いい加減にしてくれ!星ちゃん!   作:F1さん

16 / 17
眠らせていたサブアカ(スタレの)を使って書いていくため、時間ある時にゆっくり更新します。

見ていただいてありがとうございます。
ここすき、アンケート、お気に入り、感想、励みになります。
良かったらお願いいたします。


第3話上層部に住む人々

 

石で整備されたベロブルグでは、様々な人々が歩いている。

 路面電車が走っており、この地は平和そうに見えた。

 

 4人が歩いていると、「常冬の碑」らしきオブジェが目に入る。

 

「ねえ、見て、あの氷像の形、変わってるね!

 この街と妙に調和してるって感じ!」

 

 なのかが真っ先に発見すると、指を刺しながら一同に言う。

 

 その指の先につられ、青い結晶と鉄で作られたそれに目をやると、丹恒は腕を組みながら「どんな素材か分からないが、氷でないのは確かだな」と、返答した。

 

「なるほど〜それもそっか!

 ……あれ? あそこに子供が沢山居る!

 ちょっと、行ってみない?」

 

「常冬の碑」の近くに1人の少女の前に小さな子供達が4人ほど集まっていた。

 好奇心が引かれたのかなのかが提案すると、

「あー、そうだな。何か情報が得られるかもしれないしな」と

レンが賛成し、一同は彼女達に近づいた。

 

※※※

 

「──まずは自己紹介を。

わたくしはシルバーメインの情報官。

そして此度(こたび)の「ベロブルグ▪️歴史の旅」で臨時ガイド役を努めさせて頂きます。

「ペラゲヤ▪️セルゲーヴナ」と申します。ペラとお呼びください」

 

 眼鏡をかけ、ベレー帽をしたシルバーメインの制服を着た少女がそう子供達に自己紹介をした。

 

 利発そうな少女だ。

 

(本名めちゃくちゃ言いにくそうだな……。書類に名前書くのも大変そうだ……)

 

 ついレンがそんなくだらない事を考えていると「「ペ〜ラ〜お姉さ〜ん」」と子供達は返した。

 その返答にペラは僅かに微笑み「はい。ではご覧ください」と揃えた片手を「常冬の碑」へ向けた。

 

 子供たちだけでなく、その場の人々も数人「常冬の碑」を注目すると

「こちらが「常冬の碑」です。

偉大なる「建創者」を記念するため、建てられました」

と彼女は語り始めた。

 

「「建創者」は星神(アイオーン)▪️クリフォトの従者です。

彼らが危機を予言し、壁を築き上げ、ベロブルグを建立したおかげで、人類の文明は滅びの運命から逃れる事ができました。

そして今に至ってもなお、彼らはこの町を管理しておられるのです」

 

 ぺラはそれから、「常冬の碑」は2つの部分があり、知識と工業の力を意味する歯車と、寒波を意味する巨大な氷の結晶が噛み合っており、歯車に封じられた氷の結晶は厳しい自然に屈しないという「建創者」たちの精神を象徴している、と伝え、子供達に質問が無いかを訊ねた。

 

 すると星が「この結晶体って何?」と話しかける。

 

 いきなり話しかけられペラは目を丸くしたが、「素材のことを聞かれているのでしたら、これは色を変えた「地髄(ちずい)」です。地髄(ちずい)の色は加工時の温度に影響されるんです」と、落ち着いて答える。

 

「──子供たちは他に聞きたいことはありますか? 

ゆっくりでいいですよ、時間ならたくさんありますので」

 

 それから、柔らかな口調で子供達に質問はないかと尋ねる。

 

 ペラは子供たちに説明をすることに慣れているようだ。

 

「あ、ごめん。邪魔したな。ほら、星行くぞ」

 

 レンはため息を吐くと、ペラにいきなり質問しにいった星の首根っこを持つ。

 

「……ぐぇ!ちょっと、レン!」

 

 星は不機嫌そうに唸りながら文句を言おうとする。

しかし、彼は()えて無視をしたまま、そのまま引き摺る。

それから、丹恒やなのかの側に戻ることにした。

 なのかは、星の行動に両手を腰にやりながら、レンと同じようにため息を吐いた。

 

「マイペースだね、アンタ……。

いい? あの人はツアーガイドみたいな人なんだから、急に話しかけられたら驚くでしょ? それに、目立つじゃん!

こういう時はちょっと距離を置いて……話を聞いてた方が良いんだよ!」

「……む、でも……」

「まあまあ、なの。

コイツには記憶が無いんだから、好奇心があるのは仕方ないだろ? なのだって目覚めて記憶が無い状態だった時、こんな感じだったぞ?」

「ええっ! ウチはここまで酷くなかったよ!

 ……でもまぁ確かに?まだウチらの仲間になって間もないわけだし

……気になるものが多いのは当然かも……?」

 

 なのかは唇に人差し指をやり考え込むような素振りを見せると、納得したように何度も頷いた。

 その様子を見て静観していた丹恒も

「俺もレンと同じ意見だ。彼女は目覚めて日は浅い。

知りたいと思うのは当然だろう」と、同意した。

 

「……それに、こうやって無鉄砲に行動して油断する、って可能性は高いしな」

「……あ。そういえば、さっき「大守護者」の前で黙ってたのってまたいつもの「アレ」が出てたの?」

「おい、なの!」

「アレ?」

 

 なのかが苦笑いしながら問うと、星が反応し、レンは少し焦った様子を見せた。

 その2人の言動に、なのかは何故か少し得意げに胸を張ると「「レン」は「研究者的なお姉さんアレルギー」なんだよね」と返す。

 

「変な単語を造語するな……!」

「でも似たようなものでしょ? 

あてはまった年上のお姉さん相手だと……

ちょっと怖気付くよね?」

「いやそうだが……そうなんだが……でも、なんか……ニュアンスが、ニュアンスが違う……」

「「姫子」は慣れたみたいで、まだマシみたいだけど……。それでもやっぱりちょっと「キョドッてる」って言うか……」

「……ゴホン! 

いいから、無駄話してないで情報収集にいくぞ。

お。あれが「パーペチュアル」って建物じゃないのか?」

 

 レンは誤魔化すように咳をした後、近くの建物を指さす。

そこには懐中時計の様な大きなオブジェが上についた目立つ建物があった。

 

 なのかが「え〜もう少しだけ語りたいけどなぁ……ま、仕方ないか」と名残惜しそうにしながらも、渋々納得する。

 

 丹恒はそんな彼女達の会話に眉間に皺を寄せながら呆れ顔をしたが、一同はレンの指さす方向に向かって歩いていった。

 

※※※

 

「からくり工房「パーペチュアル」到着!

 ──あれ? ジェパードはここで公演があるって言ってなかった?」

 

 なのかが不思議そうな表情で辺りを見回すが、暖かそうな生地の服を着た通行人しか見当たらない。

 丹恒は「(ジェパード)は「たまに」と言っていた。肝心なところを聴き逃してどうする」と、なのかに答えを返す。

 

「ちぇっ、見たかったのに〜!!

ところでさ、あれ見て? さっきからツッコみたかったんだけど──この町ってなんか変じゃない? 

なんで「加熱器」が家の外にあるんだろ?」

 

 と、なのかはパーペチュアルの近くにある、銀色の長方形の形をした機械に目をやりながら首を傾げる。

 赤い光を放つそれに「普通、暖房器具って屋内(おくない)にあるものじゃないの?」と付け足した。

 

「──うーん。これで寒波に抗ってる、とか?」

「……だとしたら、この町の「建創者」達は随分単純な思考回路をしてるみたいだね」

「星核がもたらした災害は、こんなちっぽけな加熱器で防げる物じゃない」

「でも、この町は雪に埋まってないだろ? やっぱりこの機械が関係しているんじゃないか?」

 

 一同がそれぞれ考え込んでいると「っふふ、はは、壊れた加熱器相手に、結構喋るじゃん?」と長い金髪の女性が話しかけて来た。

 

 アシンメトリーな服を着た彼女は紫色のメッシュをしており、この町では珍しい軽装をしており、バンドマンの様なベルトや金属が目立つ。

 なのかは彼女の存在に気づくと、「うわ、カッコイイお姉さんだ!」と思わず口にする。

 

「壊れた?」

「そ。触ってみればわかるよ、冷たいから。これから修理しようと思ってたんだ」

 

 と女性は明るい微笑を浮かべながら声をかけてきた星に言った。

 

「あ。自己紹介がまだだったね。私はセーバル。このからくり工房のオーナーだ。壊れた設備があったら私のところにおいで。修理する気分になるかは、保証出来ないけど」

「えっ! いやいや! その、ちょっとこの加熱器に興味が湧いただけで……」

「? 加熱器に……興味? 普通の地髄暖房(ちねつだんぼう)じゃん。

行政区のどこに行っても見られるでしょ?」

 

 セーバルのそれは地元の人なら当然の疑問だ。

 当たり前の光景に対して「興味深い」と言われたら誰だって戸惑うだろう。

 

「えっとぉ……なんて言うかぁ……」

「ここは初めてだから、何を見ても新鮮なんだ」

「ちょ、星!」

「……初めて? 

……あ、分かった! 口の軽いシルバーメインから聞いた、カカリアが数名の「よそ者」に会ったって話──

あんたたちのことだったのか! これは珍しいお客さんだ!

ささ、加熱器の事でもなんでも、お姉さんがぜーんぶ教えてやるよ!」

 

 セーバルは楽しそうに笑顔を浮かべると、パーペチュアルの中に入っていく。

 

 一同は顔を合わせた後、少し考えた様子だったが、セーバルの態度は歓迎しているように見えた。

裏表の無さそうなお姉さん、という印象だ。

ならば罠などではないだろう、と彼女の後に続いた。

 

※※※

 

 セーバルの店の中に入ると、辺り一面の壁辺りに回る歯車たちや、専門器具などが見える。

 

 作業机らしき場所の壁には設計図があったり、バンドのチケットの様なものや、写真も壁に貼り付けられていた。

 

 セーバルがカウンター前に立つと「あんた達が見たのは、ベロブルグで最も一般的な地髄暖房(ちねつだんぼう)だ。

見た目は素朴だけど──人々の命を保証してくれてる。

外の猛吹雪に耐えられる暖房器具がなきゃ、ベロブルグはとっくに死の町になってるだろうね」と返した。

 

「さっき会った真面目そうな長い髪の眼鏡のシルバーメインの女の子も「地髄(ちずい)」だとか言ってた。

……地髄(ちずい)ってなに?」

 

「ああ、もしかしてそれは「ペラ」のことかな?

あの子は妹の親友でね……まあ、それはいいか。

それはここ特産の鉱物エネルギーだよ。

町全体の暖房から個人が使う計算機まで、全部地髄がエネルギーを供給してるんだ。

地髄はこの星の地下にあって、下層部にある専門の採掘チームが採掘し、輸送ルートを通して地上に送られてくる。

それに対して、上層部も同じルートを通して地上にしかない物資を送ってる、ってわけ。」

 

(電気とか、ガソリンみたいなものか……)

 

 星の質問に分かりやすくセーバルが返す。

 それを聞きながら、レンが脳内で類似した物に例える。

 

「ふんふん……ん? ベロブルグには地上と地下があるの?」

「知らなかった? 

ベロブルグは2つの円盤を繋ぎ合わせたような構造をしてて、上層部は政務と貿易を。

下層部はエネルギーの供給と資源発掘を(にな)ってるんだよ。

でも、数年前に命令が出てからは、上層部と下層部の行き来もなくなったんだけど

……ったく。こんなこと言ってどうするんだか。

……独り言だと思ってくれていいから」

 

 なのかの質問にセーバルはそう返答した。

 だが、その彼女の表情は少し憂いを感じさせる。

セーバルにも思うところがあるのだろう。

 

「……ふーん。歯車みたいなんだな」

「え? ああ……上手いこと言うね。

大体の人はそれから下層部の人がどうなったか知らない。

中には上層部と下層部で離れ離れになった家族もいるんだ。

……で、他に質問はある?」

 

 レンが考え(ふけ)った様子で伝えれば、セーバルは少し笑いながら返す。

 

「あ! そうそう、どうして暖房機が外にあるの?」

「あー、本題を忘れてたね。……火を使って料理を作るのと同じ理屈さ。

家が鍋だとすれば、加熱器は鍋の下にある(かまど)の火ってこと」

 

「……そ、そうなんだ。

……なんか、どこらツッコめばいいのか分からなくなってきた……

……と、とりあえずありがとう、セーバル」

「はは、気にすんなって。

初めてベロブルグに来たんだろ? 

この町の人情味を味わってくれたら私も嬉しいからさ。

……ところで、あんたち暇そうだね。

良かったら、機器の修理を手伝ってくれない? 

手工芸だと思えば面白いよ?」

「いいよ、今他にやることないし」

「おい、星……俺たちは……」

「よし! じゃあ、お姉さんがお手本を見せてやる!」

 

 移動し、作業台前の椅子に座ったセーバルが手招きをすれば、星がすぐさま動いた。

 レンが止めたが、聞き耳を持たずにセーバルが立ち上がった席に星が座る。

 

「おいおいおい!」「流されすぎでしょ⁉」

 

 慌てるレンとなのかの横を通り抜け、星がセーバルの隣に並ぶ。

 

 必要そうな工具と機器を取り出したセーバルが星に渡すと、星は真剣な表情でセーバルに教わりながら修理を行なっていく。

仕方なく一同は星の手伝いが終わるまで待つ。

 

「やるじゃんあんた!」

 

セーバルはその後、星の仕事の修理の出来栄えを褒めた後、仕事があるから店を閉めるらしく、他のところを回るといい、とアドバイスをくれた。

 

※※※

 

 パーペチュアルを出た一同は行政区に戻る。楽しげな話し声を聞きつつ歩いていると、シルバーメイン達が数人立っている姿が見えた。

 

「あ。ジェパードが言ってた裂界に汚染された路地って、あそこのこと? こんなに町の中心に近い場所にあるなんて……」

「このまま放っておけば、近くの店やホテルは直ぐに営業できなくなるんじゃないか?」

 

「下がれ! これは最終警告だ!」

 

 話し合っている一同の前で、シルバーメインは目の前の男性に警告を発した。

 警告を受けている男は白髪で長いコートを着ている。

 

「し、しかし……私の資産証明書が全部中に! まだ、何も……」

 

裂界(れっかい)が町を侵蝕している! 

建創者に物資奪還を申請しろ! 

ここはシルバーメイン以外立ち入り禁止だ!」

 

「……裂界の侵蝕が町中にまで広がってるなんて……あの路地、どうりで兵士だらけなわけだ」

「多難な世界だ」

「本当にね……でも、ウチらが来たんだもん! 星核さえ封印できれば、きっとあの人たちが苦しむこともなくなるよ!」

 

 男が慌ててシルバーメインの1人に訴えかけていると、「おじさん、残念ですが諦めてください。

外縁(がいえん)通路は今非常に危険な状態なんです!

 ……これもあなたの身の安全のためですから」と別のシルバーメインが宥めていた。

だが、それに対しても「資産証明書を失くしたら、死んだも同然だろう! どけ、入らせてくれ!」と反論している。

 それに止めているシルバーメインの一人がため息を漏らしていた。

 

 それから一同は、軽く会話をしながら、カカリアが手配してくれたらしい……近くにあるゲーテホテルへと向かう事にした。




プチ設定
レンは丹恒、なのかより先に星穹列車に乗っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。