Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
──2人の鞄にある書類がある事は、誰も知らない。
数年前───
『うぅ……あぅっ…。』
女子1『ねぇ、ここは私達の場所なの!』
女子2『勝手に使わないでくれる?』
『ごめんなさいっ、知らなくてっ…。』
女子3『近くに住んでるんでしょ?なんで知らないの?』
『初めてこの公園に来て、だからっ……』
女子1『ふぅん……まぁいいわ。でもあんたが持ってたこれ、罰として貰っておくから。』
『それはダメ!ダメッ!!』
女子1『あんたが私達の邪魔したんでしょ!?』
女子2『そうよ!』
女子3『あぁ!泣いたー!』
『泣いてないっ……!!』
リボンを取り返そうと奮闘する私を助けるように、声が聴こえた。
奏『おいお前ら!!ちぃに何やってんだぁぁぁぁッ!!』
奏君は飛び蹴りをして私の前に立ち塞がった。
『かのんちゃん……奏君…!!』
少し遅れてかのんちゃんも私の前に立ち塞がる。
かのん『ちぃちゃんをイジメちゃダメ!!』
女子1『なんなのあんたら!』
奏『いいからちぃの大事な物、今すぐ返せよっ!!』
女子1『……いらない!!』
そう言って私から取り上げたリボンを奏君に押付けて3人揃って走ってどこかへ去っていった。
それから、かのんちゃんはブランコに座る私にリボンをつけ直してくれた。
かのん『よし。』
『ありがとう…。でも、仕返しされるかも…。』
奏『大丈夫。なんかあったら喧嘩してでもちぃの事守ってあげる!
困ったらかのんと僕を呼んでよ!』
かのん『うん!』
『奏君…かのんちゃん……。』
私はこの時思った。このままじゃ嫌だって。いつか、2人を助けられるようになりたい。
──いつか必ず。
レッスン室──
「よし。」
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神津島──
宿に戻って再び眠りについた俺達。
目が覚めて着替えが終わった時だった。
可可「うぅ〜ん…くすぐったいデスぅ〜…。」
可可さんが寝言を言ったかと思ったら、急におみくじを振るいだした。
すみれ「痛っ!なんなのよもう!」
すみれさんが飛び起きた…。
可可さん、寝相悪いのかな。
摩央「おはよう。」
悠奈「2人は仲良しだねぇ。」
すみれ「ふぇっ?ち、違っ──!」
摩央「支度を済ませて、15分後に表に集合。」
すみれ「えっ!?」
かのん「おはようございまーす!!」
「おはようございます、摩央さん、悠奈さん。」
すみれ「起きてたの!?」
悠奈「今日からライブに向けて、練習だぞ〜?」
それから15分。
俺達は準備を済ませて宿の外を出て、悠奈さんから練習メニューの書かれた紙を貰う。
悠奈「はい、これが今日のメニュー。」
すみれ「嘘っ!?」
かのん「ジョギング…10km……。」
「流石トップスクールアイドル……練習メニューもハードだ……。」
可可「御二方と共に出来るなら、余裕デス!」
すみれ「1番体力無い奴がよく言う。
──私、遅れていくわ。」
「え?」
すみれ「この髪、セットするのに30分はかかるの。」
かのん「そんなの後で治しなよ…。」
すみれ「バカね、例え練習であっても身だしなみは命!それがショービジネスの世界に生きる者の定め。」
「お2人が俺たちのために考えてくれたメニューをサボるなんて許さないですからね?」
すみれ「サボるとは言ってないでしょ!?」
「その言い草だとそう聞こえますけど?」
すみれ「奏…言わせておけばねぇ……!!」
可可「とにかく!練習にしっかり参加して、体力とスタミナを──」
なんだかんだ練習メニューであるジョギング10kmを終えて──
「結構キッツ……!!」
運動は結構やってるつもりだったけど、まさかジョギング10kmがこんなにしんどいものだったとは……。
可可「尽きまシタ……。」
可可さんはやっぱりクタクタになってた。
かのん「大丈夫…?」
すみれ「なんか、ずっとあんたの看病してる気がするんだけれど。」
摩央「ごめんなさいね…?」
悠奈「昨日遊んだから、まだ体力が戻ってなかったのかも…。」
すみれ「この子、元々体力0だったんで、想定内です。」
「でも、スクールアイドルやり始めた時よりかは…体力は付いてるますけどね…。」
悠奈「どうする?宿に戻ってる?」
悠奈さんにどうするかを問われるのだが、俺達の結論は1つ。
「いえ、それは可可さんが悲しむと思うので。」
宿に戻らず練習メニューを続け、悠奈さんと摩央さんのパフォーマンスを見た俺達。
可可「わぁ〜!!最高デス〜!!」
「可可さん、すっかり元気になってる…。」
かのん「良かった〜…。」
悠奈「君達のライブも、楽しみにしてるよ!」
俺達の……ライブ。
かのん達は3人揃ってライブができる。
俺は……彰人が居なくてもライブはできるけど、それじゃあきっと、会場は盛り上がらない…よな。
摩央「さ、次はステージよ。」
摩央さん達に案内されて、本番のステージの前に俺達は立っていた。
すみれ「立派ね…。」
悠奈「学校の皆と作ってるんだ!」
かのん「学校のみんなと…。」
摩央「本番までには、もっと綺麗なステージになっているはずよ。」
悠奈「島って、住んでる人の数が限られてるから、スクールアイドルの私達が中心になって、学校のみんなと一緒に、島を盛り上げていこうって!」
「島のため……。」
悠奈「誰かのためって思うと、不思議と力が湧くんだよね〜!」
摩央「大変なことも、全部楽しく思えてくるの。」
すみれ「──何?」
かのん「えっ?……ううん。私たちも、頑張らないとね!」
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音楽科レッスン室──
千砂都「はぁっ……はぁっ…!!」
「はぁっ…はぁっ…!!」
教師「また身体が流れてる。」
千砂都「はい!」
教師「10分休憩。
今の所から、もう一度始めるわよ。」
千砂都「はい。」
担当の教師がレッスン室を出て、入れ替わるようにレッスン室に恋が現れる。
恋「嵐さん。」
千砂都「あっ。」
恋「練習?」
千砂都「うん。
……大会、近いから。」
恋「そう…。
──澁谷さん達は、一緒ではないのですね。」
千砂都「うん。かのんちゃん達はイベントがあって、今こっちにはいないんだ。
彰人君なら隣の部屋にいると思うよ。」
恋「いいんですか、それで。」
千砂都「え?」
恋「スクールアイドルに、ずっと関わっていくようなことを、仰っていたので……。」
千砂都「心配してくれてるだ?」
恋「そういう訳ではありませんが──」
千砂都「大丈夫、喧嘩した訳じゃないよ。」
そう言って千砂都は手に持っていた飲み物を椅子に置き、鞄を触った時──
千砂都「あっ。」
千砂都の鞄の中から退学届の紙が落ちる。
恋「退──!?」
千砂都は急いでそれを回収して鞄を閉めた。
千砂都「──見た?」
恋「いえ…何をですか?」
千砂都「……なんでもない。」
恋「……。」
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彰人視点──
「ふぅ……。」
俺は練習に1度一区切りを入れて休憩をとった。
汗を拭きながら撮影した動画を見ていた。
「身体の動かし方が考えていた振りとちょっと違ぇな。」
自分の動きを客観的に見ながら動画より良いダンスを考えていた時だった。
「──奏?」
ふと携帯に奏からの電話が届く。
奏『やぁ、彰人。』
「奏、急にどうしたんだよ。」
奏『いや、調子はどうかなって思ってさ。』
「ま、ぼちぼちかな。
自分の納得いくダンスができてないと思って納得のいくような身体の動かし方を考えてたところだ。」
奏『ストイックだね。』
「やるからには何事も本気で取り組む、が俺のモットーだしな。」
奏『彰人のそういう姿勢、俺は尊敬してるよ。』
「おいおい、急に照れるようなこと言うなっての。
憧れてるやつにそんな事言われたらどうすりゃいいんだよ。」
奏『事実だよ。俺も好きなことに妥協はしないって決めてるけど、何事にも、ってなるとそうもいかなくてさ。』
「まぁ、個人の善し悪しあるしなぁ。
それで、お前の方はどうなんだ?」
奏『こっちは悠奈さんと摩央さんが作った練習メニューをこなした所。彰人と千砂都が作ったメニューよりもキツイけど、何とか食らいついてるよ。』
「サニパの2人が作った練習メニューか…。ちょっと気になるな。」
奏「あはは…。彰人ならついていけそうな気がするよ……。」
「どうかな…。トップスクールアイドルの練習メニューだろ?
多分だけど俺もしんどいと思う。」
奏「そうだ、俺たち2人で歌う曲の歌割り、送ったから後で確認しといてくれ。」
「俺たち2人で……って、まさか神津島で歌うつもりか!?」
奏「彰人がもし来れたらの話だけどね。」
「時間的に行けなくはないだろうけど……どうだかな。」
俺は電話をスピーカーに切り替えて、送られたデータを見る。
「──『STARTING OVER』……!?」
奏「この曲、1人でコーラスもやったりするには無理な曲だしね。
それに、今の彰人に新しい曲を歌って覚えろなんて言えないしな。」
「俺がお前と一緒にこの曲歌っていいのか…!?」
奏「当たり前だ、俺たちはユニットだろ?
『やれんだろ?行こうぜ!』」
「あぁ!!俺の歌うべきパート、きっちり覚えて、最高のパフォーマンスができるように準備しとくぜ!!」
奏「あぁ!楽しみにしてるよ!
──大会頑張れよ、彰人!!」
「あぁ!!」
俺は奏との電話が切れたのを確認して、鞄の中の退学届を見る。
「大会終えたら、あいつらに伝えなきゃな。」
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奏視点──
彰人との電話を終えて、俺は近くの公園のベンチに座っていた時、かのんは俺が持ってきていたアコースティックギターを手に現れる。
かのん「奏くん、また一緒に歌お?
今度は奏くんのギターで!」
「うん、一緒に歌おう。」
握りしめて、俺は試しに音を鳴らす。
「──よし。いけるよ。」
かのん「うん!」
俺はギターを鳴らして『流星雨』を歌う。
「夕闇に染まる 冬空から
長い夜を待つ 星座の果て
凍える指先で 夜空なぞり 一人星を数えた──」
俺は自分のパートを歌い、かのんのパートに耳を澄ませていた。
かのん「止められない 時のProgress〜♪」
「今日は明日へ 続いていくから〜♪」
「「そう 越えて 越えて行くしかない、と
幾千と 幾万と 星は流れ 夜空は描く」」
「流星雨──」
かのん「降り注いで──」
「僕らの胸を──」
「「照らし続けてる Shining Shining 手を伸ばしてみる──」」
俺はかのんと息を合わせて、流星雨の歌詞を紡いでいく。
「「眠れなくてずっと唄っていた 世界中の小声探してる いつかはこの歌が届くかな? 遠く空見あげる君に──」」
俺はそのままギターを鳴らす。
「幾千の──」
かのん「幾万の──」
「星は流れ──」
かのん「光脈を描いて──」
「光脈を描く──」
「「流星雨──僕らの胸を焦がし続けてる Shining Shining」」
「手を伸ばし続ける──」
「〜〜♪♪」
かのん「どんな夜も──」
「煌めいている──」
かのん「はるか遠く──」
「霞む未来を──」
「「そう 越えて 越えていくしかないんだ」」
歌い終えると、いつの間にか島の住民の人達が数人集まっていて、拍手が響く。
かのん「いつの間に人がこんなに……。」
「歌とギターに集中しすぎて気づかなかったや…。」
かのん「でも、楽しかったね!」
「だな。」
俺はかのんを連れて、1度ギターを宿にいたすみれさんに託して港の辺りに移動して2人だけで話をすることにした。
「歌詞、出来そうか?」
かのん「うーん……もう少しな感じするんだけどなぁ…。
ちょっとここで瞑想してていい?」
「いいよ。
危険がないか、俺は見張っておくよ。」
かのんが歌詞を練る間に、俺はパソコンを開いて昨日温泉の中で浮かんだ歌詞にメロディーを打ち込んでいた。
「ここのメロディーラインは……違うな…。こうか?」
悠奈「何やってるの?」
「「うわぁぁぁ!?」」
悠奈さんに突然話しかけられて俺もかのんも驚いてしまう。
悠奈「驚かせちゃった?」
かのん「すみません、気づかなくて…。
ちょっと作詞を……。」
悠奈「へぇ〜…君が作詞をやってるんだ。」
かのん「可可ちゃんと一緒に作ることもあるんですけど、今回は私が…。」
「自分は曲作り中です。自分の新作として上げる予定の奴ですけれど…。」
かのんと悠奈さんは2人してヨガの動きをし始める。
かのん「さっきの話で、イメージが湧いて……。」
悠奈「さっき?そんないい話したっけ?」
かのん「『島のために頑張ると、すごく力が湧く』って。」
悠奈「あ〜…。」
かのん「想像していたんです。自分達がもしそうだったら、どんな気持ちなんだろうなって。」
悠奈「君達は、学校のためにやってる訳じゃないの?」
「……学校には活動に反対してる人もいまして、なかなか…。
その人、スクールアイドルじゃなければ応援してくれるって言ってるんですけどね。」
悠奈「まぁ、なにかのためじゃないからと言って、スクールアイドルを続けちゃいけない訳じゃないしっ。
歌うのが好きだからって子も沢山いるよ!」
かのん「はい!今はそう思うようにしています。ちぃちゃんもそうだと思いますし。」
悠奈「あぁ、この前のダンスの!」
「そうです。もうすぐ大会があって、ダンスで結果出したいって意気込んでましたよ。
俺の相棒……彰人も今頑張ってますし。」
悠奈「それでこっち来なかったんだ…。」
「千砂都は…小さい頃からダンスが好きで、練習続けてますし、彰人は…自分のやりたい音楽をやりたい。その一心で歌もダンスも…DJもやってるんです。」
悠奈「本当に好きなだけなのかな。」
かのん「え?」
悠奈「よく分からないけど、それだけで別行動取ろうなんて言うのかなって。」
かのん「……!!」
それから、俺達は悠奈さんと共に宿に戻ると、大量の中華料理があって。
「美味っ。」
夕飯としてそれをみんなで食べることにした。
かのん「これ、全部2人で作ったの!?」
摩央「すごいわ。」
すみれ「でも、美味しく感じるのは、島の食材が良いからだと思います。──ね?」
可可「えっ!?イヤ、その……。」
すみれ「この中華は、可可の故郷の料理なんですよ?ね?」
可可さん……なんか隠してる?
可可「……可可は作ってないデス…。」
すみれ「いいから、話合わせておきなさい。
笑顔で堂々としているのも、ショービジネスの世界では必要なことなんだから。」
可可「それは嘘つきデス!!」
すみれ「2人でキッチンに立ったのは本当でしょ!?」
可可「やはりムカつきマス。」
すみれ「何よ、あんたの代わりに私が料理してあげたんでしょ?」
可可「誰も頼んでまセン!」
2人の痴話喧嘩を見た摩央さんが呟いた。
麻央「仲良しね。」
かのん/奏「「すみません…。」」
悠奈「早く食べよ!今日は満月なんだ!」
夕飯を食べ終えて、俺達は海辺で月を眺めていた。
かのん「大きな月……!」
麻央「綺麗ね…。」
「千砂都と彰人にも、送ってあげよう。
──ん?」
かのんと俺の携帯が一緒に鳴った。
俺の方の画面を見ると千砂都と彰人から来ていた。
千砂都【大きな月。そっちから見たらもっと綺麗かも。】
と、月の絵文字と一緒にメッセージが来て──
彰人【満月、すげぇ綺麗に撮れた。そっちから撮ったらもっと綺麗に撮れるかもな。】
って、俺がやろうとしていたことをやられた……。
「ふっ…。」
かのん「ふふっ。」
可可「どうしたのデスか?」
かのん「ううん。なんでもない。」
「気にしないでいいよ。」
ふと電話したくなって、またあいつに電話をかけた。
「もしもし。
俺の送った歌割り、読んでくれた?」
彰人『あぁ。ちゃんと目を通した。歌う時が来るのが楽しみだよ。』
「かのん、歌詞出来たんだってさ。
『色んな人の力になりたい、みんなのために歌いたい』って思ってるんだってさ。」
彰人『──惚気か?』
「なっ!?違うって!?」
彰人『冗談だよ。』
「そっちは、練習終わった頃か?」
彰人『あぁ。いま帰り道だよ。』
「結果、楽しみにしてるよ。」
彰人『……おう。』
「……。」
彰人『……。』
彰人/奏「『あのさ。』」
「あ、ごめん。先いいよ。」
彰人『いいや、奏が先話せよ。』
「いや、大したことじゃないんだけどさ。
俺、人と歌うのっていいなって思ってさ。」
彰人『おう?』
「昼くらいに電話した後でさ。俺弾き語りライブしたんだよ。かのんと一緒に。
終わって見たら、人が沢山見ててくれててさ。それで思い出したんだよ。誰かと歌うことの楽しさに。」
彰人『そっか。良かったな。』
「彰人の方は?」
彰人『俺も大したことじゃねぇよ。
只々、こんなにダンスをやんのが楽しいって思ったのが久しぶりなだけだ。
やるからには、千砂都も……全員薙ぎ倒して優勝してやる。』
「頑張れよ。」
彰人『おう!』
そうして俺は電話を切った。
摩央「どうだった?」
「……摩央さん、お願いがあります。」
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彰人視点──
「ふぅ。」
俺はひとしきりダンスの動きを確認して会場に向かうか考えながらレッスン室を出た時だった。
「ん?葉月さん?」
何故か千砂都のいるレッスン室から葉月さんが出てきて──すぐ扉を開けた?
恋「あの!」
千砂都「ん?」
恋「……いえ…。」
「何してんだ?」
恋「ひぃ!?」
それから俺は、葉月さんと共に千砂都の話を聞いていた。
千砂都「そっか、見ちゃったのか。」
恋「信じてください!決してわざとでは……!
ただ、偶然というか…その…。」
千砂都「大会で優勝できなかったら、ここを辞めるつもり。決めたんだ。」
「千砂都……。」
千砂都「海外で修行するのも、悪くないな〜って。」
「……俺もさ、大会優勝出来なかったらここを辞める。
やりたいことを広げすぎたんだな、ってダンスはキッパリ諦めるつもり。」
恋「お2人とも…どうして?」
千砂都「かのんちゃんと奏の力になれないから。」
「他のできるものをやりたいから…かな。」
恋「え?」
千砂都「それなら、ここでダンスを続けてたって意味無いもん。」
「俺の憧れのやつに…1歩でも近づきたい。」
恋「すみません、わたくしには意味が…。」
千砂都「私ね、小さい頃よくいじめられてたんだ。
昔の私は……気が弱くて、体力もなくて。いつも何かに怯えてた。
……助けてくれたのが、かのんちゃんと奏だった。」
かのん『あっちで一緒に遊ぼうよ!』
千砂都『私は……。』
奏『なんかあったら僕が守ってやる!』
かのん『行こうよ!私達が一緒にいるから!ね?』
千砂都「かのんちゃんは、色んなことを教えてくれた。
前に進む大切さだったり、新しいことを見つける楽しさだったり。
奏は、気弱な私のためにって、沢山笑わせてくれたり、私やかのんちゃんを守ってくれた。
……だからいつか、2人の横に立てる人になりたくて。」
恋「それがダンスとどういう関係が…?
……まさか!」
千砂都「うん。始めたのはね、かのんちゃんがきっかけ。
かのんちゃんの力になるには今の自分じゃダメだ、って。かのんちゃんと、奏君の出来ないことを1人でできるようにならなきゃ、って。」
「ひとりで?」
千砂都「そう。
結果を出して、自分に自信を持てるようになりたい。それまでは、2人と一緒に何かをやるのはやめようって。」
「それで、スクールアイドルをやらなかったのか。」
千砂都「うん。自分で決めたことだからね。ダンスで結果を出して、2人の力になれるって、自分で思えるまでは……。だから、今日が勝負の時。
……そろそろ行くね。」
「……俺も行ってくる。」
移動する千砂都を俺は追いかけて共に会場へ向かおうとした時。
恋「ダンスで、結果が出たら、どうするのですか?」
千砂都「そんなの決まってるよ!」
「俺も決めてるよ。」
共に会場へ向かう道中、俺は千砂都に自分の過去について話すことにした。
「なぁ、千砂都。俺の昔のこと、聞いてくれるか?」
千砂都「うん。」
「……俺さ、母親に強制されて色んな楽器やらされて、『お前は私の息子として恥ずかしくない優秀なミュージシャンになれ』って、しつこいくらいに言われてた。何日も何日も、辛いレッスンをやらされて。失敗する度に母親に叱られて。
逃げ出したい、俺は俺のやりたい音楽をやりたい。って思ってた時に……奏の歌に出会ったんだよ。」
千砂都「奏の…って、歌ってみた動画に?」
「あぁ。
あいつの歌っていた歌の歌詞がさ、俺の心に刺さったんだよ。
──奏の歌を聴いて、背中を押された気がした。それと一緒に、あいつに憧れた。
『こんなにいい歌詞に秘められたメッセージを、こんなにもしっかりと表現してる。俺もこんな音楽を作ってみたい。』って。」
千砂都「それで歌をやり始めたの?」
「あぁ。
母親に反発して、自分のやりたい音楽をやり始めて。歌も、ダンスもやりたくてやり始めた。歌とダンスをやり始めてしばらくして、DJをやり始めた。
俺も奏みたいに誰かの背中を押せるような奴になりたいって思って。」
千砂都「そっかっ。」
「今じゃあどれも楽しいし、どれも辞めたくねぇ。
けど、結果が出ないならどれか諦めるしかない。」
千砂都「……夢を諦めちゃダメだよ。
奏だって、きっとそう言うと思う。」
「そうだよな。あいつの隣に立つんなら、1度結果が出なかったからって諦めたらダメだよな。
……ありがとう、気づかせてくれて。」
千砂都「どういたしまして!」
「千砂都、決勝で会おうぜ。
正々堂々、本気で。」
千砂都「うん!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
奏視点──
次の日、俺は摩央さんに頼み込んで本州に戻った。
かのんはかのんで悠奈さんに頼み込んでたらしく、俺と一緒に本州に戻った。
──彰人から連絡が来てた。
彰人【大会、頑張ってくる。】
【気づかなくてごめん。】
俺はかのんと共に大会の会場で千砂都と彰人の元に向かった。
千砂都「かのんちゃん、奏!」
彰人「お前、なんで……!?」
「彰人が大会前にどんな顔してるか気になってね。緊張してるんでしょ?
いつも通りの彰人でいけば大丈夫だよ。」
彰人「……バカ、こんなとこまでわざわざ来んなっての…!」
「泣いてるの?」
彰人「泣いてねぇ…!!ただ、自信を持って、お前の隣で歌おうって、決意したとこだ…!!」
「なら、心配ないね。」
俺は彰人の肩を叩く。
「お前が泣いてどうするんだよ。
千砂都に泣き顔見られたくないだろ?」
彰人「なっ、バカ…!泣いてねぇっての!」
俺は彰人の隣でかのんと千砂都の話を聞いていた。
かのん「なんか……電話で話してる時、変だなって思って。
なんか……ちぃちゃんすごい不安なんじゃないかって。勘違いかもしれないけど…。
あ、私が伝えたかったのは一つだけ。私、いつもちぃちゃんの事尊敬してる。真面目に頑張って、少しダメでも、めげたり落ち込んだりしないし、だから──」
千砂都「やっぱりダメだな…。」
かのん「え?」
千砂都「1人で頑張らなきゃいけないのに、自分で自分に自信持てるまで、かのんちゃんが居ないところで1人でやろうと思ったのに。」
かのん「ちぃちゃん…。」
千砂都「かのんちゃんが来てくれた時、やっぱりホッとしちゃった…。
かのんちゃんは悪くないよ!もちろん奏も!悪いのは弱い私!かのんちゃんと奏に頼らないって……今日ここで、2人の出来ないことを出来る自分になるんだ、って!」
「千砂都……。」
千砂都「……こう見えて私、負けず嫌いなんだ。」
かのん「だったら私も思ってた。ちぃちゃんに助けて貰ってばっかりだって。」
千砂都「え?」
かのん「歌えなかった時、失敗した時。いつもちぃちゃんが助けてくれた!」
千砂都「それは…かのんちゃんが居たから…。」
「歌を辞めた時、千砂都が背中を押してくれた。俺も千砂都に助けられたんだよ?」
かのん「じゃあ一緒だね!」
「3人とも頑張ってきた。それぞれがそれぞれを見て、大切に思って。
あの時、俺達本当に感激したんだよ?」
千砂都『私、2人ができないことを出来るようになる!
2人の歌みたいに、大好きで夢中になれるもの!私も持てるように、頑張る!』
かのん「なんてかっこいいんだろうって、私もちぃちゃんの事、見習わなきゃって。真似出来ないくらい、歌えるようにならなきゃって。」
「俺はそれが足枷になってた事もあった。
けど、今はもう平気。千砂都や彰人……みんなのおかげで、あの頃の何倍も歌える。
ありがとう、千砂都。」
かのん「あの言葉があったから、私、今こうして歌っていられる。」
そう言ってかのんはピースサインを作る。
千砂都「……!」
「ほら、彰人もやろう?」
彰人「……おう。」
かのん/奏「「うぃっす!」」
千砂都/彰人「「うぃっす!」」
全員「「「「うぃ〜っす!」」」」
彰人「待ってろよ、相棒。」
千砂都「待っててね。」
その言葉に、俺達はこう返した。
「いってらっしゃい、彰人。」
かのん「いってらっしゃい、ちぃちゃん。」
そんなダンスの大会の結果はと言うと──
千砂都は優勝、彰人は準優勝という形で結果を残した。
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彰人視点──
ダンスの大会の結果は、俺が準優勝。
千砂都が優勝して幕を閉じた。
俺は奏達と共に島に向かって、ライブに出ることにした。
悠奈「ありがと〜!!
ここで、本日の〜ゲスト!」
摩央「今私達が、1番注目している……」
Sunny Passion「「結ヶ丘スクールアイドル!!そして、そのマネージャーユニットの、BAD SOUL!!
まずはBAD SOULの2人から!!最っ高に盛り上げてね!!」」
「行こうぜ、相棒!!」
奏「あぁ!!」
俺達はステージに立って──
奏「さぁ行こうぜ!限界なんて言葉 振りほどいて今 その先へ」
「Stand up!走れ!」
2人「「何度でも Starting over!!」」
奏と俺の……初めてのライブ!!
こんなに楽しいことはねぇ!!
2人「「さぁ行こうぜ!運命なんて言葉」」
「塗り替えて今その先へ 『まだやれる』そう信じて Stand up!」
奏「運命 未来を全て さぁ 撃ち抜こう」
2人「「君となら引ける トリガーは Starting over」」
『Only you can do it! Do it! Go for it!さぁ do it! Do it now!』
2人「「さぁ行こうぜ!」」
この熱気を、千砂都達に届ける!!
2人「「Only you can do it! Do it! Go for it!さぁ do it! Do it now!」」
奏「ありがとうございました!!」
「俺達、BAD SOULでした!!
次は本命、結ヶ丘スクールアイドル同好会の皆だ!!」
俺達は千砂都達にバトンタッチをするためにステージ横に下がる。
かのん「大丈夫?」
千砂都「うん。
……私ね、ずっと夢見ていた気がする。こういう日が来ることを!」
かのん「うん!」
奏「行ってこい、皆。」
「お前らの歌、ぶちかましてこい!」
すみれ「えぇ!」
可可「さぁ、行きマスよ!」
3人「「「うん!!」」」
ステージの幕が開き──
千砂都「いつもそばにいた」
かのん「キミのまなざしが」
2人「「諦めない勇気をくれた」」
4人のパフォーマンスは、間違いなく最高だった。
4人「「「「キミは常夏☆サンシャイン このときめきにカンパーイ! 」」」」
可可「めぐりあえた奇跡」
すみれ「神様にKiss」
4人「「「「大好きさ いっぱい ありがと込めてハイタッチ! 」」」」
かのん「キミがくれる気持ち」
千砂都「熱く深く」
4人「「「「感じてフォーリン・ライブ!」」」」
悠奈「パァ〜!」
麻央「これが6人の力…!!」
俺達と、スクールアイドル同好会のライブは、大成功だった!!
奏「最高だね、ステージライブ!」
「あぁ!!最高だった!!またやろうぜ!!」
奏「もちろんだよ、彰人!!」
ステージ上の4人が、笑顔で抱き合う姿と、外から聞こえる歓声を聞いて、俺達は2人して同じ感想を呟いていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
奏視点──
大成だったライブを終えて、俺はかのんに呼び止められた。
かのん「奏くん!」
「かのん?」
かのん「伝えたい事があって……///」
そう言って、かのんは俺に抱きついてきた。
それに驚きながらも、かのんが倒れないように支える。
「伝えたい…こと?」
かのん「……私、奏くんの事が好き!!///
男の子として……私は奏くんの事が好き!!///」
「……!?」
かのん「奏くんは……?///」
「俺も……かのんのことが好きだよ。ずっと伝えなきゃって、思って伝えられてなかった。
……ごめん。」
かのん「ううん。
私達、気持ちは一緒だね///」
「……俺からも言わせて欲しい。
澁谷かのんさん、俺とお付き合いしてください。」
そう言って俺は抱きついているかのんの頭に触れる。
かのん「はい!///」
俺達は幼馴染から……恋人になった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一方その頃──
彰人視点──
「千砂都っ!」
俺はライブを終えた千砂都を呼び止めた。
千砂都「彰人君?」
「伝えたいことがあるんだ。聞いてくれるか?」
千砂都「え?うん……何?」
「その……俺、千砂都の事が好きだ。
初めて会ったあの日からずっと、練習を共にこなして……大会でお互いの本気をぶつけ合って。改めて感じたんだ。
……俺、千砂都の事が好きだ。」
千砂都「彰人君……!!」
千砂都は俺に抱きついて……泣いていた。
千砂都「もうっ……!!今言うなんてズルいよっ……!」
「泣くなよ……泣いてる千砂都なんて見たくない。
俺の隣でずっと笑っててくれよ、千砂都。」
千砂都「うんっ……!!
私も、彰人君の事が……『彰人』が好き!」
「千砂都……!!」
千砂都「これからも、恋人として……ライバルとしてよろしくね!彰人!」
「あぁ!!よろしくな、千砂都!!」
……To be continued
使用楽曲:Argonavis『流星雨(Acoustic Ver.)』、Argonavis『STARTING OVER』、澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、唐可可(CV.Liyuu)、嵐千砂都(CV.岬なこ)平安名すみれ(CV.ペイトン尚未)『常夏☆サンシャイン』
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