Jump to the Super star!!   作:黒破リンク

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Sunny Passionの2人から誘いを受け、神津島でのライブを終えた結ヶ丘スクールアイドル同好会とBAD SOUL。
ライブは大成功を収め、かのんと奏、千砂都と彰人はそれぞれ想いを伝えた。
そして、いよいよ、生徒会が動き出す──


第7話

奏視点──

 

島でのライブを終え、新学期を迎えた俺達はライブの疲れを引きづったまま学校に向かっていた。

 

可可「うぅ〜……。」

 

かのん「お疲れだねぇ。」

 

可可「島から戻ってすぐ新学期は堪えるデス……。」

 

かのん「可可ちゃん、ステージ作りとか色々頑張ってくれてたもんね。

ありがとう。」

 

可可「かのん……。」

 

千砂都「シャキッとしなさい!」

 

彰人「これからもっと頑張らなきゃなんだぞ?」

 

「千砂都?それに彰人まで……。」

 

可可「なにか……違和感が…。」

 

千砂都「これからは前よりも、ミッチリダンスの練習するんだから!」

 

彰人「疲れてる場合じゃないぞ?」

 

千砂都「うぃーっす!」

 

彰人「俺達、普通科に転科したんだぜ?」

 

クーカー「「えぇぇぇぇ!?」」

 

「それ、先に言ってよ……。」

 

千砂都「本当は退学して、普通科を受け直そうと思ったんだけど、理事長先生が転科を許可してくれるって。」

 

かのん「でも、どうして?」

 

千砂都「これからは、かのんちゃん達と同じ目標に向かって頑張りたいと思って。」

 

彰人「それに、BAD SOULを本気で動かすんなら、同じ普通科に居た方が時間取りやすいだろ?」

 

「それでかぁ…。」

 

千砂都「内緒にしててごめんね?」

 

可可「……愛デス。」

 

4人「「「「え?」」」」

 

可可「这是真爱啊!(これは真実の愛です!)可可感動しまシタ……!!」

 

千砂都「そんな大したことじゃないけど……。」

 

かのん「じゃあ授業始まる前に、クラスのみんなに紹介しないとね!」

 

俺達は校舎の中に入ると、掲示板の前に人集りが出来ていた。

 

彰人「ん?なんだ、あの人集り。」

 

ナナミ「あ、かのんちゃん!」

 

ヤエ「見て、これ!」

 

俺たちが掲示板の貼り紙を見ると……。

 

かのん「生徒会?」

 

可可「『延期になっていた本校の初年度生徒会を発足』!?」

 

ココノ「そうなの。

とりあえず生徒会長の希望者を募って、複数いる場合は選挙をして……。」

 

千砂都「えへへ、おはよー。」

 

彰人「おはよっす。」

 

ココノ「えっ?えぇっ!?」

 

「千砂都と彰人、普通科に転科したんだって。」

 

可可「かのん、生徒会デス!」

 

かのん「そ、そうだね…。」

 

クラスメイト「千砂都ちゃんと彰人君、普通科に!?」

 

かのん「そうだよ?えっと──」

 

可可「生徒会選挙デス!」

 

クラスメイト「なんでなんで!?」

 

可可「選挙デスー!!」

 

かのん「色々渋滞してるぅ〜!!」

 

そんなてんやわんやな朝を過ごし、教室に行く。

すると彰人と千砂都の周りにクラスメイトが集まっていた。

 

クラスメイト「じゃあ、千砂都ちゃんもスクールアイドルに?」

 

千砂都「うん、やろうかなって。」

 

男子「彰人、お前なんでこっち来たんだ?」

 

彰人「ん?まぁ……気まぐれ?

ユニットの活動を本格的にやるなら、時間取れるこっちの方が都合いいかなって。」

 

千砂都と彰人の会話を聞きながら俺とかのんはその光景を眺めていた時、可可さんが何やら襷を持って俺たちの元に来た。

 

可可「出来まシタ!」

 

「……襷?」

 

かのん「なんで平仮名?」

 

可可「調べてみたら、名前を平仮名にするのは、日本の選挙の基本、と書いてありましたので!」

 

かのん「選挙って?」

 

可可「まさか、かのん、忘れたのデスか!?

いまさっき見たばかりデスよ!!」

 

可可さんはかのんの名前が書かれた生徒会選挙立候補の紙を持っていた。

 

かのん「それは覚えてる…。」

 

「なんでかのんの名前書いてあるの?」

 

可可「もちろん、かのんが立候補するからデス。」

 

「いや、本人がそれを了承してないよね?」

 

かのん「あ〜…。」

 

可可「アカウントも作りましたので、立候補にあたっての動画を撮影しマス!」

 

かのん「い〜……。」

 

可可「さぁ、この襷を──」

 

かのん「うえお〜〜〜!!!」

 

可可さんが熱弁している間に、かのんは走って教室を飛び出して行った。

 

「あっ、ちょ、かのん!?」

 

それで向かった先が、同好会の部室だった。

 

可可「かのん!!かのん!開けてください!」

 

かのん「嫌だ、絶対に出ないーー!!」

 

そう言いながら、部室の扉を全力で閉めようとしてるかのん。

 

千砂都「かのんちゃん、とりあえず話そう?

話せばわかるから。」

 

千砂都……なんで襷持って正座してるの?

 

かのん「ちぃちゃんも賛成なの?」

 

千砂都「賛成というか……。」

 

可可「スクールアイドルのためデス!!今立候補を表明してるのは、恋と言う人だけデス。

あの人が生徒会長になったらスクールアイドルはいよいよマズイデス……!!」

 

「それに、生徒会長は普通科の人がなった方がいいって声もあるみたいだし。」

 

かのん「だったら、ちぃちゃんか可可ちゃんが立候補してもいいでしょー!!」

 

すみれ「しょうがないったらしょうがないわね。うっふふっ。

ショービジネスの世界を生きてきたこの私がその力を発揮して──」

 

可可「かのん、お願いしマス!!」

 

千砂都「かのんちゃん…!!」

 

かのん「嫌だーー!!」

 

すみれ「ギャラクシー!?」

 

あ、すみれさん居たんだ。

 

彰人「無視されてて草。」

 

「てか、なんですみれさんも襷持ってんのさ……。」

 

すみれ「スクールアイドルを続ける身として、この平安名すみれが──」

 

可可「かのーーん!!」

 

すみれ「見なさい!!」

 

可可「どちら様デスか。」

 

すみれ「知ってるでしょ!!」

 

千砂都「あれ?えっと……す…す…なんとかさん。」

 

彰人「グソクムシ。」

 

すみれ「すみれったらすみれよ!す・み・れ!!

それに彰人!!どさくさに紛れてグソクムシって言うな!!」

 

彰人「事実だろ、グソクムシすみれ。」

 

すみれ「キィーッ!!

──こほん。メンバーの名前忘れてどーすんの!?」

 

千砂都「すみません、新入りな者で……。」

 

彰人「俺は事実を言っているだけなので…。」

 

すみれ「まぁいいわ。

生徒会長選挙と聞いて、正直それほど気は進まないけれど──」

 

可可「なら結構デス。間に合ってマス。一昨日来やがれ、身の程をまきわえろデス。」

 

誰?可可さんにそんな日本語教えたの。

 

彰人「……wwwww」

 

彰人?君が犯人かなぁ?

 

すみれ「何さらっと酷いこと言って──」

 

かのん「すみれちゃん!!」

 

勢いよく扉を開けて、かのんが部室から飛び出してきた。

 

すみれ「えぇ?」

 

かのん「ありがとう!全力で応援するから!!」

 

すみれ「……!!」

 

全員「「「「えー……。」」」」

 

すみれ「えーって言うな!!」

 

いや、すみれさん何しでかすか分からないし…不安しかない…。

 

それから、動画を撮ることになったんだけど……。

 

すみれ「生徒会長候補、平安名すみれ!合言葉は、結ヶ丘〜〜〜ギャラクシーー!!」

 

生徒A「待て〜!!」

 

彰人「はい、OKです。」

 

彰人の合図で、可可さんがカメラを止める。

 

すみれ「いいわけないでしょ!?何そのテンションの低さは!!もっと本気でやりなさいったらやりなさいよ!ショービジネスの世界で生きてきた私の力をもってすれば──」

 

可可「やはり可可は、かのんが──」

 

千砂都「かのんちゃーん!!」

 

かのん「どうだった?」

 

千砂都「今立候補が締め切られて、正式に葉月さんとすみれちゃんの2人で争うことになったよ!」

 

すみれ「ふふふっ。つまり葉月恋を倒せば、この学校の頂点に立てるという訳ね?」

 

彰人「すみれには無理だと思うぞー。」

 

すみれ「うっさいわね!?」

 

かのん「とは言っても葉月さん、この学校の創立者の娘って言うし……。」

 

可可「勝てる訳がないデス…。」

 

すみれ「味方が諦めてどうする!?」

 

「でも、葉月さんも磐石って訳じゃないみたいだよ。

ね?彰人。」

 

彰人「おう。

実際、音楽科ではクラス委員で皆を纏めてるし、人気もあんだけど、普通科をちょっと下に見てんじゃないかって噂が立ってる。」

 

かのん「そうなんだ……。」

 

すみれ「それよ!普通科の生徒は音楽科の3倍!!

その票をこっちに持ってこれれば……!!」

 

すみれさん、変な笑い声が出てるよ。

校舎に戻って、俺達は葉月さんの公約を見ていた。

 

「『私、葉月恋は普通科と音楽科が手を取り合う学校を目指し、この秋の学園祭を共に盛り上げていくことを約束します。』」

 

彰人「ほーう?」

 

普通科生徒A「葉月さんって、音楽科の事ばかり考えてるって噂だったけど!」

 

生徒B「結構私たちのことも考えてくれてるんだね!」

 

生徒C「そうそう!」

 

千砂都「先手打たれちゃったね。」

 

可可「これで終わりデス……。勝てる訳ありまセン…。

そしてスクールアイドルは……。」

 

─────────────────────────

イメージ──

 

かのん『クー。』

 

可可『カー。』

 

合言葉とともに扉を開け、可可が中に入ってくる。

 

可可『大丈夫デス。つけられていまセン。』

 

かのん『よし、今日は歌のレッスンを──』

 

窓の外からライトが照らされ──

 

恋『……やっと見つけましたよ、スクールアイドル。

校則第10条325項『結ヶ丘におけるスクールアイドルの活動はこの一切を禁止する』。

ひっ捕らえなさい!』

 

可可『しまったデス〜!!』

 

─────────────────────────

 

彰人「いや、流石にそこまではないだろ……。」

 

可可「いいえ、あの人ならやりマス!

あの目はスクールアイドルを憎んでる目デス!」

 

千砂都「でも、どうしてあそこまでスクールアイドルを毛嫌いするんだろう。」

 

かのん「ちぃちゃんも分からないの?」

 

千砂都「うん。

音楽科ではほとんどその話した事ないし…。」

 

彰人「ま、スクールアイドル絡みで創設者の人になんかあったんだろ。」

 

すみれ「……やはり選挙で勝つしかないわ!」

 

そう言って、すみれさんがだるまを持って立ち上がった。

 

千砂都「でもどうやって?」

 

すみれ「大丈夫!」

 

すみれさんが出したやり方が──

 

千砂都「……。」

 

彰人「たこ焼きどうぞ〜。」

 

かのん「本日は、皆様へのご挨拶を兼ねて、たこ焼きをサービスしちゃいまーす!」

 

普通科生徒A「うわぁ〜!」

 

生徒B「ありがと〜!!」

 

すみれ「ふふふっ……。見なさい、効果抜群ね。

平安名すみれでーす!ギャラクシーな一票を──」

 

……このやり方、普通に怒られない?選挙法違反じゃない?

 

可可「でも、このやり方は宜しくないのでは?」

 

彰人「どうだかな?ギリギリセーフ?」

 

理事長「アウトです。」

 

理事長先生!?

──さらっとたこ焼き食べてるよね!?

んで、理事長先生にミッチリ怒られ、罰としてすみれさんの票はマイナスになった。

……そりゃそう。

 

「結果は……葉月恋 101票、平安名すみれ -20票。」

 

すみれ「ざ、ざ……惨敗……!!なんでったらなんでー!!」

 

「そりゃそうでしょ。選挙法違反のことやったんだから。」

 

すみれ「じゃかましい!

うぅ〜〜……!!」

 

かのん「て言うか、なんでマイナス?」

 

千砂都「それは……たこ焼きの件のペナルティーがあるから…。」

 

可可「まぁ、それがなくても結果は変わりまセンけどね。

だから可可は最初からかのんいいと言っていたのデス。」

 

かのん「でも、やっぱり葉月さんが生徒会長で良かったような気がする。」

 

「俺も。」

 

すみれ「あんた達ーっ!!」

 

「選挙法違反紛いの事した人よりも、正攻法で勝ち取った人の方が偉いと思うけどな。」

 

かのん「すみれちゃんがダメって訳じゃないんだよ?

ただ、学校全体の事を考えたり……色々決めていったりしなきゃいけないことを考えると……。」

 

可可「デスが、スクールアイドルは…。」

 

千砂都「そこだよね……。」

 

かのん「……話してみる。」

 

「果たして聞いてくれるかな。」

 

かのん「分からない。けど、きっとなにか理由がある気がするんだ!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

彰人視点──

 

音楽科に置きっぱなしの荷物を回収して帰り道で、理事長と葉月さんが理事長室で話している声が聞こえた。

 

理事長「どうするつもりですか?」

 

恋「その前に、来年の入学希望者の数を教えてください。

生徒会長として……いえ、創立者の娘として、知る権利があります!」

 

入学希望者の数……?

 

かのん「彰人君。」

 

「あれ?かのんさん。どうしたんだ?」

 

かのん「ちょっと葉月さんに聞きたいことがあってね。」

 

「……そうか。」

 

恋「失礼しました。

……あなた達は…。」

 

かのん「ちょっと、いいかな?」

 

俺は葉月さんを連れて、かのんさんと一緒に中庭に向かった。

 

かのん「葉月さん、前に言ってたよね。スクールアイドルじゃなきゃ、応援するって。

私たちの事が嫌いだとか、意地悪したいってことじゃないんでしょ?」

 

「ワケを聞かせてくれねぇか?それさえ分かれば、俺たちだってなにか方法がないか考えられるだろ。」

 

おそらく、さっき言ってた『来年の入学希望者』の事…だろうけど。

 

かのん「葉月さんは受け入れられないのかもしれないけど、スクールアイドルはやっぱり悪いものじゃないと思うから!」

 

恋「──別に何もありません。

ただ、学校のためにはスクールアイドルは無い方がいい。それが私の考えです。」

 

「学校のため、か。」

 

かのん「どういう意味……?」

 

次の日、全校集会で集まることになり、葉月さんが初代生徒会長として台に立った。

 

司会「ではここで、初代生徒会長、葉月恋さんからの挨拶です。」

 

恋「改めまして。

この学校の初代生徒会長に任命された、葉月恋です。この名誉ある仕事に就くことが出来、光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。

私は、この結ヶ丘を地域に根ざし、途切れることの無く続いていく学校にするために、誠心誠意努力する所存です。そのために──」

 

ん……?なんだ?

 

可可「どうしたのでショう?」

 

恋「──そのために、最初の学園祭は、音楽科をメインに行なう事と決定しました。」

 

はぁ!?!?公約と違うぞ!?

 

かのん「葉月さん……。」

 

集会が終わってからは、クラスは葉月さんの公約違反の話で持ち切りだった。

 

奏「あれは、完全な公約違反だよね。」

 

「だな。

──こんなことなら音楽科に残るべきだったかな。」

 

奏「そんなこと言わないでよ。

講義の署名を出し始める人もいそうだしね。」

 

生徒A「隣のクラスが、講義の署名集めるって!」

 

「言ってた通りになっちまったな。」

 

すみれ「くーっくっくっく。抗議より手っ取り早い方法があるわ!

リコールよ!!」

 

ナナミ「リコール?」

 

すみれ「そう!成立すれば公約違反で現生徒会長を解任、そしてやり直しの選挙の末にこの私が──」

 

「まだ諦めてなかったのかよ。」

 

可可「かのんが生徒会長二!!」

 

かのん「私!?!?」

 

はぁ!?!?

 

ナナミ「かのんちゃん立候補するの!?」

 

かのん「えぇっ!?」

 

可可の一言で更にクラスの話題がカオスなことになった。

 

「あ〜あ。めんどくさい事になっちゃった。」

 

奏「仮にかのんが生徒会長になるなら全力でサポートしないとなぁ。」

 

かのん「私なんて、全然目立たないし……!」

 

すみれ「あんたそれ、嫌われるタイプよ。」

 

かのん「えっ!?いや、違う違う違う!そんなんじゃなくてー!!」

 

放課後になって、俺達は部室に集まって話をしていた。

 

千砂都「でも、本当にそれくらいしないとダメかもしれない。」

 

可可「デスデス。公約を破るくらいデスから、放っておいたらスクールアイドルも禁止、って言ってくるに違いないデス!」

 

奏「確かにそんな気もするけど、なにか引っかかるんだよね。」

 

千砂都「でも、昨日かのんちゃんと彰人が聞いても教えてくれなかったんでしょ?」

 

「それは……。」

 

んで、理由を知るために俺たちは葉月さんを尾行することになった。

この大所帯は流石にバレるのでは?

 

すみれ「それで尾行?」

 

かのん「仕方ないでしょ、音楽科の子達も葉月さんの事はほとんど分からないって言ってたし。」

 

可可「やるなら徹底的にデス。」

 

俺たちは後を追いかけて──時々葉月さんが振り返る度に俺たちは近くの遮蔽物に隠れてやり過ごす。

 

「あっぶな……。」

 

千砂都「流石葉月さん……音楽科でもいつもキチンとしてて、周りに注意を払ってるから……!!」

 

可可「気配を……察知する能力という事ですか……。」

 

奏「いや、多分違うよ?」

 

「となると……。

すみれー。」

 

すみれ「え?」

 

すみれを変装させて、俺達は物陰から観測していた。

 

すみれ「不本意なんですが……。」

 

男子小学生「う〇ちだー!」

 

女子小学生「う〇ちー!」

 

すみれ「うるさいっ!」

 

あ、葉月さん。

 

すみれ「はぁぁっ!」

 

……バレたか?

 

恋「……。」

 

……バレてないんかい。

 

かのん「流石すみれちゃん!」

 

千砂都「全然気づかれてなかったね!」

 

すみれ「褒めないで。傷つくから。」

 

可可「かのん!」

 

奏「あっ。」

 

「急ぐぞ。」

 

葉月さんを尾行して、着いた先が……

 

かのん「ここに入っていったけど……。」

 

千砂都「ここが……。」

 

可可「葉月さんの家……!?」

 

奏「お金持ちだろうとは思っていたけれど…。」

 

すみれ「想像の銀河上ね……。」

 

「土地代だけでうん百万は飛んでそうだなぁおい……。」

 

可可「とりあえず呼び出しまショう。」

 

奏「待って、もう少し探りを入れてからの方がいいよ。」

 

可可「尾行までして、ここまで来たのは、葉月さんの事を知りたいからでは無いのデスか?」

 

サヤ「どちら様ですか?」

 

ふとインターホンから声が聞こえる。

葉月さんの声……じゃねぇな。

 

奏「えっと……。」

 

「俺達、結ヶ丘の生徒なんですけど……葉月恋さんと話をしに来ました。」

 

家の門が開いて、中に入れるようになった。

中に招かれ、飲み物を用意され、高そうなソファーに座っていた。

 

サヤ「どうぞ。」

 

かのん「ありがとうございます!」

 

サヤ「今お嬢様を呼んで参りますので、ごゆっくりお寛ぎください。」

 

かのん「はい!」

 

使用人の人らしき人が部屋の扉を閉めた瞬間──

 

かのん「どうしよう!?約束も何もしてないのに!?」

 

千砂都「尾行してきたからね。」

 

かのん「わぁー!!葉月さんになんて言えばわかってくれるかなー!?」

 

千砂都「わっ。美味しい。」

 

すみれ「いきなり怒るんじゃないの?『話す事はありません。帰りなさいったら帰りなさい。』的な。」

 

奏「まぁ、そうなるよね。」

 

可可「それにしても、立派なお家デスね。

見てくだサイ!大きなぬいぐるみデス!!」

 

ぬい……ぐるみ……?

 

すみれ「ぬいぐるみ?剥製じゃないの?」

 

可可「こんな大きな犬いるわけないじゃないデスか。

わぁ〜……温かい…。」

 

すみれ「温かい……?あっ…ほんとだ……。それに、トクン…トクン…って……。」

 

待てよ?温かいなら……マジの犬じゃね?

 

可可「何言ってるのデスか、テキトーな事ばかり言って…。」

 

チビ「ワン。」

 

……え?

 

全員「「「「「「本物だぁぁぁぁぁ〜〜!!!」」」」」」

 

「お、おい!!誰かあの犬止めてくれぇ!!」

 

奏「そんな事言われても困るよ!!」

 

すみれ「なんなの、あのデタラメな犬は!」

 

かのん「知らないよぉ!!」

 

可可「遺伝子組み換えデスか、或いは巨大化改造……」

 

千砂都「あった!」

 

「何が!?」

 

千砂都「本当にいる犬だって!」

 

「あんなデケェのが!?」

 

奏「とにかく誰かに助けを──」

 

「誰か!!いねぇか!?」

 

部屋の扉を開けても誰もおらず……

 

かのん「誰もいないよぉー!!」

 

千砂都「どうなってるの…!?」

 

可可「もう……ダメデェス…。」

 

かのん「可可ちゃん!?」

 

奏「かのん、それ貸して!」

 

かのん「えっ、うん!」

 

奏はかのんさんからボールを受け取って……

 

奏「おりゃあっ!!」

 

左手で思いっきり投げると、あの白い犬は追いかけていった。

 

すみれ「今のうちにこの中に!」

 

千砂都「うぃっすー。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

奏視点──

 

扉の中に入って、俺達は息を整えていた。

 

すみれ「なんなのここは…。」

 

千砂都「こんな大きい家なのに、誰もいないなんて……。」

 

かのん「ちょっと変だよね……。

──ん?」

 

「かのん?」

 

俺はかのんの傍に歩み寄って、アルバムを見ると……

 

「この写真……父さんと母さんが持ってるのと同じ……。」

 

千砂都「かのんちゃん、奏。」

 

「ん?」

 

千砂都に呼ばれて、そっちに向かうと──

 

彰人「卒業写真か?」

 

可可「結ヶ丘っぽいデスけど……。」

 

すみれ「それにしては、随分古くない?」

 

サヤ「いけません!」

 

全員「「「「「「!?」」」」」」

 

声がした扉を少し開けて中の様子を見ると──

 

恋「本当に今までありがとう。このご恩は一生忘れません。」

 

葉月さんが、封筒をさっきの使用人の人に渡そうとしていた。

 

サヤ「いいえ、受け取れません…!!」

 

恋「……お願い。来月からは、あなたを雇っておけるお金もないのです…。」

 

サヤ「必要ありません…!私は、この葉月家に仕えているだけで……。」

 

恋「そういう訳にはいきません。

あなたのような人を、タダ働きさせたら、それこそ亡くなったお母様に怒られてしまいます。」

 

サヤ「しかし……それではお嬢様は本当に1人きりに……。」

 

恋「平気ですよ。私にはチビがいますから。」

 

すみれ「チビ……?あれが…?」

 

「静かにしてろ。」

 

恋「あなたがここに来た頃は、まだチビが産まれたばかりの頃でしたよね。

あの頃はお父様もいて、お母様も元気で。皆仲が良くて、家の中はいつも賑やかで。」

 

サヤ「お嬢様……。」

 

恋「悲観しているのではありませんよ。

私には、まだお母様が遺してくれた結ヶ丘がありますから。」

 

チビ「ワン!」

 

彰人「うげっ……!

うぉあぁぁぁぁ!?!?」

 

チビ、と呼ばれてた犬に俺とかのんと彰人は駆け寄られた。

後、一緒にすみれさんも。

 

恋「誰!?

──えっ?」

 

かのん「痛たた、アハハッ!そこっ、そこダメだよぉっ!?」

 

彰人「イテテテテッ!?ちょっ、足!!足!!千砂都、助けて!!俺犬苦手なんだよ!!」

 

「彰人っ……暴れないでっ…痛い……。」

 

かのんは犬に舐められ、彰人は犬に足を踏まれ、俺はそれに対して悶えて暴れる彰人に攻撃されてた。

 

恋「あなた達……。」

 

かのん「くすぐったいって……アッハッハ!!」

 

サヤ「チビ、Come。

Sit。Stay。」

 

恋「聞いていたのですか?」

 

かのん「1人ってどういう事?お金が無いって……。」

 

恋「そのままの意味です。この家に残っているのは私1人。お金もありません。

このままでは学校を運営していく事も──」

 

彰人「そういうことかよ……。」

 

恋「母の遺した学校を続けるためには……私が頑張るしかないのです!!」

 

かのん「葉月さん……。」

 

俺達が見た葉月さんの目には、覚悟が見えた。

 

……To be continued




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