Jump to the Super star!!   作:黒破リンク

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スクールアイドル同好会として、新たに活動し始めたかのん達。
奏は前に進み、彰人と共に2人でユニットとして活動し始めようとしていた。

そんな中、千砂都は──


第5話

彰人視点──

 

俺は千砂都と共に練習をしていた時だった。

 

教師「嵐さん、高松さん、ちょっといい?」

 

音楽科の先生に呼び出された俺達は、話を聞いていたら──

 

千砂都「大会?」

 

教師「そう。夏休みに行なわれる都大会に、本校から2名選手を出して欲しいという話が来ているの。

うちとしては、嵐さんと高松さんがいいんじゃないかって。」

 

「今月か……。」

 

教師「どう?」

 

千砂都「……少し、考えさせてください。」

 

「俺も、少し考えます。」

 

話が終わり、俺と千砂都さんはかのんさん達に合流して屋上に来たのだが──

 

すみれ「何、この熱気は……。」

 

可可「やっと試験が終わって今日から練習だと言うノに。」

 

かのん「猛暑日だね……。」

 

千砂都「水分はこまめに摂って、屋外の運動は控えましょう。って。」

 

奏「ま、さすがにそうだよ。こんな暑い外で練習なんて無茶だよ。」

 

可可「何言ってるんデスか!!もうすぐラブライブのエントリーも始まるのですよ!?」

 

すみれ「ラブライブ?」

 

「お前、知らなかったのかよ……。」

 

すみれ「知るわけないでしょ?そんなアマチュアの大会のことなんか。」

 

可可「アマチュアではありまセン!スクールアイドルにとって、ラブライブは国民的行事!今年は史上最多の出場数が確実視されている最大の大会なのデスよ!?」

 

すみれ「ふん!私から見たらアマチュアはアマチュア。こっちはショービジネスの世界で生きてきたのだから!」

 

可可「グソクムシがデスか?」

 

すみれ「か〜の〜ん〜!!?」

 

かのん「いや、どうしても教えて欲しいって、可可ちゃんが……。」

 

千砂都「でも、すみれちゃんがこんなすぐに溶け込むとはね。」

 

かのん「可可ちゃんも大好きみたいだしね!」

 

可可「どこがデスか!!可可はそもそもこんな不真面目な人が入るのには反対なのデス!」

 

すみれ「不真面目じゃなく、現実的に練習は無理だって言ってるの!」

 

可可「そんなことありまセ〜ン!!

うぅ……。」

 

奏「大丈夫ー?」

 

可可「はいデス!立ってみれば全〜然平気デスよー!!

むしろ風がある分、ここにいる方が……涼しい……クラ〜……。」

 

「あっ。」

 

可可「クラ〜……。」

 

かのん「可可ちゃんっ!!!」

 

倒れた可可さんを救出し、部室で冷えピタを額に貼り付けてうちわで仰いでいた。

 

可可「死ぬかと思いまシタ……。」

 

「だからやめろって言ったのに……」

 

かのん「やっぱり無理だよね…。」

 

すみれ「ここも冷房は効いてないし、どこかないの?涼しい場所。」

 

奏「うーん、音楽科のレッスン室なら──」

 

可可「ホントですか!?」

 

「でも使わせてはくれないだろうね。かのんさん達は。」

 

可可「デスよね〜…。」

 

すみれ「音楽科の千砂都と彰人が言えば、何とかなるんじゃないの?

いつも使ってるんでしょ?」

 

可可「ナイスアイディア。」

 

かのん「辞めとこう。もしそれで許可が出ても、他の普通科の子に悪いよ。

なんか、こっちがお願いして使わせて貰ってるみたいなのって、良くない気がする。同じ学校なのに。」

 

奏「でも、そういう学校でしょ。

音楽科は特別、みたいな。」

 

「まぁ、そこだけは気に食わねぇな。

奏達が不公平になるのは納得いかねぇ。」

 

すみれ「はい、5分経ったわよ。」

 

可可さんを仰ぐ係決めるべく、ジャンケンを始める俺たち。

 

全員「「「「「せーのっ!!最初はグー!じゃんけんぽん!!」」」」」

 

ま、見事にすみれさんの1人負け。

 

すみれ「ウギャラクシー〜!!」

 

可可「はい〜。

敗者はとっとと仰ぐのデス。」

 

それから、部室を出た俺達は、かのんさんの実家に行くことになった。

 

「涼しっ。」

 

すみれ「まったり〜。」

 

可可「やっぱりクーラーがあると違いマスね。」

 

かのん「と言っても、ここで練習する訳にはいかないでしょ?」

 

奏「かのんの部屋を片付ければ出来んじゃないの?」

 

かのん「お父さん、仕事してるからな〜…。」

 

可可「可可のお家も騒音は厳禁と書いてありまシタし……。

くぅ〜!!」

 

「そうだ、すみれの家は神社だろ?木陰とかあるんじゃないの?」

 

すみれ「まぁ……。でも、そんなに広くはないわよ?」

 

かのん「大丈夫、この3人が練習出来ればいいんだから!」

 

可可「そうデス、例え迫っ苦しい猫の額ほどの広さデあっても!」

 

すみれ「言い方。」

 

ふと、扉の開く音がして、その方向を見た時……

 

かのん「いらっしゃいませ──うわぁぁ!?」

 

摩央「こんにちは。」

 

悠奈「ぱぁ〜っ!やっぱりここにいた!」

 

奏「Sunny Passion……!?」

 

「本物かよ…!?」

 

可可「你快点掐一下可可的脸啊!(早く可可の頬をつねってください!)」

 

すみれ「はぁ?」

 

可可「可可のほっぺをつねってくださいって言ってるデスー!!」

 

すみれ「はぁい。」

 

そう言って可可さんのほっぺをつねるすみれ。

 

可可「痛くナイ…」

 

「そりゃ、かき氷食ってるからな。感覚無くなってるだけだろ…。」

 

悠奈「一応、はじめましてって言った方がいいかな?

Sunny Passionの悠奈と──」

 

摩央「摩央です。」

 

可可「はじめまして!私は唐可可と言いマス!あなたたちに憧れてスクールアイドルを始めるために上海から来まシタ!

以前からお二人のパフォーマンスには感激していて、常には哎呀

(うわぁ)……アイヤー!!可可変な人だと思われてマスー!!これはマズイ……!!かき氷食べてクールダウンして……くぅ〜!!」

 

すみれ「だから落ち着けって。」

 

可可「はい…。」

 

Sunny Passionの2人から、ある依頼を頼まれる。

 

「ライブ?」

 

悠奈「そうなんだ!毎年夏休みに私たちの故郷の島でライブを開催していて!」

 

摩央「今年のゲストに、是非かのんさん達をお招きしたいと。」

 

可可「お二人のライブに……!!」

 

かのん「いいんですか!?」

 

悠奈「そんなに畏まらないでよ!

ラブライブと違って、順位を決めたりするライブじゃないから!」

 

摩央「とは言っても、島を盛り上げるという目的はありますけどね。」

 

千砂都「どうするの?」

 

かのん「それは──!!」

 

すみれ「うん。」

 

可可「うん!」

 

かのん「ちぃちゃんも、いいよね!」

 

千砂都「えっ!?うん…。」

 

奏「俺達も出るか?」

 

「……まぁ、奏が出るってんなら考える。」

 

かのん「出たいです!出演させてください!」

 

悠奈「良かった〜!!ほら〜、言ったでしょ?やっぱり直談判が1番だって!」

 

摩央「それは、こんなところまで押しかけてきたら誰も断れませんよ。

……本当にいいの?」

 

かのん「はい!ぜひ!私達今歌える場所があったらどんどん歌いたいと思ってるところなので!」

 

悠奈「根っからのスクールアイドルって感じだねっ!そういう顔してるっ!」

 

かのん「そ、そうですか…?!」

 

サニパのお2人の連絡先を貰い、2人が外に出る。

 

悠奈「じゃ、細かいことはまた連絡するから!」

 

可可「うぅ〜!!寂しいデス〜!!」

 

悠奈「練習の時間だからねっ。」

 

摩央「日課なの。そうだ、良かったら一緒にどう?」

 

かのん「え!?」

 

悠奈「そうだね!ここら辺で練習出来る場所、あったら教えて欲しいし!」

 

可可「ありマス!

──すぐに案内するのデス、あなたの神社に。」

 

すみれ「……わかったわよ。」

 

そんなこんなで、すみれの神社に来て、サニパの練習風景を見た俺たち。

……可可さんが終始オタクになってたけど。

 

かのん「凄い……!!」

 

すみれ「スクールアイドルってこんなにレベル高いの……!?」

 

千砂都「東京代表だからね。」

 

可可「幸せすぎマス、もう思い残すことはありマセン!」

 

奏「よく持ってきたね、それ…。」

 

摩央「いつもは、どんな練習をしてるの?」

 

「どんなって……大したことやってないですけど……。基本は俺と千砂都さんでコーチして…って感じでやってます。」

 

摩央「メニューは?

始めたばかりなのに、あんなパフォーマンス出来るなんてすごい。」

 

悠奈「どんな練習してるんだろうって、摩央と話してたんだ!」

 

麻央「あ、もちろん秘密ならそれでも構いませんよ。」

 

「いえ、秘密とかは……そんなことないんですけど…。」

 

そう言って、俺はスマホの画面を見せる。

 

悠奈「これ、考えたのは?」

 

千砂都「私…です。」

 

摩央「よく考えられているわ。

あなたはスクールアイドルではないの?」

 

千砂都「はい、私はお手伝いで……。」

 

奏「千砂都は小さい頃からダンスをやっていて、学校でも音楽科でダンスを専門的に勉強してます。」

 

悠奈「そうなんだ……それで…!!」

 

摩央「なるほどね?」

 

悠奈「さぁ、じゃあランニングしよっか!」

 

かのん「え?」

 

すみれ「まだ太陽出てますけど……。」

 

悠奈「このくらいなら全然平気でしょ?さぁ、行こう!」

 

「流石南の島出身……。」

 

すみれ「行くの?」

 

可可「当たり前デス!お2人が誘ってくれたのデスよ!行くデス〜!!」

 

すみれ「仕方ないかぁ…。」

 

奏「て言うか、あれ持ったまんま走るの?」

 

「さぁ。」

 

かのん「あ、ちぃちゃんはここで待ってて?」

 

千砂都「うん。」

 

奏「彰人?」

 

「ん?あぁ〜悪ぃ。俺もちょっとこっち残るわ。」

 

奏「……?わかった。」

 

そのままかのんさん達が走って行くのを見ながら、俺は千砂都さんと2人で待っていた。

日が暮れて、サニパの2人との練習が終わった。

 

かのん「今日は本当にありがとうございました!」

 

悠奈「ううん。お礼を言うのは私の方っ。」

 

摩央「ライブ、よろしくね。」

 

かのん「はい!」

 

可可「この命に変えてもやり遂げマス〜!!」

 

奏「いいから、可可さんは水飲んで。」

 

悠奈「じゃあ、待ってるね〜!」

 

そう言って、2人は帰っていく。

 

千砂都「あ、私も用事があるから。」

 

「俺も。先帰りたかったら帰っていいよ。」

 

かのん「えっ?うん。」

 

千砂都さんがサニパの方へ行ったのと同じように、俺もサニパさんの方へと走った。

 

千砂都「あの!」

 

摩央「どうしたの?」

 

千砂都「お2人に、お聞きしたいことがあって。」

 

サニパの2人を呼び止めて、近くのベンチで話をすることにした。

 

悠奈「ラブライブに勝てるか?」

 

「どう思います?」

 

摩央「わざわざ呼び止めて、そんなこと聞いてくるってことは、私たちが何を思っていたか、気になったってことね。」

 

千砂都「はい。」

 

悠奈「どうする?」

 

摩央「言ってあげた方がいいんじゃない?」

 

摩央さんに、伝えるかどうか聞かれた悠奈さんが話し始める。

 

悠奈「……歌もいいし、チームとして纏まってもいる。でも、勝つのは難しいかもね。

どこか自分達で動いてる感じがしないんだ。特にダンスはね。」

 

「自分…達で。」

 

摩央「実は、それを確かめに来たとこもあるの。なぜあんなに上手なのに、力強さを感じないだろうって。」

 

悠奈「君達がコーチをしていると聞いて、理由がわかったよ。」

 

摩央「今はダンスに関して、皆あなた達を信頼して、あなた達に頼っている。

でもそれでは、いつまでも自分達で行く、力強さを感じない。」

 

悠奈「千砂都ちゃん()がもしメンバーだったら、グループとして脅威だったけどね!」

 

話を終えて、サニパの2人を駅まで見送った俺と千砂都さん。

 

千砂都「……。」

 

「千砂都さん。」

 

千砂都「私、決めた。大会に出る。」

 

「奇遇だな。俺も出る。

奏には連絡しとく。」

 

次の日、俺達はライブに行かないことを報告した。

 

全員「え、ライブに行かない?!」

 

千砂都「うん。それだけじゃなくて、夏休みは別行動を取ろうと思うんだ。かのんちゃん達と。」

 

「俺らがいなくても、奏達ならできる。」

 

その日の夜、俺は奏と話をしていた。

 

奏「それで、大会に出るためにかのん達と行動を別にするって決めたのか。」

 

「まぁな。

それに、本気でぶつかれる相手が近くにいるんだ、逃す訳には行かねぇ。」

 

奏「それって、千砂都のことか?」

 

「あぁ。生半可な気持ちで勝てるほどダンスの世界は甘くねぇ。

千砂都さんが相手だろうが、他の学校のやつらだろうが、俺は全力でぶっ倒しにいく。それだけだ。」

 

奏「……彰人らしいな。」

 

俺の表情と無意識の体の動きを見た奏が、すぐに察知したみたいだった。

 

奏「……彰人、なんか隠してることあるだろ。」

 

「えっ?」

 

奏「お前程じゃないけど、俺も察するのは得意な方だぞ?

……もしかして、千砂都の事か?」

 

気づかれちまうか。

 

「……あぁ。

あんな本気で一緒に練習出来る奴なんて、あの人が初めてだった。本気のダンスで、お互い高め合える奴なんてほとんど居なかった。

……それに、笑顔が俺には眩しく見えた。」

 

奏「そっか。

……ちょっと妬けるなぁ。」

 

「はぁ!?」

 

奏「あっはは、冗談だよ。

信頼出来るお前になら、千砂都を預けられる。」

 

そう言って奏は俺の胸にグータッチをしてきた。

 

奏「頑張れよ、相棒。」

 

「お前の口から、相棒って言葉が出るなんてな。

……任せとけ。いい報告を待ってな。」

 

っていうか……

 

すみれ「あとは任せなさい!私がみっちり、ショービジネスの世界のダンスを、叩き込んでおくわ!」

 

「グソクムシのダンスはいらねぇからな?」

 

すみれ「ちょっと!グソクムシ言うなー!!」

 

やっべ。すみれ怒らせちまった。

 

奏「それで……その格好は?」

 

すみれ「ショービジネスに生きる者のバカンスは、やっぱりこうじゃないと。」

 

可可「そもそもバカンスではありまセン。」

 

「浮かれすぎんなよ、グソクムシ。」

 

すみれ「あーきーとー?」

 

「へっ、誰がお前のお怒りなんかに怖気付くかよっ!」

 

すみれに追っかけ回されながら俺は煽る。

 

奏「そろそろ落ち着け〜2人とも。」

 

千砂都「あっ、そろそろ時間だよ!」

 

かのん「よーし!じゃあ可可ちゃんもすみれちゃんも、集まって〜!」

 

可可「はいデス!」

 

すみれ「何よ?」

 

あ〜、あれね。

 

千砂都/すみれ/奏「「「うぃっす!」」」

 

かのん/可可/俺「「「うぃっす!」」」

 

全員「「「「「「うぃっす〜!!」」」」」」

 

4人はそのまま船に乗り込んで行った。

俺と千砂都さんで、それを見送りつつ、話をしていた。

 

千砂都「ねぇ、彰人くん。」

 

「何?」

 

千砂都「そろそろ……呼び捨てで呼んで欲しいな〜って。

友達なのに、なんか距離が遠い感じがしててさ?」

 

「……なるほどね。

わかったよ、千砂都。」

 

千砂都「あ!

それと、大会は負けないからね!」

 

「こっちも負けるつもりねぇよ。

やるには本気で、な?」

 

千砂都「うん!」

 

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奏視点──

 

船に乗った俺達。

乗ったのはいいんだけど──

 

「やべぇ、船酔いしそう。」

 

すみれ「えぇ!?

ていうか可可、あんた何かある度に倒れているわね。」

 

可可「うるさいデス…。」

 

かのん「はい、お水。奏くんも。」

 

「ごめん、かのん。」

 

可可「すみまセン…。」

 

かのん「そんなに揺れてないのにね……。」

 

可可「お2人にまた会えると思うと興奮して、昨日は眠れなかったデス……。

デスが、もう大丈夫デス!予定通りステージ上での練習を──なぜ床が揺れるのデスか……。揺れなければ可可は……可可はぁ……。」

 

かのん「寝ちゃった。」

 

すみれ「めんどくさいんだから。」

 

「……流石に、揺れてる中でパソコン見るのはマズったなぁ。」

 

と、少し後悔しながら、俺は横になっていた。

朝日が登り始めていた時間に目が覚めた俺は、デッキまで向かっていた。

 

「かのん。」

 

かのん「奏くん?どうしたの?」

 

「……気持ち悪さが抜けたら、今度は寝れなくなってな…。ちょっと話そうと思って。」

 

俺は船から見える景色を見ながら、かのんと思い出話をすることにした。

 

「あのさ、覚えてるか?俺とかのんが出会った時。」

 

かのん「うん。覚えてるよ。

私がブランコ漕ぎながら歌ってた時にすーっと混ざってきたよね。」

 

「ギター教えたのも、俺だったよな。」

 

かのん「うん。奏くん、またギターやらない?」

 

「カンが鈍らないようにちょいちょい弾いてたし、曲作るのにギター使ってたし……またやろうかな。歌もまたやり始めたし。」

 

かのん「そうなの?」

 

「そうだよ。2人が歌うTiny Starsを聴いてさ、また歌をやろうって決めた。あの日の夜にTiny Stars歌って、L tubeにアップしたよ。

彰人とは2人でユニットやろうぜって話になったし。なんなら曲も作ってある。」

 

かのん「また、奏くんの歌が聴けるんだね。」

 

「あぁ。

サニパさんからお誘い受けたし、彰人とのユニットのデビューはあのステージかなって思ってたんだけどな。」

 

かのん「彰人くんも、大会だもんね。」

 

「あいつの決めたことに口出すつもりは無いし、応援してる。

千砂都には負けないって、言ってた。」

 

かのん「そっか…。ちぃちゃんもね、彰人くんに勝つんだ、って息巻いてたよ。」

 

「千砂都らしいな。

──ねぇ、かのん。」

 

かのん「どうしたの?」

 

「ライブ終わった後、話したいことがあるんだ。」

 

かのん「えっ?うん…いいよ?」

 

「ありがとう。」

 

かのん「奏くん、もう眠れない?」

 

「──船にいる間は、多分もう寝れないな。

ギターあるけど、可可さん達も寝てるし弾くわけにもいかないし。」

 

かのん「一緒に歌う?」

 

「アカペラでいいなら。」

 

かのん「うん。一緒に歌お!」

 

俺たちは、可可さん達が起きないように配慮しながら、一緒に『Tiny Stars』を歌った。

それから、俺はかのんが作詞をするための精神統一?をしているのを眺めていた時、すみれさんが階段を上ってきていた。

 

すみれ「何やってんの?

わかった、ヨガ!じゃ、なかったらバレエのポーズ?いや、能力開眼?」

 

かのん「話しかけないで。」

 

すみれ「はぁ…?」

 

かのん「作詞……思いつかないんだよね…。

いつもこうしてると閃くんだけど…。」

 

すみれ「そうなの?」

 

「曲も振り付けも出来てるし、今回は俺達や千砂都の事を書こうとしてるんだとさ。」

 

すみれ「早くしなさいよ?覚えなきゃいけないんだから。」

 

かのん「だよね……。

──可可ちゃんは?」

 

すみれ「爆睡してるわ。起きたら元気になってるでしょ。」

 

俺は船の音を聞き、呟いた。

 

「この先の島も東京なんて、信じられないなぁ…。」

 

かのん「そして、そこでもスクールアイドルを頑張っている人達がいる。すごいな、スクールアイドルって。」

 

それからしばらくして、無事に船が神津島に到着した。

港ではサニパのお2人が出迎えてくれた。

 

悠奈「ようこそ!私達の島へ〜!」

 

可可「わぁ〜〜!!!」

 

かのん「ありがとうございます!!」

 

可可「Sunny Passionのお2人に出迎えていただけるなんて、なんという幸せ!

これ、ささやかなものですが!」

 

可可さんはサニパのお2人に差し入れを差し出した。

いつの間に買ってたんだ……。

 

悠奈「パァ〜!」

 

摩央「もう…。気は使わないで?」

 

すみれ「あんた意外とそういう所細かいわよね。」

 

「まぁ、それも可可さんの良さですよ。」

 

サニパのお2人に案内してもらい、俺達は宿に荷物を置いた。

 

摩央「ここに来たら、みんな羽根を伸ばして、楽しんでもらいたいの。」

 

悠奈「それが私たちの願いでもあるんだ!

だ〜か〜ら〜?」

 

全員「「「「な、なんでしょう……。」」」」

 

悠奈「思いっきり弾けちゃお〜!!」

 

そう言って俺達は羽根を伸ばすことにした。

と言っても俺は摩央さんと一緒にはしゃぐ悠奈さん達を後ろから眺めていた。

 

悠奈「パァ〜!!」

 

いつの間にか水着に着替えてた悠奈さんが川に飛び込んだ。

す、すっごい度胸……。

 

悠奈「気持ちいいよ〜!」

 

かのん「こ、これ…行くの……?」

 

ってあれ?摩央さん?

 

摩央「……。」

 

いつの間に川の中に…!?

いや、まぁ俺も着替えてここに来てはいるんだけど…流石にちょっとビビるなぁ。

 

可可「わ、わわわわわ…!!」

 

すみれ「ちょっとあんた、先行きなさいよ…!」

 

可可「どうして可可なのデスか!」

 

ちっちゃい子が低めのとこから川に飛び込むのを見て、かのんがそっちに逃げようとする。

 

かのん「いいなぁ〜、私もあっちにしよ〜っと──」

 

「センターは誰かな?か・の・ん?」

 

かのん「私、かな?」

 

「なら、お手本を見せてもらわないとねぇ〜?」

 

かのん「私、高い所嫌い〜!!」

 

悠奈「いいから行く行くー!」

 

かのん「わぁ〜〜!!」

 

「ちょ、悠奈さん!?!?」

 

悠奈さんに押されて、俺達は台の先に行ってしまい──

 

かのん「助けてぇ…!」

 

「おわぁ!!!」

 

すみれ/可可「「かのん!奏(さん)!!

わぁぁ〜っ!?」」

 

俺達はそのまま川の中に飛び込んだ……

 

「……ぷはぁっ!?

し、死ぬかと思った……。」

摩央「飛び込みと言うより、落下ね。」

 

川から出て、しっかり体を拭いた俺達はアイスを食べることに。

なんだろう、フルーツ全部盛りみたいな不思議な味がする……。

 

可可「ん〜!!美味しい!マンゴーみたいデス!」

 

すみれ「いいや、パイナップル味ね。」

 

かのん「違うよ、バナナだよ!」

 

悠奈「あはははっ。これは島の特産品で、パッションフルーツのアイスだよ!」

 

可可「なんト!Sunny Passionはアイスまであるのデスか!」

 

すみれ「なわけないでしょ。」

 

アイスを食べた俺たちは、今度は展望台で海を眺めていた。

 

3人「「「わぁぁ〜!!」」」

 

「おぉ……いい景色…。」

 

可可「風が気持ちイイ…!」

 

すみれ「そうね〜。」

 

突然強めの風が吹き、すみれさんの帽子が飛んでいった。

あれはもう取れないね……。

 

すみれ「ギャラクシーー!!」

 

可可「そんな大きな帽子被ってくるからデス。」

 

すみれ「うぅ…。」

 

そんで、無理かもしれないと思いつつも帽子を探すことに。

 

かのん「すみれちゃーーん!」

 

すみれ「ギャラクシー……。」

 

戻ると、いつの間にかすみれさんはあの帽子を被っていた。

 

「見つかったんだね……。」

 

一通り遊んで、かのん達は温泉に入っていた。

俺が一緒に入るのは流石にマズイと思い、お断りしたのだが、サニパのお2人に頼まれてかのん達の近くで荷物番をしていた。

──まぁ、見ないようにしつつ。

 

かのん「わぁ〜、綺麗…。」

 

すみれ「こんなに星があるなんて…!」

 

麻央「この島は、天体観測にも向いているのよ。」

 

可可「空が輝いてマス…。」

 

すみれ「もう眠いの?お子様ね。」

 

可可「うるさいデス。」

 

悠奈「明日からはライブまでみっちり練習だからね?

早く寝といたほうがいいよ?」

 

かのん「はい!

……ちぃちゃんにも、見せてあげたかったなぁ…。」

 

可可「……。」

 

かのん達が出て、交代で俺は身体を洗ってから温泉に入った。

 

「あったかっ……!」

 

夜風が寒かったのもあって、お湯がとても暖かく感じた。

 

「みんな言ってたけど、星が綺麗だな…。

──このまま歌詞が思いつきそうだな。」

 

夜空の星つなぎ……星から星へ…。

歌詞が浮かんできてる……気がする。

 

「ここからの景色もいいなぁ。

彰人、頑張ってるかな。」

 

温泉から見える景色を見ながら、彰人のことを考えていた。

あいつは今ダンスを頑張ってる。

彰人に負けないくらいダンスも練習しないとだし、俺達が歌う機会が来るまでの間に曲も作っておかないとな。

 

「そろそろ上がるか。」

 

俺は温泉から上がって着替えを済ませてかのん達と合流した。

 

悠奈「ベッド、2つしかなくてごめんね?

お詫びに、宿泊代はタダでいいから!」

 

かのん「そんな…!」

 

悠奈「いいのいいの。その代わり、最っ高のステージにして!」

 

かのん「頑張ります!」

 

可可「命に代えまシテも!」

 

すみれ「いちいち命に代えないの。

──ふぅ、私こっちひーとり。」

 

ベッド占拠は勘弁して欲しいなぁ……。

俺床で寝ることになっちゃうよ。

 

「なっ……ちょ、すみれさん!!」

 

可可「ずるいデス!可可左に壁がないと眠れないのデス!」

 

すみれ「そんなの知らないわよ。」

 

可可「じゃんけんデス!」

 

すみれ「嫌よ。……だって負けるから。

おみくじで決めましょ?」

 

「なんでおみくじ持ってるんですか……。」

 

可可「そんなインチキに乗るとでも思ってるのデスか!!」

 

すみれ「インチキ言うな!!」

 

可可「じゃあ何で決めるのデスか!」

 

すみれ「仕方ないわね……。

──じゃあ、指相撲とか?」

 

可可「ふっ……。

言いまシタね?」

 

すみれ「何よ…。」

 

可可「この可可、お母さんに教えられ、指相撲は得意中の得意。」

 

すみれ「また適当な事ばっかり。」

 

可可「適当かどうか、試してみるといいデス。」

 

すみれ「……っ。」

 

こうして、すみれさんと可可さんの指相撲が始まった。

 

可可「いきマスよ…!!

レディーーー、──」

 

すみれ「ふぅっ……!」

 

すみれさんが可可さんに息を吹きかけて──

 

すみれ「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10!ギャラクシー!!」

 

可可「ずるいデス!!ずるいデス!」

 

すみれ「バカね、これがショービジネスの世界。

油断した方が負けなの。」

 

かのん「早く寝るよー。」

 

「んじゃ、俺は床で寝ますかね。」

 

かのん「奏くんはこっち。」

 

床で寝ようとした時、起き上がったかのんに腕を引っ張られる形でかのんの隣に寝転がった。

 

「ちょ、かのん!?」

 

可可「えぇ……そっち2人……。」

 

こうして俺たち4人はベッドで寝ていた。

──のだが、寝れない。あまりに寝れなすぎて俺はパソコンとヘッドホンを手に宿の外へ出ようとした時、可可さんの寝言が聴こえた。

 

可可「うぅ…壁……壁……。うぅ……か、壁…。

──かのん?奏さん?」

 

俺はかのんを追いかけて外へ出た。

 

「か〜のん。」

 

かのん「奏くん!?

もしかして起こしちゃった?」

 

「いや、そうじゃなくて……普段と環境が違うからかどうも眠れなくてさ。

気分転換に外の空気吸いに行こうと思ったらかのんが外出てたから追いかけてきた。」

 

かのん「そうなんだ……そのパソコンとヘッドホンも気分転換用に?」

 

「まぁね。昨日温泉入ってた時に歌詞浮かんできたし。」

 

かのん「そっか……。」

 

かのんはそう口にして歌詞を考えようと精神統一をしているのを横目に、俺はその後ろでパソコンで曲作りをしていた。

 

可可「何しているのデスか?」

 

ふと見ると、可可さんが俺たちの元に来ていた。

 

可可「わかりまシタ!ストレッチ、もしくは地球を感じていまシタ、的な?」

 

かのん「話しかけないで…!」

 

歌詞が思いつかなかったのか、その場に倒れ込むかのん。

 

かのん「やっぱり思いつかないなぁ……。」

 

可可「何がデスか?」

 

かのん「可可ちゃん、ちぃちゃんと彰人君ってなんなんだろう。」

 

可可「それは……。」

 

かのん「なんて書けばいいんだろう……。

一緒にやっているわけでもないし……。コーチでもないし……。」

 

「かのんが思う2人を思い浮かべてみたら?」

 

かのん「それも……なんか違う気がして…。」

 

可可「かのん。」

 

かのん「ん?」

 

可可「千砂都さんを、やっぱりスクールアイドルに誘いまセンか。」

 

かのん「可可ちゃん……。」

 

可可「もし、千砂都さんが居てくれたら、このグループはもっともっと良くなると思いマス。」

 

かのん「だよね…。私、可可ちゃんのためにも、スクールアイドルで結果出したい。そのためにも、ちぃちゃんにもメンバーになって貰えたらって……。」

 

可可「なんでダメ?」

 

俺はパソコンを一旦閉じて、かのんの隣に座って千砂都の言葉を思い出した。

 

「千砂都はさ、まだ小さかった頃はかのんや俺の前ではっきり言ったんだよ。

『私、かのんちゃんと奏君が出来ないことを出来るようになる!2人の歌みたいに、大好きで…夢中になれるもの、私も持てるように頑張る!』って言って…始めたのがダンスなんだ。」

 

可可「そうだったのデスか…。」

 

かのん「……私ね、そんなちぃちゃんが居てくれたから、歌、諦めずに頑張ってこられたと思ってるんだ。

それを…上手く歌にしたいんだけど……よっ。」

 

「いい歌詞、出来るといいな。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

結ヶ丘高等学校音楽科レッスン室──

 

千砂都は鏡の前で髪を結ぶ。

 

千砂都「……よし。」

 

別の部屋で、彰人も鏡の前で頭にバンドを巻いた。

 

彰人「……やるか。」

 

そうして2人は別の部屋で図らずとも同じタイミングで音楽を流す。

 

 

──そんな2人の鞄に、『退学届』が入っていることは、誰も知らない。

 

……To be continued




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