ってはないわ。
あなた方がこの世界の者ではないと知ってるから。
……「建創者」は歴史を覚えてこそ、この初心を忘れずにいられる。遥か昔、寒波が訪れ「レギオン」が侵食する前、この世界は輝かしい繁栄を遂げていた……。
そして「琥珀の王」クリフォトが──
だから、驚く事は無い。
700年もの間、「建創者」は星空からのメッセージを受け取ってはいないとはいえ、あなた方の存在は知っている。
──さあ。その目的を言ってごらんなさい?」
「──この星を助けに来た」
星がそう切り出せば「俺たちがここに来たのは「星核」という物を探すためです」と丹恒は補足する。
丹恒は星穹列車の
それ故に彼が代表して話を進めることにしたようだ。
「星核?」
カカリアは腕を組み、知らない単語だと言わんばかりにオウム返しをした。
「──「星核」は突如として各世界に落ちた物質。
その出現は厄災を意味する。
……これまでの旅で、星核に侵された星を、数多く見てきました。先程、あなたは「反物質レギオン」の侵入について触れられていました。
つまり、
「……そうだ」
腕を解きながら、カカリアは丹恒に肯定する。
「
「うん。だから、
星核が埋め込まれた場所には裂界が出現するし、「寒波」だって──星核がアンタたちの星に適応して作り出した
ウチらをね、銀河を旅して、星核の恐怖から世界を救う、熱心な旅人だって思っていいから!」
「……」
星穹列車のメンバーの言葉に、カカリアは腕を組み直し、考える様に沈黙する。
この地の守護者であるカカリアは、この話に簡単には判断を下す事は出来ない。
人々を、この都を護る為には軽率な行動は出来ない。
しばらく思案すると、徐に息を吐く。
「──現状をよく分析したものだ。
そう、確かに我々は様々な災いと戦ってきた。
そしてその中の多くは、今も我々を
……だが、それとあなた方と一体何の関係があるのかしら?」
片手を広げながら、カカリアは問う。
「──たとえ、本当に「星核」というものが存在し、災いを引き起こしたのだとしても、あなた方とは無関係。
自分と関係ない星を救うために骨を折り、何の見返りも要らない、などと言う話を信じるほど、私は甘くないわ」
「──仰る通り、俺たちがこうして協力を求めているのは、両者の利害が一致しているからです。
「星核」を封印しなければ、俺たちもこの星を離れる事が出来ません」
丹恒がそう返答する間も、レンは話に割り込まず、無言でカカリアを観察していた。
彼女は様々な「経験」を得て「大守護者」になっている。
簡単にはいかない相手だろう。
今も単純に信じず、こちらを見極めようとしている。
見た目は若く見えるが、恐らくブローニャくらいの娘をもし、産んでいるのならば少なくとも40代位かもしれない。
この惑星の平均寿命などは情報収集をしていない今の時点分からないが。
ヤリーロVIの情報は、長い間旅してきた星穹列車のアーカイブにも、かなり少なかった。
「──是非、力になりたい」
星が真っ直ぐとカカリアを視線に捉えながら返せば「そう! ウチらは凄いよ!」と同意した。
「……あなた方には、その「星核」を封印する手立てがあると?」
「俺たちなりの方法があります」
「……分かりました。信じましょう。
今の状況が本当に星核と関係あるのならば、あなた方はベロブルグが700年待ち続けた希望の星。
可能な限りの援助を行い、星核の探索に協力しよう。
さあ、今日はもう遅い。あなた方も疲れている筈だ。町で一番のホテルを手配するから、ゆっくり休むといい。
明日の正午、再び使者を送りあなた方を招待する。この件について改めて話し合おう」
「感謝します「大守護者」様」
「こちらこそ、天外の客人よ。
私も「星核」と関わりがありそうな記録を調べるのに時間がかかりそうだ。……ここで失礼する」
その言葉に一同は頷き、踵を返す。
しかし、僅かに星は何かに気がついた様に一瞬、振り返る。
だが、気のせいかと思い続いて行った。
「……分かっている。大丈夫だ。」
その後、誰もいなくなった部屋。
カカリアは見えない何かと対話し、疲れた様に頭を抱える。
その相手が何か知るものは今この場にはいない。
※※※
「……「大守護者」様に気に入られたようだな。僕も君たちの行動を制限しなくていいとの命を受けた」
クリフォト城を出た時、直ぐにジェパードが出迎えた。
「威厳がある人だったね」
「なんたって、お城の主だからね! リーダーとしての自覚が凄い! ああ、かっこよかったなぁ!」
「はは。それじゃ、僕は公務があるから駐屯所に戻るよ。ベロブルグを楽しんでくれ」
先程の硬い様子よりはジェパードも朗らかな様子でなのかの言葉に軽く返す。
「あ! ちょっと待って、なら、オススメの観光地とか教えて貰えないかな? 時間もまだ早いし、もう少し見て回りたいの」
「……観光なら、「黄金シアター」か「歴史博物館」がオススメだ。けど、博物館は身分証明書が必要だから……先に「常冬の碑」を見に行った方がいいな。ベロブルグで最も意義があるランドマークだ」
ジェパードは視線を「常冬の碑」に向ける。
青い尖った結晶の様なものが金属と混ざりあったような芸術品だ。
ジェパードやカカリアが胸元に身につけている青い結晶のブローチの様な物によく似ている。
「音楽に興味があるなら、からくり工房「パーペチュアル」に行くといい。
あそこではたまに野外公演が開かれる。
演出者は……いや。自分の目で確かめた方が早いか」
「それと……ゲーテホテルへ行くのなら、その隣でシルバーメインが見張りをしている路地を見かけると思うが、あまり近寄らないように。そこは最近裂界の影響で封鎖されたばかりなんだ」
「……街の内部にまで
「ああ、僕たちは今もソレと戦っているんだ。
では、君たちの幸運を祈るよ」
ジェパードは立ち去って行く。
それを眺めた後、一同は言われた観光スポットに歩き始めた。
衣装の表現が難しすぎるスターレイル
原作セリフなど違和感ないように修正してます。
一部はそのままにしてます。
「ウチらをね、銀河を旅して、星核の恐怖から世界を救う、熱心な旅人だって思っていいから!」とかが、なのからしくて好きなので。