Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
その2人の歌う姿に背中を押され、再び歌うことを決意した奏。
憧れた歌い手の正体に気づいた彰人。彰人の伝えたい事とは──
──そして増える、新しいスクールアイドル──
ライブが終わった日、俺は新たな動画をアップロードした。
『Tiny Stars』──クーカーの2人が歌った曲。
それを動画にして、L tubeに公開して俺は寝た。
次の日の朝、目が覚めた時に携帯を見ると、彰人から連絡が来ていた。
『SOUL、お前に伝えたいことがある。』
迂闊だった……。
あの音源データはクーカーの2人、千砂都、彰人と俺しか持っていないデータ……。
正体がバレた。けれど、結局行かないといけないことに変わりはない。
俺はその足で結ヶ丘へと向かっていった。
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回想───
スタッフ『それでは皆さん、それぞれの場所についてください!』
子供たち『『はい!』』
スタッフ『いいね、みんな可愛いよ!
すみれちゃん!』
グソクムシの着ぐるみを着た、幼い頃のすみれが現れる。
スタッフ『よろしくね!』
すみれ『はい。』
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彰人視点──
「ふぅ、今日のノルマも終わりっと。」
ゲーセンで音ゲーのノルマを軽くクリアして学校に向かおうとしていた時だった。
すみれ「クックック……。」
あいつたしか……昨日の電線接続女…。
すみれ「もう!
私ってばいつもこう……。」
スカウトマン「あの〜、失礼いたします…。
わたくし、こういう者なのですが……。」
すみれ「芸能事務所……スカウト担当……?!
まさか……!!」
スカウト担当……?今どきいるんだ、スカウトの人。
スカウトマン「突然すみません、実は、あなたをスカウトしたくて……。」
すみれ「……っ。」
スカウトマン「その容姿!放たれるオーラ!あなたこそまさに通行人役にピッタリ!!」
すみれ「ギャラクシー!?」
いや、その発言は失礼じゃねぇのか……?
ま、いいや。
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奏視点
朝、かのん達に合流しようと階段を上っていた時──
すみれ「何が通行人役よ……!!エキストラが欲しいなら欲しいって言えばいいのに…!!紛らわしい…!!」
あの人……平安名すみれさん、だったよな。
何言ってんだろ?
すみれ「こっちがなんのために毎日毎日用もないのにあの通りに──」
平安名さん、途中で止まらないで欲しいんだけどな……。
そう思いつつ、俺は階段を登っていく。
千砂都「同好会?!」
かのん「そうなの!いきなり理事長室に呼び出されたから、ダメかなって思ったんだけど──」
可可「初ステージにも関わらず、すっごく評価され、特別賞を貰ったことが効いたみたいデシテ。」
スクールアイドル、継続できそうなんだね。
「おはよう、遅れてごめん。」
かのん「おはよう、奏くん!
見て見て、フォロワーもすっごく増えたんだ!ほら!」
かのんの携帯の画面を見て、その数字を見ていた。
千砂都「すごい、2000人!?」
かのん「しかも練習場所として屋上も使っていいって、理事長が!」
彰人「やったな、2人とも。
──奏。放課後ちょっと来れるか?夜中に連絡した件の事だ。」
「……いいよ。」
彰人との話の約束を取り決めた時、奥から葉月さんが歩いてきた。
「なんの用です?」
恋「あなた達同好会用の部室の鍵です。」
「ど、どうも。」
鍵を俺に渡して、立ち去ろうとした時、かのんが葉月さんを呼び止めた。
かのん「あの!」
恋「…?」
かのん「私達、頑張るね。頑張って、この学校の力になるような成績を納められるようにする。そしたら葉月さんも──」
恋「だったら、スクールアイドル以外の活動にしてください。」
かのん「え?」
恋「スクールアイドルじゃなければ、いくらでも応援してあげられますから。」
彰人「……。」
かのん「それは出来ない。
私、ステージで歌って、スクールアイドルって本当に素敵だなって思った。もっと練習して、もっといいライブがしたい。いい歌を歌いたいって思ったの!!」
恋「……残念ですが、今のラブライブであなた達が勝てるとはとても思えません。」
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放課後、俺は彰人に言われた通りに空き教室に来ていた。
「彰人。話って、何?」
彰人は振り返って、俺にスマホの画面を見せてきた。
その画面には、昨日俺が上げた動画が映っていた。
「その画面……!!」
彰人「昨日の夜中に上げた動画、見たぜ。」
「見たぜ、ってなんの事だよ。」
彰人「とぼけんなよ。
SOULの正体はお前なんだろ?奏。」
「……いつ気づいた?」
彰人「最初に出会った時。
お前が歌を辞めた理由を俺に話した時、SOULの辞めた理由と似てるなって思った。
その後、千砂都さんにお前のことを聞いた時、昔L tubeに動画を上げてたって聞いて、まさかとは思ってた。
──けど、昨日の動画で確信した。
この動画で使ってる音源は、間違いなく俺達しか知らない音源データだった。」
……洞察力すごいな、彰人。
「……そう。俺がSOULだよ。」
彰人「……こんなこと、ねぇと思ってたよ。
まさか高校入って出来た初めてのダチが、俺の憧れてたやつだなんて、思うわけねぇって。」
「俺も、あの時彰人に言われた言葉が嬉しかったよ。
『音楽を本気でやろうって思った。いつか追いついて、追い越すために』『あんだけ上手いのに』って。
俺の音楽が、誰かの背中を押せていたなんて。」
彰人「そりゃあ事実だからな。
けど、ムカついたのは本当だからな?」
「それは、ごめん。」
彰人「……辞めた理由、前にも聞いたけどよ、その結論に至った経緯聞いてもいいか?誰にも言わねぇって約束する。」
「わかった。
……小さい頃から歌っててさ。かのんと一緒に歌うこともあったし、かのんと歌うことが好きだった。
俺の歌を聞いてくれてた、かのんや千砂都以外の周りの人達からも上手いって言って貰えた事もあったし、その言葉を貰って、頑張ろうって思って、両親に頼み込んで姉さんと一緒に動画をあげてた時だった。
──中学に上がった時、1回喉を潰した時があってさ。」
彰人「声変わりか。」
「そう。
よりいい歌を届けなくちゃ、自分の夢を……『自分の歌に秘めた想いが誰かに響きますように』。その夢を叶えないと、って思って必死になっててさ。声変わりしてすぐの時は無茶して声を何度も枯らして、姉さんからもかのん達からも心配された。
けど、俺は自分の声が変わったことから目を背けて、声変わりしたての声で出るわけもない音程を出して喉を痛めて。
何とか納得のいく歌を上げても、声変わりする前よりも再生数は下がってた。
──その時感じたんだよ。俺はもう限界なんだな、俺の歌はもう響かないんだなって、思った。
それで俺は、歌を歌う事を……夢を追うことを辞めたんだよ。」
彰人「──そういう経緯だったんだな。」
「軽蔑したよな。ファンがまだいるってのに、1人で勝手に歌を歌うことから逃げ出した俺を。」
彰人「んな事ねぇよ。」
「……え?」
彰人「俺もさ、母親に強制されて色んな楽器やらされてさ。
『お前は私の息子として恥ずかしくない優秀なミュージシャンになれ』って、しつこいくらいに言われてた。逃げ出したい、俺は俺のやりたいことをやりたい。って思ってた時に、お前の歌に出会ったんだよ。」
「そう……だったのか。」
彰人「『Y』。お前の作った歌が、俺の胸を掴んで離さなかった。
まるで今の自分を表してるみたいだ、って思ってさ。
──それを聴いて背中を押されたんだよ。
母親と大喧嘩して、俺は俺のやりたい音楽を本気でやるって決めたんだよ。」
「そっ……か。」
彰人「お前の歌に出会わなかったら、間違いなく今の俺はいない。奏の歌に出会わなかったらきっと、母親の言う通りに音楽をやり続ける人形に成り果ててた。
変わるきっかけを作ってくれてありがとう、奏。」
「そんな、大層なことしてないよ。
俺はただ自分の想いを詩にして、秘めた想いを伝えようとしていただけだよ。」
彰人「お前の想いは確かに、俺の心に届いた。だろ?だから……。
──奏。いや、SOUL!!お前に頼みたいことがある!!
俺とユニットを組んで欲しい!!」
「俺と?」
彰人「あぁ!!俺のやりたい音楽をやるきっかけをくれたお前となら!!俺も俺の音楽を──想いを伝えられると思うんだ!!それに、俺とお前なら最高の音楽を作れると思う!!
お前の夢を、叶える手伝いをさせてくれ!!」
そう言って彰人は俺に手を差し伸べる。
その答えを、俺は彰人の手を握る形で返事をした。
「あぁ!!俺と彰人で、最高の音楽を作ろう!!」
彰人「よろしく頼むぜ、『相棒』!!」
『あぁ!!よろしく!!』
そうして俺と彰人は、ユニットを組むことにした。
ユニット名は───『BAD SOUL』。俺と彰人のMCネームを組み合わせたユニット名だ。
自分の夢を再び追いかける1歩を、再び歩むことが出来る。
ありがとう、彰人。ありがとう……相棒。
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彰人とともに、俺は急いでかのん達に合流した。
「いた!!
かのん、みんな!!」
千砂都「も〜、2人ともどこ行ってたの?」
彰人「ちょっと聞きたいことがあったからな、話してたら盛り上がっちまって。」
千砂都「ふーん?
ま、いいや。早く早く!」
かのん達の後ろをついて行くと、着いたのは旧校舎の方だった。
かのん「えっと……4-B、4-B……。」
千砂都「本当にこっちなの?部活動の部室はみんな新校舎の方だけど……。」
かのん「うん、さっき地図で見たら、こっちって。
でもなんで2本付いてるんだろう……。」
可可「ありまシタ!」
彰人「……ここか。」
「『学校アイドル部』……?」
可可「理事長が付けてくれたのでしょうか…?」
「それにしては古びてる気がするけど…。」
千砂都「なんか、お化けとか居そうだね?」
かのん「ふぇっ!?!?」
可可「かのん、怖いのデスか?」
かのん「まさかァ〜?
開ける前に、ちょっとだけ……」
そう言って、鍵穴から部屋の中を見るかのんの後ろで、千砂都が怖がらせようとしてくる。
千砂都「見〜た〜な〜?」
かのん「ヒィィー!!!」
かのんは怖がって階段の方まで走っていった。
「ちょっ、千砂都!!変な事言うな!」
かのん「冗談はやめてよぉ!!」
千砂都「ごめんごめん、あまりにも怖がるから……。」
彰人「……誰かいるな。」
千砂都の後ろで、鍵穴を見ていた彰人がそうつぶやく。
千砂都「まさか!?」
鍵が……開いてる。
扉を横にスライドすると、本当に中に人がいた。
すみれ「あの〜……。」
かのん「ヒィィ〜!!」
可可「誰デスか?」
すみれ「私は……。」
話をしようとしたタイミングて千砂都が電気を付ける。
千砂都「大丈夫!足は付いてる!」
かのん「ほんと!?
──平安名さん?」
すみれ「ここ、スクールアイドル同好会の部室って聞いたんですけど…。」
彰人「そうだけど、なんか用か?」
すみれ「その……実はちょっと興味があって……。スクールアイドルに。」
かのん「興味?もしかして……」
可可「入部希望デスか!?」
すみれ「いやぁ、入部というか、とりあえず話を──」
可可「スクールアイドルは素晴らしいデス!最高デス!青春の輝きと宇宙一の活動デス!
さぁどうぞ、こことここに名前とクラスを書けば、今日からあなたもスクールアイドルデス!」
「可可さん、ちょっと待とうか……。」
可可さんを1度平安名さんから離し、それから彰人の持っていたパソコンを使ってSunny Passionのパフォーマンスを見ていた。
すみれ「うわぁ〜!!さっき見てたのよりもずっと凄い!こんな大きいステージで……!!」
可可「はい、ラブライブの決勝で立つステージデス!お客さんもいっぱい入りマス!」
すみれ「ここに立てば、もちろん有名になれるわよね!?」
可可「はいデス!去年決勝に出た、Sunny Passionさんは今──」
すみれ「っ……。98000……。ギャラクシー…っ。」
「ギャラクシー?」
すみれ「やるわ!やるわったらやってやるわ!スクールアイドル!」
かのん「いいの!?」
すみれ「えぇ!一緒にがんばりましょう?」
「これで3人、だな。」
かのん達が練習着に着替えてる間、彰人が俺に話しかけてきた。
彰人「平安名すみれさん、だっけか。
あいつ、なんかありそうだぞ。」
「たしかに。
Sunny Passionさんのフォロワー数を見てかなり目を光らせていたような……。」
彰人「それにあいつ、朝ゲーセンでスカウト待ちしてた。
多分、人気者……というかスクールアイドルを利用して何か企んでるに違いねぇ。」
「疑ってかかるのは悪いかもだけど、ちょっと目を離さないようにしておくよ。同じクラスだし、彰人よりかは見張れる時間は多いと思う。
音楽を悪用されるのは許せないし。」
彰人「わかった。よろしく。」
平安名さんを除く全員の着替えが終わり、屋上に足を踏み入れた俺達。
「おぉ〜…。」
可可「広いデス!」
千砂都「こんなところがあったなんて!」
可可「これなら、何人居ても練習できマス!」
すみれ「さぁ、何をすればいいの?」
彰人「じゃあ、まずはステップからだな。」
彰人はそう言って足のステップを披露する。
彰人「ほら、やってみろ。」
そのまま、平安名さんは彰人が見せたのと同じステップを披露していく。
可可「凄いデス!」
かのん「上手!」
千砂都「本当だ、基礎はできてるみたいだね。
じゃあこれは?」
今度は千砂都が少し複雑なステップを披露する。
すみれ「それくらいなら──」
同じように複雑なステップをやってみせる平安名さん。
「やるな…。」
彰人「これは即戦力になりそうだな。」
「かもね。」
部室に戻った俺達は、平安名さんに色々聞いていた。
可可「まさか、元々スクールアイドルを!?」
すみれ「え?そういうわけじゃないけど……。
昔、ショービジネスの世界に……。」
かのん「ショービジネス……。」
千砂都「もしかしてテレビとか!?」
すみれ「うん、何回か……。」
かのん「嘘!?」
可可「運命です、これは運命デスよ!可可達がラブライブで優勝すると言う…!!」
すみれ「まぁ確かに、ラブライブ優勝チームの動画も見たけど、これなら勝てるかもって。」
発言になんか棘を感じる。発言を聞いた彰人も同じような事を感じ取った顔をして俺に目線を合わせていた。
かのん「本当に!?私なんて、こんなの絶対無理って思ったのに…。」
すみれ「それで、センターなのだけれど……。」
センター?急な話だな。
かのん「センター?」
すみれ「えぇ。グループなのだから、センターがいるわけでしょ?」
「確かに、この前まで2人だったし、あまり考えてなかったけど……3人になったから、決める必要がありそうだね。」
すみれ「まぁ色々考え方はあるとは思うのだけれど──」
可可「かのんがいいデス。」
「同感。」
すみれ「やっぱり1番ダンスや歌が上手い人が担当するのが──
へ?」
可可「かのんがいいデス。」
千砂都「そうだね、私もかのんちゃんでいいと思う。」
彰人「俺もかのんさんがいいと思う。」
かのん「えぇっ…!?」
「やっぱりかのんしかいないよ。
このグループを最初に作ったのはかのんだし。」
すみれ「ちょっと待ったー!!」
そう言って、平安名さんは立ち上がって俺たちの方へ身体を倒した。
すみれ「そ、そういうので決めていいのかな…?」
彰人「……と、言うと?」
すみれ「先とか後とか関係ないでしょ?勝つためには実力がある人が中心に立つ。それが当然なんじゃない?」
かのん「だよねぇ…。」
可可「デスが、センターというのはそれだけではありまセン!
カリスマ性のような、見えない力も必要デス!」
すみれ「……確かにそうかもしれませんが、そんなものどうやって測るのです?」
「じゃあ、こうしようか。」
俺が提案した測り方──それは、選挙だ。
千砂都「只今スクールアイドル同好会ではセンターを誰にするか、選挙を行なってまーす!
この子が我が校のスクールアイドルに相応しいと思う人に投票を!」
かのん「恥ずかしいよ…!」
可可「スクールアイドルがそれではいけまセンよ!」
すみれ「ふふっ。大丈夫、オーディションやスカウトとは違う。この2人に勝てばいい。そのくらいなら──」
結果は、かのんが34票、可可さんが2票、平安名さんが0票。っていう結果だった。
千砂都「やっぱりかのんちゃんだ〜!」
可可「可可もそう思ったのデス!」
「どうせ、部長も一緒にやったら?」
かのん「えぇ!?ちょっと待って!そんななし崩し的に……」
すみれ「納得できないわ。」
3人「「「???」」」
彰人「……。」
すみれ「納得できないったらできないの!
どうして!?歌だってダンスだって私、全然負けてないでしょ!?」
彰人「それも全部、アピールタイムで皆に見てもらっての結果だ。」
可可「おそらく、オーラとか華とか、かのんの方が可可やあなたよりセンターぽいのデスよ。」
すみれ「うぐっ……!!」
可可さんの一言がかなり平安名さんに効いたようで、ショックを受けていた。
すみれ「辞める。」
彰人「はぁ!?」
すみれ「ふん!センターになれないんだったら、こんなとこいる意味ないもの。」
かのん「え!?ちょ、すみれちゃん!!」
平安名さんが勢いよく扉を閉めたことで、かのんが頭をぶつけた。
かのん「うぁっ!!痛った!?」
かのんはすぐに扉を開けて追いかけるも、階段にはもう平安名さんの姿はなかった。
彰人「ほっとけよ。そんな低い志の奴なんて。」
外の音を聞くと、雨と雷が鳴っていた。
「今日はこの調子だと練習は無理だね。」
可可「帰りまショウ。」
かのん「ちぃちゃん、彰人くん……いつも長い時間付き合わせちゃってごめんね。」
千砂都「2人のために力になりたいの!気にしないで!」
彰人「それに、教えるのも楽しいしな。」
千砂都「じゃあ、今日はこれで!」
彰人「んじゃ、俺も帰るわ。
またな、皆。」
2人が帰った後、俺たち3人はセンターについての話をしていた。
「え?」
かのん「だって、センター任せるって言えば、すみれちゃん辞めないんだよ?だったら任せようよ。」
可可「それはどうでショウか…。センターはスクールアイドルの憧れ……誇りを持つべきデスよ。」
かのん「でも…。すみれちゃん、どうしてそこまで拘るのかな。」
可可さんと別れて、俺とかのん2人だけになった。
横断歩道の先を見ると、平安名さんが竹下通りの方へ歩いていく姿を見た俺達は、こっそり後を付いていくことにした。
かのん「何してるんだろ……。」
竹下通りを彷徨う平安名さん。
通行人「あの…!」
すみれ「はい!」
通行人「駅はどっちでしょう?」
すみれ「ん!!」
原宿駅の方を指さした後、通行人の人にこう言った。
すみれ「スカウトじゃないなら声かけないで!」
あ〜もう無茶苦茶だよ。
かのん「スカウト?」
ふと、屋上に行く直前の彰人の言っていたことを思い出す。
彰人『あいつ、朝ゲーセンでスカウト待ちしてた。
多分、人気者……というかスクールアイドルを利用して何か企んでるに違いねぇ。』
──そういうことか!!
考え事をしている間に平安名さんはどんどん道を進んでいく。
立ち止まったところは……
「神社…?」
すみれ「はぁ……。」
ふと平安名さんが携帯を取りだすと、ヘンテコな歌が流れてくる。
グソクムシ……?
かのん「可愛い!これがショービジネス?」
あっ、ちょ、かのん!?!?
すみれ「……見〜た〜な〜!!!」
平安名さんが怒り出した!?
かのん「いぃやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
平安名さんがかのんを連れて神社の中を進んでいった!?
こっそり後をつけていたのだが……
「くっそ、こんな時に限って見失うなんて……!!!」
方向音痴が災いして、平安名さんを見失ってしまう。
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第三者視点──
かのん「……ここは…?
えっ、ちょっと、なんなの!?えっ、えぇぇぇ!?!?」
かのんは足元を見ると、魔法陣のようなものがあった。
すみれ「おはよう。」
かのん「す、すみれ……ちゃん?」
すみれ「あなたは見てはいけないものを見てしまったの。
だから……忘れてもらうわ。」
すみれは巫女服の姿でかのんの前に姿を現す。
かのん「その格好、まさかすみれちゃんって神社の──」
すみれ「大丈夫、じっとしていたらすぐに終わるわ。
……えぇっと、ここまで準備したら、対象の頭を忘れさせたいことを念じながら100回叩きます。」
かのん「今学んでる!?」
すみれ「その後、清めの水2Lをかけ、全身を縛り付け──」
かのん「待って!?」
すみれ「静かにッ!」
かのん「な、何が起きたの?私記憶なくって…へへっ、へへへっ。」
すみれ「……?
グッソクムシ〜グッソクムシ〜グッソクソクソク〜グソクムシ〜」
かのん「……!!
ごめんなさい、割と記憶があります。」
すみれ「でしょうね。
大丈夫、すぐに楽にしてあげる。」
かのん「待って待って待って!誰にも言わないから!」
すみれ「ここまで付けてきた癖に、信用出来るわけないでしょ!?」
かのん「付けてきた訳じゃないよ……ただ気になって…。
どうしてセンターにこだわるのか?って。」
すみれ「っ……。」
すみれが言葉を渋っていた時──
奏「かのん!!!」
閉じ込められていた場所の扉を、奏が勢いよく開けて現れた。
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少し戻って──
奏視点──
「平安名さん、かのんを連れていったいどこに……!!」
『グッソクムシ〜グッソクムシ〜グッソクソクソク〜グソクムシ〜』
「この声、平安名さんか!!!」
声の聞こえる方向は……右か、左か?どっちだ!?
「雨の音で聞こえにくいっ……!!」
よく耳を澄ませろ……。
聞こえる方向は───
「──こっちか!!!」
俺のいる場所から左に聞こえる!!
待ってろ、かのん!!!
俺は雨の中、先程まで聞こえていた歌を頼りに走って歌の出処まで辿り着いた。
「かのん!!!」
かのん「奏くん!!」
すみれ「……出雲奏…。」
「大丈夫か!?」
俺はかのんの身体に巻きついた縄を解いた。
「平安名さん、かのんに何をするつもりだったんだ?」
俺は怒りを込めながら平安名さんを睨む。
すみれ「別に。ただ記憶を消そうとしただけよ。」
「……とりあえず外に出よう。話はそこからだ。」
一旦自分の怒りを抑え、俺はかのんと平安名さんを連れて外へ出た。
かのんが閉じ込められていた部屋の前で、俺とかのんは平安名さんが帰ってくるのを待っていた。
かのん「こんな所に閉じ込められていたとは……。」
平安名さんが水が入ったペットボトルを持って戻ってきた。
すみれ「はい。」
かのん「ありがとう。」
すみれ「……見た通りよ。」
かのん「え?」
すみれ「私ね、小さい頃からずっと、色んなオーディション受けてたの。主役に憧れて。子役の頃から一生懸命頑張って。
……でも、どんなに頑張ってもいつも最後はどうでもいい脇役。」
「それで、スクールアイドルのセンターに…。」
すみれ「まぁね。
アマチュアだし、何とかなるんじゃないかって思ったけど、やっぱり無理みたい。」
かのん「それはまだ、分からないと思うけど…。」
すみれ「いいえ。今回のことでわかった。
私はさ、そういう星のもとに生まれているの。」
平安名さんはそう言って、立ち上がって傘を差した。
すみれ「どんなに頑張っても真ん中で輝くことは出来ない。
他の3人にも伝えておいて。悪かったわね、って。」
次の日、俺達は可可さん達に平安名さんのことを共有していた。
千砂都「『スクールアイドルなら、何とかなるかも』…。」
可可「なんデスとぉっ〜!!」
かのん「可可ちゃん?」
可可「それはスクールアイドルに対する、侮辱デス!!冒涜デス!!」
「まぁまぁ、平安名さんも悪かったって言ってるし……。」
可可「真剣なのかと思ってたのに、騙されまシタ!可可が厳罰に処しマス!」
千砂都「厳罰って……。」
可可「まず背中に氷の刑からはじまり、10分間のくすぐりの刑に……」
彰人「刑がショボイな……。」
ん?平安名さん?
すみれ「……。」
可可「待つデス!
昼休みに屋上に来やがれ、デス!」
すみれ「……聞いてないの?私はもうスクールアイドルは……」
可可「いいから来やがれ、デス!!」
そう言って、可可さんは教室の中へ入っていく……。
「どうするの?」
かのん「うーん……。」
昼休み、曇り空の中可可さんは屋上で仁王立ちしていた。
可可「おっそいデス!!」
すみれ「話って何?」
可可「あなたはスクールアイドルを侮辱しまシタ!!全スクールアイドルに変わって、可可が罰を与えます!!」
すみれ「はぁ?だから悪かったって言ってるでしょ?」
可可「スクールアイドルがどれだけ真剣にステージに挑んでいると思っているのデスか!!それをスクールアイドルならなんとかなるなどと……!!」
平安名さんは、無言でステップをし始める。
千砂都「いた!」
かのん「すみれちゃん……!」
あのフリ、Tiny Starsの……!!
可可「可可があれだけ練習したダンスを……。」
すみれ「ショービジネスの世界を甘く見ないで。これくらいはできるの。
……ただ、それでも私にスポットは当たらない。こんなアマチュアな世界でもね。」
可可「……アマチュアではないデス!!」
突然雨が降り出す──
すみれ「また……。
──どいて。」
平安名さんは、そそくさと屋上から姿を消す。
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彰人視点──
俺が音楽科の廊下を歩いていた時、スクールアイドル同好会の話をしているのを耳にした。
生徒A「スクールアイドルでしょ?」
生徒B「そうそう、屋上で練習してるらしいよ?」
生徒A「へぇ〜。」
恋「……。」
近くで立ち止まった葉月さんが、歩き出したのを見て俺は後ろから追いかけた。
恋「どうして屋上を解放したのですか!?」
理事長「場所がなかったからです。」
恋「ですが…!!」
理事長「努力しようとする者からその場を奪うことのが良い事だとは思いません。そう言うと思いませんか?あなたのお母さんも。」
恋「……!!」
俺は黙って、誰にも気づかれないように理事長室を後にした。
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奏視点──
「結局止まない、か。」
千砂都「どうするの?すみれちゃん。」
かのん「気持ちはわかるんだよね、私も歌えなかった時思ってたもん。そういう運命なんだ、って。続けても、無駄だって。」
「……たしかに。似たようなことは俺も思ってた。
今にして思えば、俺のはただ諦めてただけだった。」
千砂都「でもそうじゃ無かったんでしょ?」
かのん「うん。」
千砂都「じゃあ伝えないといけないんじゃない?」
かのん「…っ。」
すみれ『どんなに頑張っても、真ん中で輝くことは出来ない。』
俺の脳裏に、平安名さんの言葉が過ぎる。
千砂都「今1番すみれちゃんを理解してあげられるのは──」
俺とかのんは、再び竹下通りを訪れる。
すみれ「雨だと流石に人も少ないわね……。」
TV『続いては特別賞を受賞したクーカーの歌です!』
〜♪『Tiny Stars』
すみれ「やっぱり私じゃ──」
かのん「みーちゃった。」
すみれ「っ!?」
「それ、Tiny Starsのダンスだろ?」
かのん「ここにいると思ったんだ。」
すみれ「しつこいわよ。」
かのん「実は話があって。」
すみれ「……。」
かのん「平安名すみれさん、私、こういう者です!」
そう言って、自作の名刺を渡すかのん。
すみれ「はぁ…?」
かのん「すみれさん、あなたをスカウトに来ました!
私達は、スクールアイドルを続けるために結果を出さなくてはいけません。ショービジネスの世界での、あなたの知識と技術で、協力して欲しいんです!」
俺達は、平安名さんと話すかのんの後ろに並び立った。
すみれ「だから言ったでしょ、私は──」
かのん「センターが欲しかったら、奪いに来てよ!」
すみれ「えっ?」
かのん「すみれちゃんを見て、私思った。センターやって見ようって。
だから奪いに来てよ!競いあえば、グループもきっと良くなると思うから!」
すみれ「バカにしないで!見たでしょ?これでもショービジネスの世界にいたのよ!?アマチュアの駆け出しに負けるわけない!」
「じゃあ、試してみなよ。」
すみれ「……いくら出すのよ。」
かのん「えっ?」
すみれ「いくら出すったら出すのよ!スカウトって言うなら当然契約金は必要よ!?」
可可「なんでそんなコトを!」
かのん「あるよ!」
そう言ってかのんは、ポケットから神社のお守りを取り出した平安名さんに渡した。
すみれ「うちの神社の……。」
かのん「これでどう?」
すみれ「……これ、全然効かないわよ?」
かのん「そう?」
すみれ「だって……。」
平安名さんが後ろのカバンを見ると、同じものが付けられていた。
可可「わぁ、同じデスね!」
彰人「でも、まだわかんねぇだろ?」
「諦めない限り、夢が待ってるのはまだずっと先かもしれないんだから。」
それから──
蝉の声が鳴り、満点の青空の中、俺達は屋上で練習を開始しようとしていた。
可可「晴れまシタ〜!!」
かのん「夏だ〜!!」
千砂都「やっほーい!!」
彰人「はしゃぎすぎだろ……。」
「ま、たまにはいいんじゃない?」
屋上の入口に、すみれさんが来た。
すみれ「さぁ!始めるわよ!」
可可「わぁ〜!!」
かのん「すみれちゃん!」
すみれ「今日から私が教えてあげる!本物のショービジネスの世界を!!
ギャラクシー!!」
……To be continued
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