Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
案内された場所は、かのんと奏にとって苦い思い出のある講堂のステージだった。
不安になるかのんを全員が支え、歌声を講堂に響かせることが出来た。
奏視点──
練習が始まり、Liella!のダンス練に参加した俺は、千砂都の合図で踊っていた。
彰人「奏、振りが遅れてる!」
「ごめん!!」
──改めてダンスって難しいな。
この身で体感して、改めて思った。けど、こんなに楽しいんだ。
千砂都の一声で、休憩に入った俺達。
かのん「今回も難しいダンスだね…。」
千砂都「東京大会でのライブだよ?引けを取らないようにって、気合い入れて作ったんだ!」
かのん「勝てるかな……。」
彰人「自信持てよ、じゃなきゃ勝てるもんも勝てなくなっちまうぜ?」
千砂都「私はじゅうぶん可能性はあると思う!このメンバーなら!」
可可「大変デス〜〜〜!!」
屋上の扉から可可さんが飛び出してきた。
すみれ「練習始まっているわよ!」
可可「東京大会の課題が発表されまシタ!!」
「ついに来たか…!!」
司会『東京大会の課題はぁっ!!こちら!!
『独唱』。歌を聴かせるソロパートを、曲に取り入れてください!』
すみれ「また難しい課題ね…。」
恋「純粋な歌唱力が試されますね…。」
かのん「そうだよね……。」
全員「「「「「「じー。」」」」」」
かのん「えっ、えっ!?」
可可「異論を唱える人はいませんよ!」
かのん「え〜!?」
恋「かのんさんで決まりですね。」
すみれ「違う課題なら、やってあげても良かったんだけど。」
かのん「でも……。」
千砂都「──Liella!が始まったのは、かのんちゃんがあの時歌ったから。可可ちゃんの想いに応えたから。」
千砂都はそう言ってかのんの手を握った。
かのん「ちぃちゃん…。」
千砂都「かのんちゃん以外、いないよ。」
「頑張れ、かのん。
かのんなら出来る。」
その日の夜、俺はかのんと2人で帰っていた。
手を繋いで夜道を歩いていた。
「──やっぱり不安?」
かのん「……うん。
私が今まで歌えてたのは、ちぃちゃんや可可ちゃんが居たおかげ。
だから……1人はまだ不安。」
「──俺も同じ。」
かのん「え?」
「俺もさ、彰人が隣に居たから今まで歌ってこられた。──かのんや千砂都達が歌ってる姿に背中を押されてた。
俺の歌は、たしかにフェスのお客さんや審査員の方達に届いてた。けど、それは彰人が居たから。きっと俺だけだったら、届かなかったと思う。」
かのん「そんな事ないよ。」
「えっ?」
かのん「私は昔から、奏くんの歌が好きだよ。
奏くんの歌が世界に響いてるってずっと信じてた。L tubeで見てる誰よりも、私は奏くんの歌をそばで見てるんだから。」
「かのん……。」
かのん「……私も、いつまでも弱気じゃダメだよね。」
「……そうだ、かのんの背中を押すために歌うよ。」
かのん「今?」
「今じゃない。けど、今回のフェスの時だけは、観客席で見ていて欲しい。
背中を押す曲を必ず作ってみせる。」
かのん「ありがとう。」
そうやって話しているうちに、かのんの家の前に着いた。
「じゃあ、またあした。」
かのん「待って!」
かのんに左手を掴まれ、振り向いた時に、かのんの顔がすぐ近くにあって──
かのん「……///」
かのんが背伸びをして、俺の唇にキスをした。
「かのん……?!///」
かのん「……背中を押してくれるお礼……///」
「…ありがと///」
かのん「もう!恥ずかしいから早く帰って!///」
かのんがやったのに…。
こりゃあ、最高の曲にしないとな。
「ただいま。」
瑞希「あ、おかえり奏。
……どうしたの、そんな顔赤くして。」
「い、いや、なんでもないよ。」
瑞希「あ、もしかしてかのんちゃんと(自主規制)した?」
「そんなわけないでしょ!?」
瑞希「ちぇ、違うのか。
じゃあキスされたんでしょ?」
「……。」
俺はそっぽ向いてそんなことされてないように装う。
瑞希「図星でしょ?ね?図星なんでしょ?」
「うるさいなぁ!!別に姉さんに関係ないでしょ!?」
瑞希「関係あるよ!いつか『
こういう時の姉さんってほんとめんどくさい…。
「俺とかのんの事はもういいから!」
瑞希「あ、ご飯もうすぐ出来るけどどうする?」
「東京大会に向けて曲作らないとだから部屋の前置いといて!」
瑞希「うん、分かった。」
俺はすぐさま階段を登って部屋に戻った。
瑞希「頑張れ、奏。」
俺は部屋に籠ってパソコンとにらめっこしていた。
「誰かの背中を押してあげれるような曲……。」
悩みに悩んでいた時、彰人からメッセージが来た。
「ん?彰人?」
彰人『いい歌詞できたから、メロディつけてくれよ。』
俺は、そのメッセージに添付された歌詞を見てみる。
タイトルは……『Heroes』。
「僕らのヒーロー…。」
俺にとってのヒーローは、かのんや千砂都…Liella!の皆と彰人…。
みんなが居たから、俺は歌ってこれた。
「ありがとう、彰人。」
歌詞を元に、自分の思い描くメロディーを歌詞に乗せる。
アンプを繋いでないギターを鳴らしながら思いついたメロディーに乗せて歌ってみた。
「進め 僕らのヒーロー
朝日に祈り 暁に誓う 平和の鐘を 鳴らせヒーロー」
うん、いい感じだ。
歌詞も相まって、ちょっとヒロイックな曲だけど。
あとは歌分けだけだな。
「いつもはだいたいサビを交互だけど…今回は俺主体でコーラスに入ってもらうか…。」
俺は彰人にメッセージを送った。
『メロディー出来たよ。
あとは歌分けだけ。』
彰人『お、サンキュー。
歌分けなぁ…。』
『どうする?
一応今考えてるのは、サビで彰人にコーラス入ってもらおうかなって考えてるんだけど。』
彰人『お、いいじゃん。
ちょっと今までとは違う感じでいいと思う。』
『わかった、じゃあそれで行こう。』
彰人『奏、相変わらずいい曲作るじゃん。』
『そうかな?』
彰人『あぁ。
今回の、ちょっといつもの俺たちっぽくない歌詞作っちまったな……とか思ってたのに、こんなに早くいいメロディーつけてくれるなんてな。』
『まぁ、思いついたメロディーをそのまま乗せただけだし、歌詞の言い回しちょっと変えたんだけどね。』
彰人『でもすげぇよ。
やっぱり、奏は俺にとってのヒーローだよ。』
『ありがとう。』
メッセージを送った後、ふと部屋の扉を開けると、姉さんに頼んであった夕飯が置いてあった。
「姉さん、ありがとう。」
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次の日、練習の時間になって、千砂都達と話をしていた。
かのん「え!?ちぃちゃんが!?」
千砂都「うん。その日だけは、どうしても行かなきゃダメだって家で言われちゃって…。」
かのん「そうなんだ……。」
可可「実は可可もやんごとなき事情がありまシテ……。」
恋「実は私も…。」
すみれ「私もどうしても家族が神社を手伝えって。」
かのん「えぇ!?ちょっと待って、ちょっと待って!?
それじゃあもうLiella!じゃないよ!1人しか居ないなんて…。」
可可「デスよね…。」
千砂都「だからね、小学校に連絡したんだけど、そしたら、かのんちゃん1人でもお願いできないかって…。」
かのん「えぇ!?」
千砂都「むしろ学校の子達は、かのんちゃん1人の歌を聴きたいって…。」
かのん「そんなぁ!」
千砂都「だめ…かな?」
その帰り道、千砂都達と別れた俺とかのん。
かのん「じゃあ……。」
千砂都「なにか困ったことがあったら連絡して。
相談に乗るから!」
可可「可可も24時間体制で待っておりマスので!」
かのん「ありがとう。とりあえず家に帰って練習してみる。」
一同「「うぃっすー!」」
かのんと俺は二人で帰路に着く。
「かのん、やっぱり不安か?」
かのん「うん……1人だけなんて…。」
「当日、俺は行くよ。彰人も一緒にいる……ん?」
彰人からメッセージだ。
彰人『わりぃ、俺もバイトで行けなくなった!
その間にライブの曲仕上げとくわ!』
「嘘だろ…!?」
かのん「どうしたの?」
「彰人も来れなくなったってさ。
……俺たち2人だけみたいだね。」
かのん「そうだね……。」
「……そうだ、かのん。
覚えてる?近所の公園で3人で遊んだ時のこと。」
かのん「覚えてるよ?」
「あの時かのん、こう言ってたよね。
『最初からできないなんて、そんなことあるはずないよ!』
って。
あの頃の千砂都も俺も、かのんに沢山背中を押された。
かのんが笑顔だと、心から嬉しくなる。俺と千砂都が知ってるかのんは、そんな笑顔を持ってる。
だから、辛い事や上手くいかないことを経験したかのんが、あの頃の笑顔を取り戻したら、きっとSunny Passionさんや、ほかのグループの誰にも負けない。
──そんな気がするんだ。」
かのん「奏くん…。」
「『世界中に歌を響かせる。』
俺とかのんの、2人の夢。」
かのん「うん。
私と奏くんが初めて一緒に歌った、あの時からずっと思い続けてる夢。」
かのん『奏くん!私ね、いつか世界中の人に歌を響かせたい!
誰かの背中を押してあげられるような、そんな歌手になりたい!』
『僕も、世界中の人が僕の歌を聴いて、笑顔になってくれるような歌手になりたい!』
かのん『じゃあ、私と奏くんの、2人の夢にしよう!
私と奏くんなら、きっと出来るよ!』
『うん!』
「必ず叶えよう、この夢。」
かのん「うん。」
家に帰って、俺達はその足で小学校に来た。
かのん「……。」
「かのん、大丈夫だよ。俺がいる。」
かのん「……うん。」
思い出の舞台裏。
不安がるかのんにそっと手を握った。
「まだ不安か?」
かのん「うん。
……ちぃちゃんに、電話してもいい?」
「いいよ。」
かのんはそう言って、千砂都に電話をかけた。
かのん「ちぃちゃん。」
千砂都『どうしたの?』
かのん「ありがとね。
私、みんなが居たから歌えてた。それでいいと思ってた。
でも……それじゃダメなんだよね。誰かを支えたり、力になるためには、ちぃちゃんが頑張ったみたいに、1人でやり遂げなきゃいけないんだよね。」
千砂都『うん。それに、1人じゃない。』
かのん「え?」
千砂都『いるはずだよ。あの頃のかのんちゃんが。
歌を全世界に響かせようとした、かのんちゃんが。』
かのん「私が…?」
「『大丈夫だよ。歌は怖くない。楽しいものだよ。歌うのはとっても楽しいものだよ。』」
かのん「……!!」
かのんは、きっと今、昔の自分を思い出している。
あの時の、俺の背中を押してくれた、眩しい笑顔が絶えなかったあの頃のかのんを。
みんなの前でああやって言ってたのに、1人になったら怖がってた、あの時のかのん。
「怖かったんだ。あの時も。
それでもかのんなら……大丈夫、大好きなんでしょ?歌。
あの時とは違う、新しいかのんを見せてくれ!!」
かのん「……うん!!」
俺たちふたりは、舞台に立った。
小学校の先生に頼み込んで用意してもらったグランドピアノに座って、俺はピアノの鍵盤を押した。
──昔の俺が、かのんのために作った、あの曲を。
かのん「ずっと大切にしまってた 一番大好きなこと
どうしたら叶えられるの? 分からなくて立ち止まっていた」
俺は、かのんの歌を響かせるためだけに、ひたすら鍵盤に向き合う。
かのん「チャンスはある日突然 目の前に舞い降りてきた 思うかたちと違っても そっと両手を伸ばしたんだ ぎこちなく刻む一歩が パッと鮮やかに世界を変えてく
何が待つの?何をやれるの?勇気出して進もう
ちっぽけな昨日までの私じゃない 奏で始めたんだ 夢を 幕があがるここから先は 胸に描いてたステージ
出きっこないよって思ってたことも 踏み出せばほら叶うんだ
きらり希望響かせるの どこまでも広がれ 私のSymphony」
ピアノを弾き終え、俺はステージから講堂を見渡した。
かのんの歌への歓声が、聴こえた。
千砂都「かのんちゃん!!」
かのん「ちぃちゃん!?」
彰人「お疲れ、相棒!!」
「彰人……!!」
客席からは千砂都が、舞台袖から彰人が来た。
──見に来てくれてたんだね。
彰人「絶対勝とう。ラブライブも、ワイルド・バトルフェスも!!」
「あぁ!俺たちBAD SOULと、Liella!は最強だ!!」
千砂都「皆さん!はじめまして!Liella!です!」
「同じく!BAD SOULです!!」
全員「「「「「「「私達(俺達)の歌、聴いてください!!」」」」」」」
……To be continued
次回、5人の少女と2人の男子の物語の終幕。
Season1最終回です。
使用楽曲:藤巻亮太『Heroes』、Liella!『私のSymphony』